コンパイラとは

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コンパイラは、高級プログラミング言語で書かれたソースコードを機械語(バイナリコード)に変換するプログラムです。コンパイルプロセスには、次のようなステップが含まれます。

コンパイラの構成

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コンパイラは、以下の2つの主要な部分で構成されています。

フロントエンド
ソースコードを解析し、抽象構文木 (AST) を生成します。具体的には、字句解析、構文解析、意味解析などの処理を行います。
バックエンド
フロントエンドが生成したASTをもとに、ターゲットマシンの命令セットに応じたコードを生成し、必要に応じて最適化を行います。

字句解析

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字句解析では、ソースコードをトークンという最小単位に分解します。 例: 以下のC言語コードを考えます。

int x = 10;

このコードは次のようなトークンに分解されます。

  • `int` (キーワード)
  • `x` (識別子)
  • `=` (演算子)
  • `10` (リテラル)
  • `;` (セミコロン)

構文解析

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構文解析では、字句解析で得られたトークン列をもとに、ソースコードの文法構造を解析します。以下は抽象構文木 (AST) の例です。

`int x = 10;` のAST
Program
 └── Declaration
      ├── Type: int
      ├── Identifier: x
      └── Value: 10

最適化

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最適化では、生成された中間表現やコードを改良し、プログラムの実行速度やメモリ使用量を向上させます。例として、以下のコード最適化があります。

デッドコード除去 :以下のコードで無駄な計算を削除します。 int x = 10; x = x + 0; // 不要な加算 最適化後: int x = 10;

コード生成

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最終的に、ターゲットマシンの命令セットに基づいた機械語を生成します。

例: 以下のC言語コードのアセンブリ生成

int x = 10;

生成されるアセンブリコード(例: x86アーキテクチャ)

mov DWORD PTR [ebp-4], 10

インタプリタとの違い

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コンパイラはソースコードを事前に機械語へ変換しますが、インタプリタはコードを逐次解釈・実行します。

まとめ

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コンパイラは、プログラムを効率的に実行可能な形式に変換する重要な役割を果たしています。コンパイラの理解は、プログラムの動作や最適化を深く知る助けとなります。