中学校社会 地理/日本の諸地域 東北地方
気候
編集東北の気候は、 奥羽山脈(おうう さんみゃく) という南北に長く伸びた山脈を境にし、季節風のため、日本海側と太平洋側とで気候が違う。
日本海側は、冬には雪が多い。日本海側の夏は、フェーン現象のため、暑くなる。
(フェーン現象: 風が山をこえて、向こう側の低地におりるとき、風の気温が上がる。このような現象を フェーン現象 という。東北の場合は、夏に太平洋側から来て、奥羽山脈をこえた風が、低地に下がるときに気温が上がる。また太平洋側で雨などをふらすので、日本海側は夏は乾燥する。)
太平洋側は、夏には「やませ」という北東の海からの季節風で、あまり気温が上がらず、湿っている。この やませ のせいで、夏に くもり の日が多くなり、夏の気温が低くなり、そのため米などの作物が不作になる 冷害になることがある。
太平洋側の冬の雪の量は、日本海側と比べると、雪が少ない。
農業
編集東北では、日本海側・太平洋側の両側とも米作りがさかんである。冬は積雪のため、田での農業がむずかしく、そのため米は単作である。 おもに平野で米作りがさかんだが、東北の場合、盆地でも米作りをする場合も多い。 銘柄米も種類が多く、秋田県の銘柄米の「あきたこまち」や、山形県の「はえぬき」、宮城県や岩手県の「ひとめぼれ」が有名。
「あきたこまち」の生産場所は、秋田平野 や 横手(よこて)盆地 などで生産されている。山形の「はえぬき」の生産は 庄内平野(しょうない へいや) など。
東北は、 「日本の穀倉地帯」(こくそう ちたい) と言われるほど、米作りが盛ん。地域によっては、収入をおぎなうため、果樹や野菜を栽培したりする地域もあるが、東北全体を見た場合では、米作りが農業の大半をしめ、東北の耕地面積の約7割が水田である。
東北全体で米作りがさかんだが、どちらかというと日本海側のほうで、より、米作りが盛ん。
日本海側の秋田の郷土料理の「きりたんぽ鍋」など、日本海側で米を利用した郷土料理が多い。
太平洋側は、どちらかというと、野菜や果樹栽培や畜産、酪農がさかん。
畜産では、牛や豚、ブロイラー(食用のニワトリ)など。 米沢牛(よねざわ ぎゅう) は、肉牛のブランドとして有名。酪農は、福島県の 阿武隈高地(あぶくま こうち) や、岩手の岩手山ろく(さんろく)にある 小岩井農場(こいわい のうじょう) などが有名。なお、小岩井農場では乳牛を飼育し、バターやチーズなどの乳製品を生産している。
(山ろく・・・山の、ふもとのこと。漢字では「山麓」(さんろく)。)
第二次大戦前までは、馬の飼育も、軍用馬や農耕馬の生産として盛んだったが、戦後は生産がおとろえ、肉牛や乳牛などの飼育に変わっていった。阿武隈高地や小岩井農場などでも、戦前の、かつては、馬の生産が中心だった時代もあった。
盆地などでは、果樹を栽培することも多い。 また、冷涼な気候を活かし、青森では りんご を津軽平野を中心に栽培している。涼しいほうが栽培しやすいこともあり、青森はりんごの全国一の生産量の県であり、全国生産の約半分をしめる。(2014年に記述。)
果樹は、山形県の さくらんぼ や ぶどう、福島県の もも など。山形の さくらんぼ は、日本全国でも有数の生産量になっている。
福島では、福島盆地で、果樹栽培がさかん。
第二次大戦後の米あまりも、果樹栽培の理由の一つ。1960年代ごろから、食事の洋風化によって、米の消費量が減り、米が あまるようになった。 そのため、政府は、それまでの米農家に、畑作への転作をすすめてきた。(米の生産調整)
伝統工芸
編集伝統工芸は、南部鉄器(なんぶてっき)が岩手県盛岡(もりおか)市や奥州市などで盛ん。 会津塗り(あいづぬり)は、福島県の会津(あいづ)市や喜多方(きたかた)市。宮城県の こけし。秋田産の杉(すぎ)を利用した、秋田県 大館(おおだて)市の 曲げわっぱ(まげわっぱ)など。 昔は冬のあいだ、農作業ができなかったので、家内工業として、伝統工業が発達してきた。
工業
編集高度経済成長期ごろから、高速道路の東北自動車道ぞいには工場が進出しており、IC(集積回路)工場や、電子機械の工場、精密機械などの工場が進出しており、この地帯はシリコンロードと言われる。土地の価格が安くて広く、空気や水がきれいなので、これらの工場が進出した。
地域の行事
編集東北三大祭り として、青森のねぶた祭り、秋田の竿燈(かんとう)まつり、宮城県の仙台市の七夕(たなばた)がある。これに、山形県の花笠(はながさ)や、秋田で大晦日に行う「なまはげ」を加えて四大祭りや五大祭りという場合もある。なお、「ねぶた」の意味は、いくつかの説があるが、疲れ(つかれ)や睡魔(すいま)を取り除く、「眠り流し」が由来という説がある。
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青森のねぶた
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秋田の竿燈(かんとう)
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仙台の七夕(たなばた)
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秋田県、横手公園(よこて こうえん)の かまくら。水神(すいじん)を祭る行事。毎年2月ごろに行う。
水産業
編集太平洋側の 三陸海岸(さんりく かいがん) は リアス海岸 になっている。三陸の沖合(おきあい)あたりが、寒流(千島海流、親潮)と暖流(日本海流、黒潮)の、ぶつかりあう潮境(しおざかい)になっているので、寒暖の両方の海流の魚があつまる、良い漁場になっている。
- ※ 「潮目」→「潮境」に用語が変更。
また、リアス海岸の波のしずかさを利用した養殖もさかんであり、かき や ほたて などの貝、こんぶ、わかめ などを養殖している。 わかめは、三陸が日本1位の生産量である。
三陸海岸の漁港は、気仙沼(けせんぬま)や石巻(いしのまき)が有名。
その他
編集仙台は、江戸時代には、伊達(だて)氏の治める城下町だった。仙台市は、自然を尊重した町づくりをしており、仙台市みずからを「杜の都」(もりの みやこ)としている。
東北には、中尊寺(ちゅうそんじ)など、歴史的な建造物などが、東北は多い。
東北は全体的に人口が減っており、過疎(かそ)になっている。
作家の宮沢賢治(みやざわ けんじ)は東北の出身である。