国会(こっかい) ・・・ 国民の選挙によって選ばれた代表者で構成される議会であり、立法権(りっぽうけん)をつかさどる。日本の国会は二院制(にいんせい)であり、衆議院(しゅうぎいん)と参議院(さんぎいん)がある。

二院制 (にいんせい) ・・・ 国会が衆議院と参議院から成るように、議会が2つの議院から成り立つこと。メリットは、決議を慎重にし国民の意思をより正確に反映できること。もし、衆議院と参議院が、まったく同じ構成だと、同じ議論を衆議院と参議院で2回繰り返すだけになってしまうので、日本では衆議院と参議院の選挙区や任期などに、ちがいを設けてある。

衆議院と参議院の違い 編集

 
国会議事堂
衆議院 参議院
議員定数 465人 248人
任期 4年 6年
改選は? ない 3年ごと
解散は? ある ない
選挙権
満18歳以上
被選挙権 満25歳以上 満30歳以上

(2022/8現在)[1]

衆議院の任期が短く、衆議院にだけ解散がある
→ 衆議院には国民の意思を反映させる機会が参議院に比べて多いことを表している。これによって衆議院には、いくつかの点で参議院より強い権限が与えられている。衆議院の優越(しゅうぎいん の ゆうえつ) 議員定数・選挙権(せんきょけん)・被選挙権(ひせんきょけん)は公職選挙法(こうしょく せんきょほう)で決められている。

国会の種類 編集

通常国会常会 毎年1回1月中に召集される。おもに予算関係の審議を行う。
会期は150日間である。
臨時国会臨時会 臨時(緊急を要する災害対策のための補正予算など)に召集される。
内閣どちらかの議院の総議員の4分の1以上の要求で召集される。
特別国会特別会 衆議院の解散による衆議院議員の総選挙の日から30日以内に開催される。
主に内閣総理大臣の指名が行われる。
参議院の緊急集会 衆議院の解散中、国政上緊急に必要な議事がおきたときに内閣が集会を求める。

国会の仕事 編集

 

国会の仕事はいくつかありますが、最大の仕事は法律の制定や法律の改廃などの、立法(りっぽう)です。

1. 法律の制定 編集

 国会の仕事の中で最も重要。毎回、数十から数百を超える法律が作られる。内閣(ないかく)または議員(ぎいん)が法律案を提出する。図では、衆議院が先だが、参議院に先に提出することもある。もし衆参での議決が異なるときは、両院協議会(りょういん きょうぎかい)を開く。両院協議会でも一致しないときは、衆議院で再び審議を行い、衆議院の出席議員の3分の2以上の賛成があれば法案は可決する。(衆議院の優越)

2. 予算の議決 編集

 内閣が作成した予算案を、まず衆議院で審議し( 衆議院は予算先議権(よさん せんぎけん)を持つ )、その後 参議院で審議する。もし衆参での議決が異なるときは、両院協議会(りょういん きょうぎかい)を開き、それでも一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決(最終決定)になる。(衆議院の優越)

3. 決算の承認 編集

 実際の歳入(収入)・歳出(支出)を集計した決算書を内閣が提出し、国会で承認する。

4. 内閣総理大臣の指名 編集

 両院で、内閣総理大臣指名選挙を開き、指名する。(任命は天皇の仕事)

5. 条約の承認 編集

 内閣が締結した条約を、承認する。予算の議決と同様に、衆議院の決定が優先される(衆議院の優越)。

6. 弾劾裁判所の設置 編集

 身分が保障されている裁判官の非行を議会で取り上げ、罷免(ひめん)処罰する制度を弾劾裁判(だんがい さいばん)という。日本の場合裁判官は、衆・参それぞれの7名の議員で構成される。

7. 国政調査権を持つ 編集

 議会が、立法その他の重要な仕事を行うに際して国政に関して確実な資料に基づく正しい知識と、判断力を持つために調査を行う権限のこと。憲法では、そのために、証人の出頭および証言と記録の提出を要求できる、と定めている。
第62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

実例

3.11に起きた福島原子力発電所事故の調査のために設置された国会事故調

8. 内閣不信任の決議 編集

 内閣に責任を追及する最も強い手段で、この決議が出されると、内閣は国会の支持を失うことになる。つまり、国会の信任のもとに内閣は成立しているということになる。

衆議院が内閣不信任案を決議した場合、内閣は10日以内に、衆議院を解散するか、内閣を総辞職しなければならない。

 
2005年に小泉純一郎首相の政権では郵政民営化(ゆうせい みんえいか)法案の是非をめぐっての解散総選挙が行われた。
衆議院の解散
すべての衆議院議員の議員としての地位を、任期満了前に失わせる。総選挙を行うための解散。
内閣総辞職
内閣の全国務大臣が全員いっせいに辞職することを内閣総辞職(ないかく そうじしょく)という。

国会の運営 編集

  • 委員会と本会議

国会には、衆議院・参議院ともに、議員全員が出席する本会議(ほんかいぎ)と、議員が分かれて参加する、少数の議員からなる委員会(いいんかい)があります。

国会に出された法律案などの議案は、まず、専門の委員会で審議(しんぎ)され、その結果が本会議に報告され、本会議に議案が回されます。

委員会では、必要に応じて外部から議案に関係ある知識に詳しい専門家を呼んできて、専門家の意見を聞く、公聴会(こうちょうかい)を開く場合もある。

本会議では、委員会での審議を参考にして、本会議で討論をして審議を行い、本会議での審議の後に多数決で採決をされます。 本会議は、公開が原則となっており、テレビ中継などもされます。

法案の可決など議案の可決などを行っているのは、本会議です。

衆参どちらかの本会議で可決された議案は、もう一方の議員に回され、同じような過程で、委員会や本会議で審議され、本会議で採決します。

もし、衆議院の本会議の意見と、参議院の本会議の意見が異なれば、両院協議会が開かれます。

「衆議院の優越」とは、衆議院の本会議の結果が、参議院の本会議よりも優越する、ということです。


国会中継を見てみよう
衆議院インターネット審議中継では衆議院の、参議院インターネット審議中継では、参議院の本会議や委員会の中継や過去のアーカイブを見ることが出来る。他にも、国会会議録検索システムでは議事録が公開されている。
  1. ^ 任期と解散については、それぞれ日本国憲法45,46条、54条に定められている。