ウィキペディアの書き方/困ったときは
ウィキペディアで活動を続けているとトラブルに遭遇する事が時々あります。特に初心者のうちは色々と間違う事もあるでしょう。問題への対処法を学ぶことでストレスや時間のロスを減らし、本来やりたいことの質を高めましょう。
はじめに
編集トラブルを防ぐために
編集言葉や礼儀
編集「Wikipedia:礼儀を忘れない」「Wikipedia:エチケット」「Wikipedia:個人攻撃はしない」も参照
- 丁寧な気遣い・言葉づかいを心がける
ウィキペディアはある程度「公」の性質を持つものです。できるだけ行儀よく、一定の品位を保った行動をとりましょう。敬語を使うだけでなく、相手への気遣いも忘れないようにしましょう。モニターの向こうにいるのはあなたと同じ人間です。
- 「こんにちは」「ありがとうございます」「すみませんでした」
ネット上の文字だけの世界では、人の言葉は冷たく武骨な感じがするものです。ですから、これらの言葉は積極的に用いましょう。特にノートなどでコメントする際には必ず用いましょう。何かメッセージがあれば「メッセージをありがとうございます」、返事をする際には「ご意見ありがとうございます」など。ただし、相手にそれを必要以上に求めてはなりません。
- 個人攻撃を行わない
ウィキペディアでは個人攻撃を行ってはなりません。
自分を客観視する
編集「Wikipedia:腕ずくで解決しようとしない」「Wikipedia:善意にとる」も参照
- 「自分の意見」と「正しいこと」の区別をつける
基本的にあなたが「正しい」と思ったことがあなたの「意見」です。あなたが常識だと思っていることは「あなたの常識」です。
われわれは個人の「正しさ」が社会全体の「正しさ」と直結しているように思いがちですが、実際にはそうはなっていません。所属先や育った環境、個人の性質などによって、思った以上に異なるものなのです。「100%正しいこと」「みんなにとっての正解」というのは意外と少ないものです。あなたの「常識」は誰かの「非常識」かもしれません。
ではウィキペディアの方針やガイドラインが「正しい」のかといえば、半分あたっていますが、半分あたっていません。ウィキペディアの方針やガイドラインをどう理解し、運用するかにはある程度個人の主観が入ってきます。「方針やガイドライン」を根拠にしているからといって、あなたの行動が100%正しいとは限らないのです。お互いに謙虚さを忘れないよう気を付けましょう。
- 人の失敗を責め上げない
誰にでも失敗はあります。相手の非を必要以上に責めないようにしましょう。特に、一度謝った相手にくどくど言ったり追い打ちをかけるようなことは慎みましょう。話が済んだらノーサイドです。また、自分に非があったときは積極的に認めましょう。
- 勘違いをしない
人間というのは弱いものです。ウィキペディアで活動していると、無意識のうちに自分が専門家に思えてくることがあります。ウィキペディアの方針やガイドラインの話をしていると自分が法律家であるように思えてきます。また、荒らしに「制裁」を加えることはあなたの支配欲求を大いに満足させるかもしれません。
こういった非日常的な体験によって間違った方向に向かわれる方が時々おられます。健全なレベルで意識を高く持つのはよいと思いますが、勘違いしないことが必要です。基本的にウィキペディアがあなたを偉くすることはありません。
情報を守る
編集プライバシーを守る
編集- 身元が特定できる情報を書き込まない
ウィキペディアに限ったことではありませんが、個人情報は各個人でしっかり保護しましょう。万が一に備えて、学校や会社など、いわゆるリアルの生活に関係するアカウントとは切り離しておくことも有効です。
- 身元を推定する「ヒント」を与えない、ニセの「ヒント」をばらまく
ネット上では公開しなくても個人情報が漏れてしまうことがあります。これらは大抵、自ら「ヒント」を発信していることが原因です。ウィキペディアでいえば書き込みの内容や数がヒントになる恐れがあります。具体的には出身校について大量に編集したり、自分の苗字について詳しく編集したりといったことが考えられます。ウィキペディアでは誰でもアカウントの投稿履歴を閲覧する事が可能であることは覚えておきましょう。
また、ときどき偽のヒントを仕掛けておくことも重要です。書き込みの内容を工夫するのはもちろん、それを裏付けるような画像を投稿したり、SNSに偽情報を持った同名の影武者アカウントを用意するといった方法もあります。
- オープンプロキシは用いない
インターネットには接続元を秘匿するプロキシというものがありますが、ウィキペディアでは犯罪予告や荒らしなどを防ぐ目的でオープンプロキシの使用は禁止されています。使用しないようにしましょう。
情報を公開する
編集- どこまでを出していいのかを定める
大抵は初心者の時に犯したミスから足が付きます。どこまでの情報を公表してもよいのか、事前に考えておきましょう。
- 学生・女性であることを明示すべきか
ウィキメディア財団では女性利用者を増やすことを目標のひとつに掲げており、基本的に女性の参加は歓迎されます。ただし、その良し悪しは別にして現在のウィキペディアは男性優位の世界といわれています。女性や若者が軽くみられたりする局面がないとはいいきれません。プロフィールで情報を公開する場合には、そういう点も一応考慮されるとよいと思います。
ユーザーとのおつきあい
編集ウィキペディアはSNSではありませんが、人付き合いの要素がかなり強いものです。正しい「外交」は身を助けます。できる範囲で行っておくとよいでしょう。
- 日頃から人付き合いを作っておく
- 自分が「まともな」ウィキペディアンであることを内外に示す
いざという時の心構え
編集慌てない
編集ウィキペディアでは一刻一秒を争うことはそうそうありません。焦らず冷静に対処しましょう。
原因を観察する
編集ウィキペディアには独自の用語や言い回しなどが多く、慣れないうちは意味がわからないこともあると思います。しかし、それらの原因は限られていますし、原因が分かってしまえば対応策は自ずと見えてくるものです。
流れを読み、機を見て対処する
編集ものごとには流れがあります。現在がどういう状態にあるのかよく確認して、大事になる前に対処しましょう。
技術的なもの
編集アカウントが作れない
編集荒らし対策の関係で、お使いのIPアドレスからの操作が停止されていることが原因です。携帯電話やWi-Fiなどを使って違った環境から試してみましょう。一度アカウントを作ってしまえば、操作を停止されているIPアドレスからでも書き込みできるようになります。
動作が遅い
編集大抵はサーバーが混みあっているのが原因です。サーバーが増強されたため以前ほどは起こりませんが、現在でも時々起こります。
削除依頼など
編集自分が編集した記事が削除されそうになった場合の対応策です。
削除の対象になるもの
編集- 著作権侵害
何らかの著作権を侵した場合です。大抵は資料の丸写しや、ウィキペディア内のコピー・ペーストを行った(と判断された)ことが原因です。「転載」「履歴継承」といったワードが登場することもあります。
- プライバシー侵害
読んで字のごとくです。一般人の個人情報のほか、犯罪の被害者はもちろん、加害者を含む関係者の実名など、書いてはいけないものがいくつかあります。「ケースB」といった用語が登場する事もあります。
- 「独立記事作成の目安」関連
ウィキペディアの記事にするほどのものではないと判断された場合です。「特筆性」「ケースE」といった用語が登場することもあります。
- 独自研究
自分で勝手に作り出した言葉や概念を記事にした(と判断された)場合です。
- テレビ・ラジオを出典とする情報
これは「検証するのが困難」という理由です。YouTubeなどの動画も同様の扱いを受けます。現在ではVODなど検証できるものもありますが、基本的にはNGとされます。どうしてもテレビなどの放送内容について触れる必要がある場合は、テレビ局のホームページや、番組の内容について言及した資料(たとえば雑誌やネットニュースなど)を使うようにしましょう。
- その他(いたずら等)
その他、荒らしと勘違いされたりすることもあります。
投稿を差し戻された
編集まずは事態が起こった原因を確認しましょう。記事の履歴を確認します。「履歴表示」というところをクリックすると、一番上にあるカッコの中を確認しましょう。大抵はそこに差し戻しの理由が書かれています。
3回以上投稿・差し戻し(リバート)を繰り返すと、双方が短期の投稿ブロックに処されることになっています。これを「スリーリバートルール」(3RR)といいます。熱くなり過ぎないように気をつけましょう。
削除依頼を出された
編集削除の種類
編集- 通常削除
最も一般的な削除依頼です。ある記事を削除するべきか審査し、認められれば記事がまるごと削除されます。
- 版指定削除
記事全体ではなく、一部の書き込みを削除するかを審査するものです。著作権侵害などに対処するときに用います。名誉棄損など、緊急性の高い案件では「緊急特定版削除」を行います。
- 即時削除
荒らしが作った記事を削除する際などに、簡易な手続きで削除を行うためのものです。管理者さんが「即時削除タグ」が張られた記事を見回り、必要が認められたものはその場で削除されます。
対処策
編集削除依頼を出されたら、基本的には見守るしかありません。冷静に見守りましょう。なにも命まで取られるわけではありませんし、内容を練り直した上で記事を作り直すことは十分可能です。
もし記事を作り直そうと望むなら、削除依頼が出た段階で削除される前に記事を控えておきましょう。後からもう一度資料を探したり、文章を書く手間が省けるからです。この際、ウィキペディア内のページには保存しない方がいいでしょう。著作権の問題がありますし、無用のトラブルを招くこともあります。「メモ帳」などを利用するのが無難でしょう。
また、求められた場合に説明を行うのは重要ですが、反抗的な態度を取ったり、削除依頼の場で議論を仕掛けることはしないようにしましょう。コミュニティへの反抗ととられる場合もあります。
すぐ再投稿しない・復帰依頼には頼らない
編集ウィキペディアには「削除の復帰依頼」という場所がありますが、基本的には期待しない方がいいと思います。そもそも「削除の復帰依頼」で審査を行うのは基本的に削除に携わっているのと同じ方々です。彼らはそれなりの理由があって削除している訳ですから、そこに同じものを提出したところで結果は目に見えています。
基本的には削除された原因を確認し、改善した上で再び投稿するのが王道になります。
削除されにくい記事
編集記事を作るにあたっては内容が重要であるのが大前提ですが、観察する側も人間です。記事の「見た目」で判断されてしまう事もあります。主題の重要性や将来性とは別に、「削除されやすい記事」というものがやはりあるのです。
せっかく記事を作るわけですから、削除されにくい記事を作りましょう。記事としての体裁をきちんと整えることは、記事の質を高めることにも繋がります。
形を整える
編集内容が少なかったり、極端に形が悪いと「悪戯」などとして削除される可能性が高まります。さらに製作者が初心者の場合、ルールの無理解などを疑われて削除の対象にされることもあります。
本来記事にされるべきものでも、そうした理由で削除されてしまう事があります。タイトルは忘れましたが、小津安二郎監督の映画の記事が「悪戯」といった理由で削除されかかったことが最近ありました。そういうこともあり得るという事です。
ウィキペディアは後から書き足すことが可能な代物ですが、誰かが書き足す前に潰えてしまう事もあります。ですから、記事はある程度育ててから投稿した方が安全です。記事を書いていくというのは農業みたいなものです。闇雲に種をまくよりも、苗にして田に植えたほうが収穫があがる可能性が高いといえます。
対策としては、始めのうちは形式をしっかり整えて書くことを心がけるといいと思います。節を設け、出典を用意して体裁の整った記事を書きましょう。目安としては最低でも各段落2行、出典2、3くらいが目安になるでしょう。
特筆性を「背中で見せる」
編集例えば中小企業やスポーツ選手、テレビ番組といった世の中に数多くあるものの場合、記事の主題が重要なものなのかどうか判断がつきづらいものです。そうなると削除される危険性が高まることになります(逆にいえば、初めのうちは出来るだけメジャーな題材を選んだ方が無難であるともいえます)。
そのため、記事の主題のどこが重要なのか、どうして記事にしたのかをアピールすることが重要になります。例えば「日本で最初の○○である」とか「○○の世界では有名なものである」など、強みを見つけてそれを明記することも重要です。そして最大の武器になるのはやはり出典です。できるだけ良質な出典を、できるだけ多く揃えるように心がけましょう。
宣伝・中立性
編集ウィキペディアでは宣伝が禁止されており、記事が「宣伝」と見なされると削除の対象になることがあります。特に人物や企業、商品に関する記事を書くときには気を付けましょう。中立的な表現を使い、できるだけ当事者(記事の題材となる企業など)以外によって作られた資料を出典として使うように心がけるとよいと思います。
ウィキペディアとニュース
編集「Wikipedia:ウィキペディアは何ではないか」、「Wikipedia:独立記事作成の目安」、「Wikipedia:削除の方針」、「ケース B-2:プライバシー問題に関して」、「Wikipedia:ガイドブック 著作権に注意」、「Wikipedia:合意形成」、「Wikipedia:腕ずくで解決しようとしない」なども参照
ウィキペディアには多くの情報が載っており、いわゆる「時事ネタ」やスキャンダルに関する情報も一応載っています。ただ、もともとウィキペディアはそういった内容を載せることに消極的だったりします。
まず、ウィキペディアは「百科事典」です。図書館の書棚の上のほうに鎮座していたりする、アレです。ウィキペディアの目指しているのは新聞のような「早い」メディアでも週刊誌のような「面白い」メディアでもなく、評価の定まった物事をしっかりした資料をもとに描いていく「スローで堅実なメディア」なのです。「スローで堅実」という観点からいえば、時事ネタは信憑性が低くて流動的な「価値の低い情報」ということになります。たとえば災害の被害状況は刻々と変化していきます。ウィキペディアでは出てきた情報をそのつど書き加えるよりも、ある程度時間をおいて確認がとれてから書き込む方が歓迎されます。
次に法的リスクの問題があります。ウィキペディアでは日々様々な「仕事」が行われていますが、これらはボランティア(ウィキペディアン)によって行われています。実は、ウィキペディアを運営しているのは企業ではありません。運営主体は「ウィキメディア財団」というアメリカの財団で、本部はサンフランシスコにあります。またウィキペディアは「国」ではなく「言語」ごとに分かれています。要するに日本語版ウィキペディアはアメリカの財団が運営するウェブサイトの一部で、日本語を使えるウィキペディアンが自主的に管理しているという関係です。
こういう関係なので、令和3年現在、日本国内にはウィキペディアを管理する法人はありません。これは何かあった時に「組織」としてウィキペディアンを守れないということでもあります。万が一にも報道に間違いがあって相手から訴えられた場合、いざとなったら利用者個人に莫大な法的リスクが降りかかる危険性があります。そのため法的リスクには慎重にならざるを得ないのです。なので具体的には名誉棄損、プライバシーの侵害、著作権侵害についてはウィキペディアンは非常に厳しいです。法的リスクが高いと判断された場合には、たとえ内容が事実であっても情報を消去する場合があります。
あとは情報のバランスの問題です。大量の情報を追加したり記事の構成を変えてしまうと「記述のバランスを乱した」と見なされて情報が消去される場合があります。たとえば、ある地域に関する記事で「概要、歴史、地理、人口、施設」などの中に「〇〇町で交通事故があった」的な記述が、それも大量に入ってくるとどうでしょうか。「概要、歴史、地理、人口、〇〇町で起きた交通事故(大変でした。場所は〇〇町のファミマ。事故の顛末は……(中略)……)、施設」となると、明らかにバランスが狂ってくるのが分かると思います。
では内容の適切なバランスとは何か、具体的にどう記述のバランスをとるか、という問いに決まった答えはありません。「ケースごとに話し合って決める」というのがウィキペディアのルールです。この辺がウィキペディアのややこしい部分でもありますが、不特定多数が協力して作業を行う上で必要なルールとされています。
いわゆる「ウィキ直し」について
編集「Wikipedia:検証可能性」、「Wikipedia:存命人物の伝記」、「Wikipedia:信頼できる情報源」なども参照
最近、芸能人やユーチューバーの方がウィキペディアを修正する企画(以下「ウィキ直し」)を行われることが増えています。ウィキペディアに情報を書き込んで下さることはいい事である反面、トラブルが多いのも現状です。
なぜ問題が起きるかというと、「動画や放送はウィキペディアの情報源として使えないから」です。現在のウィキペディアのルールでは、ウィキペディアの情報源は最低限「文字」である必要があります。たとえ本人の言葉であっても、動画をもとにしてウィキペディアの記事を編集することはできません。
ただファンの方はそんな編集方針をご存じない方も多いので、動画を基に書き込みを行います。一方、ウィキペディアンは事前に企画について知らないことが多いので、突然の無出典での書き込みに対して「荒らし対応」として出動することになります。書き込んだ情報は消去され、書き込みを行った方々は「荒らし」としてブロックされる可能性もあります。
こうしてウィキペディアには情報が書き込まれず、ウィキペディアンは業務が増え、ファンの方は荒らし扱いされてダメージを受けるという状況が発生します。なので、現状「ウィキ直し」を「ウィキペディアの風紀を乱すもの」と考えている利用者は多いです。また、芸能人の記事そのものをよく思っていない利用者も元々いることはご理解いただきたいと思います。芸能事務所やユーチューバーの皆さんにとっても、ファンの方が迷惑を被ることは本意でないはずです。
また、そもそもウィキペディアは不特定多数が更新していくものなので、書き込んだ情報が将来的に書き換えられたり、消える可能性があることはご理解いただきたく思います。特に、ウィキペディアのルールに反する投稿は削除されます。
それでも「ウィキ直し」を行われる場合、お手数ですが最低限「文字」の資料を巻き込んでいただきたいと思います。「この本で書いた」「~新聞で話した」と言及されてもいいですし、公式サイトに掲載したり、ブログやツイッターであっても文字資料にしていただけると一応情報源にすることができます。また、できれば情報源が必要なこと、著作権に厳しいこと、複数アカウントは禁止されているといったウィキペディアのルールについて、最低限でよいので告知していただけたらと思います。
ウィキペディアと正義
編集「Wikipedia:ウィキペディアは何ではないか」、「Wikipedia:中立的な観点」も参照
ウィキペディアは利用者の自由な参加を認めるオープンな百科事典ですが、「書き方のルール」に厳しいところです。正しい情報を書いたり、間違いを修正する場合でも書き方のルールを尊重する必要があります。逆に言えば、どれだけ正しい内容であってもルールに従っていない場合は取り消される場合があるということです。
そのルールとはひと言で言えば、「人の言葉を使って、事実だけを書く」ということです。ウィキペディアは本などの資料から事実だけを抜き出し、それらを再構成して書くという極めて特殊な方法で編集されています。これは利用者が自由に参加してつくるオンライン百科事典が正確さを確保していくための、最低限のルールなのです。
驚く方もいるかもしれませんが、ウィキペディアの記事はある意味で無味乾燥とした「情報の集合体」です。そこには「意見」や「感想」は含まれていません。ウィキペディアには「文学」と呼ばれる記事も存在しますが、それらは筆者の文章力によってそう見せているものであり、筆者は「無味乾燥とした」ウィキペディアのルールをしっかりと守って記事を執筆しています。
この点でウィキペディアは自分の意見を自由に書き込めるブログや、自分たちで調査を行うジャーナリズムのようなメディアとは根本的に作りが異なるものであり、何らかの思想や主義を「主張する」ことはできない場所であるということはご理解いただきたく思います。
ただ、ウィキペディアも人が作るものである以上、偏る可能性は十分にあります。現に、ウィキペディアの記事内容が特定の視点や思想に偏っているということはたびたび指摘されていることです。
ウィキペディアがこの問題にどう取り組んできたかは「Wikipedia:中立的な観点」に記されています。ウィキペディアでは三つの方針の一つとして「中立性」を掲げており、信頼できる情報源から重要な観点を見つけ出して各観点の重要さに応じて公平に描写することで、なるべく偏りを防ぐよう利用者に求めているのです。
ただ、この世に唯一絶対の「中立」などというものは存在しないことはご存じのとおりです。世の中には多くの考え方があり、誰かにとっての左は誰かにとっての右なのです。このことを究極的に解決する方法はないと思われます(あればとっくに世界は平和になってますよね)
結局は多くの経験から得られた知恵をもとに、偏りをなくすように気を付けるというある意味で当たり前の解決策しかなく、ウィキペディアには記事内容の偏りを見つけたらウィキペディアのルールに沿った形で修正したり、より中立的な内容を求めて利用者間で粘り強く話し合いを行うといった地道な努力が求められています。そのためにも良識ある多くの利用者の参加が待たれるところです。
関連文書
編集削除に関する行政文書
編集- Wikipedia:削除の方針(WP:DP、WP:DEL)
よく引用される文書
編集- Wikipedia:独自研究は載せない(WP:NOR、WP:OR)
- Wikipedia:検証可能性(WP:V)
- Wikipedia:存命人物の伝記(WP:BLP)
- Wikipedia:独立記事作成の目安(WP:N、WP:NOTE)
- Wikipedia:著作権(WP:C)
投稿ブロック
編集「Wikipedia:投稿ブロックの方針」「Wikipedia:投稿ブロックへの異議申し立て」「Wikipedia:投稿ブロック解除依頼作成の手引き」も参照
まず、絶対に別のアカウントを作って編集したり、ログアウトして書き込みを行わないようにしましょう。ウィキペディアでは「一人一アカウント」という原則があり、特に「ブロック逃れ」は重罪とされます。
ブロックされた場合でも基本的に本人の会話ページは書き込みが可能です。ブロックされたときはその原因を見極めたうえで、必要なら会話ページで話をしていくことになります。
ブロックには「短期のブロック」と「無期限ブロック」があります。「短期のブロック」はルール違反をストップしたり、争いを仲裁するなどの目的で行われるもので、たいてい期間は一週間ほどです。対応としては原因を確認した上で、静かに解除を待つのが基本になります。どうしても理由がわからない場合は「次からは気を付けたいので、理由を詳しく教えてほしい」などと会話ページで尋ねるのもよいかも知れません。
「無期限ブロック」は多くは多重アカウントの保持に対して行われるもので、許可がない限り解除されません。この場合は自分の行いを認めたうえで、会話ページなどで解除を求めることになります。
ブロックされやすい行動
編集- 自説のごり押し
自説、たいていは偏った説のごり押しが原因です。
- 大量の機械的な作業
初心者が大量の機械的な作業を行う事はリスクがあります。何事も承認を得て少しづつ進めましょう。先にノートで提案するなど、根回しを行うことも有効です。
- 3RR
同じページで1日に4回以上差し戻しをしてはいけません。(明らかな荒らしや権利侵害、自身の編集の差し戻しを除く)
- 暴言の類
コメント依頼など
編集依頼系の中には一種の裁判のような役割をもつものがあります。この種の依頼には利用者や記事について意見を求める「コメント依頼」と利用者の投稿ブロックを依頼する「ブロック依頼」、特定のアカウントが同一人物によるものかどうかの調査を依頼する「チェックユーザー依頼」があります。
コメント依頼
編集ノートなどでの議論への参加を求めたり、利用者の言動について意見を求める場です。とくに「利用者の行為についてのコメント依頼」は裁判のようなもので、ここで処分の方向性などの大まかなところが決定されます。
ブロック依頼
編集利用者の投稿ブロックをするかどうかを話し合う依頼です。コメント依頼で同意の形成を行った上でブロック依頼を行うことが多く、ネット上では「
チェックユーザー依頼
編集ウィキペディアに残っているIPアドレスのログを参照する(このログを参照できるユーザーを「チェックユーザー」といいます)ことで、特定の利用者同士が同一人物かどうかを調べるための依頼です。ただし、接続元を変えられれば追跡できない、調査のハードルが高いといった問題もあり、100%有効なものではありません。こちらの依頼も基本的にはコメント依頼で同意の形成を行った上で行われます。
対処法
編集コメント依頼とブロック依頼では被依頼者がコメントする欄が設けられますので、そこでコメントすることになります。
荒らし・中傷など
編集会話ページや記事を荒らされた
編集「Wikipedia:荒らし」も参照
- ハンロンの剃刀
「ハンロンの剃刀」という考え方があります。要は「無能で十分説明されることに悪意を見出すな」ということですが、これはウィキペディアにも当てはまります。見慣れない編集やルールに基づかない編集があっても、それが「荒らし」とは限りません。明らかな荒らしを除き、まずは「ミス」として扱いましょう。「ノートや会話ページでミスを起こしていることを知らせ、是正してくれるのを待つ」「場合によっては状況や対処方法を説明する」という方向で対処しましょう。改善されない場合や、明らかにミスでない場合は以下のように対応します。
- 明らかな荒らしへの対応
- 1.基本的には、問題のある編集を取り消すことで対応する
- 2.それでも問題のある編集が続く場合は、相手の会話ページに警告を行う
- 3.もしプライバシー関係や著作権侵害の書き込みがある場合は、特定版削除を依頼する
- 4.長期間続く場合は管理者伝言板にも通報する
個人攻撃を受けた
編集「Wikipedia:個人攻撃はしない」も参照
焦っては逆効果です。冷静に順を追って対応しましょう。以下は対処の一例です。
- 1.(攻撃の意志が明らかなとき)取り消して様子を見る
- 1.(攻撃の意志が明らかでないとき)「これは攻撃ですか」と尋ねるなど、攻撃の意志を確認する
- 2.攻撃をやめるよう要請する
- 3.これ以上続く場合はコメント依頼など、必要な措置を行う旨を通告する
- 4.措置を行った旨を通告する
怪しい利用者がいる
編集「Wikipedia:管理者伝言板」も参照
荒らしの準備をしているなど、明らかに怪しい利用者を見つけた場合には管理者伝言板に通報します。ただし健全な利用者を通報することがないよう、通報するにあたっては細心の注意を払いましょう。
犯罪予告を見つけた
編集管理者伝言板へ通報しましょう。緊急性がある場合はそのまま警察へ通報しましょう。
自分の記事に嘘がある・中傷された
編集「Wikipedia:記事の問題」「Wikipedia:ウィキペディアは演説台ではありません」も参照
自分(もしくは自分の会社など)についての記事に嘘や中傷などが含まれている場合は直すことができます。ただ、ウィキペディアではウィキペディアを宣伝に使うことを固く禁止されており、自分の記事をいじることは歓迎されないこともあります。特に出典がない場合は訂正を取り消されることもあります。
もしあなたが有名人であれば、ブログなどで自ら情報発信を行う事も有効です。出典にもできて一石二鳥ですし、実際に行った方もいます(堀江貴文さんなど)。ただし、当然のことながら嘘を宣伝するのは禁止されています。
法的措置
編集ウィキペディアやその利用者が原因で損害を受けた場合に、法的な措置を行う場合の情報です。
「法的脅迫」について
編集「Wikipedia:法的な脅迫をしない」も参照
気を付けるべきは「法的脅迫をしない」という考え方です。元々は「法的措置をちらつかせて脅迫をしてはならない」という意味ですが、実際にはウィキペディア内で法的措置を明言することを忌避する運用が行われているようです。ただし、被害者側が実際に法的措置をとったり、警察や法律関係に相談することを禁止している訳ではありません。また、非親告罪の場合は被害者側が何もしなくとも加害者が罪に問われることもあります。自分が加害者になる事のないようにしましょう。
相談先など
編集万が一法的な措置を検討する場合、以下のような通報・相談先があります。
- 警察
各都道府県警察には「#9110」という相談ダイヤルがあり、相談センターにつながるようになっています。つながりづらいこともありますが、根気強くかけ続けましょう。