中学校社会 公民/日本国憲法前文についての解説
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前文の意訳、解説
編集- (※ 法律文書は、曲解などを防ぐために主語と動詞のあいだの目的語が長くなる場合が多く、そのままでは学習者には論点が分かりづらい。そのため本ページでは、不正確になるが、長い目的語を分離して次の文に置く意訳をしてみようと思う (つまり、英語のSVO文型の語順と似たように書き換えてみる)。すると、前文には、おおむね以下のような文体に書きかわる。なお、とくに意訳のしかたは法律などでは決まっておらず、ここに書いた意訳もウィキブックス編集者による一例にすぎず、けっして正しい意訳である保証はないので、まちがった意訳かもしれないので、読者には参考程度にしてもらいたい。)
- 意訳
この新しい憲法は、けっしてアメリカから押し付けられた憲法としてではなく、日本国の意志として平和の理想にもとづき新たな憲法を確定したいと思う。 だから、われら日本国民は、まず、つぎの事を宣言する。 :・われら日本国の決意は、世界の平和である。だから、けっして政府の行為によって、ふたたび戦争の惨禍(さんか)が起る(おこる)ことのないようにする事が決意である。 そのため、日本国は諸国との協和を目指す。 (※編集者注: この宣言では、政府は前提として、先の日中戦争および太平洋戦争などの責任などは、政府の行為によるものであると、公式的に認めている・・・とも、文章から解釈できうる。) このような平和の決意および国際協和の決意は、われら日本国にも恩恵をもたらすだろう。「自由」という恩恵である。その自由の恩恵は、われらの子孫のためにもなるだろうと、われら日本国は信じる。 その目的を実現するため、つまり自由および平和の目的を実現するため、 :ここに日本国の主権が国民に存(ぞん)することを宣言(せんげん)し、この憲法を確定する。 (※編集者注: つまり、日本国は民主主義国であることを宣言し、それを憲法として確定することで、日本の民主主義をくつがえせないようにしようとしている。) この民主主義の理念を日本国の議会・法律などで実現するための手続きとして、まず、新しい憲法では、国会における代表者についての規則を決めなければならない。 なので、まず、 :・国会における代表者は、国民からの選挙によって正当に選ばれなければ国会では代表者として行動できない と決めよう。 そもそも国政とは、国民の信託によるものであるから、国政の権威(けんい)は、そもそも国民の信託の権威にこそ由来しているのである。 政治家などのような国民の代表者は、国民の権威にしたがい、厳正に権力を行使(こうし)しなければならない。政治のもたらす福利(ふくり)は、国民がこれを享受(きょうじゅ)しなければならない。けっして代表者の福利のために、国民が虐げられるような事があってはならない。 このような民主主義の原理は、人類普遍(じんるい ふへん)の原理であり、この憲法(日本国憲法)は、かかる原理に基づく(もとづく)ものである。 われら日本国が認める憲法・法令などは、民主主義の原理に反しない憲法、法令(ほうれい)等のみである。あってはならないが、もし日本国内に民主主義の原理に反する憲法・法令および詔勅(しょうちょく)などがあれば、反する法規などのほうを排除するべきであり、けっして民主主義は排除しない。 このような民主主義の理念にもとづき、日本国民は、日本国の国際政治における行動について、つぎの決意しよう。 :・「諸国民が平和を愛しているという考えにもとづき、国際協調の外交などによって、諸国の平和を続くことを願うことで、われらの日本国の安全と生存を保持しよう」。 この協調外交の理想は、各国の人間相互の関係を支配する崇高(すうこう)な理想であると信じており、したがって、この理想を正しい理想として自覚するとしよう。 われら日本国民は、国際社会の平和のために、次のことを思う。 :・「国際社会の平和を、維持(いじ)したい」と思う。 :・「国際社会から、専制(せんせい)と隷従(れいじゅう)、圧迫(あっぱく)と偏狭(へんきょう)を、なるべく地上から永遠に除去(じょきょ)したい」と思う。 日本だけでなく、諸国もまた、同じような理想を求めていると日本国は信じる。このような目標に努めている国際社会において、われらも自発的に、この目標にしたがうことで、「名誉(めいよ)ある地位を占めたい(しめたい)」と思う。 なので、われら日本国は、日本国だけでなく全世界の国民もまた、ひとしく恐怖と欠乏(けつぼう)から免れ(まぬかれ)るべきだと思い、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する(ゆうする)ことを思うのである。 この全世界への理想は、先ほど述べた名誉にも、ふさわしい理想だろう。 したがって、われら日本国は、つぎの事を確認している事を宣言する。 :・全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏(けつぼう)から免れ(まぬかれ)、平和のうちに生存する権利を有する(ゆうする)ことを、われら日本国は確認している、と宣言する。 この宣言にもとづき、われら日本国は、つぎの理想を信じる。 :・いづれの国家も、けっして、自国のことのみに専念(せんねん)して他国を無視してはならない。 日本も、この政治道徳に従うべきである。 この政治道徳の法則は、普遍的(ふへんてき)なものである、と信じる。 日本国が、この政治道徳の法則に従う(したがう)ことは、日本国の責務(せきむ)である、と信ずる。 日本国の主権を維持(いじ)する上でも、他国と対等関係に立たうとするする上でも、日本国の責務(せきむ)である、と信ずる。 だから、日本国は、つぎの政治道徳の理想を信じる。 :・いづれの国家も、けっして自国のことのみに専念(せんねん)して他国を無視してはならない。 :・前項の、この政治道徳の法則は、普遍的(ふへんてき)なものである。 :・この法則に従う(したがう)ことは、自国の主権を維持(いじ)し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務(せきむ)である。 日本国民は、国家の名誉(めいよ)にかけ、全力をあげて、この崇高(すうこう)な理想と目的を達成することを誓う(ちかう)。 (意訳、おわり。)