税金

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税金には、都道府県や市町村に(おさ)める 地方税(ちほうぜい) と、国に納める国税(こくぜい) がある。

主な税金の種類

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主な税金の種類
  直接税 間接税

 所得税 
 法人税 
 相続税 
 消費税 
 酒税 
 揮発油税 
 関税 
 たばこ税 






 都道府県民税 
 事業税 
 自動車税 
 地方消費税 
 たばこ税 
 ゴルフ場利用税

(区)


 市区町村民税 
 固定資産税 
 市町村たばこ税  
 入湯税 

酒税は「しゅぜい」と読む。関税は「かんぜい」で、外国からの輸入物に対して、かけられる税金。

直接税と間接税

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直接税

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所得税と法人税は、税金をおさめている人(納税者)と、税金を負担している人(担税者)が同じ人である。このような(税金を納めている人と負担している人が同じ)税金を直接税という。また、直接税の多くは収入が多くなるほど税率が大きくなる累進課税(るいしん かぜい) という仕組みが取られている。累進課税制度では、高所得者と低所得者とあいだの、納税後の収入を近づける結果になるので、格差の拡大のゆきすぎを防ぐという仕組みがある。いっぽうで、あまりにも累進の度合いが高すぎると、他人より多く働いても、多くの税金を持って行かれてしまうので、働く意欲をそこなう可能性もあると指摘されている。

また、所得税は、累進課税などの格差拡大をふせぐ仕組みから、一見すると公平な税金の取り方のように見えるが、会社などで働いている世代に多くの負担を求める税だともいわれている[1]

主な直接税は所得税(しょとくぜい)法人税(ほうじんぜい)相続税(そうぞくぜい)である。

  • 所得税
仕事をして個人が収入をえた時に、その収入にかかる税金。
  • 法人税
会社の1年ごとの利益にかかる税金。
  • 相続税
亡くなった人の財産をもらうときに発生する税。
  • 消費税
すべての商品の値段に一定にかかる税金(付加価値税)。第二法人税とも呼ばれる。売り上げにかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いた110分の10を消費税として国に納める。
日本では、税率は2019年10月1日から10%である(食料品と新聞は8%)。
消費者から預かり事業者が納める「間接税」と教わる場合があるが、それは全くの嘘であり法律上は直接税である。
累進課税ではなく「逆進性(ぎゃくしんせい)」の税で[2]、事業者は赤字であっても納めなければならない為、課税事業者と免税事業者のボーダーラインが設けられている。
しかし2023年10月1日から始まったインボイス制度により、それまで免税事業者だった小規模事業者がインボイス登録を余儀なくされ課税事業者になるケースが発生している。

他にも次のような直接税がある。どれも地方公共団体に納める地方税である。

  • 住民税
住所を登録している市町村などの自治体に払う税金。累進課税制度は取られておらず一定税率である。
  • 固定資産税
保有する土地や家屋といった不動産(ふどうさん)などの固定資産(こてい しさん)にかかる税金。

発展的補足

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教育出版などの一部の教科書でも触れられているので、ここでもいくつか補足しよう。また、検定教科書ではないが、資料集などで触れられている場合もある(とうほう社『ビジュアル公民2020』にて、確定申告の記述があるのを確認)。

ここで説明する制度の具体的な方法・内容については中学高校のレベルを大幅に超えるので、大まかな説明にとどめる。しかし、皆さんも将来、アルバイトをしたり仕事に就いたりしたときによく聞くようになる言葉なので、できれば読んでほしい。

所得税の場合、確定申告(かくていしんこく)という、所得を税務署に申告する制度を利用する。これによって、支払うべき所得税額を確定し、自分で税を納める。普通は、働いて収入を得た人は全て確定申告をしなければならない。

しかし、日本などでは、会社員が会社から受け取る給料は、あらかじめ所得税が差し引かれているのが普通である。なぜなら、会社員の場合、会社側が確定申告を会社員に代わって行い、所得税を払っているからだ。こうした仕組みを「源泉徴収(げんせん ちょうしゅう)」という。「年末調整(ねんまつ ちょうせい)」はこれに関する制度。

ただし、会社員であっても1000万円以上の収入がある場合や複数の会社から収入を得た場合には自分で確定申告をしなければならない。

間接税

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いっぽう、税金を納める人(納税者)と、税金を負担する人(担税者)が別々の人である税金を間接税(かんせつぜい)という。たとえば、消費税の場合、税金を負担するのは消費者であるが、税金を納めているのはお店などの小売店である。

間接税の税率は個人の収入には関係しない。税金を負担する人は商品を買った消費者である。値段の中に、税がふくまれている。

主な間接税は、入湯税・関税・酒税などである。

  • 関税
外国からの輸入品にかかる税。税率が高ければ輸入しにくく、低ければ輸入しやすい。そのため、輸入する量をコントロールするのに使われることが多く、関税の上げ下げがしばしば国際問題になる。

税の取立てにおける公平とは何か

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所得税にも消費税にも、それぞれ長所と短所がある。

まず、所得税を中心に税金を集めると、おもに働く世代から税金を取っていることになる。だから、所得税だけで税金を集めることは、世代の公平性という観点からは望ましくない。しかし、収入の差を減らし、人々の間の格差をなるべく縮小する点で優れている。

一方、消費税は、年代に関係なく商品を買うので、どの年代の人たちからも、税金を取りやすい仕組みになっている。そのため、世代間の公平という点では優れている。一方で、収入の低い人でも、消費税を払うことになるため、消費税は収入のひくい人にも、負担をしいる。このため、消費税は、収入がひくいほど、収入における税の負担の割合が大きくなるという、「逆進性(ぎゃくしんせい)」がある。また、消費税は、消費をすればするほど税金を払うことになりますので、消費意欲をそこなって、消費が低迷する可能性がある[3]

税を集める効率性という点ではどうだろうか。

収入によって税率が変わるというのは、払うべき税金額の計算や手続きなどが複雑になり、その制度のための費用なども掛かる。また、税務署が、すべての人の収入を把握するのは難しい。所得税だけでは、収入をかくす人も出るだろう。だから、所得税だけの税制だと、業種ごとの不公平が生じる。

いっぽう、消費税のように税率が一定なら、消費をするたびに税金を払うことになり、業種に関係せず人々は消費するので、そういう意味では消費税は公平でもある。このように、消費税には、業種によらず公平に税金をとれるという長所があることなどから、多くの国で、消費税は導入されている。しかし、消費税は支払う企業側の事務処理や資金の負担などが大きい。食料品などの特定の商品は消費税率を安くする軽減税率は制度が複雑になり、事務処理の負担がさらに増す。

結局、どんな税金の取り方にも、長所と短所がある。

ひとつの種類の税金に片寄ることなく、いろんな方式の取り方の税金を、組み合わせる必要がありそうだ。


  • なお、2020年以降の現在、消費税における軽減税率の制度はすでに導入されている。軽減されない品目については消費税率は10%である。軽減税率の適用される品目については消費税率が8%になる(※ 日本文教出版の教科書で紹介を確認)。
外食は税率10%だが、そうでない飲食料品は税率8%
。水道・光熱は(軽減税率が適用されず)税率10%。
新聞は軽減税率が適用され、つまち新聞は消費税率8%。

税金の意義

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税金は、だれかが負担しなければならない。

公道などの道路を作ったり修理したりするのにも税金は使われている。ほかにも、公立の学校の設備や公立学校で働く先生や職員などの人の給料にも、税金は使われている。市役所など役所の設備や、そこで働く人の給料にも、税金は使われている。警察署や消防署も、税金がつかわれている。

道路をなくすわけにはいかない。市役所などの行政サービスもなくせない。だから、税金が必要になる。

  1. ^ 日本文教出版の教科書で紹介されている見解。
  2. ^ 教育出版の教科書で「逆進性」の語句がある。
  3. ^ 帝国書院の教科書で紹介されている見解