1.5.2 母音の長さの詳細
アイスランド語の母音は、すべて長母音か短母音のどちらかに属する。 長母音のルールは以下のとおり
(a) 子音が後ろに続いていない場合
(b) 後ろに続いているのが単子音の場合
(c) 後ろに続いているのが二つの子音であって、一番目の子音は p, t, k, s [pʰ, tʰ, kjʰ, kʰ, s] で二番目の子音は j, r, v [j, r, v] である場合
短母音のルールは次のとおり、すなわち、上記 (c) に該当する二つの連続する子音以外で、二つ以上の子音が母音の後に続く場合である。pp, tt, kk [ʰp:, ʰt:, ʰkj:, ʰk] の前にある母音、あるいは、母音の後に続く一番目の子音は p, t, k [ʰp., ʰt., ʰk.] でその後ろに二番目の子音として l または n [l, n] が続く場合は、前置気息音 [ʰ]が特に顕著にみられるため、その母音は特に短く短縮されて発音する。 以下に例を示す。
長母音ルール(a):þú [þu:]《thou,二人称単数主格人称代名詞「汝」》、nú [nu:]《now, 今》、svo [svɔ:]《so, そのように、そのとおりに》、母音アルファベットの名前では、a [a:]、á [au:] など(1.1を参照せよ)。búa [bu:a]《farm, 農場》、lóa [lou:a]《plover, ちどり》
長母音ルール(b)、長母音になる場合と短母音になる場合を併置して比較する。
hatur [ha:tʰʏr̥]《hate, 憎しみ》 ~ hattur [haʰt:ʏr̥]《hat, 帽子》
Ása [au:sa] 女性固有名詞のひとつ ~