中学校社会 地理/世界と比べてみた日本 人口

世界の人口 編集

世界の人口は約80億人。(2023年)

人口密度 編集

 
1994年の世界の人口密度の分布図。ピンクの領域が最も高い人口密度の領域を表す。茶色の領域は、その次に密度が高い。
灰色: < 2 人/km2
緑色: < 2〜10 人/km2
オレンジ色: < 11〜40 人/km2
赤: 41〜100 人/km2
茶色: 101〜500 人/km2
ピンク: 500〜 人/km2
 
世界人口 1800-2100年(国連 (2004) 及びアメリカ国勢調査局の評価・推計に基づく)
黒線:推定値、青線:統計値、赤・橙・緑線:国連の推計値(それぞれ高位・中位・低位)

ある国や地域の人口を、その国や地域の面積で割った量を 人口密度(じんこう みつど、英:population density) と言う。

世界で見ると、東アジアや東南アジアの人口密度が高い。この理由は、これらの地域は稲作などがさかんであり、食料生産が多いからである。

いっぽう、アフリカなどの乾燥帯や、ユーラシア大陸の北部の寒帯、北アメリカ大陸の北部の寒帯では、人口密度が低い。

世界の人口は、アジア地域に6割が集中している。

世界の平均の人口密度は1km2あたり、約50人です。(約50人/km2

いっぽう、日本の人口密度は、約343人/km2であり、人口密度の高さの順位が日本は世界で約34位であり、世界の中でも日本は人口密度が高いほうの国である。シンガポールなどの極端に面積が小さい国を除くと、日本の人口密度の順位は世界5位になる。

以下に、主な地域の人口密度を示す。2005年度データにて作成。単位は人/km²。ただし、シンガポールなど、極端に面積の小さいものは除いてある。

1位 :バングラデシュ 985人/km2
2位 台湾 643人/km2 ※2012年
3位 韓国 480人/km2
4位 オランダ 393人/km2
5位 日本 343人/km2
6位 ベルギー 341人/km2
7位 インド 336人/km2
8位 スリランカ 316人/km2
9位 フィリピン 277人/km2
10位 ベトナム 254人/km2
11位 イギリス 246人/km2


主な国の人口密度は、以下のとおりである。

アメリカ:33 人/km2
オーストラリア:3 人/km2
フランス:113 人/km2
中国:141 人/km2
日本:339 人/km2

人口の変化 編集

発展途上国の人口爆発 編集

 
国ごとの出生率。アフリカ・中南米・イスラム圏で高く、先進国で低い傾向がある
 
国ごとの乳児死亡率(1000出生当たり)。アフリカ・イスラム圏で死亡率が高く、先進国で低い傾向がある

第二次大戦以降に、先進国の産業が発達し、そのため医療などが急速に発達したことで、先進国・発展途上国ともに死亡率(しぼうりつ、mortality rate あるいは death rate)が下がり、世界の人口が急激に増えました。

中でも、アフリカや南アメリカやアジアの発展途上国では、急激に人口が増加しました。これら発展途上国の人口増加は、人口増加の割合の大きさから、 人口爆発(じんこう ばくはつ、英:human overpopulation) とも言われました。

その後、先進国では、 出生率(しゅっしょうりつ/しゅっせいりつ 、英:birth rate)が下がり、人口の増加は落ち着きました。

(出生率: 1人あたりの女性が産む子供の数。)

ですが、発展途上国では、出生率があまり下がらずに死亡率だけが下がったので、発展途上国では人口の増加が落ち着かず、そのため食料生産が人口増に追いつかない地域も発展途上国には多くあります。

途上国の人口増加で追いつかないのは、食料生産の他にも、水道や電気の普及も追いつかない地域が多いです。また病院や学校の普及も追いついていません。


世界的な人口の増加によって、食料の不足や、環境問題の深刻化などが、心配されています。

中華人民共和国では、中国国内での人口増への防止のため、1979年から、人口を減らすために子供の数を1組の夫婦につき子供1人にかぎる 一人っ子政策(ひとりっこ せいさく、中文:计划生育)を取り始めています。

今後の予測では、世界の人口が、2050年には90億人を超えるという予想もあります。

先進国の少子高齢化 編集

いっぽう先進国の、日本、ヨーロッパ、アメリカ合衆国などの先進国などでは、人口増加の割合が、発展途上国よりも小さくなっています。先進国の中には、人口が減少している国もあります。

死亡率は低いですが、出生率も低いので、全体として、人口が増加しにくい傾向にあります。

多くの先進国では、少子化が起きています。このため、先進国では、国の人口のうちの高齢者の割合が多くなっており、高齢化(こうれいか)が進んでいます。

少子化と高齢化を合わせて、 少子高齢化(しょうし こうれいか)と言います。 先進国の人口の年齢構成は、少子高齢化の傾向にあります。

日本は、今後の予測では、少子高齢化に向かうと考えられています。

多くの先進国では、現在の人口規模を維持しようと考えています。そのため、子育ての支援などを充実させて子供を生みやすい環境を整備したり、あるいは外国からの移民を受け入れて人口を維持しようとしています。ヨーロッパ諸国では、すでに移民を受け入れた国もあります。


日本は少子化で人口減の傾向が予測されると言っても、人口密度で見た場合、日本の人口密度(約343人/km2)は、世界の平均(約50人)を大きく上回っています。ヨーロッパの工業国であり、ヨーロッパの中では人口密度の高い国であるドイツの人口密度の 230人/km2 よりも、またイギリスの人口密度 253人/km2 よりも、日本は人口密度が上回っています。

  • 世界の人口順位の上位国(2023年)
1位:インド: 約14億2860万人
2位:中国: 約14億2570万人
3位:アメリカ: 約3億4000万人
4位:インドネシア: 約2億7750万人
5位:パキスタン: 約2億4050万人
6位:ナイジェリア: 約2億2380万人
7位:ブラジル: 約2億1640万人
8位:バングラデッシュ: 約1億7300万人
9位:ロシア: 約1億4440万人
10位:メキシコ: 約1億2850万人
11位:エチオピア: 約1億2650万人
12位:日本: 約1億2330万人
13位:フィリピン: 約1億1730万人

国際連合人口基金(UNFPA)『世界人口白書2023』による

人口ピラミッド 編集

各年代の人口をまとめて、年代別の人口が分かるように図示したものを人口ピラミッド(英:population pyramid あるいは age pyramid)と言います。

日本での各国の人口ピラミッドの分類は、おもに、富士山型(ふじさん がた)、つりがね型つぼ型という、3つの型(かた)に分けられる。

発展途上国では、死亡率の高さから、あるいは死亡への不安から、出生率が高くなりやすく、富士山型が多く見られる。 いっぽう、先進国では、死亡率・出生率がともに低く、つぼ型 か つりがね型 の傾向を示す。


それぞれの型の特徴を示す。

  • 富士山型(ふじさん がた)

死亡率が高く、出生率も高い国で見られる。いわゆる「多産多死」(たざん たし)。年少者の割合が多い。発展途上国に多い。アフリカの多くの国にあてはまる。 人口ピラミッドが富士山型の国はエチオピア、インド、ブラジルなど。 もし、医療や栄養状況などが改善して死亡率が下がれば、今後は人口が増えるだろうと予測される。あるいは、すでに人口が増加傾向の国も多い。


  • つりがね型

死亡率が低く、出生率も低い。いわゆる「少産少死」(しょうさん しょうし)。ヨーロッパの先進国に多い。今後は人口が増えもしなければ減りもせず、人口が安定しつづける可能性が高い。このため、高齢者への年金や介護などの社会保障などの負担も今後は増えもせず減りもせず、労働者の人口も今後は増えもせず減りもせず、したがって経済も安定しやすいので、経済発展に有利である。 フランスやアルゼンチンなどが、つりがね型にあたる。

  • つぼ型

死亡率が低く、出生率も低い。いわゆる「少産少死」(しょうさん しょうし)。つりがね型よりも、出生率が、より低い。いわゆる、少子高齢化。 高齢者の年金や介護などの社会保障などの負担の割合が大きくなりやすい。今後の人口は、減っていくだろうと予測される。 一部の先進国で見られやすい。 日本やドイツ、ギリシャ、イタリア、スペインなどが、つぼ型に当たる。

年代の区分 編集

なお、「高齢者」(こうれいしゃ)の定義は、国や国際機関ごとに異なる場合があり、国際連合(こくさいれんごう)では60歳以上を高齢者としており、国連の世界保健機関 (WHO) の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としている。

日本の法律では、65歳以上を高齢者とするのが一般である。

日本では、0歳~14歳を年少人口,15歳~64歳を生産年齢人口,65歳以上を老年人口に区分する。

日本の人口 編集

  • 三大都市圏

日本の人口は、平野や平地などに集中しています。なかでも、東京・大阪・名古屋の三大都市圏(さんだい としけん)を始めとした日本各地の都市部に人口が集中しています。東京・大阪・名古屋の三大都市圏だけでも、日本の人口の約4割以上が集中しています。

東京・大阪・名古屋とも、太平洋側にある都市です。日本の人口は、特に太平洋側の平地に集中しています。この東京・大阪・名古屋と、九州の福岡をむすぶ、帯状の地帯を、太平洋ベルトと言います。

太平洋ベルト以外の東北や北海道などの地方でも、札幌や仙台などの地方都市に、その地方の人口が集中している。


高度経済成長期の時代に、主に人々が仕事を求めて、人口が都市や周辺の地域に移動しました。 現在でも、都市では仕事が多いので、昔ほどではないが、いまだに人口が都市や周辺地域に集まっています。

都市では、人口の過密により、交通渋滞(こうつう じゅうたい)や住宅難、ごみ問題、大気汚染などの問題があります。 それでも都市に移住する人や、都市に住み続ける人が多いのが現状です。

都心では、土地が不足したので、都心ではなく周辺の郊外に、農村などから移住する人も増えました。 また、企業の工場の用地なども、都心では不足したので、工場が郊外や、さらにその外側の地域に進出したりすることも増えました。


1980年代ごろ、景気の加熱により、東京都心の土地の値段が上がりすぎたり、土地が不足したので、周辺の郊外が住宅地として開発されて、周辺に人口が流れるドーナツ化現象が置きました。ですが、1990年代ごろに都心の土地の値段が下がったので、2000年ごろからは、ふたたび都心の人口が増える傾向にあります。


かつて1970年代、1980年代ごろに、都心の郊外が開発されたころに、人口が急激に増えたので、学校などの社会的な施設が不足したりするという事態が置きました。

近年の都心では、高層マンションなどが多く建てられるようになり、高層マンションに移住する若い世代が増えましたが、学校などが不足する傾向にあります。


いっぽう、かつて1960年代ごろに開発された郊外のニュータウンなどでは、今では人口の高齢化や、住宅の老朽化により、いわば「オールドタウン」とでも言うような状況に、おちいっている地域もあります。

ニュータウンや新興住宅地などとして1970年代ごろまでに開発された郊外の住宅地も、開発される以前は農村だった場合もあります。



いっぽう、農村や山間部などでは、あまり仕事が無く、仕事も限られ、生活も不便であり、農村などでは人口が流出したりして、人口が減る、過疎化(かそ か)が進みました。今でも、農村などは過疎化が進んでいます。今の過疎化では、人口の移動とは別に、国全体の少子高齢化などによる人口減少もあります。一般に農村など過疎化している地域では、高齢化も進んでいます。

過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって維持が困難になっている集落(しゅうらく)のことを、限界集落(げんかい しゅうらく)と言います。

多くの過疎の農村などは、自分たちの村を維持しようとしているので、人口を増やすために町おこし・村おこしなどの対策を取ります。 過疎地域での土地の安さを利用して、企業の工場などを誘致している地域もあります。

過疎の地域では、土地の値段は安いですが、産業があまり盛んで無いので、仕事の賃金が低かったり、そもそも就職先が少ないという問題もありえます。過疎化した地域では、鉄道やバスなどの交通網が廃止されることもあります。


 
日本の出生数(棒グラフ,目盛左)と合計特殊出生率(折れ線グラフ,目盛右)。1947年以降。
近年、合計特殊出生率は増加しているにもかかわらず、出生数の減少は続いている。
1966年の出生数・出生率の急激な落ち込みは丙午(ひのえうま)によるものである。
  • 高齢化社会

老年人口が7%を超えている社会を、高齢化社会といいます。日本では、近年(2012年)では、老年人口が約24%である。


現在の日本は、世界の中でも高齢化がすすんでいる国だが、1980年代ごろは、あまり高齢化が進んでいなくて若い世代が多かった。

日本では、戦後の1947年〜1949年ころのベビーブーム(英語:baby boom [1][2]))により、若い世代が多く、人口も増加していった。

医療の発達や栄養状況の改善などにより平均寿命(へいきん じゅみょう)は伸びたので高齢者は増えていったが、それ以上の割合で子供が生まれたので、社会の高齢化には、ならなかった。

なお、1947年〜1949年ころのベビーブームに生まれた世代を「団塊の世代」(だんかい の せだい)という。

1950年代以降は、ベビーブームほどの多産化は落ち着いて出生率が下がったが、その後の好景気もあり、1970年代まで、多産化の傾向と、それによる人口増は続いた。

そして、1970年〜1980年ごろからは、人口が増えつつも少子化が進みはじめた。ついに、2005年ごろから、人口が減り始めた。 今(2014年に記述。)も少子化が続いていることで、近年になって急激に高齢化が進んでいる。

日本の人口は、もし単純に減少のペースが、今のようなペースで人口が減少した場合、今後の予測の一つでは2050年には人口1億人〜8000万人ほどになるという予想もある。

高齢化により、老年人口を支える福祉の財源の負担が心配されています。また、人口減と高齢化により、労働力人口が今後は減ることが予測されています。日本の多くの有権者は、少子化を防ごうと考えており、そのため日本政府は少子化を防ぐために子供を生みやすい環境を整備するなどの対策を取っています。

現在の日本の、1人あたりの女性が生涯(しょうがい)に産む子供の数である出生率(合計特殊出生率)は、およそ 1.39人(2011年)です。

合計特殊出生率(ごうけい とくしゅ しゅっしょうりつ): 一人の女性が一生に産む子供の平均数。

なお、合計特殊出生率が2.07を下回ると、人口が減少していくと言われています(※ 日本文教出版の公民の教科書)。

(※ 範囲外 :)なお、この 2.07 のことを「人口置換水準」という。つまり、どの国でも、合計特殊出生率が人口置換水準(2.07)を下回ると、長期的には人口が低下していく[3]

人々が、あまり多くの子供を作らなくなった少子化の原因には、色々な説がありますが、高度経済成長の終了などによる経済情勢の悪化や、人口の過密などが主な原因と考えられます。


少子化により子供の割合は減ったものの、働く女性は増加しており、そのため乳幼児を預かってもらう保護施設や保育園などの必要性が高まっており、これらの保育施設は不足の傾向にあります。

経済の国際競争による、日本の経済情勢の悪化により、家庭の収入を増やすために働く女性も増える傾向にあります。


もっとも、2050年以降は人口が減るに連れて高齢者の人数も減るので、2050年以降は高齢化の割合は落ち着いていくとも考えられる。

東京・大阪・名古屋などの都市圏などでは、若い世代の人口の流入も多く、あまり高齢化が進んでいない。いっぽう、東北や四国や中国地方の山陰(日本海側)、九州などで高齢化が進んでいる


農村などでは人付き合いなどで高齢者などの立場が強くなりやすいので、農村での若い人の立場の低さを若い人がきらって、人口が農村から都会に流出するという面もあるだろう。

産業の構造も、高齢化にともない変わる。若い世代を対象にした産業は不利になり、年齢の高い世代を対象にした産業が有利になると考えられている。また、過疎地域の小学校・中学校などは、少子化により、過疎地域では生徒数が減ったり、生徒がいなくなったりしており、小学校などの統廃合が進んでいる。

日本は2014年の現在は高齢化であり人口ピラミッドもつぼ型だが、かつて1930年〜1950年ごろの日本は人口ピラミッドが富士山型の国だった。 今の高齢者は、この1950年ごろの当時は若かった世代が、今では年を取って高齢者になっている面もある。

明治以降の日本の歴史では、人口ピラミッドが富士山型の時代が1960年ごろまで長く続いたので、日本の多くの産業や制度は、子供や若者の人口での割合が多いことを前提にしている。


江戸時代の後半の、日本の人口は約3000万人です。その後、明治時代に開国をして、文明が発達するにつれて人口も増加する時代が明治時代・大正時代・昭和時代と、しばらく続きました。人口が増加するに連れて、住宅地などが足りなくなり、今まで人が住んでいなかった山間部などにも人が移住するようになった歴史もあります。


  • 主要国の高齢化率

「一般人口統計 2013年版」によると、2010年(平成22年)の主要国の高齢化率は以下のとおりである。

高齢化率(%)
日本 23.02
カナダ 14.11      
アメリカ 13.06
オーストリア 17.60
ベルギー 17.43
ブルガリア 17.52
デンマーク 16.45
フランス 16.79
ドイツ 20.38
ギリシャ 18.55
イタリア 20.35
オランダ 15.31
ノルウェー 14.68
ポルトガル 17.94
スウェーデン 18.24
スイス 16.70
イギリス 16.59
オーストラリア 13.45
  1. ^ ターゲット編集部『英単語ターゲット1400 [5訂版]』、旺文社、2021年1月24日、P.355
  2. ^ 『ジーニアス英和辞典 第4版』、大修館書店、第3刷発行 2008年4月1日、P.138
  3. ^ 塩澤修平『経済学・入門』、有斐閣、2021年、4月30日 第3版 第5刷 発行、P50