中学校社会 公民/景気の変動と物価
さまざまな商品の価格を平均した価格を 物価(ぶっか) という。
いっぽう、景気(けいき)とは、次のような事である。
- 景気(けいき)
- ・ 好景気(こうけいき) : モノがよく売れたり、収入が多くて生活が楽な時代や状況のことを 好景気(こうけいき、英:boom) あるいは 好況(こうきょう) と言う。
- ・ 不景気(ふけいき) : モノがあまり売れなかったり、収入が少なくて生活が苦しい時代や状況のことを 不景気(ふけいき、英:depression [1]ディプレション ) あるいは 不況(ふきょう) と言う。
物価と景気は、べつの概念(がいねん)だが、物価の動きと景気は深く関わりがあり、物価と景気の組み合わせによって、いろんな経済現象が起きる。それを、これから学んでいく。
物価のインフレとデフレ
編集物価のデフレーションとは、単に多くの商品の物価が、全体的に下がっていくことです。
物価のインフレーションとは、単に多くの商品の物価が、全体的に上がっていくことです。
- 物価の上昇(= インフレーション)のことを、単にインフレーションと言ったり、あるいは単にインフレと略す場合が多いです。英語でも inflation (インフレイション) と言います。
- 物価の下降(= デフレーション)のことを、単にデフレーションと言ったり、あるいは単にデフレと略す場合が多いです。英語でも deflation (デフレイション) と言います。
物価が上がること自体は、別に好況でも不況でも無い。同様に、物価が下がること自体も、別に好況でも不況でも無い。
- 物価指数(ぶっか しすう)
物価のうごきは、前年度を基準の100とした指数で表すことで多い。このような指数で表した物価の動きを 物価指数(ぶっか しすう、英:price index) という。 たとえば物価が前年度より5%上がったら、物価指数は105である。
物価指数を、英語で Consumer Price Index というので、英語の頭文字を取って CPI と略す場合もある。
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- ・ bese period cost :基準(きじゅん)年の物価
- ・ updated cost :その年の物価
(※ ウィキペディアの仕様で数式表示中に日本語が使えないので、英語ですがガマンしてください。)
物価には生産財の物価である企業物価(きぎょう ぶっか、英:producer price)と、消費者が実際に購入する消費財の物価である消費者物価(しょうひしゃ ぶっか、英:consumer price)がある。消費者物価指数(しょうひしゃ ぶっかしすう、consumer price index、 略:CPI)とは、消費者物価の物価指数のこと。
- インフレと景気の関係
好景気のときは、物価が高くても安心して買えるから、商品の値段が高くてもモノが売れるので、物価が上がりやすく、インフレになりやすい、と言われています。
しかし、物価が高くなっても、かならずしも好景気とは限りません。インフレでも不景気になる場合はあります。
例えば第二次大戦前の世界恐慌時のドイツでのハイパーインフレ(hyperinflation)のときは、ドイツは失業が増えて不況でした。 日本では、中東で中東戦争が起きて石油の輸入が滞って石油危機(oil crisis [2])が起きた時には、多くの商品の物価が上がりました。この石油危機のとき、多くの会社が倒産しました。
インフレになった時、賃金も上がることが多いが、物価も上がる。たとえ賃金が上がっても、物価がそれ以上に上がれば、労働者の暮らしは楽にはならない。そこで、物価との比較で見た実質的な賃金のことを実質賃金(じっしつ ちんぎん)と言い、賃金を消費者物価指数で割り算した数で表す。
つまり労働者の給料が2割増加しても、同時に物価も2割増加しているならば労働者は多くの物資を購入できるようになっていないため実質賃金は向上していないというわけである。労働者の賃金が変化していなくても経済状況などにより物価が上昇しているならば実質賃金は下落しているということになる。
- デフレと景気の関係
いっぽう、不景気のときは、お金を節約しようとして、なるべく安い商品を買いたがるので、デフレになりやすいと考えられています。しかし、物価が下がっていっても、かならずしも不景気とは限りません。
技術革新などをすれば、今までよりも安く物を作れるようになるので、物価は下がります。たとえば、日本の第二次大戦後の高度経済成長期には、工業技術の進歩により、多くの工業製品の値段は下がっていきました。しかし高度成長は物価が下がっても好景気であり、不景気ではありません。
デフレと不景気は違います。 日本では、バブル崩壊後の不景気の時期が、デフレの時期とも重なったので、「デフレ不況」(デフレふきょう)と言われましたが、けっして不況になると必ずデフレになるというわけでは、ありません。
- 物価と貯金の関係
通貨を基準にして物価のしくみを考えましたが、逆に物を基準にして通貨について考えることもできます。
インフレは、たとえば今まで100円の物が120円になれば、通貨の1円あたりの価値が下がったことになります。今まで100円を出せば買えた物が、今度は120円を出さないと買えなくなったわけですから。
なので、貯金をしている人にとっては、インフレでは、貯金の価値が下がります。
デフレでは、通貨の価値が上がることになります。たとえば今まで100円の物が90円になれば、100円を使えば10円があまって、その10円で別の物を買えます。
なので、貯金をしている人にとっては、デフレは貯金の価値が上がります。
- 不況下での物価の影響
インフレでの不況の場合、物価が上がるので、消費者は物が買いづらくなり、消費者は苦しくなります。
いっぽう、デフレでの不況の場合、生産者は物の値段を上がられないので、売り上げを出しづらく、生産者が苦しくなります。
大人の消費者は、お金をかせぐために仕事をしているので、別の場所では生産者でもあります。 なので、インフレ化で不況の場合、まず消費者が苦しくなりますが、いずれ生産者も苦しくなります。
また生産者は、稼いだ所得で消費するので、別の場所では消費者でもあります。なので、デフレ下で不況の場合は、まず生産者が苦しくなりますが、いずれ消費者も苦しくなります。
- 経済政策
物価が急激に大きく上がり下がりすると、経済が混乱するので、どの国でも各国の政府は自国の物価を安定させる努力をしています。
また、政府が通貨を多く発行したりして市場に流通させれば、市場に多くのお金が流れ込みますが、社会全体の物の量はそのままなので、物価が上がりインフレになるのが普通です。
デフレ下で不況の場合、デフレの影響を弱めるために、このようなインフレ政策が取られる場合があります。
- 景気の循環(じゅんかん)
好景気と不景気が、交互に繰り返されていくのが、普通です。
どんな好景気もつづかず、終わります。不景気も、いつかは終わっていくのが、普通です。
- 好景気が終わるパターン
たとえば、よく売れる商品は、多くの企業が、その商品を作ります。その結果、そのうち社会全体では、その商品が作りすぎになって、売れ残りが出てしまい、余って在庫(ざいこ)になってしまいます。 売れ残りのぶんは、当然、もうかりません。なので、生産に使ったお金が回収できなくなります。 生産しても売れなければ、お金が回収できなくなるので、当然、新しくその商品を生産をする会社は減ります。そうなると、今までその商品を作っていた会社や労働者は役割がなくなるので、失業が起こります。
このようにして、ある業界では好景気が終わり、不景気になっていきます。社会の多くの業界で好景気が終わり不景気になれば、社会も不景気になっていきます。
- 不景気が終わるパターン
不景気も、労働者がきちんと努力をしていれば、いつかは終わるのが普通です。
なぜならば、不景気では、生産しても売れないのだから、生産量が減っていきます。そうなると、そのうち社会全体で物の量が減っていきます。そして社会で物不足になっていき、みんなが困るようになれば、今度は物が必要なので物が売れるようになっていきます。こうして、物を生産すれば、売れるように変わるので、好景気になっていきます。
こうして、不景気も終わっていくのが、普通です。
このようにして、好景気と不景気が、交互に繰り返されていくのが、普通です。