中学校社会 公民/資源問題、エネルギー問題、食料問題

エネルギー問題

編集

日本はエネルギー資源の80%ちかくを輸入にたよっている。

原子力発電

編集

原子力発電とは、ウランなどの放射性物質を用いて、放射熱で水蒸気を発生させて発電する方法である。

使用済み核燃料に含まれるウランやプルトニウムを再処理工場で再生する試みは、1993年から建設を始めたが未だに(2019年)再処理工場が完成していない。

火力発電とは違い、石油などの化石燃料を原子力発電では用いないので、原子力発電は温室効果ガスを出さない。しかし、日本には原子力発電所から排出される放射性廃棄物の最終処分場がない。また、原子力発電所からは、放射性のトリチウムやキセノンガスが放出され、原子炉の定期点検のために放射線被ばくを伴う作業が必要になる。

日本では1970年代のオイルショックによる石油不足の反省などから、エネルギー源の確保の観点から石油だけでなく天然ガスなどエネルギー源を多様化する政策が取られてきた。 そのエネルギー源多様化の政策の一環で、ウランも発電用エネルギー源として輸入されてきた。

2009年2月には、日本に55基の発電用原子炉があり、日本の発電量の3割を原子力発電が占めていた。内訳は、水力発電が約10%、火力発電が約60%原子力発電が約30%だった。

2011年の東日本大震災での原子力発電所の事故により、国内の全ての原子力発電所で追加の安全対策工事が必要になった。2013年9月15日から2015年8月10日までの約2年間に渡り、すべての原子炉が稼働停止したが、その間に日本の電力が不足することはなかった。

地震や火山活動が活発な日本列島での原子炉の安全性に不安が大きく、外国からのミサイル攻撃の標的になる可能性も指摘されているために、今後の原子力政策のあり方の議論が高まっている。

再生可能エネルギー

編集

石油などの化石資源やウランなどの有限な資源を用いない、再生可能な太陽光発電、太陽熱発電、風力発電などは、発電の効率が悪い。

たとえば太陽光発電では、原理的に広い土地を必要とし、また夜間は発電できない。改良は進められているが、しかし、どんなに改良が進んでも、地上にふりそそぐ太陽光そのもののエネルギー以上には発電できない。

その他のエネルギー

編集
  • バイオ燃料

サトウキビなどからエタノールを作り、そのエタノールを燃料にするバイオエタノールがある。 当然、増産した分だけ食料の生産量は減る。そのため、増産できる量には限りがある。


  • 燃料電池(ねんりょう でんち)

水素ガスなどからエネルギーを取り出せる燃料電池は、べつに発電方法では無い。電池は、発電した電力を蓄える装置でしかない。水素ガスを作るために、別の電力が必要になる。


(※高校卒業後の範囲)一次エネルギーと二次エネルギー

エネルギーのうち、原油、天然ガス、石炭などのような化石燃料や、ほぼ無加工で使えるエネルギーのことを「一次エネルギー」と言う。

いっぽう、電気は「二次エネルギー」である。都市ガスやガソリンを、二次エネルギーに分類することもある。

原子力は、発電の手段でもあるので、原子力を一次エネルギーに分類することもある。

復習

「化石燃料」(fossil fuel) とは、原油(石油)、石炭、天然ガスのこと。大昔の動植物(動物や植物)の死体が、地中などで圧縮・集積したものが、これらの燃料の大元だと考えられているので、「化石燃料」という。

人口増加と食料問題

編集

現在(2014年)、世界の人口は約70億人である。これからも人口は増加する見込みである。

世界の人口は1900年ごろから急激に増え始めた(1900年には約16億5000万人。)。 特に第二次世界大戦後の1950年には25億人を突破した。このような急激な人口の増加は「人口爆発」(じんこう ばくはつ、英:Human overpopulation)と言われた。

現在(2014年)では、ヨーロッパや日本などの先進国では少子化による人口の減少の傾向がある。しかし、途上国では人口が増加する傾向にあり、地球全体としては人口は増加する見通しである。近年では、アフリカ諸国や中東(ちゅうとう、アラビア地方のこと)で、人口の増加が大きい。


人口が増えるいっぽう、食料の生産量が増加できる見込みは無いので、将来的に食料が不足する危険性が高まっている。

食べ物だけでなく、飲み水も不足する恐れがある。

人口の増加によって、エネルギー源も不足する恐れがある。また環境の悪化を起こす可能性も高いと考えられている。

国連の予測では、2050年には世界の人口は約90億人になると国連は考えている。

限りある資源

編集
おもな資源の可採年数
(2000年〜2010年ごろ)
原油  52年
鉄鉱石  152年
ボーキサイト   100年以上
石炭  83年
天然ガス  60年
ウラン  77年
 30年〜60年程度

石油や石炭など資源の埋蔵量には限りがあるので、今後に採掘できる 可採年数(かさい ねんすう、minable years、または R/P ratio、reserves/production ratio) は限られている。

限りある資源は、何もエネルギー資源だけに限らず、鉄鉱石など鉱物の埋蔵量にも限りがある。

なので、鉱物資源を用いた製品をリサイクルしていくことが必要である。

※ 可採年数は、変動する。その計算の時点での、埋蔵量と生産量から計算しているので、今後の生産量が変動したり、新たに埋蔵が確認されたりすることで、可採年数は変動しうる。そのため、年度や資料によって可採年数の数字が異なるので、参考程度にしていただきたい。

持続可能な社会

編集

人間にやさしい環境を維持するために、社会を持続可能なものにしなければならない。

エネルギー問題の解決に必要なことは、けっして技術や制度だけに頼るのではなく、生活を見直してエネルギーの消費そのものを減らしていくように自分たちを改革する必要があるのだろう。

「地球にやさしい環境」などという言葉があるが、べつに地球は泣きも笑いもしない。たとえば石油が枯渇して困る生き物は人間であり、鳥や魚などの他の生き物ではないし、まして地球そのものは惑星であり生物ですらない。

森林資源の保護などは人間以外の動物にも優しいかもしれないが、環境保護の目的はあくまでも人間のためである。

われわれ人間は自分が生きるために、豚や牛や魚を殺して食肉として食べている。

 
SDGsのロゴ

2015年、2016年から2030年までの持続可能な開発目標として SDGs(エスディージーズ) が定められました。

SDGs(持続可能な開発目標)の文字 D の意味する「開発」(Development)には、経済的な豊かさだけでなく、精神的・人道的な豊かさも含まれており、 なのでたとえばフェアトレードなどもSDGsの考え方に合致しています(※ 教育出版の見解)。

SDGsの内容
  1. 貧困(ひんこん)をなくそう
  2. 飢餓(きが)をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉(ふくし)
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー(性別による区別)平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界(じゅう)
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも 経済(けいざい)成長も
  9. 産業と技術革新(かくしん)基盤(きばん)をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任(ごみの削減(さくげん))
  13. 気候変動に具体的な対策(たいさく)
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう


※ 他教科関連

編集
※ 最近の電子教科書には、こういうのがある。