中学校社会 地理/地球儀
地球儀と世界地図
編集地球儀
編集地球儀(ちきゅうぎ)は、地球を球体で表現した模型である。平面に描かれた地図では方位、角度、距離、面積のすべてを同時に正確に示すことはできないが、地球儀は地球と同じ球体であるため、そのいずれにおいても誤差がほとんどない。地球儀の縮尺(縮めた割合)は様々であるが、縮尺とサイズをそれぞれ決められる平面の地図とは異なり、地球儀は縮尺を決めると球体のサイズも自動的に決まる。
しかし、地球儀は持ち運びに不向きで不便である。このため、状況によっては平面の地図のほうが実用的な場合もある。
- 地球儀での距離の調べ方
地球上の2つの地点間の最短経路を求めたい場合、地球儀を使って、その地点の間をゴムや紐でピンと張れば良い。そのゴムや紐の経路が最短経路(大圏航路)となる。
ちなみに、北極と南極との間の地表の距離は約20,000kmである。つまり、極と赤道の間の距離は約10,000kmである。なお、地球の赤道一周は約40,075kmである。
緯度は90度だから、緯度10度あたり約1,111kmである。(本によっては、10度あたり約1,000kmと紹介している場合もある。)
- 地球儀での方角の調べ方
まず、直角に交わった2本の紐を用意する。 1本目の紐を、経線に沿って測りたい地点の上に張る。つまり紐の方向は、北極と南極とを結ぶ方向になる。(経線は南北に走っているため。) 2本目の紐は、1本目の紐と直角に交わるため、東西方向を示す。
世界地図
編集地球儀は球形である。正確な形を反映するには、地球儀のような球形でなければならない。そのため、2次元平面上に描かれた地図には、どのような投影法を用いても、実物とは異なる歪みが生じる。
2次元平面の地図で面積の比率を正しくしようとすると、方向や角度が歪んでしまう。逆に、平面上で方向や角度を正確に表そうとすると、今度は面積比が不正確になってしまう。
メルカトル図法
編集メルカトル図法(ずほう)とは、角度を正しく表せる図法である。航海図などとして古くから使用されており、等角航路(とうかく こうろ)が直線で表される図法である。
しかし、面積比が正しくないという欠点がある。 赤道から離れるにしたがって、面積が実際よりも大きく描かれてしまう。
例えばグリーンランドは、実際には北アメリカ大陸と比べて小さいのだが、メルカトル図法ではグリーンランドが北アメリカ大陸と同じくらいの大きさに描かれる。実際のグリーンランドの面積は、南アメリカ大陸の約8分の1程度である。(※ グリーンランドは、メルカトル図法の歪みを説明する際によく例として用いられる。)
また、方位も正確ではない。
正距方位図法
編集正距方位図法(せいきょほういずほう)は、地図の中心からの方位と距離が正確な図法である。航空図に使用される。2点間の最短経路である大圏コースが、正距方位図法では直線で表される。
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緯度経度0度を中心とした正距方位図法
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北極を中心とした正距方位図法
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南極を中心とした正距方位図法
モルワイデ図法
編集モルワイデ図法(モルワイデずほう)は、地図上の任意の場所で実際の面積との比が等しくなる正積図法(せいせき ずほう)である。地球全体を1枚の平面に表現でき、地図の外周は楕円(だえん)になる。
主に分布図や統計地図に利用される。
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モルワイデ図法の経緯線
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地球温暖化の観測例として、1995-2005年の平均気温の1940-1980年の平均に対する差を示したもの。一部地域を拡大して偏った印象を与えないように、正積図法のモルワイデ図法で描かれている。
緯線はすべて水平な直線になる。経線は中央経線が垂直な直線となるが、それ以外の経線は弧を描く。等積になるように緯線の間隔を調整するため、距離の比は一定になっていない。赤道上では正角でなく、南北方向が東西方向に比べ1.234倍に伸びている。地図の周辺部の歪みが大きくなる。
測地系
編集測地系(そくちけい)は、地球上の位置を正確に特定するための基準系である。主な測地系には以下のようなものがある:
世界測地系
編集世界測地系(せかいそくちけい)は、全地球的に統一された測地基準系である。最新のものはWGS84で、GPSで使用されている。
日本測地系
編集日本測地系(にほんそくちけい)は、日本で従来使用されていた測地基準系である。2002年4月1日以降、公式には世界測地系に移行したが、一部の古い地図や資料では依然として日本測地系が使用されている場合がある。
測地系の違いによる影響
編集測地系が異なると、同じ地点でも緯度・経度の値が異なる。例えば、日本測地系から世界測地系に変換すると、おおよそ以下のような差が生じる:
- 緯度:約+0秒(北へずれる)
- 経度:約-12秒(西へずれる)
これは地表面上で約400~450mの差に相当する。地図作成や位置情報システムを使用する際には、使用している測地系を正確に把握することが重要である。