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総説

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範囲は比較的少ないが思考力と読解力が必要で単なる暗記では7割までしかいかない。 暗記が得意な方は政治経済を取る方がベター。 はまる人ははまるし、はまらない人ははまらない。 倫理を勉強することで人生観(いままでの見方)が変わる不思議な科目。

問題

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大学入試センター試験でのおおまかな出題傾向は以下の通り。

  • 「青年の心理」
  • 源流思想
  • 日本の思想
  • 西洋近現代の思想
  • 現代の権利や倫理に関する諸問題。

大問1

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青年期の心理と現代の人権・倫理に関する問題が出題される。全体的に教科書や参考書などの知識の丸暗記よりも、グラフなどの統計資料からどのようなことが読み取れるのか重要である。青年期の心理に関する問題は、心理学用語がどのような例に当てはめられるかを考えなければならない。そのために「保健」の教科書や資料集に目を通してもよい。特に防衛機制などの例は「保健」の資料集のほうが例が豊富でイメージをつかみやすい。 現代の権利の問題や倫理の問題は主に以下の項目が出題される。

  • 新しい人権
  • 市民の諸活動(NGOやNPOなど)
  • 生命倫理
  • 環境倫理
  • 職業倫理
  • 格差問題(南北問題・国内格差など)

大問2

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「源流思想」ともよばれる古代の哲学・宗教が出題される。具体的には以下の通り。

  • 仏教
  • キリスト教
  • イスラム教
  • 古代ギリシャ哲学
  • 諸子百家

複雑そうだが、出題傾向は一定している。三大宗教(仏教・キリスト教・イスラム教)は三つとも出ている。特にイスラム教は学ぶことが少ないわりに毎回出題されるので、毎年よく似た問題になっている。確実に取っておきたい。

古代ギリシャ哲学では必ずソクラテス・プラトン・アリストテレスのいずれかの思想が出題される。他は彼ら以前の思想かヘレニズムの思想(ストア派・エピクロス)が1問出る。そして、諸子百家は儒家か道家がほとんどであり、まれに法家・墨家が出る程度である。

よって、ここは教科書に掲載されている思想家の思想を理解することと宗教実践(宗教における「何をすべきか」の教え)を押さえておけば決して難しくない。

気をつけたいのは仏教の「ルーツ」であるバラモン教や古代インド哲学、キリスト教の源流となったユダヤ教、儒教の発展系である朱子学や陽明学もまれではあるが出題されることがあることである。実際、2009年度の大問2では仏教だけでなく古代インド哲学の知識も必要な問題が出ていた。

大問3

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日本の思想である。日本仏教・神道・江戸時代の思想・近代以降の思想がまんべんなく出る。出題範囲がわりと広く、押さえるべき内容が多い。また、2008年の幸徳秋水、2009年の植村正久、2010年の藤原惺窩といった見落としがちな人物の思想も出る。このため、やや難しい。

大問4

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西洋の近現代の哲学である。大陸合理論とイギリス経験論・啓蒙主義・ドイツ観念論といった近代思想からマルクス主義(とその系譜上の思想。特にフランクフルト学派。)・実存主義・プラグマティズム・構造主義・科学哲学などの現代思想まで幅広くカバーした問題が出される。幅広い知識が必要とされるうえ、これと本文と選択肢とを正確に比較する必要があるため、最も難しい。

大問5(2012年以前)

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2013年以降は大問1と統合された。よって、2012年以前の過去問にのみ存在する。現代の権利・倫理的諸問題を扱うもので、現代文風の問題であった。

対策

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倫理では用語を丸暗記することはそれほど重要ではない。基本は哲学者・宗教家たちの考えを理解することである。もう少し丁寧に言うと、「だれが・どんなことを主張したか」を大まかでよいので説明できることが大切であり、細かい言葉の違いにこだわりすぎない(いい加減すぎても困るが)。つまり、記述問題に取り組むような姿勢で臨むのがいい。なぜなら、倫理の用語は思想家たちが自分の考えを明確にするために「作った」ものや普通の用法と意味を組み換えたものが多い。また、日常的な言葉と混同しやすいものも少なくない。これには、例えば「質量」と「質料」、「直感」と「直観」、「自立」と「自律」などがある。だから、こうした用語を丸暗記しようとすると確実に混乱し、破綻する。

このため、ひどく難しそうな科目として敬遠されがちであるが、「暗記は苦手だが考えるのは好き・得意」という生徒に向いている。なぜなら、「倫理」の用語は地歴に比べて意味と用語が結びつきやすいものが多く、用語の意味を理解すれば覚えることは容易であるからだ。従って、「倫理」では理解=暗記であると思ったほうがよい。そして、暗記してから理解するのでなく、理解してから暗記する必要がある。こうすることで無理なく用語を覚えるのがベストである。

現代社会と重なる範囲の問題(大問1)と予備知識がさほど必要でなく、文章やデータの読解力が問われる問題は確実に満点を狙いたい。

総じて、センター試験の「倫理」は用語の理解と論理的な思考が問われる。要するに前述した、「用語の大まかな説明ができるか」「用語や思想の何か例を挙げることができるか」「文章やグラフから何が読み取れるか」という三つが大切なのである。これを意識して問題集・過去問を演習し、センターに臨めばよい。