中学校社会 地理/日本の諸地域 中部地方
区分
3000m級の山々からなる日本アルプスにより、中部地方は次の3つの地域に分かれる。
東海 :愛知県、静岡県、岐阜県美濃地方、三重県の北部中央 高地 :長野県及び山梨県、岐阜県飛騨地方北陸 :新潟県、富山県、石川県、福井県
各地域で、気候や盛んな産業が大きく違う。
日本アルプスは
飛騨 山脈 木曽 山脈赤石 山脈
から成る。日本アルプスは「日本の屋根」とも言われる。なお、糸魚川・静岡構造線が日本アルプスの東部にある。
ここからは、各地域の特徴の紹介となる。
北陸
冬には雪が多い、
富士山
富士山は日本の最高峰であり、単独峰。山梨県及び静岡県にまたがる。
中央高地
山に囲まれた平地、すなわち盆地が多い。それゆえ、中央高地の内陸部は、1年を通して降水量が少ない。盆地に都市が多く、甲府市(甲府盆地にある)や松本市(松本盆地にある)などが例である。
東海
季節風の影響により温暖であり、雪は少ない。自動車産業などの機械工業が愛知や静岡で盛んである。
地理的には愛知県から、静岡県にかけてを東海と呼ぶことが多い。ただし、三重県や岐阜県は慣習的に東海に含まれる場合がある。例えば、愛知県、岐阜県、三重県を「東海三県」と表記するケースがある。
名古屋は、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の一つとして、数えられる事が多い。また、政令指定都市として、名古屋や浜松、静岡が指定されている。
中京工業地帯及び東海工業地域
愛知県を中心に、工業を主体とした
愛知を中心にした中京工業地帯の方が、静岡の東海工業地域よりも規模が大きいので、そちらから説明する。
中京工業地帯
中京工業地帯では、愛知県の
自動車工業は、2016年現在の日本の製造業の輸出製品の中では売り上げが多く、自動車は日本の製造業の主力な輸出品である。製造業の中では、自動車産業がもっとも多く外貨を稼いでいると考えられている。しかし、家電や半導体など電気関連の輸出は、近年は不振である。自動車産業は、部品数が数万点にも上るため、景気への影響力が大きい、と考えられている。
自動車の部品工場も中京工業地帯には多い。豊田市は1959年に市名を当時の「
世界的に環境保護及び地球温暖化防止を推進するため、自動車に要求される排ガス基準などの環境基準が厳しくなっていることもあり、ハイブリッド車や電気自動車など環境に対応した低公害の自動車の開発が世界的に進められている。
トヨタは1930年頃までの主力製品は、
なお、東海地方と近畿地方の境界の三重県の沿岸部では、石油化学コンビナートや製鉄所などがある。製鉄所で生産された鉄鋼は、自動車の鋼板(外装)などに利用される。石油化学コンビナートで生産されたプラスチックを原料にした製品は自動車の部品などに利用されている。このように、愛知県及び三重県の重化学工業は、自動車産業と深く結びついている。
愛知県の瀬戸市では焼き物の「瀬戸物」が有名[注 1]だ。瀬戸市だけでなく、岐阜県の多治見市でも陶磁器の生産が有名だ。現在もセラミック製品の工場などが瀬戸市や多治見市に多く存在[注 2]する。
そのセラミックだが、自動車産業が盛んである中京工業地帯に必要だ。なぜなら、自動車の点火プラグ (エンジンはガソリンと空気を混ぜた混合気に着火して爆発を起こすことで動いている) などに使われる耐熱部品などでセラミックが使われる (セラミックスは耐熱性が高い) ためである。であるからして、それらセラミック製品なども瀬戸市などの工場で作られている。
このように、愛知県が自動車産業に対する依存度が高いため、景気の影響を愛知県は受けやすい。近年のリーマンショックなどでも影響を受けたという。一般に、企業城下町は、景気の影響を受けやすい[注 3]と言われている。
東海工業地域
東海工業地域では、静岡県の
また、ピアノなど、楽器の生産も盛ん。東海地方は、楽器メーカーで有名なヤマハの拠点でもある。
中央高地での工業
中央高地の工業では、空気が比較的きれいなこともあり、IC(集積回路)などの精密電子部品や、プリンターなどの電子機器の工場が多い。また、時計やカメラなどの精密機械の工場も多い。これらは空気がきれいであることだけでなく、山梨県は首都圏に近接していることや長野県には多くの高速道路が走っていることなどの理由もある。特に長野県の
北陸工業地域
黒部川のダムの水力発電による電力を利用したアルミ工業がさかんである。アルミは
北陸の原子力発電所
北陸の沿岸には原子力発電所が多い。福井の若狭湾や新潟などに集中している。
農業・漁業など
この章では農業や林業、漁業について解説する。
東海
愛知県
愛知県の
静岡県
静岡県では、茶及びみかんの栽培が盛んであるが、みかんは国内の他の産地 (和歌山県や愛媛県、熊本県など) との競争やグレープフルーツなど他の果樹との競争が厳しい。
静岡県は海岸線が長く、漁業も盛んに行われている。
北陸
北陸は冬の季節風により雪が多いため、冬は農業ができない。それはすなわち裏作や二毛作などができず、田は稲だけの単作である。
越後平野など、北陸には大きな平野がいくつかある。であるからして、地形が
農業ができない冬の間は副業がさかんに行われる。かつては関東などに出稼ぎをすることが多かったが、今では屋内でも出来る仕事が盛ん。
中央高地
中央高地の山々に日本アルプスがある。
扇状地
中央高地の扇状地では、ブドウや桃、リンゴなどの栽培が盛ん。山梨県では、甲府盆地でぶどう及びモモの生産が盛ん。長野県では、長野盆地でリンゴの生産が盛んに行われている。
第二次世界大戦までは、
第二次世界大戦後は、ナイロンなどの化学繊維が普及して、絹の需要が世界的に低下した。このため、扇状地での農産物が桑から果樹に切り替わった。
高原野菜
中央高地の高原では高原野菜としてレタスや白菜などの生産が盛んだ。高原は標高が高いため、他の地域より時期を変えて出荷する[注 4]こともある。長野県の軽井沢は避暑地として、また別荘地として有名。
その他
岐阜県
岐阜県は旧国名で北部を
南西部に愛知県にも跨る
南部の
県南部の美濃地方は、平野や高原があるが、県北部の飛騨地方は高地や山地の場所が多い。
新潟県
新潟は米作りが盛んだ。なぜなら水が豊富だからである。米の
伝統工芸として、
湯沢などをはじめとした内陸は豪雪地域である。湯沢では1980年代にスキー場などが作られ、関東からも足を運びやすいため、観光客が増えた。しかし1990年代に入り、スキー客などの冬季の観光客数が減ったことも相まって、現在では夏など冬以外での観光資源の開発などに力を入れている。
石川県
県の北部は、日本海に突き出た半島で、
金沢は江戸時代に
福井県
伝統工芸では、
富山県
周辺の山地などから河川が多く集まり、富山県は水が豊富である。
発電所が多いということは、電力を確保しやすいと言い換えられる。よって、かつては電力を多く使うアルミニウム産業が盛んだった。現在では、アルミニウムの加工や化学工業などが、富山で盛んに行われている。
輪中
岐阜県から愛知県にかけての
この3つの川の下流の流域は堤防で囲まれている[注 6]土地が多い。堤防で囲まれた土地を
輪中の中の土地の高さは川の水面と同じくらいか、水面よりも低いことが多い。この濃尾平野の輪中の多くは水田として利用されているほか、水を利用したレンコン作りや、金魚やウナギ養殖なども有名な産業でである
この土地は低地なので水が貯まりやすいため、水はけが良くない。水田は水を必要としますが、水が貯まりすぎても、稲はよく育たない。それゆえ、輪中の人々は代わりに水田を高くしようと、土を盛り、その上に水田を造成している。水田の周囲の土を掘削し、その掘った土で田を高くするため
洪水が起きても、