センター試験 数学II・B対策
総説
編集数学II・Bは難しい上に問題量が多く、また全分野から偏りなく出題される。難易度は年により差が大きく、平均点は概ね50点台であるが、70点に達するような年もあれば40点台になることもあり、単に自分の素点を気にするのではなくその年の動向を注視すべきだろう。特に難化した年は最難関大志望を除く文系生徒が高得点を得るのは厳しくなり、難関大志望者が中堅大に流れるなどして出願動向に影響を与えることにもなりうる。
一般的な年では、教科書レベルをしっかり理解していれば6割までは容易である。2次試験対策をきっちり行っている人は11月以降にセンター対策を始めても高得点が望めるだろう。また、早くからきちんとセンター試験対策に取り組んでいる人は9割まで取ることは可能であるが、そのためには問題慣れするとともに、公式をうまく使いこなすことも重要である。
問題
編集数学II・Bは全部で大問が5つあり、受験生はその内4問回答する。第1問と第2問が必答問題である。第3問から第5問までが選択問題となっており、この中から2問を選ばなければならない。
第1問 (必答・配点30点)
編集指数関数・対数関数の中問と三角関数の中問の組みあわせのことが多いが、三角関数の代わりに図形と方程式が出題されたこともある。各中問は大問に匹敵するほどのボリュームがあることもあるので、ここで時間を使いすぎないようにしたい。
第2問 (必答・配点30点)
編集微分・積分の問題が出題される。計算量が多い分野である。センター試験は計算結果のみ出せればよいので、記述式では使用がためらわれる二次関数の積分に関する有名公式を存分に使用できる。係数に注意して有効に活用しよう。特に1/6公式や1/3公式を使える問題はかなりの頻度で出題される。1/12公式も役立つ場合があるがこちらは数年に一度程度である。
三次関数の積分に関する1/12公式、四次関数の積分に関する1/30公式などは覚えなくてよい。
第3問 (選択・配点20点)
編集数列の問題が出題される。漸化式・数列の和はほぼ毎年のように出題される。1997年~2005年の旧旧課程では数学I・Aの第3問 (配点20点) に配置されていたが、旧課程の数学II・Bになって以来この位置で出題されている。旧旧課程時代よりは難易度が高く、計算力や技巧的な式変形も要求される分野である。2013年には数学的帰納法による証明が出題された。
第4問 (選択・配点20点)
編集ベクトルの問題が出題される。本試験では2007年から2012年まで6年連続空間ベクトルに関する問題が出題されていたが、2013年に平面ベクトルが出題されて以来、平面と空間が隔年で続いている。
第5問 (選択・配点20点)
編集2015年からの現行課程では確率分布の問題が出題されるようになった。初年度の2015年は標準正規分布や標本抽出まで出題されたため、試験会場でとっさに数列やベクトルを避けた生徒が高得点を得ることは期待しづらい出題であった。今後の動向が注目される。
対策
編集実践問題集は本番より問題量が少ないので制限時間を45~50分にして演習すると良い。過去問は2006年以降からの本試と追試を時間を60分 (通常) で演習すると良い。それ以前の過去問は分野ごとに小出しにやるのが良いだろう。というのも、それ以前のものは旧旧課程 (1997~2005) にあたり、現在では削除された内容を含んでいたり、三角関数の孤度法が使われていなかったりと現行のものと異なる点があるからである。
- 時間配分例
- 第1問:指数・対数・三角関数 13分
- 第2問:微分・積分 16分
- 第3問:数列 14分
- 第4問:ベクトル 14分
旧課程では数列とベクトルができなかったときのための保険として統計とコンピュータを学習することが有効とも言われてきた。現行課程でそれに代わって入った確率分布は、期待値や分散程度までの出題であれば、数列やベクトルが難化した際にはそれより得点をとりやすいはずであり、保険としてもう一単元学習することの有用性は引き続き認められる。しかし、現行課程初年度の2015年では標準正規分布や標本抽出に関する話題が出題されており、他の分野との関連性が低いこれら単元を学習することは負担が大きい。そこまで保険をかけることが有効な対策となるかは今後の動向次第であり、現時点では何とも言えないだろう。
数学II・Bでは、年によって平均点の低い問題セットとなることもままある。過去問を解いていてそのような年の問題に出くわした際は、素点を過度に気にしないことが重要だろう。その年の平均点と比べてプラスマイナスどれだけの点数をとれたかという見方をするとよい。また、自分が受験した本試が難化した際は、なにより慌てないことである。数学II・Bがあなたにとって難しい問題なのは数年に一度の「よくあること」であり、そしてそのときはあなたの志望大学を志望する他の生徒にとっても同様に難しい問題だからである。あなたより数学が数段得意な生徒はあなたのライバルではないし、当然文系の生徒にとって理系の生徒はライバルではないのである。気にしすぎてその後の学習に影響しないようにしたい。2015年現在の時間割では文系生徒にとってはこの科目が最後の科目なのがせめてもの幸いだろうか・・・。