エスペラント/はじめに
エスペラント(言語であることを明確にするために「エスペラント語」ともいう)は、ユダヤ系ロシア人のルドヴィーコ・ラザーロ・ザメンホフ(1859-1917)が考案して1887年に発表した計画言語です[1]。人工語・人造語といわれることもありますが、コンピューター言語などの人工言語と区別するため、言語学用語では、このような構築された言語を「計画言語」(英語: planned language, エスペラント: planlingvo)と呼びます。
考案者のL.L.ザメンホフは、現在ポーランド東部に位置するビアウィストクの町で生まれ[1]ワルシャワで亡くなったため、「ポーランドの眼科医・言語学者」として言及されることがありますが、当時ポーランドという国は存在せず、ザメンホフの国籍はロシア、民族籍はユダヤ人でした。また、ザメンホフは語学に堪能でしたが、職業・専門は眼科医で、言語学者ではありません。
エスペラントの言語としての特徴は、文法が簡単で不規則動詞などが一切ないこと[2]、単語の派生が規則的に行えるために、単語を覚える苦労が英語と比べて5分の1程度ですむこと、文字と発音の関係が一対一で書いてあるとおり発音すればよく、複雑な綴りを覚える必要がないことなどです。
発表後まもなくエスペラントは社会に根付いた生きた言語となり、一世紀にわたるさまざまな分野での実用をへて、コンピューター用語を初めとする種々の分野の新しい単語が作られて、専門語彙を含む語幹の総数は発表当初の10倍以上に増えましたが、文法の簡単さや単語派生の規則性などのエスペラントの言語特徴は、そのまま変わることなく現在も保たれています。
現在、世界のエスペラント使用者の数は、少なくいう人(上級者だけを使用者とみなす)で10万人、多くいう人(少しでも学習した人を使用者とみなす)で600万人~800万人、あいだを取って100万人というのが妥当な数字だと思われます。
脚注
編集参考文献
編集- 安達信明 『ニューエクスプレス エスペラント語』 白水社、2008年 ISBN 978-4-560-06793-2