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水は私達の生活に欠かせません。水の管理は、どのように行われていますか?

キーワード 編集

水の役割・飲料水・浄水場・水質基準

水が果たす重要な役割 編集

※私達は、体内で水分をどのように利用していますか?

 
水分の摂取と排出

人間の体重は約60%~70%を水分で占めています。体内の水分は、生命の維持や健康のために重要な役割を果たしています。例えば、体温や血液の濃度を整えたり、老廃物を取り除いたり、栄養素や酸素を全身に運んだりします。私達は食事や飲み物などから水分を取り入れて、汗をかいたり尿を出したりして体内の水分量を整えています。もし、私達の体内から水分が2%失われると脱水症状を起こします。そして、私達の体内から水分が20%失われると死んでしまいます。このように、毎日2リットルから2.5リットルの水が生命を守るために必要です。汗をたくさんかくと、汗の分まで水分補給が必要になります。年齢によって体内の水分量が変わります。

  • 胎児:約90%
  • 新生児:約75%
  • 子供:約70%
  • 成人:約60~65%
  • 高齢者:約50~55%
体温調節 ・暑い時は汗をかいて体を冷やします。

・あまり飲まなかったら、熱中症になりやすくなります。

老廃物の排出 ・汗をかいたり、尿を出したり、糞便したりして、体内の老廃物を取り除きます。

・あまり飲まなかったら、便秘になりやすくなります。

栄養素の運搬 栄養素は、水に溶けたり混じったりして私達の体内に運ばれます。
血液の濃度調節 ・よく飲んでいたら、血液が流れやすくなり、ビタミンや酸素も全身に行き渡りやすくなります。

・あまり飲まなかったら、血の塊が出来やすくなり、心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなります。

また、水は、私達の生活になくてはなりません。場所によって用水の名称も変わります。

生活用水 飲料水・洗濯・風呂・炊事・水洗トイレなどに使われています。
公共用水 病院や公園などで使われています。
産業用水 農業や工業などで使われています。

なお、東京都水道局「一般家庭水使用目的別実態調査」では、水は家庭内でどのように使われているのかを示しています。

東京都水道局 令和3年度 一般家庭水使用目的別実態調査 編集

 

飲料水の衛生的管理 編集

 
浄水場(愛知県岡崎市)

※安全して飲めるような飲料水をどのように手に入れていますか?

ほとんどの日本国民は上水道の水を使っています。飲料水を安全して飲めるように様々な水道施設が整備されています。上水道の水は、まず浄水場でごみや雑菌を取り除き、塩素で水を消毒します。その後、水質検査で水質基準を満たしているかどうかを確認してから、各家庭に送っています。また、蛇口から出る水も複数の検査場所で定期的に検査されています。水道水以外の水(井戸水など)を飲む場合も、安全に飲めるかどうか水質検査を行わなければなりません。また、学校の水(プールの水質など)も学校環境衛生基準に基づいて、より厳しく検査されます。

水道法第4条(水質基準)
水道の水は、次の条件を満たさなければなりません。

[1]物質が病原生物に汚染されていません。また、病原生物や病原物質を一切含んでいません。

[2]シアン・水銀などの有害物質が含まれていません。

[3]銅・鉄・弗素・フェノールなど、許容量以上の物質を含んではなりません。

[4]酸性やアルカリ性が強すぎません。

[5]変な味や匂いはありません。ただし、消毒に関係する味や匂いは含まれません。

[6]見た目が透明で、ほとんど色もついていません。

※さらに、50項目以上の水質に関する細かな基準が「水質基準に関する省令」にあります。

人間は生きるために飲料水を必要としています。もし、飲料水の中に有害な物質や病原生物などが含まれていて、無意識に私達の体内に入ると感染症や中毒を起こします。このように、有害な物質や病原生物は私達の健康に大きな悪影響を与えます。水質基準の見直しや水道施設の改善など、安全で美味しい水を手に入れるための取り組みが続けられています。

地球の水資源
地球表面の約70%が水なので、水も多いように感じます。しかし、地球で飲めるくらい綺麗な水は約0.01%程度に過ぎません。大半の水は最初に綺麗にしないと全く飲めません。海外の場合、水を沸かしてから飲むか、市販の飲料水を買って飲むように勧められています。

安全して飲めるような水の入手方法については、世界的に重要な課題とされています。

水の使用量が国内で多く、雨があまり降らないと、深刻な水不足になります。特に都市部では頻繁に水不足に悩まされています。また、自然災害が原因の給水制限などにも備えなければなりません。さらに、日本の水道管は総延長60万kmを越えています。地球の赤道の長さは約4万kmなので、赤道周りを15周以上する長さです。近年、水道管の老朽化が進み、衛生面や耐震面で問題になっています。水を安定的に送るため、節水対策・排水の再利用・水道施設の耐震化などを進めています。

資料出所 編集

  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年