中学校社会 公民/国際連合のはたらき

国際連合(こくさい れんごう)

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国際連合の設立と歴史

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国際連合(こくさい れんごう)の本部のビル。アメリカのニューヨークにある。

第二次大戦のときにあったアメリカを中心とした連合国(れんごうこく、United Nations ユナイテッド・ネイションズ)の51カ国のあつまりは、第二次大戦の戦後には、あらたな戦争をふせぐために国際政治を話しあう国際機関として1945年に作りかえられた。これが国際連合(こくさい れんごう,United Nations)である。

この連合国の国際機関としての変化はアメリカのルーズベルト大統領の提案による。

その国際政治を話しあう場所に変化した連合国(United Nations ユナイテッド・ネイションズ)の機構が、現在(西暦2014年に本文を記述)の国際連合(こくさいれんごう、英:United Nations ユナイテッド・ネイションズ)である。(英語では連合国も国際連合も、ともに United Nations ユナイテッド・ネイションズ であり、区別してない。 )

日本では、連合国と国際連合を区別して呼ぶ。なお国際連合のことを、 国連(こくれん)と略すことも日本では多い。

国連(国際連合)の本部(Headquarters)は、アメリカのニューヨーク(New York)にある。


この国際連合(こくさい れんごう)は、戦前にあった国際連盟(こくさい れんめい、League of Nations リーグ・オブ・ネイションズ)とは、べつの組織である。(たとえば、国際連盟 League of Nations の本部はスイスのジュネーブにあった。)


戦争中の連合国の同盟をもとにして、新たに国際連合をつくった、というのが通説である。より正確に言うと、そもそも国際連合は、連合国が国際機関として発展した組織である。英語では、連合国と国際連合とを区別せず、ともに United Nations (ユナイテッド・ネイションズ) という。

「連合国」と「国際連合」というように名前を変えているのは、日本国が勝手に「国連」と名前を変えて呼んでいるだけにすぎない。

また、主要国が国際政治を話し合う場所を国際連合に変えたことで、以前にあった国際連盟は自然に解消された。


国際連盟の常任理事国(じょうにんりじこく)は、第二次大戦の連合国の主要国である。国際連合の常任理事国は、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5か国である。

国際連合は、平和をまもるために話し合いをする機関ということになったが、その「平和」とは、戦勝国にとって都合の良い平和にすぎなかった。 たとえばイギリスやオランダなどの連合国は、第二次大戦の終戦直後は、東南アジアの新興国(しんこうこく)など植民地から独立した新興国にたいして再び支配しようと、かつての植民地だった国に軍を送り戦争をしかけるような有り様であった。

国連は設立当初は第二次大戦の戦勝国であるアメリカやイギリスなどの戦勝国が、国際社会を管理するために国際平和を理念にかかげたにすぎない国際機関だった。

このような連合国の有り様もあり、永世中立国のスイスは、2002年までは国際連合に加盟しなかった。 だが、1945年の国際連合の設立後、時代がすぎていくにつれ、第二次大戦後に独立した新興国などが新しく国連に加盟していき加盟国が増えていって、現代では国際連合は実際に国際問題を話しあったりして国際世論を形成する場へと成長した。


現在では193カ国が国際連合に加盟している。(2011年の時点。) 永世中立国のスイスは2002年まで加盟しなかったが、現在はスイスは国際連合に加盟している。 日本は1956 (昭和31年)に国際連合に加盟した。

国際連合の目的

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国際連合の旗(はた)。

国際連合憲章(こくさいれんごう けんしょう、英: Charter of the United Nations)には、つぎのようなことが書かれている。なお、国際連合憲章は1945年に開かれたサンフランシスコ(アメリカの地名、 San Francisco)での国際会議でまとめられた。

・ 国際社会の平和および安全を守ること。また、違反国には、集団で制裁する。( このような集団で制裁する考え方を、集団安全保証(しゅうだんあんぜんほしょう)という。 )
・ 世界の各国のあいだに友好的な関係を作り上げる。また、どの加盟国にも主権を認めるのを原則とする。
・ 国連を国際問題を話し合う場所にする。また、国際的な友好や人道支援などのための活動の場にする。
・ 人種による差別なく、世界の人々の人権や自由を尊重する。

憲章の全部は長いので、上にあげた内容はウィキブックスでの要約(ようやく)である。前文および19章111条からなり、とうてい全ては解説できない。

国際連合の仕組み

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国連のおもな機関

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国際連合には、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、国際司法裁判所・事務局などの主な機関と、ユネスコ(UNESCO、国連教育科学文化機関)や世界保健機関(WHO)などの多くの専門機関から、なっている。


  • 総会(そうかい、United Nations General Assembly)

全ての加盟国から代表者が集まる会議で、毎年1回、9月に、ひらかれる。この毎年9月の国連の総会を 通常総会(つうじょうそうかい) という。

世界でおこる、さまざまな問題について話し合う。 総会での議題についての投票は、各加盟国が平等に1国1票(いっこく いっぴょう)の投票権を持ち、議決は出席国の過半数の賛成の多数決(たすうけつ)で成立するのが原則である。(重大な問題では3分の2以上の賛成が必要な場合もある。)

通常総会とは別に、重大問題がおきたときには、特別総会(とくべつそうかい)が ひらかれる。さらに緊急性の高い重大時には緊急特別総会(きんきゅう とくべつそうかい)がひらかれる。


  • 安全保障理事会(あんぜんほしょう りじかい、United Nations Security Council)
 
安全保障理事会(あんぜんほしょう りじかい)

安全保障理事会はつぎの5カ国の常任理事国と、2年で交代する10カ国の非常任理事国とを合わせた15カ国の理事国からなる。 常任理事国(じょうにんりじこく)はアメリカロシアイギリスフランス・ 中華人民共和国 の5カ国で、この米ロ英仏中の五カ国は 五大国(ごたいこく) と言われる。

非常任理事国は総会で選ばれ、日本もたびたび非常任理事国に選ばれる。常任理事国の機関は「常任」という名のとおり、無期限(むきげん)である。

通常の問題については、15カ国のうち9カ国以上の賛成で決められる。しかし、重要な問題については常任理事国 の5大国全部の賛成がないと決定できない仕組みである。したがって、重要な問題では、常任理事国のうち1カ国でも反対すると決定できない。 このことを五大国の 拒否権(きょひけん) という。

国連平和維持活動

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国際連合では、もし侵略行為を行う国があれば、加盟国全体で制裁を行う 集団安全保障(しゅうだん あんぜんほしょう、collective security) という考えをとっている。

国際紛争が起きた時には、国連は解決に向けて、安全保障理事会などを開き、対策を会議します。


国連は紛争地域などで、停戦の維持や監視、公正な選挙の実施などのため、派遣者として加盟国の軍隊などからなる武装した軍隊を結成して(「国連軍」とは別組織)、および非武装の停戦監視団・選挙監視団などを、当事国の同意にもとづき派遣して、それらの任務()を遂行することもあります。このような停戦監視などの活動のことを国連平和維持活動 (PKO)(Peace Keeping Operationの略)と言います。

なお、PKOのために派遣される、武装した軍隊のことを国連平和維持軍(PKF、Peace Keeping Foece の略)と言います。(※ 検定教科書では、一部の教科書(清水書院や、育鵬社の教科書)で「平和維持軍」を紹介。)


  • PKOへの日本の取り組み

日本の自衛隊も国連のPKO活動に参加しており、さまざまな地域で活動しています。日本では1992年にPKO協力法(国際平和協力法)が制定され、カンボジアの復興のためPKOに参加するようになりました。カンボジアのPKOには自衛隊と文民警察官が派遣されました。

その後もモザンビーク、ゴラン高原、東ティモールなどでのPKOに自衛隊は参加しました。

なお、2003年のイラクでの自衛隊の復興活動は、国連のPKOとは別の活動です。

その他の国連主要機関

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  • 経済社会理事会(けいざいしゃかい りじかい、英: United Nations Economic and Social Council)

世界の人々の生活や経済などの問題について広くあつかい、解決を目的とした機関で、国連のほかの多くの専門機関と連携しながら解決にあたっている。経済・社会・文化・教育・保健などについて、あつかう。


  • 信託統治理事会(しんたくとうち りじかい、United Nations Trusteeship Council)

独立を目指しているが、まだ十分な独立のための能力が足りない地域に対して、指導(しどう)・監督(かんとく)などを行う。

1994年に独立したパラオが最後の信託統治地域であり、パラオの独立により信託統治地域は無くなった。そして信託統治理事会は役割を終え、現在は活動は停止している。今後は、必要がある時に会議が開かれるとされている。なおパラオの場所は、太平洋上のミクロネシア地域にある。


国際連合ができる前は、国際連盟(こくさい れんめい)があった。 かつて、国際連盟(こくさい れんめい)には委任統治(いにん とうち、mandate マーンデイト)という制度が合った。

委任統治の対象地域は、第一次世界大戦での敗戦国ドイツの支配していたアフリカおよび太平洋の植民地と、敗戦国オスマン帝国(トルコのこと)の支配下にあった中東地域であった。

委任統治とは、形式的には戦勝国がこれらの地域を自国の植民地とすることを防止して、また住民の福祉をすすめ、将来の自治・独立に向けた協力をすることが目的であるとされた。しかし実態(じったい)は植民地と変わらず、単なる名前の変更に過ぎなかった。

この委任統治の制度は、第二次世界大戦後に廃止され、国際連合下の信託統治制度へと発展された。

第二次世界大戦後に、アメリカ合衆国によって占領・統治され,1947年以降は国際連合からの信託統治になったマーシャル諸島(しょとう)においては,核実験が行われるようになった。太平洋上にマーシャル諸島はある。 マーシャル諸島のビキニ環礁(ビキニかんしょう)では、23回もの核実験が行われた。


  • 国際司法裁判所(こくさいしほう さいばんしょ、英: International Court of Justice)

国と国のあいだで、争いがおきたときに、公平な解決のための裁判をおこなう機関。オランダのハーグにある。15名の裁判官で構成される。裁判官は加盟国から選ばれる。


  • 事務局(じむきょく、United Nations Secretariat)

国際連合のいろいろな事務を行っている。最高責任者は総会(そうかい)で選ばれ、選ばれた事務局の最高責任者を事務総長(じむそうちょう、英:Secretary-General of the United Nations)という。 2009年には事務総長に韓国の潘 基文(パン・ギムン)が選ばれ、彼が第8代事務総長になった。


専門機関

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国際連合には、専門機関(せんもんきかん、英: Specialized Agencies)がある。

  • 国連教育科学文化機関(こくれん きょういく かがく ぶんか きかん、UNESCO ユネスコ

教育、科学、文化の発展による国際理解のもたらす平和を目的として設立された。まずしい国などで文字の読めない子たちに読み書きを教えて識字率(しきじりつ)を向上させる活動や、義務教育の普及のための活動、また、世界遺産の登録と保護などを行っている。 本部はフランスのパリ。

ユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦(とりで)を築かなければならない」とある。


  • 国際連合児童基金(こくさい れんごう じどう ききん、UNICEF ユニセフ

戦争のある紛争地域など、めぐまれない環境(かんきょう)の子供たちや、発展途上国(はってんとじょうこく)の子供たちを支援(しえん)する活動をしている。 また、その活動のために寄付金(きふきん)を、あつめていもいる。


  • 世界保健機関( せかい ほけん きかん 、英語略称: WHO ダブリュー・エイチ・オー、World Health Organization)

感染病など病気の予防や対策を行ったり、世界の健康(けんこう)や衛生を守る仕事をしている。


この他にも、さまざまな専門機関があります。 有名な機関は、

国際通貨基金(こくさい つうか ききん、IMF アイ・エム・エフ)、
世界貿易機関(せかいぼうえきかん、 WTO ダブリュ・ティー・オー)

などがあります。

国際通貨基金 IMFは、通貨の安定を目的とした機関です。IMFも国連の専門機関です。UNの文字が入ってないですが、IMFは国連の機関です。

世界貿易機関WTOは、自由貿易をすすめるための機関です。

さらに、この他にも専門機関があります。

・ 国連難民高等弁務官事務所

国連難民高等弁務官事務所(こくれん なんみん こうとう べんむかん じむしょ、UNHCR ユー・エヌ・エイチ・シー・アール)は、難民の保護と救済を目的に活動しています。

・ 国際労働機関 ILO

国際労働機関(こくさいろうどうきかん、ILO アイ・エル・オー)は、世界の労働者の地位向上や労働条件の改善を目指す機関で、活動としては労働条件の最低条件を世界の各国に勧告(かんこく)しています。

・ 国際原子力機関 IAEA

国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、IAEA アイ・エー・イー・エー)なども国連の期間有名です。原子力の平和利用のための機関で、軍事利用をふせぐための査察(ささつ)などをしています。


その他、多くの機関があります。全ての機関を覚える必要はないですが、機関の名前から、国連の仕事の内容をつかむようにしましょう。


・ 国際復興開発銀行 IBRD(アイビーアールディ)
・ 国連貿易開発会議 UNCTAD(アンクタッド)
UNCTADは、先進国とくらべて発展途上国は経済のおくれがあるが、発展途上国の経済のおくれを解決するために話し合う機関。先進国と後進国の経済格差のことである 南北格差(なんぼく かくさ) の解決を話し合ったりしている。
・ 国際通貨基金 IMF
・ 国際労働機関 ILO(アイエルオー)
・ 国際食料農業機関 FAO(エフエーオー)
・ 万国郵便連合 UPU(ユーピーユー)
・ 国連教育科学文化機関 UNESCO
・ 世界保健機関 WHO
・ 国連児童基金 UNICEF
・ 国連難民高等弁務官事務局 UNHCR

など。

日本は国連への分担金が2位。(2013年) 1位はアメリカ。