地上のセキツイ動物の祖先は、もとをたどれば魚類であることが、地層の調査から分かっている。

まず、親から生まれた子や、子だけでなく孫以降の子孫にもに、ある性質が受け継がれつづけることを、遺伝(いでん、英: heredity)という。

ある生物の遺伝に関する情報は、その生物の細胞の核の中の、染色体の中の、遺伝子(いでんし、gene)という部分にある。(※ くわしくは3年の理科で、遺伝子について習う。)


生殖をして子供が出来るたびに、なんらかの理由により、すこしずつ遺伝的な特長が変化していって、あるいは、ある子供が生まれるときに突然に遺伝的な特徴が変異をして、その子が、そのまま親になって子供をうんで、次の世代へと変化が受け継がれていった、というようなことが、数多くの世代で繰り返されていって、種(しゅ)が変化していった。

このように、世代を重ねることに遺伝的な特徴が変化していき、その変化が受け継がれることを、進化(しんか)という。このため、進化には、とても長い年月がかかる。

遺伝子が変わらない限り、遺伝的な特徴は、変わらない。

この分野で言う「種」(しゅ)とは、動物や植物などの種類とかのことである。植物のタネ(種)のことではないので、間違えないように。

進化とは

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  • 進化でない現象

世代を重ねない変化は進化ではない。 たとえば昆虫の、幼虫からサナギ、成虫への変化は、世代を経た変化でない。幼虫からサナギなどへの変化は、同じ世代内での変化であるので、進化ではなく、単なる変態である。

また、遺伝によって、子孫に受け継がれない、ある親だけでの変化は、進化ではない。 たとえば、ヒトの親が、子供を生む前に、食べ物をたくさん食べて太っても、その変化は、別に遺伝子を変化させないので、進化ではない。

同様に、ヒトの親が、子を産む前に、髪を切ろうが、その変化は遺伝子を変化させないので、進化ではない。

動物が子供を産むたびに、親と特徴が少しずつ違うのは、動物の子は、遺伝子を、父親と母親の両方の性質を受け継ぐので、子の遺伝子は父とも母とも遺伝子が違っている。子の遺伝子の半分は、父親に由来しているが、子の遺伝子の、もう半分は母親由来の遺伝子である。

これはセキツイ動物の場合である。 ほかの種では、そもそも性別があるとは限らない。単細胞生物などでは、性別が無く、細胞分裂で個体数を増やす種もある。(※ くわしくは、生殖と遺伝子の関係については、中学3年で習う。)


  • 進化の例
両生類は、魚類から進化した。
鳥類は、ハチュウ類から進化した。
魚類は、水中の無セキツイ動物から進化した。
  • 進化の順序の調べ方

地層から分かる。古い時代の地層から見つかる物ほど、古い時代の生き物である。


  • 類縁関係

ある種と、別の種が近いかどうかは、遺伝子の調査から分かる。遺伝子とは、細胞の中にある、遺伝をつかさどる部分であり、染色体の中に、ふくまれている。染色体は、核の中に、ふくまれている。(※ 遺伝については、くわしくは中学3年の理科で習う。)


  • 発生の初期
 
いろいろなセキツイ動物の発生の初期。画像のAの段階を見ると、どのセキツイ動物も、似たような形になっている。

レントゲン写真やエコー写真などの透過写真で、セキツイ動物の、さまざまな種の個体が生まれる前の胚(はい)のころの写真を撮影すると、どの種でも、発生の初期の、最初のほうの姿は似たような姿をしている。

このようなことからも、セキツイ動物は、ほぼ共通の祖先を持つ可能性が高いことが分かる。

  • 化石

たとえ現在は存在していない種でも、その種の化石が残っていれば調べられる。 シソチョウ(英:archaeopteryx)という種の化石には、鳥の特徴とハチュウ類の特徴があり、この事実から、鳥類とハチュウ類は、近い種であることが分かる。

シソチョウは恐竜に近い骨のつくりを持つが、前足が つばさ になっており、羽をもっている。シソチョウには、口には歯があり、尾が長く、ハチュウ類の特徴を持つ。いっぽう、つばさがあり、鳥類の特徴を持つ。

そのほかの調査とも合わせて、鳥類はハチュウ類から進化したことが分かっている。 1億5000万年前の地層からシソチョウの化石が見つかっている。

動物の進化

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  • セキツイ動物の進化の順序

さまざまな調査から、脊椎動物は、まず魚類があらわれ、魚類の一部が両性類に進化し、さらに両生類の一部がハチュウ類に進化したことが分かっている。 そして、ハチュウ類の一部から、鳥類とホニュウ類が進化した。

魚類 → 両生類 → 爬虫類 → 鳥類
           
         

鳥類からは、ホニュウ類は進化していない。

哺乳類の祖先は、ハチュウ類であると考えられている(なお、20世紀では、哺乳類の祖先が両生類だと考えられていた)[1]

種の近い物どうしは、特徴も近い。

たとえば両性類は魚類から進化したが、両生類も魚類も、ともに水中に卵を産み、また、変温動物である。


魚類は、えら呼吸である。両生類は、子はえら呼吸であり、両生類の親は、肺呼吸である。いっぽうハチュウ類は肺呼吸しか出来ない。

呼吸からも、

魚類 → 両生類 → ハチュウ類

という進化の順序が見て取れる。


ハチュウ類、鳥類、ホニュウ類は、呼吸が、肺呼吸である。


魚類そのものは、何から進化したのかというと、水中で生活する無セキツイ動物から魚類が進化したと考えられている

セキツイ動物の骨格を見ると、形は違っていても、骨の数や位置が似通っているものが多い。


  • カモノハシ(platypus)
 
カモノハシ。顔は右側。

オーストラリアに生息するカモノハシ(英:platypus)は、子を母乳で育てるのでホニュウ類だが、卵生であり、くちばしを持っている。このため、カモノハシは、ハチュウ類から哺乳類への進化の間の状態の種であると考えられている。 必要ないけど カモノハシは毒を持っている。

またカモノハシは体が毛におおわれている。このことからも、ハチュウ類とホニュウ類との近縁関係が、うかがえる。


  • シーラカンス
 
シーラカンスの標本。

シーラカンス(英:coelacanths)は魚類の一種であり、現在(2014年に本文を記述。)も種が現存している。胸びれ(むなびれ)の内部に骨があり、セキツイ動物の前足に当たると考えられている。地質時代の古くから、体のつくりが変わっておらず、そのため「生きている化石」(英:living fossil)などとも言われる。「生きた化石」とも言う。


シーラカンス以外にも、地質時代など古くから体のつくりが変わっていない種はある。ゴキブリなども、古くから存在している。 シーラカンスは、かつて「絶滅した」と考えられていた。


ほ乳類などセキツイ動物の前足は、骨格のつくりから、魚類の胸びれにあたり、鳥類のつばさに当たる。このように、役割がちがっていても、つくりの同じ器官のことを、相同器官(そうどう きかん)と言う。なお、カエルなど両生類の前足も、カエルはセキツイ動物であるので、上記のほ乳類の前足や鳥類のつばさなどとの相同器官である。ハ虫類の前足も同様、ハ虫類はセキツイ動物なので、ハ虫類の前足は、ほ乳類の前足や鳥類の前足などとの相同器官である。

要するに、セキツイ動物どうしは、ほ乳類でも鳥類でもハ虫類でも、セキツイ動物どうしであてば、「前足」と「魚類のヒレ」と「鳥類のつばさ」は、相同器官である。

※ 検定教科書では明言していないが、セキツイ動物は骨格のつくりが共通している相同器官があるので、この事実も、「共通の祖先からセキツイ動物が進化してきた」という説(定説)の根拠になっている(参考書では定説を紹介している)。なお、21世紀の現代ではDNAなどの調査により、これらの定説がさらに裏付けをされていて(特に反例は見つかっていない)、強固な定説になっている。


いっぽう、つくりがちがっているが、役割が同じ器官のことを相似器官と言う。たとえば、昆虫の羽と、鳥類のつばさ が、相似器官(そうじ きかん)である。

昆虫は、セキツイ動物ではない。(※ 暗記の必要はないが、昆虫は、無セキツイ動物のうちの、節足(せっそく)動物です)


  • ハイギョ
 
ハイギョの一種、オーストラリアハイギョ。

ハイギョ(英:lungfish)は、オーストラリアなどに住む魚類の一種である。魚類だが、肺がある。詳しく言うと、ハイギョの浮き袋が、肺の機能を持つ。このことから、魚類の浮き袋がもとになって、両生類の肺が進化したことが、うかがえる。

  1. ^ コンデックス情報研究所 編『いつの間に?!ココまで変わった学校の教科書』、成美堂出版、2019年 8月20日 発行、P117、