ゲームプログラミング/レトロゲーム
ゲーム制作の時は、自分が昔プレイして楽しかったゲームを思い浮かべるし、参考にもしますよね。ただ、コンピューターゲームは、明らかに周辺技術がかなりの速度で発達、変遷していきますし、過去のゲームを参考にすると言っても、精神・思想面での参考で、やはり技術面では最新の情報技術を取り入れたいと誰もが思うでしょう。
とはいえ技術の進化に伴い、制限故に使用されてきた技法やシステムを逆にそのような演出として捉える作品も増えてきました。このページではいわゆるレトロゲーが抱えていた制限や関連するシステムについて紹介します。
スプライト
編集ファミコン時代のゲーム機には、一画面に表示できるキャラチップ数(敵チップも含める)に上限がありました。具体的な限界は一画面中にマリオが数十人ぶん表示できる程度だそうです。このようにビデオゲームで小さなキャラクタを高速表示する仕組みをスプライトと呼んでいました。マリオのキャラクター表示は小単位のスプライトを複数合成していたようです。
このキャラクター数の制限が、当時はゲームの設計にも大きな影響を及ぼしていたわけですね。このスプライトの制限を回避するために様々な工夫が考案されてきました。
例えばシューティングゲームで100体の敵機を表示することはできない。そこで表示のタイミングを変えることで、なんとなく多量のスプライトがあるように見せることはできた。つまり、
- 1タイミング目では0~10体目までのAグループを表示
- 2タイミング目では11~20体目までのBグループを表示
と人間の目では1, 2タイミング間を区別できないので同時に表示されるように見せていました。上手にプログラムを作ればそこそこ上手くいったようですね。それでも、キャラクターが多いと一瞬消えたりしている。
ファミコン上における実際の技術限界の正確な数値は、別の資料を参照していただくとして、あまりあてにならない数字として例えば、横1列上には 8体目までしか表示できなかったようです。マリオは一人で2*2=チップ使っていた。だから横一列では 4体までしか表示できませんね。
例えばシューティングでは、敵機の他に弾丸などもスプライトでしょう。マリオが4チップなように、巨大ボスなんかチップ数をかなり使っているでしょうね。そしてチップ数が多いから、速度が遅くなるのでしょうか、何か我々の昔のゲームをプレイした記憶では、巨大ボスの動きは緩慢でしたよね。
しかしやや脱線しますが、巨大なキャラクターは何となく動きが遅いという我々の固定観念がある一方で、レスラーやヘビー級ボクサーはかなり動きが速い。相手の体が大きい上動きが早ければ、もう勝てないね。座して死を待つしかないか^^;;;。
画面描き換えと背景
編集ファミコンのマリオの横スクロールでは、例えば地上ステージの空は、青一色で描き換えを行わない。低地の地面の障害物周辺だけを動かしていたようですね。動かす部分はプログラムでの描き換えが必要だし、動かない部分は背景として、描き換える必要がない。書き換える必要のない背景表示は当然プログラムの負荷も少ないですよね。
ですから昔のレトロゲームの雰囲気や映像、仕様は、当時の技術の制限、影響を受けた上でその形態になっていたという事で、今は技術が発達したので、様々な斬新な映像表現や、演出を駆使できる。一方で最新の技術を駆使したうえで、過去のレトロな雰囲気を再現、表現するという道もあるでしょうね。
アナログテレビのドットのにじみ
編集昔のブラウン管テレビのドットは、にじみが大きい。これはテレビ画面の性質なので、ゲームでも映画でもバラエティでもドキュメンタリーでも、解像度画面としてのにじみは同じように大きい。今の液晶画面が完全ににじみがないかどうかは怪しいが、ブラウン管よりは少ない。そのため、当時の画像データをそのまま現在のパソコンで表示しても、にじみによるアナログ感がなくなり、荒い画像に見える。当時のゲーム攻略本にあるような写真画像は、同じデータではあるのだが、現在では上手に再現できない。
解像度だけではなく色についても、にじみの色の重なりで、昔の映像の方が豊かな色に見え、現在では雰囲気の再現はうまくできない。
昔のゲームはアナログ技術だからこその、独特の雰囲気を表現していた。
ですから昔のゲームのレトロな雰囲気は、データとしての昔の仕様をそのまま使っても再現できず、むしろ昔の画像写真の資料を見ながら、現在の技術、現在の機材によってその雰囲気を再現することを目指すことになります。現在では様々な画像フィルターも作れますから、そういうものの利用も有効でしょう。あるいは過去のデータ、仕様をそのまま使うなら、それは新たな画像世界になるかもしれません。過去の低解像度画像を使ったゲームは、レトロではなくむしろ新ジャンルだという指摘があります。
90年代のカラー携帯ゲーム機の画像データをそのまま使って現在の液晶画面に表示すると、当時のディスプレイは走査線が太いので、画面として縦横比が変わってしまう。縦横比を補正すると走査線部分の黒線や余白が入り、それをドットで埋めて補正すると、画面のギザギザが目立ってしまうようです。つまりディスプレイの性質が90年代と2020年代とで違うので、レトロ画面の再現はかなり困難、最初から目指さない方がいいだろうという意見もあります。
パソコン市場では、1999年ごろからノートパソコンが普及し、液晶ディスプレイも安価で出回ってきた。そこでにじみの少ないくっきりした映像が主流になってきますね。基本的にディスプレイはブラウン管→液晶と変わり、解像度は大きくなる一方です。プレイステーション2あたりからは家庭用ディプレイの切り替えが起こり、もはやブラウン管でのプレイ自体がなくなる。 アナログ放送は2010年ぐらいまで続いたでしょうか。しかし家庭ではゲームをするにしても、普通に放送を見るにしても、DVDを見るにしても、ブラウン管から液晶や、プラズマというのもありました、画面の解像度自体も高くなっていく。そして画像のドットはにじみの少ないくっきりしたものへ変わっていきます。
最近はパソコン画面でも、TVでもドットの縦横は等しい正方形ですが、ブラウン管はそうではなかった。だから、当時はドットで絵を描く時も、長方形ドットです。しかも、ゲーム機やパソコンの種類、さらにはアーケードゲームの基盤といったハードウェアの種類ごとに、コンピュータ側でのドットの縦横比の管理は違っている(らしい)。このため、移植のたびに、ドットは書き直しになったようだ。昔は、というか実はいまでも、CGや画像の縦横比が正確ではない映像を見る事はありますよね。現在のパソコン用のドットエディタ(ドット絵用の画像制作ツール)は1ドットが正方形だが、ファミコン時代は1ドットが(ドット用紙の時点で)少しだけ長方形。(なお、画像制作ツールの作り方については、『ゲームプログラミング/画像ファイルの作成プログラム』というコンテンツがこのサイトにある。)
ファミコンの色数制限は52色から4色×4パレット(1パレットあたり4色)を使えると言われている[1]。しかし実際には、4色のうち1色は透明色として利用される色であり、全パレット共通の色になる(だから3×4=12色が使える)。スプライトのパレットとは別に背景のパレットがあるので実際にはもっと多くの色数が一画面内で使えるが、しかしその他さまざまな制限があるので、合計で一画面内で25色が使えると言われる(12+13=25)。論理的には25色だが、ブラウン管のドットの滲みやテレビのアナログな仕様から、結局はなかなか豊かな映像が当時も見れたと言っていいのではないだろうか。しかしレトロなゲーム機では、さらにメモリ容量やストレージ容量などの制限もあり、仕様上の最大色数を気軽に利用できたわけではないかもしれない。こういう制限もあったからか、ネットではファミコンの色数が「4色」や「8色」、スーパーファミコンの色数が「16色」や「256色」、とも言われることがある。
ファミコンのギザギザのキャラクターの絵は、よく、ドット絵と言われますよね。ただ、プレイステーション以降、ゲーム機が進化しても、コンピュータの画像はドットのラスターグラフィックだから、ドット単位で絵を描くことは多い。特に小さい絵、キャラクターやアイコンはドット単位でデザインすることがあります。
しかし言葉の使い方では、ドット絵と言えば昔の、ファミコンキャラクター風のギザギザの解像度の低い絵を指すことが多いでしょう。現在のドットエディタで絵を描く場合でも、解像度の低い絵が多いですね。ラスターグラフィックも結局ドット単位で解像度が高く、色数が多いだけですが、点密度が高い、アンチエイリアスを駆使した絵は、もはや、ドットというよりはアナログの手描きの絵と言いたくなる。
前編集者はこのドット絵という言葉にこだわって、なんかグダグダ理屈書いていたけど、現編集者にとって何がしたいのか、何を言いたいのかただただ謎ですね。とにかくドット絵にレトロな意味を持たせても全然問題ないと思うけど…。子供時代の思い出は大事だぜ^^。
1990年代後半に、岡田斗司夫氏の対談でこういうものがあったそうです。出典はおそらく『マジメな話』。
「アニメの黄金期っていつだろう?」
「70年代かな~。」
「いや、80年代だろう。」
「そうかな~。」
「むしろ…」
「むしろ?」
「…12歳だね^^」
12歳万歳!(^^)/
- ↑ 他編集者Hが上コラムを上書きしちゃったんで別編集者には書き換えできないんで、別の予備知識を出します。
外食チェーン店のマクドナルドが、子供をターゲットにした商売をしており、子どもの頃に気に入った味は、大人になっても食べ続けるという販売戦略です[2]。例えば日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじた・でん)によると「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と言っています。だから子どもの好きそうな味の料理を作ったり、あるいは子ども向けの定職に、子どもの好きそうなオモチャのオマケをつけたりします。
12歳と言い出した経営者は誰が最初なのか調べても良く分かりませんでしたが、そういう意味の話です。
テレビとディスプレイの焼き付き
編集ゲームというのは色数も少ないし、静止画も多い。ファミコン時代から、同じ色長時間の表示は、ディスプレイの焼き付きを起こすので、常にそれなりの工夫がされていたかもしれませんね。静止画を避ける、時々背景を変える、背景色を光のエネルギーを持たない黒にするとか……パソコンでは昔からその工夫がありましたね。スクリーンセイバーという機能もある。とにかく一つのドットに同じ色が長時間表示されると…ちょっと危ない。
焼き付きの問題は昔も今もありますよ。昔のブラウン管は焼き付かないという主張が時々あるようですが、事実ではないでしょう。現代のテレビ受像機には、焼きつき防止のために「ピクセルシフト」という機能がある。これは画面上の映像の表示位置をタイミングごとに微妙にずらす機能です。こういう機能がすでに搭載されているので、ゲームソフト側で焼き付き防止を必要以上に考慮しなくてもいいらしい。液晶モニターは、焼きつきが起きにくいという。ただし有機ELはどうか。知りませんね。現編集者も前編集者も知らない^^;;;。
- ^ [1] 2021年12月30日に確認.
- ^ 『味覚のデータベースは子ども時代に作られる』2007年11月29日