中学校社会 地理/世界と比べてみた日本 資源とエネルギー
鉱産資源
編集原油(石油)、石炭、鉄鉱石、銅、天然ガスなど、地下から得られる資源を 鉱産資源(こうさんしげん) という。 鉱産資源には、鉄鉱石のように工業の金属の原料になるものと、原油や石炭や天然ガスなどのように主にエネルギー源になるものがある。
工業の金属の原料になる資源には、鉄を得られる鉄鉱石の他にも、アルミニウムの原料のボーキサイト(bauxite)や、銅、ほかにも金や銀などの金属などがある。
・ アメリカや中国は鉱産資源の埋蔵量が多いが、自国の鉱産資源はあまり使わず、外国から鉱産資源を輸入している。
・ 鉱産資源は、その資源が分布している地域に、かたよりが多い。原油の埋蔵量は、アラビア半島周辺などの西アジアに多い。石炭は、比較的、広い地域に分布している。
鉱産資源の消費も、地域による かたより があり、アメリカ合衆国や日本などの工業先進国で資源の消費が多いです。
発展途上国でも、人口の増加や産業の発達、自動車や家電製品などの普及にともない、資源の消費が増えています。
日本では、鉱産資源を輸入しています。実は日本でも、わずかながら石炭などの一部の鉱産資源は産出するのですが、あまり埋蔵量が多くなく、採掘に費用がかかり、オーストラリアなどから石炭を輸入したほうが安いので、日本ではそれらの資源を輸入しています。
エネルギーの供給源の種類は、国によって、割合が大きく異なる。 フランスでは、原子力発電がエネルギー源としてもっとも多く、原子力発電が4割に近い。いっぽう、日本では、石油が、エネルギーの4割に近い。日本はエネルギー資源の80%ちかくを輸入にたよっている。
日本で使われてる石炭と鉄鉱石は、主にオーストラリアから輸入されています。日本は、原油を主にサウジアラビアとアラブ首長国連邦から輸入しています。
日本では、急なエネルギー不足にそなえて、国家が石油などの資源を、九州や北海道などに備蓄しています。そのための備蓄基地(びちく きち)が日本にあります。日本では、石油は200日ぶんの備蓄が、備蓄基地にあります(2016年度)。
電力
編集多くの国で、電気機械の発達により、エネルギーを電力にして使用する割合が増えている。このため、発電も重要になっている。
水力、火力、原子力の発電
編集発電方法は古くは、ダムなどに水を貯めて、水の落差で水車を回して発電する 水力発電(すいりょく はつでん、hydroelectricity または hydroelectric generation) が主流でした。ですが、電力使用量の増加により、水力だけでは足りなくなり、石炭や石油などの燃料を燃やして、水を沸かして蒸気にして、蒸気でタービンを回すという 火力発電 が、多くの先進国で主流になりました。
第二次大戦後、 原子力発電(英: nuclear electricity generation) が開発されると、国によっては原子力発電の電力生産の割合が大きくなりました。
発電所は、その発電方法の特徴から、建設されている場所にかたよりがあります。
たとえば水力発電にはダムが必要なので、山間部に水力発電所が作られます。
いっぽう、火力発電所は、燃料の石油や石炭・天然ガスを海外から輸入するため、臨海部(りんかいぶ)に火力発電所がある場合が多いです。
また、原子力発電所は、冷却水が大量に必要なため、日本では海水を冷却水として使うため、原子力発電所も臨海部に立地している場合が多いです。
火力発電の燃料である石油や石炭などの資源は有限の資源です。また、化石資源など燃料を燃やすことで、大気中の二酸化炭素を増やしてしまい、地球温暖化の原因にもなります。二酸化炭素は、地球温暖化の原因物質と考えられており、温室効果ガス(おんしつこうかガス、英: greenhouse gas、GHG)とも、よばれています。
なお、原子力発電所の熱源の原料は、ウランです。ウランから出る放射線を熱源として利用して、蒸気をわかし、タービンを回して発電する仕組みです。
原子力発電所は、放射性廃棄物を産出しますが、日本ではその最終処分ができません。原子力発電は火力発電とは違い、石油などの化石燃料を使用していないので、温室効果ガスを出しません。原子力発電所からは、トリチウムや放射性キセノンなどの放射性物質が排出されます。また、原子炉の定期点検のために、放射線被ばくを伴う作業が必要です。
水力発電の建設は、山間部をダムとして開発しなければいかないので、建設できる場所にはかぎりがあります。
火力や原子力には、そのための資源の埋蔵量に、かぎりがあります。
火力発電を行うための石油や石炭などの燃料には埋蔵量にかぎりがあります。原子力発電を行うための原料のウラン(ドイツ語: Uran)にも、埋蔵量にかぎりがあります。
将来的な資源の枯渇により、現状の発電方式のままでは、必要な電力エネルギーを確保できなくなるおそれが高いので、他の発電方法の開発もされています。
あたらしい発電方式
編集このため、 風力発電(Wind power) や、 太陽光発電 (たいようこうはつでん、photovoltaics、Solar Photovoltaics、略してPVとも)、太陽熱発電、 地熱発電(ちねつはつでん、じねつはつでん、英: geothermal power) などの新方式の発電が開発がされています。 風力は風が吹くかぎり、いつまでも発電できます。太陽光発電・太陽熱発電は、太陽の光があるかぎり、いつまでも発電できます。なので、風力発電や太陽光発電など、これらの発電および、発電によって得られたエネルギーを「再生可能エネルギー」(英:renewable energy)などとも言います。
しかし、あまり発電量が大きくなく、また発電量が安定もしていないという、安定供給の技術的な問題があります。 風力発電は、風が吹かなければ発電できません。太陽光・太陽熱発電は、くもり や 雨などで太陽の光が弱まれば、発電量が落ちます。
とは言え、火力発電とちがい、風力発電や太陽熱発電では燃料を必要とせず、ほぼ永久に発電できるので、将来的には石油などの資源の枯渇にともない、風力発電や太陽熱発電などが普及していく可能性が考えられます。
地熱発電は、地下深くのマグマによって熱せられた地下水をもとに、熱水や蒸気によって発電を行う発電です。
日本では、大分県(おおいたけん)などの温泉の多い地域で、地熱発電の開発が行われています。 たとえば、大分県九重町(ここのえ まち)の八丁原(はっちょうばる)に地熱発電所があります。
地熱発電の原理では、地下のマグマが必要です。温泉も、地下のマグマが地下水を暖めることで作られていると考えられています。
(※ 温泉と地熱発電を、関連づけて覚えること。別府(べっぷ)温泉も、湯布院(ゆふいん)も、大分県の温泉である。)
なお、これら風力・太陽光・地熱など、他の方式の発電にも、火力・原子力ほどではなくても、環境への影響があります。
火力発電・水力発電・原子力発電は、どの発電方式でも、環境への影響があります。(水力発電を建設するには、ダムを作るために、山間の森林や集落などを無くさなければならない。)
新型の発電方式であっても、発電設備のために場所を広く使いますので、それによる環境への影響が必ずあります。
そのような問題があっても、日本では、なるべく発電方法の種類を増やしたほうが国のエネルギー政策にとって安全だろうという考えと、長期的に見れば石油やウランはいつかは枯渇するので太陽光発電などの再生可能エネルギーに切り替える必要があるという考えのもと、日本では新方式の発電の開発も進められています。
日本の今までの電力政策
編集日本の発電量の3割を原子力発電が占めている。(2009年) 水力発電が約10%、 火力発電が約60%、原子力発電が約30% である。2011年の東日本大震災での原子力発電所の事故により、今後の原子力政策のありかたの議論が高まっている。 近年(西暦2013年)の日本は電力は、70%くらいを火力発電で、まかなっています。原子力は20%くらいです。水力は7%くらいです。
日本では1970年代の オイルショック(石油危機、英:oil crisis) による石油不足の反省などから、エネルギー源の確保の観点から石油だけでなく天然ガスなどエネルギー源を多様化する政策が日本では取られてきた。(「オイル・ショック」は和製英語) そのエネルギー源多様化の政策の一環で、ウランも発電用エネルギー源として輸入されてきた。
限りある資源
編集原油 | 52年 |
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鉄鉱石 | 152年 |
ボーキサイト | 100年以上 |
石炭 | 83年 |
天然ガス | 60年 |
ウラン | 77年 |
銅 | 30年〜60年ていど |
石油や石炭など資源の埋蔵量には限りがあるので、今後に採掘できる年月である可採年数(かさい ねんすう、minable years、または R/P ratio、reserves/production ratio)は限られている。
限りある資源は、何もエネルギー資源だけに限らず、鉄鉱石など鉱物の埋蔵量にも限りがある。
なので、鉱産資源を用いた製品を リサイクル(Recycle) していくことが必要である。
- ※ 可採年数は、変動する。その計算の時点での、埋蔵量と生産量から計算しているので、今後の生産量が変動したり、あらたに埋蔵が確認されたりすることで、可採年数は変動しうる。そのため、年度や資料によって可採年数の数字が異なるので、参考程度にしていただきたい。
パソコンや携帯電話などの廃棄物などの中には、金や銀や貴金属などがある場合があるので、都市鉱山(とし こうざん、英語:urban mine)として注目されています。
3R運動
編集-
ごみ収集車
-
東京都にある清掃工場(東京・葛飾の清掃工場)
私達には何ができるでしょう。例えば、スーパーで袋を貰わない、ほかにも基本的なことだけど、ゴミの分別があります。 そういったことを皆さんで行えば、きっといつかこの地球は報われるでしょう。
- 3R運動(さんアールうんどう)
- Reduce(リデュース)、ごみになる物を出さないようにすることです。
たとえば買い物をするときは、マイバッグなどのカバンをつかうことで、ビニールぶくろをへらせます。洗剤(せんざい)などを買うときは、つめかえようの洗剤を買うことで、容器のおもさをへらせます。
- Reuse(リユース)、使えるものは、むやみに捨てずに使いつづける再利用のことです。
いらなくなったものは、人にあげたりすることで、そのものが使いつづけられるようにすることでも、あります。洋服などの布は、切れなくなても、雑巾や布巾の材料にできますし、機械などの油をふきとるための ウエス という布地の材料にもなります。
- Recycle(リサイクル)、最資源化のことです。
空き缶などは、分別してゴミにだすことで、缶の資源として再利用してもらえます。ペットボトルも分別してゴミに出すことで再利用してもらえます。 食品のトレーなども、スーパーの入り口などにある回収ボックス(かいしゅうボックス)に出すことで再利用してもらえます。 新聞紙や雑誌などの古紙などは、地元のゴミ収集所の、古紙回収の日に、分別して出すことで再利用してもらえます。
参考:発電のしくみ
編集- (※ 本節の内容は、理科などの範囲。)
電気は 発電所などで、つくられています。では、そもそも発電所では、どうやって電気を作っているのでしょうか?
火力発電所や 水力発電所や 原子力発電所などがありますが、そもそも火力や水力で、なんで発電が出来るのでしょうか?
じつは、磁石をうごかすと、電気が発生します。くわしくは、理科で習います。 磁石というのは、N極とS極にわかれている、あの磁石です。鉄をひきつける、あの磁石です。
あとは、火力なり水力なり、なにかの動力で、磁石を動かせば、電気が発生するという仕組みで、これらの火力・水力・原子力の発電所は発電しているのです。
水力、火力、原子力の発電
編集- 火力発電所
火力発電所では、石油や石炭や天然ガスを燃やした熱で、水を沸かして蒸気にして、その蒸気の力を動力にしてタービンを回しています。あとは、このタービンに磁石をくっつければ、発電をするという仕組みです。
火力発電所は、火で水を沸かすという仕組みなのです。なので日本の場合、海ぞいに火力発電所が立っている場合が多いです。海ぞいは水が多いからです。また、海沿いのほうが、内陸よりも、燃料の重油などを輸送しやすいのです。火力発電所は、大都市の近くの臨海部につくられています。消費地の都市に近いことも理由の一つです。
- 原子力発電所
原子力発電所も、じつは、水をわかして蒸気にして、その蒸気でタービン(英語:turbine)を回しています。 原子力は、水を熱する手段なのです。
ウラン という物質の、原子核(げんしかく)が分裂するときに、熱を発生します。その熱を使って、水を沸かしているのです。原子核が分裂することを 核分裂(かく ぶんれつ) といいます。
原子力発電所では、ウランの核分裂の熱で、水をわかして蒸気にして、蒸気で、タービンという水車のようなものを回して、発電しています。
原子力発電では、ウランを冷やすための冷却水(れいきゃくすい)が大量に必要です。だから建設場所は、海水を冷却水として使える臨海部に、発電所が作られます。また、万が一の原発事故への対策から、都心からは離れた地方に作られるのが普通です。このため、都市からはなれた場所の海岸部に、原子力発電所は多いです。福井県の若狭湾(わかさわん)ぞいや、福島県の沿岸部に、原子力発電所は多いです。
原子力発電には、放射線を出す放射性廃棄物(ほうしゃせい はいきぶつ)が作られるという問題点があります。
- 水力発電所
ダム式水力発電の例: |
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水力発電所は、ダム(英: Dam)などから水を落としたときの力で、タービンを回します。 山間部のダムの近くに、水力発電所がつくられるのが普通です。 ダムが山間部にしか作れないので、水力発電所も山間部に多いです。
あたらしい発電
編集・ 風力発電は、風でタービンをまわして、発電する方式です。
・ 地熱発電では、地熱で蒸気をわかして、タービンを回して発電します。
・ 太陽光発電は、太陽電池に、太陽の光をあてて発電します。また、夜間は日の光が当たらないので発電できません。太陽光発電では、タービンを回していません。他のタービンを回して磁石で発電する方式とは、太陽光発電は違う原理です。
その他のエネルギー
編集- バイオ燃料
サトウキビなどからエタノール(エチルアルコール)を作り、そのエタノールを燃料にするバイオエタノール(バイオ燃料 、Bioethanol)がある。 当然、サトウキビを燃料として転用した分だけ食料としてのサトウキビの生産量は減る。なので、燃料として増産できる量には限りがある。
- 燃料電池(ねんりょう でんち)
水素ガスなどからエネルギーを取り出せる燃料電池は、べつに発電方法では無い。電池は、発電した電力を蓄える装置でしかない。水素ガスを作るのに、べつの電力が必要になる。水素ガスを作るための電力に、太陽光発電などの他の再生可能エネルギーを用いて、組み合わせる技術が期待されている。