数列に対して、初項から第n項までの総和をnで割ったもの、即ち

w:チェザロ平均という。

さて、チェザロ平均について、次の性質が成り立つ。

この結果の数学的利用価値については上記のWikipediaへのリンクを参照してもらうとして、ε-N論法の練習としてこの命題を証明してみよう。

証明 まず、仮定をε-N論法で書き直しておく。

ここで、

を考えると、

三角不等式を用いて変形すると、

となる。 いま、(1)の各εと対応するNに対して、n>Nとして、

ここで、任意の実数より大きな自然数が存在するから(これをアルキメデスの原理と言う/アルキメデスの原理は定理である)、

すなわち

を満たす自然数Mが存在する。 よって、各εに対して、Nより大きくかつM以上のnで、

以上のように、任意の正の実数εに対して、max{N,M}なる自然数が存在して、nがこれより大きいとき、がεの定数倍より小さくなるから、

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