憲法について

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法の構成  憲法を頂点として、上にあるほど、強い効力をもつ。強い下位にある法が、上位にある法に反することはできない。

憲法(英:constitution コンスティチューション)とは国の基本となる最高法規(英:supreme law サプリーム・ロー)である。具体的には、憲法は国家や政治のあり方や国民の権利と義務を定めるもっとも基本的な法であり、憲法に違反している法律は無効とされる。(憲法98条)

一方、法律は国会の制定したきまりのことを指す。

日本国憲法の三大原則

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日本国憲法の原則として、国民主権(英訳:the sovereignty of the people)、平和主義(英訳:Pacifism)、基本的人権の尊重(英訳: respect for fundamental human rights)が挙げられる。これは憲法の三大原則と呼ばれている。

国民主権

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日本国憲法では、主権者は日本国民であると、明確に宣言されている。

日本国憲法の前文でも「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と宣言されている。

政治の決め方は、国民からの選挙で選ばれた議員を代表者として、議員を通して議会で政治が決まります。なお、このように、議会を通して政治を決める方式を議会制民主主義(ぎかいせい みんしゅしゅぎ、Representative democracy リプリゼンティティブ・デモクラシー)と言い、また、間接民主制(かんせつ みんしゅせい)とも言う。

日本国憲法の議会のあり方では、大日本帝国憲法の時代と同様に、議会制が取られている。日本国憲法では国民の普通選挙が保障されており(憲法第15条)、公職選挙法によって選挙権は男女ともに18歳以上の大人に選挙権が平等に与えられる。また、最高裁判所の裁判官は国民による審査をうける。

このように、主権者が国民であるという方式や考え方などを「国民主権」という。

天皇について

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アメリカ大使館でのマッカーサー(左側の人物)と昭和天皇(右側)(1945年9月27日フェレイス撮影3枚中の1枚)

日本国憲法では、明確に国民主権が明記され、天皇の主権が否定された。大日本帝国憲法では主権者であった天皇は、日本国憲法では、天皇は日本国の「象徴」と憲法第1条で規定された[1]

政治に関しては、天皇は、実際の政策の決定は行わず、また政策の決定をする権限も天皇は持っていない。天皇は、儀式的な国の仕事である国事行為を行うとされている。また、その国事行為は、内閣の助言と承認にもとづくとされている。

天皇の国事行為は次のようなものが挙げられる。

  • 国会を招集と衆議院の解散[2]
  • 憲法改正、法律、政令、条約の公布。
  • 勲章(くんしょう)などの栄典の授与。
  • 外国の大使や公使の接待。
  • 内閣総理大臣の任命。および最高裁判所の長官の任命。

基本的人権の尊重

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全ての人間が生まれながら持っている基本的な権利を基本的人権(きほんてき じんけん、英:fundamental human rights ファンダメタル・ヒューマン・ライツ)という。基本的人権は憲法第11条にて「侵すことのできない永久の権利」とされている。

基本的人権には、以下のような権利がある。平等権・自由権・社会権(英:Social rights)・参政権(英:Suffrage )・人権を守るための権利がある。これらについては別のページにて詳しく説明する。

公共の福祉

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憲法で定められた権利は、どうあつかっても良いのではなく、社会全体の利益または他人の権利をそこなわない範囲で、憲法の権利の活用がみとめられている。そのために各人の権利を調整する原理を公共の福祉'という。

たとえば授業中に大声でさわいだりして他の生徒の勉強をじゃますることは、他の生徒の「教育を受ける権利」を侵害しているため、授業中に大声でさわぐ生徒を先生が叱っても、人権侵害にはならない。

公共の福祉はあくまで、それぞれの人権の矛盾や衝突を避けたり、調整したりするためのものである。したがって、人権の侵害の口実に公共の福祉を用いることはゆるされていない。

平和主義

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日本国憲法では、戦争をおこさずに平和主義をまもろうとしています。憲法では、日本は戦力(せんりょく)や武力(ぶりょく)を持たないとしており、軍隊を持たないとしていますが、実際には日本国は自衛隊(じえいたい)が戦車などの兵器をもっています。

自衛隊と日米安保条約

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自衛隊が存在していたり、自衛隊が兵器をもっていることは、憲法に矛盾しているような状態なので、批判的な意見や議論もあります。ですが、日本の第二次大戦後の政治では、今までのところ、国会議員の選挙で選ばれた政権が、自衛隊の保有を認める時代が、ずっと、つづいています。


国民の義務

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憲法には権利(けんり、英:right)だけでなく、国民の義務(ぎむ、英:obligation オブリゲイション)についても書かれています。

義務は、納税(のうぜい)の義務(第30条) 、 子供に教育を受けさせる義務(第26条) 、 勤労の義務(第27条) の3つの義務があります。

前文

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日本国憲法の条文は長いので、この節では、すべては紹介できません。この節では、日本国憲法の冒頭に書かれている前文(ぜんぶん)を紹介します。
  • 前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、

われらとわれらの子孫のために、

諸国民(しょこくみん)との協和(きょうわ)による成果と、わが国(くに)全土(ぜんど)にわたって自由のもたらす恵沢(けいたく)を確保し、

政府の行為によって再び戦争の惨禍(さんか)が起る(おこる)ことのないようにすることを決意し、

ここに主権が国民に存(ぞん)することを宣言(せんげん)し、

この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛(げんしゅく)な信託によるものであって、 その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使(こうし)し、その福利(ふくり)は国民がこれを享受(きょうじゅ)する。 これは人類普遍(じんるいふへん)の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づく(もとづく)ものである。 われらは、これに反する一切の憲法、法令(ほうれい)及び(および)詔勅(しょうちょく)を排除する。

日本国民は、恒久(こうきゅう)の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高(すうこう)な理想を深く自覚するのであって、 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは、平和を維持し、専制と隷従(れいじゅう)、圧迫(あっぱく)と偏狭(へんきょう)を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい(しめたい)と思う。 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏(けつぼう)から免れ(まぬかれ)、平和のうちに生存する権利を有する(ゆうする)ことを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的(ふへんてき)なものであり、この法則に従う(したがう)ことは、自国の主権を維持(いじ)し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務(せきむ)であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉(めいよ)にかけ、全力をあげて この崇高(すうこう)な理想と目的を達成することを誓う(ちかう)。

(以上、前文)

憲法改正の手続き

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憲法の改正は、通常の法律とは違う改正の手続きがありますが、改正そのものは日本国憲法でも可能です。 日本国憲法の条文にも改正の手続きが書いてあります。

憲法を安定させるため、改正の条件は、通常の法律よりも、きびしい条件になっています。 通常の法律の改正よりも、より多くの議員の賛成や国民の賛成が、憲法の改正では必要なようになっています。

憲法は最高法規なので、他の法律よりも安定させる必要があり、そのため日本では、きびしい改正の条件になっています。

まず、衆議院と参議院それぞれ両方の総議員の3分の2以上の国会での賛成によって、発議(はつぎ、意味:国会での提案のこと)されます。 この憲法改正の発議では、衆議院と参議院は対等です。

国会での発議ののち、国民投票にかけ、過半数の賛成があれば、憲法は改正されます。

これらの条件の一つでも満たさなければ、その発議での憲法改正は廃案になります。たとえば衆議院の3分の2以上の賛成が合っても参議院の3分の2が満たさなければ廃案です。衆参の3分の2以上を満たしても、国民投票の過半数の賛成に届かなければ廃案です。

以上の条件を満たし、もしも憲法改正が決まったら、天皇が国民の名で憲法改正を公布することになります。憲法改正の公布も、天皇の国事行為の一つです。


さて、西暦2021年7月の時点では、まだ日本国憲法は一度も改正されていません。

  • 国民投票法(こくみん とうひょうほう)

2007年に、憲法改正のための国民投票の手続きを定めた法律の国民投票法(こくみん とうひょうほう)が制定され2010年に施行されました。 なお、国民投票法の正式名称は「日本国憲法の改正手続に関する法律」です。

なお、憲法改正には改正発議のあとの国民投票による「その過半数」(憲法 第96条)の賛成が必要ですが、しかし「その過半数」とは何の過半数なのかは憲法そのものには書かれていません。国民投票法では、有効投票の過半数によって憲法改正をできると制定しています。(※ 検定教科書では、帝国書院や教育出版の教科書で、本文では説明は無いがい、図表で「投票」の過半数だと説明されている。)

有権者の過半数ではなく、有効投票の過半数です。


憲法改正の論点

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憲法の改正で、よく提案される改正案を上げます。

・自衛隊を確実に合憲にするため、憲法第9条を改正するかどうか?
・新しい人権として、知る権利 や プライバシー権 や 環境権 などを、憲法に追加するかどうか?
・国の歴史や伝統にふれた文を前文に書くか?(現在の日本国憲法では、あまり、ふれてない。)

ほかにも、いろいろと改正案はあります。

  1. ^ 天皇を日本国と日本国民統合の象徴とした、現在の天皇制を象徴天皇制という。
  2. ^ ただし、これらを天皇が直接決定するわけではない。