中学校社会 公民/在日外国人の権利に関する国内問題と議論
- ※執筆者への注意
- ウィキブックス、ウィキペディアを始めとするプロジェクトは政治運動の場所では無いので、たとえば外国人参政権の議論などで、どちらか片方の立場にたって主張をするようなことは、やめてください。そのような場で政治運動を行うことは、やめてください。
- ※学生への注意 検定教科書の内容と、法律との間に、かなりの差があります。
在日外国人について
編集日本には、外国人も多く暮らしています。そのうちの多くは、中国人(約64万人)と韓国人・朝鮮人(合わせて約50万人)です。(なお、この記事では「朝鮮人」とは北朝鮮の国籍に属する人とします。) 近年では、フィリピン(約20万人)やブラジル(約18万人)やベトナム(約8万人)などからの出稼ぎ労働者などが増えています。
在日外国人にも人権はあるので、人権は保障されていますが(「人権」とは人間に与えられる権利なので、外国人も人なので人権は保障される。)、日本人とまったく同じ権利が与えられているわけではありません。 外国人に与えられない権利の例として、参政権(さんせいけん)があります。
在日韓国人・朝鮮人について
編集- そもそも在日朝鮮人・在日韓国人とは?
このうち韓国人と朝鮮人については、かつて日本が韓国( 「大韓帝国」という国が、昔あった。 )を併合していた歴史があり(1910年に大韓帝国を併合)、第二次大戦の終戦時ごろには約200万人の在日韓国人・朝鮮人がいました。
仕事で日本に来たり、あるいは戦時中の労働者としての動員で朝鮮半島から日本に連れて来られた人などです。
検定教科書では「強制連行」などと表記する場合があり、たしかに強制的につれてこられたわけですが、特定の民族を不利にあつかったわけではなく、戦時中の日本国民にも強制労働や徴兵の義務などを課したのと同じように、当事は日本国の一部だった朝鮮半島や台湾にも労働を強制したわけです。
- 現状
現在の日本国民の中には在日朝鮮人・韓国人を信用してない人もいて、そのため在日朝鮮人・韓国人を嫌う人もいます。そのため、在日朝鮮人・韓国人への差別があります。検定教科書の多くは、これを不合理な差別と考えているようであり、不合理なのでこの差別をなくすべき、というような事を主張しています。在日朝鮮人への結婚や就職での差別をなくすべき、と考えている検定教科書が多いです。
なお、在日朝鮮人・韓国人には、普段は本名のかわりに、日本風の通称を名乗っている人がいます。(ただし、役所などへ公式な書類を出す時などは、本名を名乗る必要がある。)例外的に、それは日本の慣習でも認められています。
(※ 在日朝鮮人の通称の存在については、中学教科書の範囲内です。)
検定教科書は、おおむね「在日朝鮮人は民族の誇りを守って、日本国籍を取得せずに日本に暮らし続けてる」というような事を言って、かれら在日朝鮮人・韓国人の立場をかばっています。
- 歴史の詳細(教科書の範囲外)
かれら第二次大戦の終戦当時の在日韓国人・朝鮮人の多くは、第二次大戦の終戦後は母国の韓国・北朝鮮に帰ったり、あるいは日本の国籍を取得して日本国民になったりしました。
ですが、様々な事情で母国には戻らず、日本国籍を取得しないで、そのまま日本に住みつづけた者も多くいました。 そのような関係で現在にも日本に多くの韓国人・朝鮮人がいます。
よくある勘違いとして、戦争中に強制連行により朝鮮半島から連れてこられた人の子孫が、在日朝鮮・韓国人の大半だと勘違いしている人が多いです。しかし、統計では、戦時中に国の命令で強制的に朝鮮半島から日本に連れてこられた人は、たったの数百〜数千人です。(※ 参考文献: 外務省情報文化局 『外務省発表集(外務省発表集および公表資料集)』第十号, 昭和三十五年(1960年)二月, p. 51-54. 「(三) アジア、豪州関係 1.在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに、戦時中の徴用労務者について 記事資料 昭和三十四年七月十一日」 )
考えてみれば、朝鮮半島の人をわざわざ日本に連れてくるよりも、現地の朝鮮半島で働かせたほうが安上がりです。
また、その他の在日韓国人・朝鮮人として、日韓併合の時代から日本にいた韓国人・朝鮮人とは別に、第二次大戦後の朝鮮戦争(1950年に勃発)から逃れるために、1950年代ごろに日本に密入国してきた人が加わっています。
当時の推定では約20万人〜40万人の密入国の韓国人・朝鮮人が密入国した、と言われています。
べつに、これら朝鮮戦争時の密入国者の全てが、そのまま今でも在日外国人のままではなく、日本には国籍を日本国籍にかえる帰化(きか)という手続きもあるので、帰化して日本国籍になった人もいる。
また、帰化の手続きがあるので、帰化して日本国籍を取得する外国人も多く、そのため、在日韓国人・朝鮮人の数は減ってきています。
外国人参政権についての議論
編集在日外国人にも人権はあるので、人権は保障されていますが、日本人とまったく同じ権利が与えられているわけではありません。外国人に与えられない権利の例として、参政権があります。
「無制限に外国人に参政権を与えると、もしも日本を侵略したり負かそうとする外国があると、参政権が悪用される恐れがある」という考えと、「国政への参政権は、国家の主権に関わる」という考えのもと、参政権は日本国籍を持つ日本国民にのみ与えられ、外国人には与えられていません。
また、参政権いがいの権利の制限として、公務員にも国籍条項(こくせき じょうこう)があり、外国人の日本国の公務員への就職は制限されています。
ちなみに世界の多くの国では、外国人には選挙権を与えていません。地方参政権などを外国人に与えているのは、世界でおよそ40カ国です。
日本での、これら外国人の権利への制限について、「差別では?」という意見を主張する人もいますが、今のところ、外国人参政権に反対する日本国民の意見が多く、外国人に国政への参政権は与えられていません。
「地方政治の参政権のみに限り、外国人にも与えるべきでは?」という主張をする意見もあり議論になっていますが、国政への外国人参政権への日本国民からの反対意見の大きさと同様に、地方参政権の外国人参政権にも反対する日本国民の意見が多く、外国人に地方政治の参政権は与えられていません。
「国民の義務である納税の義務を負っているのに、参政権は無いのはおかしいのでは?」という意見もありますが、「納税は参政権の根拠にならない。納税と参政権を結びつけると、低所得者は参政権が無くなることになり、おかしい。」という反対意見もあります。
日本では、日本国外に住んでいる日本人にも本国の選挙に投票できる参政権があります。
ですが、韓国では韓国以外に住んでいる在外の韓国人については2012年まで選挙権がありませんでした。 また、北朝鮮にいたっては政治が独裁政治であり、そもそも民主主義ではありません。
EUでの外国人参政権
編集ちなみに世界の多くの国では、外国人には選挙権を与えていません。地方参政権などを外国人に与えているのは、世界でおよそ40カ国です。
ヨーロッパでは、EUの加盟国の多くが、加盟国の外国人に対してのみ、地方参政権にかぎり参政権を与えています。国政への原則として参政権は与えていません。
フランス、ドイツ、イタリアでは、EU加盟国以外の外国人には参政権はありません。
検定教科書での記述の傾向
編集教科書の記述と、現行の法律とのちがい
編集日本国での学校の検定教科書では、多くの教科書会社では、在日韓国人・朝鮮人への蔑視にもとづく差別があるとしている。その差別の具体例として、就職や結婚での差別がある、と記述している。
いっぽう、日本国籍を持つ障害者などは、企業がなるべく雇用に努める法的な義務があり、一定以上の規模の企業は、規模に応じて雇用する障害者を雇用する義務があり、従わないと罰金を払う必要がある。
なお、日本の学校教科書では、いわゆる「えた」・「ひにん」などの被差別部落の問題を取り上げたあとに、在日外国人の「差別」問題を記述に取り上げたものが多い。
被差別部落の問題については、日本国の国会などで、これらの差別の解消にもとづく答申として「同和対策審議会」の「答申」が1965年に出されたり、差別の解消をめざすための法律の「同和対策 特別措置法」などが存在している。日韓基本条約などの条約はあるし、在日韓国人・朝鮮人の在留資格について定めた法律「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」などもある。
- (※東京書籍が高校ラグビーの事例を紹介)
中学生・高校生に直近で関係ありそうなこととして、高校スポーツがあります。
全国高校ラグビーなどいくつかの大会で、朝鮮「高級」学校(日本の制度ではないので「高級学校」と呼んでいる)の高校が、大会に出場したこともあります。ラグビーでは1994年から高校ラグビーに外国人学校(の高校生相当の課程の学校)も参加できるようになっています。
ほか、東京書籍は紹介してない新しい2024年の事例ですが、
2024年の高校野球の夏の全国大会では(いわゆる「夏の甲子園」)、私立の「京都国際高等学校」という韓国・朝鮮系の高校が優勝しています。文部科学省の指導要領にある条件(日本語での授業を中心とする事。日本の検定教科書を中心に使うこと。平和主義などを守る事、など)を満たせば、高等学校として設立できて、高校スポーツなどの部活の大会にも参加できるという仕組み(もともとは昭和の戦後の時代は、文部省の認可していない民族学校だったが、学校側の方針転換により改革が進み、21世紀になった頃から高等学校としての認可をもらった)。
そこらへんの公立高校や私立高校などと同様に、正式に高等学校としての認可を受けている、民族教育を行う私立高校というのも存在しています。
だからどうだというワケでもないですが、こういう事例もあるので、ご参考に。