中学校理科 第2分野/大地の変化
大地の変化
編集火山と地震
編集火山とマグマ
編集火山(かざん、volcano)の地下深い場所には、岩石(rock)が高温で溶けた、どろどろの高温の物質があり、これを マグマ(magma) という。このマグマが、割れ目や火口などから、ふきだすことを、火山の 噴火(ふんか、erupt (動詞) ) と言う。そして、このようなマグマが吹き出す山を火山(かざん、英: volcano)という。
マグマが地上に流れ出したものを 溶岩(ようがん、lava) という。溶岩は地表に出てきたばかりのときは液体状である。ところが、地上で溶岩が冷えると、しだいに溶岩は固体になっていく。溶けた状態の溶岩と、固まった状態の溶岩の、どちらとも溶岩という。
固まった状態の溶岩の表面には、無数の小さな穴が見られる。
火山の溶岩は地下100kmくらいの地中深くから上がってきて、地下10km~数kmくらいのマグマだまり(magma chamber)にたまる。マグマは大陸プレートの中を上昇してきている。プレート(plate)とは、地球の表面をおおう厚さ数百kmの岩板の層(layer)である。プレートは1年間に数cmほどだが動いている。
火山の活動
編集- 火山噴出物
火山では、はげしい噴火をした場合、火口のちかくの岩石がくだけたりして、石や砂や岩や灰などを吹き飛ばしてまきちらすことがある。このような物を 火山噴出物(かざん ふんしゅつぶつ) という。
この火山噴出物は、大きさによって、分類される。
- 火山灰(かざんばい) ・・・ 直径が2mm以下の噴出物を 火山灰(かざんばい) という。
- 火山れき ・・・ 火山さいせつ物のうち、直径2mm〜64mmの噴出物を 火山れき という。
火山噴出物のうち、直径2mmより大きく、まだ、かたまっていなく、溶けた溶岩がまじってる場合は、火山弾(かざんだん)という。
- 火山ガス
火山から噴出した気体を 火山ガス という。火山ガスの成分のほとんどは、水蒸気である。(火山ガスの90%以上は水蒸気である。) 水蒸気のほか、二酸化炭素、二酸化硫黄、塩化水素、硫化水素なども、ふくまれる。「ガス」GASとは、英語で「気体」の意味である。
- 軽石(かるいし)
色が白っぽく、表面にたくさんの小さな穴があいている。
火成岩
編集石や岩の出来かたには、いろいろなできかたがあるが、マグマが冷えて、かたまって、岩や石ができた場合、それらを 火成岩(かせいがん、igneous rock) という。
- 火山岩 ・・・ 火山の噴火などによって、マグマが急にふきだした場合に、マグマが急に冷やされて固まって出きた火成岩を 火山岩(かざんがん) という。
- 深成岩 ・・・ いっぽう、地下の深くにあるマグマが、ゆっくりと冷えて固まったものが、地上にでてきたものを 深成岩(しんせいがん) という。
- 深成岩
深成岩は、ゆっくりと冷えるて出来るので、結晶が大きい。また、すべてんの鉱物が、大きく結晶のように成長している。ほとんど、結晶のような組織しか見当たらない(受験研究社)。このような、結晶のような組織で、つまっているつくりを 等粒状組織(とうりゅうじょう そしき) という。
- ※ べつに粒が詰まっているわけでもないし、粒の大きさが等しいわけでもない。名前が、あまり実態を反映していない。
- ※ wikiに結晶の画像が無いので未紹介だが、参考書に等粒状組織の画像があるので見ること。
- 深成岩の例。 ・・・ 斑れい岩(はんれいがん)、閃緑岩(せんりょくがん)、花こう岩(かこうがん、花崗岩) 。
-
斑れい岩(はんれいがん)
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閃緑岩(せんりょくがん)
-
花こう岩(かこうがん)
- 火山岩
火山岩は、急に冷やされるので、結晶になっていない 石基(せっき) という部分が多い。その石基のなかに、いくつか、結晶が散らばって存在している。このため、火山岩は結晶や粒の大きさがそろっていない。この火山岩の石器の中に散らばってる結晶を 斑晶(はんしょう) という。
そして、このような石基の中に、いくつか斑晶が、ちらばっている構造を 斑状組織(はんじょうそしき) という。
- ※ wikiに結晶の画像が無いので未紹介だが、参考書に斑状組織の画像があるので見ること。
- 火山岩の例。 ・・・ 玄武岩(げんぶがん、basalt)、安山岩(あんざんがん、andesite)、流紋岩(りゅうもんがん) 。
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玄武岩(げんぶがん)
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安山岩(あんざんがん)
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流もん岩(りゅうもんがん)
火成岩の鉱物は、おもに、セキエイ、チョウ石(チョウセキ)、クロウンモ(黒雲母)、カクセン石(カクセンセキ、角閃石)、キ石(キセキ、輝石)、カンラン石(カンランセキ)の6つからなる。
このうち、無色か白色・灰色である無色鉱物は、セキエイ(無色か白色)とチョウ石(白色か灰色)である。有色鉱物はクロウンモ(黒色)、カクセン石(黒色)、キ石(黒緑色)、カンラン石(うす緑色)
※ 鉱物の結晶構造の画像がウィキペディア内に見当たらないので、参考書や外部サイトなどで鉱物の結晶構造を見てください。
- (※ 鉱物の結晶構造の図を募集中。だれか描いてください。)
この他、磁鉄鉱(じてつこう)も、有色鉱物である。磁鉄鉱は黒色であり、磁石に付く。
なお、宝石の「水晶」(すいしょう)は、高純度なセキエイの結晶であり、普通は無色で透明である。
種類など | ||||
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火 成 岩 |
火山岩 | 流紋岩 | 安山岩 | 玄武岩 |
深成岩 | 花こう岩 | 閃緑岩 | 斑れい岩 | |
色 | 白っぽい ← | 中間(灰色) | → 黒っぽい | |
二酸化ケイ素の量 | 多い ← | 中間 | → 少ない | |
密度 | 約2.7 (小) ← | 中間 | → 約3.2(大) | |
造岩鉱物の 割合 (%) |
どの火成岩にも、チョウ石が、ふくまれている。
セキエイやチョウ石の多いほど、白っぽい岩が増えてくる。
キ石や角閃石は黒くないが、だがキ石や角閃石の割合が多い玄武岩などは全体として黒い。
セキエイとチョウ石を無色鉱物という。チョウ石は透明ではないが、しかし黒さには寄与していないと考えてか、チョウ石を無色鉱物に分類するのだろう。
キ石、角閃石、カンラン石、黒雲母などを有色鉱物という。黒さに寄与していると考えている。wikiの写真だと、有色鉱物のカンラン石はあまり黒くなくて緑色のつよい石の写真も多いが、しかし参考書にある画像だと、カンラン石は黒っぽい場合も多い。
参考: 宝石
編集- (※ 範囲外: ) 水晶のなかには、紫色(むらさき いろ)で透明でものがあり、アメジストといわれる。(※ 参考書などで紹介される場合もある。旺文社(おうんぶんしゃ)の参考書など。)
ダイヤモンドは、炭素の結晶である。傷のつきにくさでは、「ダイアモンドが、地球上では、もっとも傷がつきにくい」などと科学界でも言われている。
※ そのため、近代ごろの日本では、仏教などに伝わる想像上の金属「金剛」(こんごう)になぞらえて、ダイヤモンドが「金剛石」(こんごうせき)と呼ばれた時代もある。(※ 「金剛力士像」(こんごうりきしぞう)とか、日本史で習ったのを思い出そう。)
-
ダイヤモンド
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ルビー
ルビーは、酸化アルミニウムをおもな成分として、すこしだけクロムがまざったものである。
なお、ダイヤモンドは、地球の内部の奥深くの高温と高圧によって、炭素が固まって、できたものである。
なので人工的にも、高温と高圧の条件で、炭素を反応させることによって、ダイヤモンドが合成できる。 人工ダイヤモンドは、その硬さ(かたさ)をいかして、工業用のカッターに加える材料などに使われている。
なお、ダイヤモンドは燃える。ダイヤモンドは炭素で出来ているので、火を近づけると、空気中の酸素と、ダイヤモンドの炭素とが反応して、燃えてしまう。
マグマの性質
編集マグマの ねばりけ は、ふくまれる二酸化ケイ素の割合によって決まる。二酸化ケイ素の多いマグマのほうが、ねばねばしている。そして、マグマの ねばりけ によって、溶岩の流れる様子がちがうので、噴火の様子などが変わってくる。
マグマのねばりけ によって、山の形もちがってくる。これらの火山の形は、過去に噴火して流れた溶岩が固まって出来たものである。
傾斜の ゆるやかな火山 ・・・ ねばりけの弱いマグマの火山の場合は、溶岩が広がりやすいので、山はなだらかになる。ハワイのマウナロア山が、このような、ねばりけの弱いマグマの火山の例である。このような、傾斜のゆるく、広がった火山を、楯状火山(たてじょうかざん)という。アメリカハワイ州のキラウエア山も、楯状火山である。
もりあがった火山 ・・・ いっぽう、マグマの ねばりけ が強い火山は、もりあがったような形をしている。昭和新山(しょうわしんざん)が、このようなねばりけの強いマグマの火山である。このようなもりあがった形の火山を、溶岩ドーム(ようがんドーム)という。なお、昭和新山のことを、有珠山(うすざん)ともいう。昭和新山の他には、雲仙普賢岳(うんぜん ふげんだけ)が、この溶岩ドームの火山である。
富士山や桜島(さくらじま、鹿児島県)、浅間山(あさまやま)は、ねばりけが中間ぐらいであり、円すい形の形をしている。このような形の火山を、成層火山(せいそう かざん)という。
- (※ 溶岩ドーム・楯状火山・成層火山の説明図を募集中。だれか描いてください。)
火山のまとめ
編集地震
編集地震(じしん、earthquake)とはプレートや地盤、岩盤にずれが生じることで起こる現象。(なお月で起こる地震を、月震「げっしん」という) プレートとは、地球の表面をおおう、厚さ数百kmの岩板の層である。地球上には、いくつものプレートがある。それぞれのプレートは、それぞれの方向に1年間に数cmほどだが動いており、そのため他のプレートなどに力をおよぼしあっている。
地面がゆれる、地震(じしん、英: earthquake)の原因は、じつはプレートの力です。プレートが、地球の中にもどる場所の近くで、プレートは、反対側の地中には戻らないほうの岩盤(がんばん)にも、引きずりこむような力を加えるので、プレートは岩盤をひずませます。岩盤に力が、かかり続けると、ある時期に、岩盤の一部が、こわれます。このときの揺れ(ゆれ)が、地震です。
海中にあるプレートを 海洋プレート(かいようプレート) と言います。陸地の下にあるプレートを 大陸プレート(たいりくプレート) と言います。
プレートとプレートとが交わるところでは、地震が起きやすいです。日本列島の周囲でも、いくつかのプレートが交わっているので、日本は地震が多いです。日本では、ユーラシアプレートと北アメリカプレートと太平洋プレートとフィリピン海プレートの、あわせて4つのプレートが、日本の下で、押し合っています。
地震の際、地面の一部が切れてずれる場合があります。このような切れた地面の層を 断層(だんそう、英: fault) と言います。断層とは、地層にかぎりません。 断層の原因も、元々は、プレートによる力です。
大きな地震のあとに、断層が生じる場合もあります。
断層は、その断層ができる前の地面を引っ張る力によって、その断層が生じた場合、断層のかたほうがずり落ちるようになりますが、この断層を 正断層(せいだんそう 、normal fault) と言います。
いっぽう、押し合う力によって作られた断層は、断層が押しあがるようになりますが、この断層を 逆断層(ぎゃくだんそう、reverse fault) と言います。
地震の用語
- 震源(しんげん)
地震は、ひずみに耐え切れ(たえきれ)なくなった地下の岩盤(がんばん)の破壊によって、おこる。その破壊した岩盤の位置(いち)である。したがって、震源は、地中にあるのが、ふつう。
- 震央(しんおう)
震源の真上にある、地表での位置。
- 震度(しんど)
地震が起きた時の、その地震を観測した影響をもとに、震度(しんど、seismic intensity)として階級分けがされている。震度は、エネルギーの大きさとは、関係がない。 日本では、震度は、震度0から震度7までがある。震度には、震度5と震度6で、震度5弱と震度5強があり、震度6弱と震度6強があるので、震度は合計で10段階にわけられている。
震度とは地震の観測場所での地震の影響なので、同じ震源で起きた地震でも、震度の観測場所によって、震度の大きさは違ってくる。
一般に、震源に近い場所ほど、震度は大きくなる。震源から遠くなると、震度は小さくなる。
震度 | ゆれの感じ方や、被害のようす |
---|---|
震度0 | 人は ゆれを感じない。 |
1 | 屋内にいる人の一部が わずかにゆれを感じる。 |
2 | 屋内にいる人の多くが ゆれを感じる。つりさがってる電灯などが、わずかに、ゆれる。 |
3 | 屋内にいる人のほとんどが ゆれを感じる。ねむってる人の多くが目をさます。 |
4 | 置き物が倒れることもある。多くの人が、おどろく。 ねむってる人のほとんどが目をさます。 |
5弱 | 多くの人が身の安全を図るために物につかまる場合がある。つりさがってる電灯などが、わずかに、ゆれる。 |
5強 | 固定していない家具が倒れることもある。行動に支障を生じる。 棚のものが落ちたりする。墓石が倒れることもある。 |
6弱 | 立っていることが困難。固定していない家具が倒れることもある。 多くの建物で、タイルや窓ガラスなどが破損する。 |
6強 | 立ってることが出来ず、はわないと動けない。重い家具でも、固定していなければ、移動・転倒する。 地割れや山崩れが起きる場合もある。多くの建物で、タイルや窓ガラスなどが破損する。 |
震度7 | ゆれに飛ばされることもある。ゆれによって、自分の意思で動けない。 大きな地割れや山崩れが起きる。建物が傾く・倒れるなどの大きな被害を受ける場合もある。 |
- 地震計
地震のゆれの大きさを記録する機械を 地震計(じしんけい、seismometers) といいます。
地震のときに、地震計の全部が、ゆれてしまっては、記録のしようがありまえん。
地震計では、地震が来ても、うごかない部分をつくる必要があります。 それには ふりこ のしくみを利用します。ふりこの支点を手で持って、支点をはやく動かしても、ふりこのおもりは、ゆっくりとしか動きません。この現象を利用すれば、地震計で、地震が来てもうごかない部分をつくれます。このような地震でも動かない点のことを不動点(ふどうてん)という。不動点としての おもり に、ペンを取り付けて、自動回転している円筒状の記録用紙に記録している。
一つの振り子だと、一方向のゆれしか記録できないので、3つの振り子と3つの記録用紙を使って、(一つの振り子に、1つの記録用紙を使ってる。)東西方向・南北方向・上下方向の3方向を、地震計は記録している。
- (※ 3方向分の地震計の説明図を募集中。だれか描いてください。)
日本各地にある、地震計を設置している場所を地震観測点(じしん かんそくてん)と、いいます。
- マグニチュード
年月日 | 地震名 | マグニ チュード |
---|---|---|
1995. 1.17 (1995年1月17日) |
兵庫県南部地震 | 7.3 |
2003. 9.26 | 十勝沖(とかちおき)地震 | 8.0 |
2004. 10.23 | 新潟県中越(ちゅうえつ)地震 | 6.8 |
2005. 3.20 | 福岡県西方沖(せいほうおき)地震 | 7.0 |
2007. 3.25 | 能登半島(のとはんとう)地震 | 6.9 |
2007. 7.16 | 新潟県中越沖(ちゅうえつおき)地震 | 6.8 |
2008. 6.14 | 岩手・宮城内陸(ないりく)地震 | 7.2 |
2011. 3.11 (2011年3月11日) |
東北地方太平洋沖地震 | 9.0 |
地震のエネルギーの大きさは、マグニチュード(magnitude)という単位で、あらわします。記号は、「M」です。ふつうの地震では、M4~M6くらい。大地震ではM7~M9くらいになる。
マグニチュードが1大きくなると、エネルギーの大きさは、約31倍から約32倍になります( 倍)。なので、マグニチュードが2大きくなると、エネルギーの大きさは、約1000倍になります。
(かけ算で31×31と、32×32とを計算して、確認してみよう。)
マグニチュードと、震度との関係は、よく 例え として、電球の明るさ( 光度(こうど) )と、照らされた場所の明るさ( 照度(しょうど) )に、たとえられる。電球の明るさが同じでも、照らされた場所の距離が遠ければ、照らされた場所の明るさは減ってくる。
マグニチュードが低くても、震源が内陸で浅いと、被害が大きくなる場合が有る。このような震源が内陸で浅い地震のことを直下型地震(ちょっかがた じしん)という。
1995年の兵庫県南部地震のマグニチュードはM7.2である。2011年の東北太平洋沖地震はM9.0である。なお、新潟県中越地震(2004年)と、新潟県中越沖地震(2007年)は、別の地震。
- 地震の波
地震のつたわってくる場合、最初に小さい ゆれ が来てから、しばらくしてから、それより大きなゆれが伝わってくることが多い。 このようなことが起きる理由は、じつは地震のつたわり方には2種類あるからである。
まず、最初の小さなゆれのことを 初期微動(しょきびどう、preliminary tremor)という。 つづけて、やって来る、大きなゆれのことを 主要動(しゅようどう)という。
地震がおきると、先に、P波(ピーは)という速い波が伝わってきてから、あとでS波(エスは)という遅い波が、つたわってくる。 Pは英語で、「最初の」とか「始めの」とかを意味する プライマリー primary という語句の頭文字です。S波のSは、英語で「2番目」とかを意味する セカンド second です。
ここでいう、P波とかS波とかの「波」とは、揺れ(ゆれ)の、伝わり(つたわり)のことである。振動(しんどう)の つたわり のことである。べつに、海の波のような液体が、地中を流れているわけではないので、まちがえないように。
-
P波(たて波)
-
S波、横波
さて、P波は たて波 という伝わり方であり、S波は横波(よこなみ)という伝わり方である。
たて波のP波は、よこ波のS波よりも速度が大きいので、さきにP波がとどき、あとからS波がとどく。このことから、最初に、(プライマリーに、)たて波がとどくので、最初に届く たて波 がP波(primary wave、プライマリーウェイブ)と呼ばれるようになったわけである。
地面の上に、大きな振動をあたえるのは、横波であるS波のほうである。この横波のS波を 主要動(しゅようどう) という。
なので、さきにP波がとどいて少しゆれたあとに、ちょっと時間がたってからS波が来て、S波の主要動で大きく、ゆれる。
最初に縦波のP波がきてから、よこなみのS波がくるまでのあいだを 初期微動(しょきびどう) という。S波が来るまでは、初期微動がつづく。ある地点でのP波とS波との到着時刻の差のことを、初期微動続時間(しょきびどう けいぞくじかん)という。初期微動継続時間とは、つまり、初期微動を感じる長さである。
初期微動継続時間は、震源からの距離に比例することが分かっている。初期微動継続時間が長いほど、震源からの距離も大きい。もし、地震の伝わる速度が分かっていれば、初期微動継続時間によって、震源までの距離を求めることができる。
地震の伝わる速度が分かっていれば、複数の観測地点で初期微動継続時間を測れば、その測定結果から、震源の位置を数学の連立方程式で求めることが出来る。
- 大森公式
- (※ 大森公式の説明図を募集中。だれか描いてください。)
P波とS波の到着時刻から、震源までの距離を求めるための公式として、つぎのような公式が知られている。 震源までの距離を kmとして、P波の速度を km/秒 として、S波の速度を km/秒 として 、初期微動のつづく時間を 秒とすると、
- P波の到着(とうちゃく)に時刻
- S波の到着時刻
- 初期微動継続時間
- 震源までの距離 (km)
はふつうは 6 km/秒 〜 8 km/秒 で 大森係数(おおもりけいすう) といい、記号で と書く。これより、大森公式は
である。
イメージしやすいように、数をいれよう。Kは、だいたい6 km/秒 〜 8 km/秒なので、ここでは、k=7 km/秒としよう。
として、d=震源までの距離(km)で、tは初期微動継続時間(秒)なので、
- 震源までの距離(km) = 7(km/秒) × 初期微動継続時間(秒)
である。
大森公式を利用すると、いくつもの観測地点で震源までのきょりをもとめると、そこから震源の位置を見いだすことができる。
3つの観測地点からの震源までの距離が求まれば、そこから、連立方程式で、震央および震源の位置を決定できる。
- (※ 大森公式による震源の位置の求め方法の図がウィキペディアに無いので、参考書などで確認してください。)
大陸移動説(たいりくいどうせつ)
編集いま、地球上にある、いくつかの大陸は、むかしは、ひとつの大きな大陸だったことがわかっています。そのひとつの大きな大陸のなまえを パンゲア といいます。
ドイツの気象学者のウェゲナーは大西洋をはさんだ両岸の大陸の形状(特にアフリカと南アメリカ)が、ほぼ一致することから、大昔は、このアフリカと南アメリカはおなじ大陸だったのが分裂したのではないか、と考えました。
また、アフリカと南アメリカは、地質や生物の分布も、にていることから、ますます、おなじ大陸と考えるようになりました。
ウェゲナーは、このようなアフリカと南アメリカは、昔はおなじ大陸だったという説を1912年に発表しました。
しかし、当時の人々の理解は得られませんでした。また、ウェゲナー本人も、どのような力で、大陸が動いているのかは、わかりませんでした。
ウェゲナーは大陸が動いていることの証拠を探す探検のためグリーンランドを探検している最中の1930年に、50才でウェゲナーは死んでしまいます。
ウェゲナーの唱えた大陸移動説は、彼の生存中は学会の多数からは、みとめられることはありませんでした。
海嶺(かいれい)と海溝(かいこう)
編集- 海嶺(かいれい)
それから、数十年がたってから、技術の進歩で、海底の研究が進みます。すると、どうやら、海底の奥ふかくから、溶岩が次々と、わき出している場所があることが見つかります。これは 海嶺(かいれい、oceanic ridge) の発見です。大西洋の中央や、太平洋のチリ沖のイースター島の付近など、地球上のいくつかの海底に、海れいは、あります。
- 海溝(かいこう)
いっぽう、海底の奥深くで、地面が地中に引きこまれている場所も見つかります。これが 海溝(かいこう、trench) です。 太平洋のマリアナ諸島の近くのマリアナ海溝や、伊豆・小笠原海溝など、いくつかの海溝が、あります。
海嶺や海溝の研究から、地中や海中のプレートとよばれる岩ばんが動いていることがわかります。
- プレートと大陸移動説
ウェゲナーの大陸移動説は、プレートにのっかった大陸が、プレートごと動くという考え方で説明できるようになりました。
溶岩(ようがん)が、かたまるとき、地磁気の方向で、溶岩がかたまり、溶岩にほんの少しだけ、磁気が、のこります。この、古い地質の磁気の方向をしらべることで、大陸移動説は、証明(しょうめい)されました。
地震はプレートのひずみによって起きることが分かっています。大陸プレートと海洋プレートの押し合いでひずんだプレートが、ひずみに、たえきれなくなって、元にもどるときに、地震が発生します。
そしてプレートをひずませる力の原因は、プレートが地中に引き込まれることです。
プレートの運動によって、地震がおきるという考え方を プレートテクトニクス(英: plate tectonics) と、いいます。
環太平洋造山帯
編集日本列島は、太平洋をとりまく環太平洋造山帯(かんたいへいよう ぞうざんたい、英:circum-Pacific belt または Ring of Fire)という地帯に含まれています。「環太平洋造山帯」という名前のとおり、太平洋をとりまく位置にある造山帯です。
この環太平洋造山帯がある位置は、プレートの境界にあたることが多く、そのため地震や火山も多いです。そのため「環太平洋 火山 帯」という場合もあります。
いっぽう、インド地方にあるヒマラヤ山脈は、アルプス=ヒマラヤ造山帯という、別の造山帯である。
地層と過去の様子
編集地層の しま模様 を1枚ごとに観察すると、あらい粒が下方に多く、細かい粒は上方に多く、そして上方から下方に向かって粒がしだいに粗くなっていく(下方から上方に向かって考えれば、粒はしだいに細かくなっていく、ともいえる)。このような傾向を、級化または級化層理という。
級化の起こる理由は、水の流れにおいて、れき などの粗い粒は沈んで移動することが多い一方で、泥などの小さい粒は浮かびつつ移動することが理由である。
またこのため、級化の時点では、多くの泥の混ざった濁り水から地層が形成していった事が分かる。また、級化は、水底で出来た地層である事が分かる。
暗黙の前提として、物体の沈みやすさは、密度の順だけで決まるのではない。密度の順に決まるのは、大きさが同じで密度だけが違う物体どうしの比較の場合である(受験研究社)。
大きさが同じなら、密度の順に決まる(受験研究社)。たとえば、砂鉄は大きさが小さくても密度が高いので、早く沈む場合もある。
地層のできかた
編集山の斜面などを切りくずすと、小石や砂、ねんどなどが、層(そう)になっていることがあります。このような地中から出てきた層を 地層(ちそう) とよびます。
地層は、川の流れによってできる。その地層は、今でこそ、地上にあるが、大昔は、海などの底にあったのである。地層は、川の流れなど、水の流れによって、土砂が積もって出来たのである。
実際に、地層の中にある石を見ると、丸みをおびている石が多い。また、魚の骨や、貝のカラなどが見つかる場合もある。
これらの事から、地層が出来上がるには、水の流れが、関わっていることが、予想できるだろう。
では、水の中で、土砂(どしゃ)は、どのように積もっていくのだろうか。これは、実験すれば、答えは分かる。
実験した結果は、石や砂や粘土を混ぜたものを、透明なコップに入れた止まった水の中に入れると、まず、一番下に石が積もる。石の上に砂が積もる。さらに、その砂の上に粘土が積もる。
土砂が海中に流される場合は、陸側の近くの海中に、まず石が多く積もる。少し離れた場所に砂が多く積もる。粘土は、いちばん遠くまで、流されて積もることが知られている。
また、海中の土砂は、より古くに積もった土砂ほど、下に来る。なので、普通は、古い地層ほど、下に来る。
では、もともと海中にあった土砂が、なぜ地上に出てきて、地層として、見られるのだろうか。
地層によって、いくつかの原因があります。
- 海水面が下がった場合。
- 海中の地面が、その場所だけ盛り上がった。
地面が、盛り上がることがあります。この原因は、なんでしょうか。
じつは、地面は動いてるのです。とてもゆっくりですが、動いているのです。地面は、プレートという物の上に乗っかっていて、そのプレートが動いているのです。地球上には、いくつものプレートがあります。プレートと、他のプレートがまじわる所では、プレート同士が押し合う(おしあう)場合もあります。プレート同士が押し合う場合、プレートの上に地面があれば、その地面も押しつけられるので、地面が盛り上がります。こうして、地面が盛り上がる場合があります。
インド地方にあるヒマラヤ山脈は、プレートが押し合って出来た山脈です。インド半島は、約5500年前は、かつて離れていました。 その後、3800年前、2400年前、・・・と、インド半島をのせたプレートの運動によって、インド半島が、ユーラシア大陸に衝突して、インド半島の一部が押し上げられました。こうしてヒマラヤ山脈ができた。ヒマラヤ山脈の化石(fossil)には、アンモナイトの化石もあります。
大地が盛り上がることを隆起(りゅうき)といいます。いっぽう、大地がしずむことを沈降(ちんこう)といいます。
海岸段丘(かいがん だんきゅう)は、海岸線近くの海底が、水のはたらきで平らになったあとに、隆起によって地上に押し上げられて、出来る地形である。隆起された平らな地形の一部は、海水ちかくが侵食を受けて削られ、階段状になっていく。
一方、川沿いにできる河岸段丘(かがん だんきゅう)は、堆積した土砂によって出来た、平らな河原(かわら)が、隆起して、出来る地形である。隆起された平らな地形の一部は、海水ちかくが侵食を受けて削られ、階段状になっていく。
- (※ 画像を募集中。海岸段丘の出来かたを描いてください。)
リアス式海岸は、起伏の多い山地が沈降して、できた地形である。
リアス式海岸が、さらに沈降すると、山頂や尾根だけが水面から出るので、多くの小さな島からなる多島海(たとうかい)になる。
地層の層は、水平とは かぎりません。地層が曲がっていて、一部分だけ、盛り上がっている場合もあります。このような地層の形を しゅう曲(しゅうきょく,褶曲) と言います。しゅう曲の原因は、プレートの動きによって、両側から押し付けられる力が加わったからです。
地層のしゅう曲で、山になっている部分を 背斜(はいしゃ) といいます。地層のしゅうきょくで谷になってる部分を 向斜(こうしゃ) といいます。
地層が押し合った場合に、必ずしも曲がるとは限らず、地層が切れる場合もあります。 このような切れてずれた地面を、 断層(だんそう) と言います。断層とは、地層にかぎりません。 断層の原因も、元々は、プレートによる力です。
大きな地震のあとに、断層が生じる場合もあります。
断層にかかる力の方向は、押し付けあう方向だけとは、かぎりません。 地面に、引っ張られる力が加わって、断層ができる場合もあります。
しゅう曲によって、地層の石や砂や粘土の、上下の関係が、曲がったところで、逆転したり、変化することがある。
断層も、地層の石や砂や粘土の、上下の関係が、切れたところで、逆転したり、変化することがある。
化石
編集動物の肉は、死んでしまうと、すぐに分解されていく。しかし動物の骨は、分解されづらい。地上に骨がある場合は、壊れやすいが、地中にある場合は、骨が、かなり長く、のこる場合もある。
このようにして、大昔の生き物の骨やカラなどが残ったものを 化石(かせき、英語:fossil) という。
骨だけでなく、大昔の貝が残った物も、化石である。
また、大昔の動物の「足あと」などの痕跡(こんせき)でも、大昔の動物の痕跡がキッチリと残っていれば、それらは化石として扱う。
動物にかぎらず、植物などでも、大昔の植物の痕跡(こんせき)なら、化石という。
- 示準化石(しじゅんかせき)と示相化石(しそうかせき)
その化石がある地層の年代を知る手がかりとなる化石のことを示準化石(しじゅんかせき)と言います。
その化石がある地層の堆積当時の環境を知る手がかりとなる化石のことを示相化石(しそうかせき)と言います。
- 示相化石(しそう かせき)
化石によって、その地層が出きたときの、まわりの環境が分かります。
たとえば、地層の、ある層の部分から、貝の化石が出てきたら、地層の、その層の部分が出きた時期には、その地層は、海底にあった可能性が高いことが分かります。貝のアサリの化石なら、アサリは、海の浅いところにすむので、そういった環境まで、知ることができます。
もし、サンゴの化石があれば、サンゴは、あたたかい地域の海にしか生息しないので、その地層は「昔は海だった」ということと、その化石が出きた時期は、気候があたたかい場所だったことが分かります。サンゴの化石のような、たい積したころの環境をしめすような化石を 示相化石(しそう かせき、facies fossil) といいます。
- シジミの化石
シジミは、淡水(たんすい)にすむ海である。淡水とは、川や池や湖のような、海水を含まない水である。なので、シジミの化石があれば、そのような環境だったことが分かる。シジミの化石も示相化石である。
地球の年齢は、さまざまな調査で、およそ 45億年 であることが分かっています。
地球上で発見されている、もっとも古い化石は38億年まえの化石といわれています。 それ以前の時代は、岩石そのものが少ない時代です。
人類が出る前の時代などは、文字の記録が残っていないのえ、地質調査などで調べるしかない時代です。このような人類以前の大昔の時代を 地質時代(ちしつじだい、英語:Geologic time scale;Geological age) といいます。
化石を調べて行った結果、時代ごとに特徴のちがいがあることが分かり、地質時代を分けて、先カンブリア時代((せんカンブリアじだい、Precambrian (age))と、 古生代(こせいだい、英: Paleozoic era)と、中生代(ちゅうせいだい、英語:Mesozoic era)と、新生代(しんせいだい、英: Cenozoic era)とに、時代を分けています。
- 先カンブリア時代
先カンブリア時代については、あまり化石は残っていません(旺文社)。
カンブリア時代とは異なります。「カンブリア紀」とは、後述する古生代の最初の時代のことです。
先カンブリア時代は、藻類や無セキツイ動物の栄えた時代です(旺文社)。
光合成をおこなう生物が誕生したので、海中の酸素濃度は増えていった。まだ陸上には生物は進出しておらず、生命活動は海中に限られていた。
地球の表面のこおりつくスノーボール・アース(全球凍結)という現象が数回にわたり起きたと考えられています。
- 古生代(こせいだい)
サンヨウチュウ (Trilobite、トリロバイト)のさかえた時代は 古生代 です。古生代は、約5億4200万年前から 約2億5100万年前です。 この古生代には、他にも サンゴ や フズリナ や ウミユリ などがさかえました。
「カンブリア紀」とは、この古生代の始まりの事である。
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フズリナの化石。
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ウミユリの化石。
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ウミユリの想像図。
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シーラカンスの標本。
古生代にあらわれ始めた シーラカンス(coelacanth) は、いまも、子孫が生きのこっています。
サンヨウチュウやフズリナは、古生代の終わりに絶滅しました(なので、示準化石になる)。
植物では、シダ植物が、さかえました。
つまり、最初の陸上植物も、古生代だと考えられています(旺文社)。
セキツイ動物は、古生代に魚類が発生したのが始まりだと考えられています。その後、両生類も、古生代の後半に発生しました。
シダ植物が陸上に発生したころに、両生類も発生したと考えると、
- 中生代(ちゅうせいだい)
中生代(ちゅうせいだい)は、恐竜(きょうりゅう)や、は虫類が、さかえた時代です。
中生代は、約2億5000万年前から約6500万年前までです。
また、中生代の海では、 アンモナイト(Ammonite) が、さかえました。 恐竜の祖先である シソチョウ(Archaeopteryx) が、あらわれた時代も中生代です。
恐竜そのものも、中生代に繁栄しました。なお、恐竜はハ虫類です。
恐竜の化石やシソチョウの化石は、地層の時代を知ることのできる示準化石(しじゅんかせき、index fossil)です。
ほ乳類や鳥類は、ハ虫類を祖先に持ちます。
ほ乳類や鳥類の祖先が現れたのも、この中生代の時代だろうと考えられています。
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恐竜の一種のアパトサウルスの化石。
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シソチョウの化石。ベルリン標本
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シソチョウの想像模型。
中生代の終わりごろに、なんらかの原因で環境が激変して、恐竜やアンモナイトなどが絶滅し、中生代が終わったと考えられています。
巨大隕石の衝突が、その環境の激変の大きな原因だろう、と考えられています(受験研究社、旺文社)。
イリジウムという、隕石起源と考えられる物質が、この時代の世界各地の地層から見つかっているので、なので巨大隕石が衝突したのだろうと考えられています(旺文社・傍注)。
- 新生代(しんせいだい)
約6,500万年前から現代までを 新生代(しんせいだい、英: Cenozoic era) といいます。 新生代のうち、約6,500万年前から約260万年前までを第三紀といい、約260万年前から現代までを第四紀と分ける。
さらに、第三紀は、古第三紀(6500万年前 ~ 2300万年前)と新第三紀(2300万年前 ~ 260万年前)に分けられる。
第四紀は、人類の祖先が出現し始めた時期です。
第四紀は、ナウマン象やマンモスが出現した時代でもある。
中生代までは、さかえていた恐竜が、新生代に入っては、絶滅(ぜつめつ)します。
また、第四紀は、氷河期(ひょうがき)があった時代です。
氷河期の時代は、海の水面が下がり、日本列島は大陸と地続きになりました。そのため、マンモスなどの動物は、あるいて日本列島にやってきました。
モンモスの化石は、地層の時代を知ることのできる示準化石です。
大昔の化石の年代は、どのようにして分かったのでしょうか?
それは、 放射性元素(ほうしゃせい どういげんそ) というものを分析しています。 放射線を出す元素を、放射性元素(ほうしゃせい どういげんそ)といいます。 たとえばウランという元素が、放射性元素です。 ウランは、時間がたつと、ある割合でこわれて、べつの元素に、かわります。 放射性元素は、時間がたつと、ある割り合いでこわれて、べつの元素に、かわります、
このウランのように、化石や地層のなかにふくまれた放射性元素をだす元素の量をしらべることで、その化石ができてから、どのくらいの時間がたったかを調べることができます。
このような、放射性元素をはかる測定方法を 放射性年代分析(ほうしゃせい ねんだいぶんせき) と、いいます。
風化と浸食
編集流れる水の力
編集- ※ この節では、川の流れのしくみについて説明しています。川や川の近くはキケンな場所です。なので読者のかたが、もし川を観察しに行く場合は、必ず保護者などに許可をとってから、川に出かけるようにしてください。けっして子供だけでは判断しないでください。
川での実験や観測は、読者の自己責任(じこせきにん)です。
ウィキブックスには免責事項(めんせきじこう)があり、万が一、読者が水難事故にあわれても、ウィキブックスの一同は、一切の責任は取りません。ページ末の免責事項についても、お読みください。
川の周りには石が転がっていますね。それは、川の流れにのって石が運ばれてくるからです。
ここでは、流れる水の影響を学びます。
流れる水のはたらき
編集流れる水は、土や砂などを、おしながす・けずりとる・つもらせるの三つのはたらきがあり、頭文字をとってサルのおけつと覚えることができます。
たとえば雨が降った日の水たまりなどをみると、最初は水がたまっていくだけですが、そのうち、水たまりから水があふれて、高いところから低いところに流れていき、とても小さな川のようになります。また、水たまりがいくつもあるので、小さな川もつながっていき、水たまりだったところも、いくつかつながっていきます。 雨が上がってから、水が流れていた水たまりからつくられた小さな流れのあった場所を見ると分かるのですが、流れのあたっところが、けずりとられて、くぼんでいきます。
雨の日の、土の上に出きた水たまりや水の流れなどでは、水が土をけずりとっているので、水は茶色く、にごっています。
流れていった雨水や、水たまりにあった水は、そのあと、どこへ行くかというと、地下にしみこんで行ったり、あるいは、溝などに流んだりします。
雨の日の水たまりからも、「おしながす・けずりとる・つもらせる」の三つの作用が確認できます。
流れる水が地面を、けずり取る作用を しん食(しんしょく、侵食) と言います。
けずり取られた土や砂は、そのまま流れによって下流へと運ばれていきますが、この運ぶ作用を運ぱん(うんぱん、運搬)といいます。
この運ぱんは、水の流れが速いほど、大きな物が運べるようになります。水の流れがおそい場所では、運べなくなるので、その場所に、運んできた物が、たまっていきます。この、流れがおそい場所に、物がたまる作用を たい積(たいせき、堆積) と言います。
けずる作用も、運ぶ作用も、流れが速いほど、強くなる。
川の様子
編集川の中での砂や石は、大きさや重さによって流され方がちがう。砂と石なら、砂のほうが流されやすい。このように、つぶが小さな物ほどながされやすい。
ねん土(ねんど、粘土)はつぶ自体は細かいので、かわいた粘土や、固まっていない粘土は、流されやすい。
石でも、小石と大きな石だったら、小さい石ほど流されやすい。
川には曲がっているところがある場合もある。曲がっている川では、外側ほど流れが速く、内側は流れがおそい。
このため、外側はしん食によってけずられるので、がけのように水深が深くなっている。いっぽう、内側はたい積によって、石や砂や粘土がつもっている。このようにして、川の曲がりの内側では、川原(かわら)ができやすい。
- 上流
川に限らず、流れている物について、流れが始まっている場所を 上流(じょうりゅう) と言います。 たとえば、山から低地へと流れている川だったら、川の上流は、山のほうにあります。
日本の場合、ふつうの川では、川の上流へと、たどっていけば、もっとも上流の場所は、山地です。
このため、川の上流は、かたむきが急で、流れが速いです。水の量は、下流と比べて、上流は少ないです。
上流にある石は、角ばった石が多いです。石は、下流へと近づくに連れて、流れの途中に、石どうしでぶつかったりして、かどが削り取られて丸く小さくなっていきますが、上流ではまだ削られてはいないので、石は角張っていて大きいです。
V字谷 という地形ができやすい。
- 中流
川が、山から平地に出たあたりを川の中流(ちゅうりゅう)と言います。 中流にある石は、丸まった石が多いです。これは運ぱんのさい中に、石のかどが、石どうしでぶつかったりして、削り取られているからです。 中流での石の大きさも、上流よりかは小さいのが、ふつうです。
また、中流では流れが、ゆるやかになるので、たい積作用も見られやすく、川原がある場合もあります。
川が山地から平地に出た地域の周辺では、土砂などが山側を中心に平地側へ扇状に広がって、たい積した 扇状地(せんじょうち) という地形ができやすいです。
- 下流
下流では、流れが遅くなり、たい積作用が強まります。また下流での石は、小さく丸い石が多いです。 下流に近づくほど、水量は多くなり、川幅(かわはば)もひろくなります。
地形として、川の下流の周辺では、三角州(さんかくす,river delta)という地形ができやすい。
- 三日月湖
川は、ふつうは、まっすぐではなく、カーブしているのが、ふつうです。川は、カーブの外側にちかいほど、川の流れ早くて侵食がすすむので、ますますカーブが、はげしくなっていく場合があります。カーブの内側にちかいほうも、たい積が行われるために、ますますカーブが、はげしくなっていきます。
そして、カーブがきつくなりすぎると、そのカーブは、川の本流から外れて、湖になってしまいます。この外れた湖は、カーブをしているので三日月形なので 三日月湖(みかづき こ) といいます。
堆積岩
編集堆積物が、長い間に押し固められて、できた岩石のことを堆積岩(たいせきがん)という。
堆積岩は、火成岩とはちがい、マグマによる加熱を受けていない。そのため堆積岩の内部には、化石などが残っている場合もある。
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れき岩
れき が、堆積して固まった岩石。 -
砂岩
おもに、砂が主成分の岩石。 -
泥岩
おもに、泥や粘土が主成分の岩石。 -
チャート
ホウサンチュウなどのような水中の生物の 死がい に含まれるケイ酸質(二酸化ケイ素)が固まった岩石。とても、かたい。 -
凝灰岩
おもに、火山灰が固まってできた岩石。岩石中に軽石(かるいし)をふくむ場合もある。 -
石灰岩
おもに、炭酸カルシウムを持つ生物の死骸が固まってできた岩石。
れき岩、砂岩、泥岩は、岩石中の粒の大きさによって分類される。
- れき岩は、粒が 2mm 以上。
- 砂岩は、粒が 2 ~ 0.06mm 。
- 泥岩は、粒が 0.06mm以下 。
発展: 地球の内部
編集地震のつたわりかたの研究などから、地球の内部には、液体の部分があることが分かっています。
地震の波には、たて波とよこ波がありますが、横波は液体の中をつたわりません。
地球の表面にある、かたい部分を 地殻(ちかく、crust) といいます。地殻のあつさは、陸地では約30kmから約70 kmくらいまでです。 海洋の海底では、約7kmくらいです。
地殻の下には マントル(mantle) という高温の、岩石のようなものでできた物が、あります。マントルは、地殻の下から 2900km くらいまでの深さに、マントルが、あります。 マントルの成分は岩石です。 火山のマグマは、マントルから、できます。
マントルのほとんどは、固体の岩石です。マントルの温度はとても高いのですが、マントルにかかる圧力も高いので、液体にはならずに、マントルは固体なのです。 マグマは、ほとんど固体のマントルの一部が、液体になったものです。
マントルのさらに下には 核(かく) があります。
核は、外側の 外核(がいかく、outer core) と、内側の 内核(ないかく、inner core) とに、わかれます。外核の部分が液体です。
地磁気の原因は、液体の外核が流れ動いていて、そのため核内に電流が流れ、地磁気が発生するのだろう、と考えられています。
核の成分は、鉄やニッケルなどの金属から出来ていると考えられています。
地球の内核は地下5,100 kmから6,400 kmで、固体からなると考えられています。