今回使用する単語

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単語 フリガナ 意味(名詞) 意味(動詞) 意味(修飾詞) 意味(その他)
len レン 衣服、布
lili リリ 少なくする、短くする、小さくする 少ない、小さい、若い、脆い ⇔ suli, mute, wawa
mute ムテ 多くする 多い、いろいろな、豊富な ⇔ lili
seli セリ 火、熱 温める、調理する 暖かい、調理済みの ⇔ lete
sewi セウィ 高さ、上にある物 ⇔ anpa 高い(大きさではなく位置)、信心深い、礼儀正しい ⇔ jaki
tomo トモ 家、建物 都市の、家の
utala ウタラ 戦い、競争、不調和、攻撃 ⇔ olin 攻撃する、競争する
ike イケ 悪、複雑 悪くする、悪くなる ⇔ pona 悪い、否定的な、間違いの、不吉な、複雑な
jaki ヤキ 泥、汚れ、ゴミ 汚す、穢す 汚い、穢れた、下品な ⇔ sewi 間投詞: おえっ!
pakala パカラ 失敗、事故、破壊、損害 壊す、壊れる 間投詞: くそ!、畜生!
unpa ウンパ 性交、性 性交する 好色な、性的な
nasa ナサ 狂わせる 狂った、酔っ払った

名詞と修飾詞

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ここまで読み進めれば、文法的にはかなりのトキポナが読めるようになったかと思います。
さあ次は単語力です。
トキポナに単語は120ほどしかありません。ということは120のものしか説明ができないのでしょうか?
いいえ、複数の単語を組み合わせて一つの言葉、にすればいいのです!。
修飾詞は後置するという規則を思い出してください。
大切なことなのでもう一度言います。修飾詞は被修飾語の直後に配置して一つの句になる。
ではさっそく始めましょう。


  • jan pona → {人 良い} → 友達
  • jan utala → {人 戦いの} → 兵士、戦士

わかりやすいですね。


  • jan pakala → {人 壊れた、事故の} → 怪我人、犠牲者
  • ilo moku →  {道具 食の} → 食器

おっと!「moku」という語に、上の単語一覧表では形容詞としての使い方は無かったはずです。
英語版の辞書を見てもそのような記述はありません。
でもここでは「食の」という形で名詞「人」を修飾する、形容詞になっています。
トキポナでは語順によって品詞が決まるので、名詞が直前にある単語は形容詞として扱うことになります。
またこれは、名詞は後続の単語を強制的に形容詞化する、とも言い換えられます。


さてここでもっと表現力を身に付けてしまいましょう。

  • jan utala pona → {人 戦いの} 良い → {兵士 良い} → 良い兵士、英雄
  • jan pona utala → {人 良い} 戦いの → {友達 戦いの} → 軍の仲間、戦友
  • jan utala pona mute → {兵士 良い} 多い → {英雄 多い} → 英雄たち
  • jan utala pona ni → {{{人 戦いの} 良い} あの} → {{戦士 良い} あの} → あの英雄


おやこれは面白い。
形容詞が複数あるとき、訳すときは前から素直に順番に読むんですね。
言葉を後ろから修飾するのはスペイン語などにも見られる特徴だそうです。
英語の唄、マザーグースの「これはジャックのたてた家」も後置修飾を使った有名な詩ですね。

【日本語】
これはジャックのたてた家に
ころがってたモルトを
食べたネズミを
殺したネコを
驚かした犬を
角でつついた雌牛の
ミルクをしぼった娘さんに
キスした乞食男を
結婚させてあげたこぎれいなお坊さんを
夜明けに目覚めさせてあげた雄鶏を
飼っている働き者のお百姓さん
【英語】
This is the farmer sowing his corn
That kept the cock that crowed in the morn
That waked the priest all shaven and shorn
That married the man all tattered and torn
That kissed the maiden all forlorn
That milked the cow with the crumpled horn
That tossed the dog
That worried the cat
That killed the rat
That ate the malt
That lay in the house that Jack built.

というわけで一寸脱線しかけましたが、世の中には自分の常識とは逆のものがたくさんあるという話です。
トキポナもそういう言語なんです。でも順番が違うだけで本質は同じですね。


名詞句を使った文章

今までに学んだ知識で名詞句を扱えるようになりました。

  • pona lukin → {良さ 視覚の} → 美しさ、美しい (見た目が良い)
  • ike lukin → {悪さ 視覚の} → 醜さ、醜い (見た目が悪い)
  • unpa lukin → {性 視覚の} → 艶っぽい、セクシー

では名詞句を使って文章を作っていきましょう!


→ あなた (li) {良い 見た目} → あなたは美しい。

→ {人 この} [li] {性的 見た目} → この人は色っぽい。

→ 私 (li) 見る [e] {人 {良い 見た目}} → 私は美しい人を見ます。
はい、ストップ!今何か変な感じ、しましたね!?
実は上の文章はわざと間違いを潜ませたひっかけ問題だったのです。
訳すときは前から素直に順番に」とさっき何気なく書きました。
でもこれ絶対みんな間違えるんです。だからわざとここで一度盛大に間違っていただいたというわけです。


→ 私 (li) 見る [e] {{人 良い} 見た目} → 私は視覚上の友達を見ます。(意味の通らない文)
変な感じですね!
こういう無意味な文章も作ろうと思えば作れてしまいます。 でもまずはそうならないように気を付けましょう。
そうです、今のところトキポナでは {{● ▲} ■} という形(つまり名詞(句)修飾詞)は作れるけど、
{● {▲ ■}} という形(名詞(句)修飾詞句ですね!)はちょっと難しいのです。
修飾詞句を作る方法もあるといえばあるのですが、それはまたの機会に。


「修飾詞を、形容詞と副詞とに分けちゃって、それで形容詞は副詞で修飾するようにすればいいのでは?」や「語尾変化させて区別すれば良いのに」
と思った方もいるかもしれません。しかし良く似た意味の言葉をわざわざ別物として扱うというのは、それはそれでまた難しいものです。
トキポナではそのような、いわば「エスペラント的」な万能さよりは、一部に制約を持ちながらも覚えるのが簡単であるようデザインされています。


というわけで上の文を修正してみましょう。

→ 私 (li) 見る [e] 人。 その人 [li] {良い 見た目} → 私は人を見ます。 その人は美しい。


修飾詞句や修飾詞文(他言語で言うところの節ですね。)を作る方法を覚えれば更に多くの表現ができますが、今のところはこれで充分です。


いろいろな名詞句

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あとはひたすら名詞句を見ていくだけです。
各単語がわからなくなってきたらリンクを辿ればすぐに思い出せますよ。

  • jan lili → 子供
  • jan suli → 大人
  • jan lawa → 首脳、統率者、リーダー
  • jan sewi → 神様 (「背の高い人」ではありません。それは jan suli )
  • jan unpa → 男娼、売春婦
  • jan ike → 悪人
  • ma tomo → 街、都会
  • tomo telo → 風呂場、トイレ (「風呂場とトイレは別物だろ!」という方いましたらすみません同じになっちゃうんです)
  • ma telo → 湿地
  • telo nasa → 酒 (落語「禁酒番屋」では酒のことを「きちがい水」と呼んでいますが全く同じ発想ですね)
  • seli suno → 太陽熱


トキポナには複数形は存在しませんが、それでも複数であることを表すこともできます。
もちろんわざわざこのような形にしなくていいなら、する必要はありません。

  • mi mute → {私 多い} → 私たち
  • sina mute → あなたたち
  • ona mute → その人たち、それら


同じように「誰かの」を表す所有格も作れます。
ただし語順には気をつけましょう!まだ「私達の」という語は使えませんね。


そしてこちらが非常に素晴らしい、トキポナの名詞句を日本語で紹介しているサイトです。
ここではトキポナの表現力を垣間見ることができます。
toki pona 表現集


さらにもう一つオマケです。
suli, seli, sewi の区別がとてもつけにくい! と思った方いるかもしれません。少くとも私はそうでした。どれもなんか強そうで 「s」 っぽくて 「i」 なんですよね。
まとめておきましょう。

単語 フリガナ 意味(名詞) 意味(動詞) 意味(修飾詞) 意味(その他)
suli スリ 大きさ 伸ばす、拡大する 大きい、高い、長い、大人の、重要な ⇔ lili
seli セリ 火、熱 温める、調理する 暖かい、調理済みの ⇔ lete
sewi セウィ 高さ、上にある物 ⇔ anpa 高い(大きさではなく位置)、信心深い、礼儀正しい ⇔ jaki

動詞句

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修飾詞が動詞につく場合も見ておきましょう。
世間にある数多の言語では、形容詞と副詞は別物だということになってますものね。


  → あなた (li) {見る 高い} [e] 太陽 → あなたは太陽を見上げる。

  → その人 [li] {欲しい 多い} [e] それ → その人はそれを多く欲しがる。

  → {私 たくさん} [li] {見る 少ない} [e] それ → 私たちはほとんどそれを見ない。


はい今までと同じです。即ち、被修飾語の直後に配置して一つの句になる
このページの冒頭でも言いましたが、トキポナでは形容詞も副詞も全く同じ「修飾詞」として扱います。