プログラミング/関数型プログラミング
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関数型プログラミングとは
編集関数型プログラミング(Functional Programming、以下FP)は、計算を数学的関数の評価として捉えるプログラミングパラダイムです。命令型プログラミングとは異なり、状態の変更や可変データを避け、純粋な関数と不変のデータを中心に据えます。
関数型プログラミングの主要な特徴
編集- 純粋関数:同じ入力に対して常に同じ出力を返し、副作用のない関数
- 高階関数:関数を引数として受け取るか、関数を戻り値として返す関数
- イミュータビリティ:データの不変性を重視し、データを変更せずに新しいデータを生成
- 宣言的プログラミング:どのように処理するかではなく、何を処理するかに焦点を当てる
基本的な関数型プログラミングの概念
編集純粋関数
編集純粋関数は、以下の特徴を持ちます:
- 引数のみに依存する
- 外部の状態を変更しない
- 同じ入力に対して常に同じ出力を返す
- 例:
# 純粋関数の例 def add(a, b) a + b end # 不純な関数の例 $total = 0 def impure_add(x) $total += x # グローバル変数を変更するため、不純 $total end
高階関数
編集高階関数は、関数を引数として受け取るか、関数を戻り値として返す関数です。
# マップ関数の例 numbers = [1, 2, 3, 4, 5] squared = numbers.map { |n| n * n } # squared: [1, 4, 9, 16, 25] # フィルター関数の例 even_numbers = numbers.select { |n| n.even? } # even_numbers: [2, 4] # リデュース(畳み込み)関数の例 sum = numbers.reduce(0) { |acc, n| acc + n } # sum: 15
カリー化
編集カリー化は、複数の引数を取る関数を、単一引数の関数のシーケンスに変換する技法です。
# カリー化の例 def multiply(x) lambda { |y| x * y } end double = multiply(2) result = double.call(5) # result: 10
関数型プログラミングの利点
編集- 予測可能性:純粋関数により、コードの振る舞いが予測しやすくなる
- テスタビリティ:副作用がないため、単体テストが容易
- 並行処理:不変データにより、並行処理や並列処理が安全
- コンポーザビリティ:小さな関数を組み合わせて複雑な処理を実現
パターンマッチング
編集関数型言語の強力な機能の一つで、データ構造を分解し、条件に応じて処理を切り替えます。
# パターンマッチングの例(Rubyの場合) def describe_number(n) case n when -Float::INFINITY..0 "負の数または零" when 1..10 "小さな正の数" when 11..100 "中程度の正の数" else "大きな数" end end puts describe_number(5) # "小さな正の数" puts describe_number(50) # "大きな数"
再帰と末尾再帰最適化
編集再帰は関数型プログラミングの重要な概念で、関数が自身を呼び出すことで問題を解決します。
# 階乗の再帰的実装 def factorial(n) return 1 if n <= 1 n * factorial(n - 1) end # 末尾再帰最適化 def tail_factorial(n, acc = 1) return acc if n <= 1 tail_factorial(n - 1, n * acc) end
関数型プログラミングの課題
編集- 初学者にとって直感的でない概念
- パフォーマンスのオーバーヘッド
- 状態を完全に排除することの難しさ
まとめ
編集関数型プログラミングは、プログラムをより予測可能で、モジュール化され、テスト可能にする強力なアプローチです。命令型プログラミングと組み合わせることで、より堅牢で表現力豊かなコードを書くことができます。