アラビア語便覧：語形変化/名詞相当語句/仕方名詞

アラビア語便覧 > アラビア語便覧：語形変化 > アラビア語便覧：語形変化/名詞相当語句 > アラビア語便覧：語形変化/名詞相当語句/仕方名詞

اِسْمُ الْهَيْئَةِ / اِسْمُ النَّوْعِ

仕方名詞とは

仕方名詞 （仏語 le nom de manière ）とは、動作がなされたときの仕方や状態を示す動名詞である。

（ اسم الهيئة هو مصدر يَدُلُّ على هيئة الفعل حين وقوعه ）

伝統的なアラブ固有の文法学では、名詞類（ اِسْم ）に分類される 名詞相当語句で、状態の名詞（ اسم هيئة ）、あるいは 種別の名詞 （ اسم النّوع ）などと表現され、一回名詞とあわせて学習されることが多い。三語根動詞から派生した動名詞（ مَصْدَر ）の一種で 状態の動名詞 （ مَصْدَر الْهَيْئَةِ ）などとも呼ばれる。

動詞の同族目的語として用いられることが多い。一回名詞とは異なり、原型動詞からつくられる動名詞に限られ、派生型動詞からつくられることはない。

仕方名詞には、元々の動名詞の意味を離れて、普通の名詞となっているものも少なくない。

仕方名詞のつくり方

仕方名詞は、動詞の三語根をもとに  فِعْلَةٌ   という型で表わされる。

ここで、 جَلَسَ 「座る、着席する」という意味の動詞を例に挙げる。一般的な意味を表わす普通の動名詞（ مَصْدَر عَادِيّ ）としては、 جُلُوسٌ 「座ること、着席」があるが、仕方名詞（動名詞）は جِلْسَةٌ  で「座り方」 を表わす。

仕方名詞には、以下のように、普通の動名詞にター・マルブータ（ ة ）を付す型と、普通の動名詞と相異する型がある。

普通の動名詞にター・マルブータを付す型

普通の動名詞（ مصدر عادي ）が فَعْلٌ  のような語形の場合は、ター・マルブータを含む接尾辞 ـَةٌ  を付し、かつ第一語根の母音符号をカスラ（ｉ）にすることにより、仕方名詞 فِعْلَةٌ  がつくられる。下表にその例を挙げる。

語根	原型動詞	普通の動名詞	仕方名詞	備考
أكل	أَكَلَ	أَكْلٌ	إِكْلَةٌ	「食べ方」
مشي	مَشَى	مَشْيٌ	مِشْيَةٌ	「歩き方、足どり」
نظر	نَظَرَ	نَظَرٌ	نِظْرَةٌ	「見方、見る状態」
وقف	وَقَفَ	وَقْفٌ	وِقْفَةٌ	「立ち方、たたずまい」

用例１：

. مَشَى مِشْيَةَ الْقَمَرِ

　　「彼は、ムーンウォークで歩いた。」

用例２：

مِشْيَاتُ الْخَيْلِ

　　「馬の歩法」　（w:ar:مشيات الخيل 、馬術の歩法）

普通の動名詞と相異する型

語根	原型動詞	普通の動名詞	仕方名詞	備考
جلس	جَلَسَ	جُلُوسٌ	جِلْسَةٌ	「座り方」

複数の動名詞を持つ場合

アラビア語の動詞は、二つ以上の動名詞を持つものも少なからずあるので、上記の二つの場合が混在するものもある。おもな例を下表に示す。

語根	原型動詞	普通の動名詞	仕方名詞	備考
كتب	كَتَبَ	كِتَابٌ، كِتَابَةٌ، كَتْبٌ	كِتْبَةٌ	「書き方」
نوم	نَامَ	نَوْمٌ، نِيَامٌ، مَنَامٌ	نِيمَةٌ	「眠り方」

用例１：

. هُوَ حَسَنُ النِّيمَةِ

　　「彼は、眠り方が良い。」

仕方名詞の用法

例文１：

.نَظَرَ طِفْلٌ إِلَيْهَا نِظْرَةً مُسْتَغْرَبَةً

　　「ある子どもが、彼女を不思議そうな眼差しで見た。」

例文２：

.تِلْكَ الْقِطَطُ نَظَرَ إِلَيْهِ نِظْرَةً حَادَّةً

　　「あの猫たちは、彼に鋭い視線を投げかけた。」

参考文献

GUIDÈRE, Mathieu : NAHW (2014)

• GUIDÈRE, Mathieu : Nahw - l'essentiel de la grammaire arabe en 70 fiches avec exercices corrigés, Ellipses (2014)

関連項目

• 一回名詞

関連記事

• アラビア語版ウィキペディア
  • w:ar:اسم هيئة