中学校社会 公民/経済活動とは

法律や公務員だけでは社会は動かず、民間の会社で労働をする多くの人たちによって、社会は支えられています。

職業の種類は、とても多いので、すべてを個別に解説はできません。 ところで、どのような買い物にも、お金が、かかります。物を買ったりサービスを受けたいするのにも、お金を払う必要があります。

なので、お金の流れを見ることで、社会での労働のしくみを、つかみやすくなります。また、労働を お金の流れ で表すことによって、計算できるようになりますし、大きさをくらべたりすることも出来るようになります。

ボランティアや家の手伝いなど、お金をやりとりしない労働もあります。ですが中学公民の経済分野では、とりあえずは、計算しやすさという理由で、お金のやりとりで表される労働を中心に考えていきます。

また、公民の「経済」(けいざい)の分野では、特定の職業にかぎらず、すべての労働に共通する仕組みについて、全体的に考えていきます。

お金も、特定の職業に限られずに、すべての職業で用いられているので、お金のやりとりの分析をすることで、特定の職業にかぎらずに通用する分析ができそうですね。

では、お金と労働との関係について、いろいろと学んでいきましょう。

生産と消費編集

まず、企業などが商品を製造し販売しているとき、その企業を、商品の 生産者(せいさんしゃ、英:producer プロデューサー) と見なします。そして商品を買う個人を、その商品の 消費者(しょうひしゃ,英: Consumer コンシューマー) と見なします。

ここで言う生産は、なにも食料品や自動車などの工業製品のような具体的な形のあるものだけに限らず、鉄道会社などが交通機関を提供したりなどの有料のサービスの労働も生産と見なすのが、経済学では普通です。なので、電車やバスやタクシーで、有料で人を運んだりすることもサービスの提供なので「生産」です[1][2][3][4]

医者などが病院で医療行為をするのもサービスの提供なので[5][6][7][8][9] 「生産」と見なします。


世間一般でいう「サービス」や「生産」の意味と、経済学で言う「サービス」や生産の意味は違うので、アタマのすみに置いておいてください(中学生には、医療が「生産」や「サービス」かどうかとか、電車が生産が「生産」や「サービス」かどうかとかは、あまり重要ではないので、無理に分類を暗記しなくていい。実際、東京書籍はこの話題を扱っていない)。

※ 参考書『中学公民の発展的学習』(2012年 第3刷、188ページ)によると医療行為もサービスとみなすとある。また検定教科書では清水書院『新中学校 公民

日本の社会と世界』(平成25年2月25日検定版、96ページ)では、病院で治療を受けることも「サービス」とみなすとある。また、高校教科書「高等学校 新政治経済 最新版」(清水書院、平成25年3月26日 検定版、76ページ)によると、商品(正確には財)やサービスを作り出すことを「生産」という。よって医療行為も「生産」に分類される。中学教科書だけでなく、高校の検定教科書の出している山川出版でも同様、医療も「サービス」に含めている。

こう考えると、仕事をして お金をかせぐことは、「生産」と見なせそうです。こうして、まとめて生産という言葉で表すことで、いろんな職業の労働をまとめて分析できます。

公民では、労働を生産(せいさん、production プロダクション)活動と捉えることで、私たちがその労働の成果に金をはらうことを消費(しょうひ、consumption コンサンプション)と考え、生産と消費の関係を考えていくことで、社会における労働全体のしくみを考えていくことで、労働に対する理解をふかめます。

  • (ざい)

消費者は、生産者のつくった商品などの成果を買って消費します。生産者のつくった商品などのことを (ざい、英:goods グッズ) といいます。消費者は財を消費します。消費者が購入して使うだけの、ふつうの商品などの財を消費財(しょうひざい)という。財の中には、食料品のように、買ってからすぐに使用して無くなるものもあれば、家具や家電製品などのように長く残る物もある。家具などのように長期間つかう財のことを 耐久消費財(たいきゅう しょうひざい、英:durable goods デュラブル・グッズ)と言う。

家計編集

一家の経済生活のやりくりのすべてを総称して 家計(かけい、Family finances) と言う。父母の月々の収入や貯蓄から、家族の1ヵ月の生活のもろもろの支出(ししゅつ)・ローンの支払いなどを差し引きしたものである。

経済学においては、消費側の最小単位として、個人の消費者ではなく世帯ごとで考えた家計(かけい)という言葉を用いる。これは、家賃や光熱費など家族に共通の支出があるなど、家計の支出や貯蓄、投資などの決定が、個々の世帯員単位ではなく世帯単位で行われると考えられるからである。

貯蓄編集

たいていの家庭では、収入の一部を将来にそなえて取っておく。つまり貯金をしている。この収入を取っておくことや、取っておいた収入のことを 貯蓄(ちょちく、英:saving) という。貯蓄を、病気など不慮(ふりょ)の出来事の対応などに当てたりしています。

貯蓄のお金の保管方法としては、銀行や信用金庫などにお金を預ける方法が普通であり、自宅でお金の多くを保管する家庭は少ない。 自宅には生活費などで必要な分だけを置いて、それ以上の大金は銀行などで保管してもらうのが一般的である。

エンゲル係数編集

家計の消費支出の内の、食糧費のしめる割合のことを エンゲル係数(エンゲルけいすう、英:Engel's coefficient エンゴルズ・コウフィシエント) と言う。

収入が少なくても、どこの家庭でも生きのびるために食べ物が必要なので、所得が低くても食料費の支出は下がらないのが普通である。

逆に所得が増えるほど、食費以外の消費が増える傾向がある。この結果、低所得者ほど支出のうちの食費のしめる割合が大きくなる傾向があり、この傾向のことを エンゲルの法則(英:Engel's law) という。

なので、所得が低いほどエンゲル係数が大きくなり、所得が増えるほどエンゲル係数が小さくなる傾向がある。

売り上げと利潤編集

では、そもそも企業は、なぜ、生産をするのでしょうか?

企業が生産をするのは、お金をかせぐためです。たとえば製造業の場合、企業が作った物を売ることで、お金が手に入ります。そうして物からお金に変えた分のお金を「売り上げ」(sales セールス)といいます。

けっして、売り上げのすべてが社長や従業員たちの収入になるわけでは、ありません。これからも会社が仕事をつづけるのにも、設備を維持したりなどのお金がかかります。原材料を購入するのにも、お金が、かかります。このように、今後の費用がかかります。 なので、多くの企業は、売り上げの多くを会社の貯金にまわし、今後の仕事の費用として貯金します。ふつう、従業員の給料は、売り上げによらず変わらないのが、社長でも 雇われ(やとわれ)サラリーマン でも一般です。


従業員は、会社から給料をもらうことで、お金を稼げます。こうして従業員は 収入(しゅうにゅう、英:income インカム) を得られます。


このような、仕事をするために、かかってしまうお金のことを「費用」(ひよう、英:cost コスト)とか「経費」(けいひ)とかと言います。 商品の売り上げは、材料費などの経費よりも大きくないと、仕事をしても儲からなくなり、その会社は損をしてしまいます。

なので、売り上げから経費を引いた金額が、儲けにあたり、大事です。売り上げから経費を差し引いた利益のぶんの金額のことを 利潤(りじゅん、英:profit プロフィート) と言います。

つまり、式で利潤を表せば、

(利潤) = (売り上げ) ー (費用) 

です。

企業は、もし利潤が稼げないと、経費を払えなくなってしまい、だから原材料なども買えなくなってしまい、その仕事を続けられなくなります。 利潤が大きければ大きいほど、これからも安心して仕事をつづけやすいので、なので、ふつう、どの企業でも、利潤を大きくすることが、その会社の目標になります。

企業には、利潤の追求の他にも、法律などを守ったりなどの社会的責任も要求されますが、まずは法律の認める範囲内で利潤を確保しないと企業は存続できませんので、ほとんどの企業は利潤の追求を目標にします。

これらの説明は、会社から見た立場です。会社の社長などから見た立場です。

所得(しょとく)編集

従業員の立場で見ましょう。 従業員は、かせいだ給料(きゅうりょう)で物を買えます。

給料などのように、労働をして、収入として得た金額のことを所得(しょとく、英:income)と言います。中学校の場合では、「 収入 = 所得 」と捉えて問題ないです。税金なども払い終わっており、自由に使えるぶんのお金のことが所得だと思って問題ないでしょう。

※補足 細かく言うと、会社から支給される収入には、あらかじめ所得税や社会保険料(いわゆる年金)などの費用が差し引いてあるのが普通なので、所得税などの税金の分を引いた給料の額を 所得(しょとく) と言います。
 なお、会社が、従業員への給料で、あらかじめ所得税や社会保険料(いわゆる年金)などの費用が差し引いて、給料を渡すことを、源泉徴収(げんせん ちょうしゅう)と言います。


  • 財産所得(ざいさん しょとく)
お金の稼ぎ方には、会社で働く以外にも、お金を貸したりして利子を得たり、土地やアパートなどの家屋を貸して賃料(ちんりょう)を得るという方法もあります。
株や銀行預金などとして運用して収入を得るという方法もあります。
このように、お金や土地などの財産を貸したり運用したりして得られた収入のことを 財産所得(ざいさん しょとく、英:income from property) と言います。


  • 勤労所得(きんろう しょとく)
いっぽう、これとはべつに、会社で働いて得た所得収入のことを 勤労所得(きんろう しょとく、英:earned income) と言います。

いわゆる「サラリーマン」などの、ふつうの労働者は、勤労所得でお金をかせぐことが多いでしょう。


  • 個人業主所得(こじんぎょうしゅ しょとく)
個人やその家族で、小さい商店を経営していたり、小さい町工場などを経営していたりする場合は、いわゆる自営業(じえいぎょう、英:self-employment)などの収入は 個人業主所得(こじんぎょうしゅ しょとく) と言います。


なお、株式会社(かぶしき かいしゃ)の社長の給料の所得は、ふつうは勤労所得として扱います。株式会社の持ち主は、株主であって、必ずしも社長は自社の株(かぶ)を多く持つ大株主(おおかぶぬし)とは限らないからです。個人業主の収入は給料(きゅうりょう)では、ありません。給料というのは、事業主が部下に与える報酬(ほうしゅう)であり、事業主本人は部下では無いからです。個人事業の収入から経費や税金などを引いた所得が、そのまま、事業主の所得になります。


なお小さな商店などで、実質的には自営業であっても、税金などの扱いの差の理由から、株式会社として設立される場合があります。

可処分所得編集

収入から税金と社会保険料など支出する義務のある分を差し引いた残りの金額のことを 可処分所得(かしょぶん しょとく、英:disposable income ディスポーザボル・インカーム) と言います。 単に「所得」や「収入」と言っただけの場合、税金などが引かれた残りの金額のことなのかどうかがハッキリしないので、税金などを引いた残りの所得額だとハッキリさせる場合に「可処分所得」という言葉を用います。

つまり可処分所得とは、実際に所得者が使える金額のことです。

生産要素編集

現代の産業では、一つの生産者が全ての財を自分で作ることは、ほとんどの産業では無理であり、生産者もまた、他の生産者が作った原材料や生産設備などの財を元にして、その財を用いて商品を生産している。この生産設備や原材料などを 資本財(しほんざい、英:capital goods キャピタル・グッズ) と言う。機械設備などのように、長期間、残り続ける資本財のことを 固定資本(こてい しほん、英:fixed capital フィックスド・キャピタル) という。原材料や労働力などは固定資本では無い。

生産活動には設備のほかにも、従業員や労働者などの労働力(ろうどうりょく)が必要であり、さらに工場や店などを建てるための土地などの自然(しぜん)が必要である。

これら、設備・労働力・土地などの生産に必要な財をまとめて生産財(せいさんざい、英:producer goods)という。 生産財の内、とくに設備・労働力・土地の3つを「生産の3要素」などと言う。生産には、これ以外にも技術や特許や専門知識・ノウハウなどの 知的財産(ちてき ざいさん、英: intellectual property インテレクチュアル・プロパティー) が必要な場合もある。


※ 脚注編集

  1. ^ (検定教科書)清水書院『新中学校 公民 日本の社会と世界』、平成23年2月25日検定版、平成25年2月15日 再版発行、96ページ)
  2. ^ (検定教科書)帝国書院『新中学校 公民 日本の社会と世界』、平成23年3月30日検定版、平成25年1月20日発行、106ページ
  3. ^ (検定教科書)育鵬社『中学公民 新しいみんなの公民』、平成23年3月30日検定版、平成25年2月15日発行、106ページ(※ 帝国書院と同ページなのは誤記ではなく、本当に同じページにある)
  4. ^ (※ 東京書籍はこの話題を扱っていない。)
  5. ^ (検定教科書)清水書院『新中学校 公民 日本の社会と世界』、平成23年2月25日検定版、平成25年2月15日 再版発行、96ページ)
  6. ^ (検定教科書)帝国書院『新中学校 公民 日本の社会と世界』、平成23年3月30日検定版、平成25年1月20日発行、106ページ
  7. ^ (検定教科書)育鵬社『中学公民 新しいみんなの公民』、平成23年3月30日検定版、平成25年2月15日発行、106ページ(※ 帝国書院と同ページなのは誤記ではなく、本当に同じページにある)
  8. ^ (※ 東京書籍はこの話題を扱っていない。)
  9. ^ 日本だけでなく、アメリカ合衆国の経済学でも医療は「サービス」である。 参考文献: ゲーリー.E.クレイトン原著『アメリカの高校生が学ぶ経済学』、大和証券商品企画部 訳、2005年10月29日 第1版 第4刷、24ページ