コントラクトブリッジ/ルール/ビッド

このページではコントラクトブリッジにおけるビッドのルールを述べる。

概要 編集

コントラクトブリッジのビッドまたはオークションは、そのボードにおけるディクレアラーやその達成するべきコントラクトを決めるために行う。 ディーラから順に所定のコールを行い、パスが所定の回数続いた時点で終了となる。

開始と終了 編集

オークションはディーラーから始まり、すべてのプレイヤーは順に何らかのコールをする必要がある。 4回以上のコールが行われ、かつ、パスというコールが3回続いたら終了する。

コントラクト 編集

コントラクトとは、それぞれのボードに対して、ディクレアラーが誰か、その達成するべき目標、およびダブルやリダブルのかけられた状況を表す。 ディクレアラーの達成するべき目標には5つのデノミネーションと7つのレベルがあり、その組み合わせによって35種類のコントラクトが存在する。

デノミネーション 編集

コントラクトのデノミネーションは切り札の情報を表す。 それぞれに順位が決められており、上から順に NT (ノートランプ: 切り札なし)、スペード、ハート、ダイヤモンド、クラブとなっている。

レベル 編集

コントラクトのデノミネーションはディクレアラーの獲得するべきトリック数を表す。 レベルに対応する数字がディクレアラーの獲得するべきオッドトリック数であり、ディクレアラーはこれに6を足した数のトリックを獲得する必要がある。

コントラクトの序列 編集

コントラクトの序列は以下のように決まる:

  • レベルを比較して、レベルの高い方が上となる。
  • レベルが同じときはデノミネーションを比較して、デノミネーションの高い方が上となる。

コール 編集

コールには38種類が存在する:

  • コントラクトに対応したコール (35種類)
  • パス (Pass / P)
  • ダブル、リダブル (Double, Redouble / X, XX)

各プレイヤーは、自分のコール順に以下の中から選択していずれかを行う:

  • コントラクトのコールを競り上げる (ビッドする)。
  • パスをする。
  • オポーネントのビッドしたコントラクトに、ダブルをかける。
  • 自分かパートナーがビッドしてオポーネントがダブルをかけたコントラクトに、リダブルをかける。

パスは自分の順番ならいつでも可能なコールである。

コントラクトのコールはそのうちで最後に行われたものだけが有効になる。 新たにコントラクトのコールをしようとする者は、すでにビッドされたコントラクトより序列の上に位置するコントラクトをコールしなければならない。

オポーネントのビッドしたコントラクトに対してパートナーがまだコールしていないか、パスしている時は、ダブルをかけることができる。 自分かパートナーのビッドしたコントラクトにダブルがかけられたとき、その後に誰もパス以外のコールをしていない時は、リダブルをかけることができる。 ダブルやリダブルはコントラクトのコールに対してかけるものであるから、新しいコントラクトがコールされた時点でダブルやリダブルはすべて無効になる。

パスアウト 編集

パスアウトとは、すべてのプレイヤーが1回ずつパスのコールのみをしたことを指す。 ディクレアラーを決めることができないためそのボードは流れ、双方0点を得てプレイを行わずに終了する。

コントラクト 編集

それぞれのコントラクトに対応するコールの後、ダブルやリダブルがかけられたりかけられなかったりして、パスが3回続くとそのコントラクトが成立する。 コントラクトはレベルとデノミネーションとの組に、さらにダブルの状況を組み合わせて示される。

ダブルとリダブル 編集

ダブルやリダブルは、コントラクトに対して、それがかけられなかった場合における得失点を増加させるコールである。 ダブルの状況は以下のように呼ばれる:

ノンダブル
ダブルがかけられなかったこと。
ダブルド
ダブルがかけられ、リダブルはかけられなかったこと。
リダブルド
ダブルがかけられえ、さらにリダブルがかけられたこと。

オークションの方法 編集

オークションの方法はさまざまな形態をとる。 その進化は、正しいと認められた方法でのみ情報交換を許すために起こった。 しかしながら、どのような方法をとったとしても、プレイヤーの良識が伴わなければまったく意味がない。

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コントラクトブリッジの成立当時、オークションは声によって行われた。 単純に、それぞれのコールを声に出す方法である。 現在でもカジュアルなゲームではこの方法が用いられることがある。

ビディングシート 編集

声でオークションを行うと、その調子などによって、認められていない方法で情報が伝わってしまう危険がある。 また、ビディングの復唱における誤りなどの問題もある。 そこで、ビディングの内容を紙に書く、ビディングシートの方法が用いられるようになった。 各プレイヤーはビディングの内容を順に、所定の紙に書き記す。

ビディングボックス 編集

ビディングシートの方法によっても、文字を書く調子などによって不当な手段で情報が伝わるおそれがある。 そのため、ビッドの内容を書いたカードのセットを使うことが多い。 多くのブリッジクラブにはこれが常備されており、箱からカードを取り出してテーブルに置くことによりオークションを行う。

ビディングスクリーン 編集

ビディングスクリーンはオークションのコールを行うための道具ではないが、オークションの際に使われることがある。 これはオークションやプレイの際にパートナーとの間に立てることによって、表情などによって不当な情報伝達が起こらないようにするための道具である。