中学校社会 地理/標高の高い地域での暮らし
アメリカ州の高山地域
編集南アメリカ州のペルーからボリビアにかけての地域にあるアンデス山脈(英:Andes アンディース)ぞいには、標高が富士山の山頂(標高3776m)よりも高い地域もあり、標高が高いところでは約4000mもあり、標高が2000m〜4000m以上のある中央アンデス高地が広がっている。
標高が高いので、この中央アンデス高地の地域は全体的に、すずしい。この地域の住民は、インディオ(スペイン語など:indio)とよばれる先住民の人たちが古くから暮らしている。「インディオ」とは、ヨーロッパ人たちによる、この地域の先住民の呼び方である。
すずしいので、低地よりも暮らしやすく、古くから 高山都市(こうざん とし) が発達してきた。
高地のため、木が少ないことから、住居には石づくり、れんがづくりの家が多い。
標高3000m〜4000mあたりの作物は、じゃがいも の栽培である。じゃがいもは寒さに強い。そもそも じゃがいも は、アンデス山脈が発祥の作物である。
標高が下がり、標高2000m〜3000mの、やや温暖なところでは、とうもろこしを栽培することもある。標高によって育ててる作物が変わってくる。
チチカカ湖(Lake Titicaca)という湖が、ペルーとボリビアの国境あたりの、標高3800mのあたりにあり、観光名所の一つになっている。
標高4000m以上の場所では作物が育たないので、家畜を放牧(ほうぼく)しており、リャマやアルパカを放牧(ほうぼく 英:grazing)している。
これらの家畜は、荷物の運搬用や、毛を利用するためであり、あまり食用にはしない。アルパカ(英:Alpaca アルパーカ)の毛が衣類の材料になる。リャマもアルパカもラクダ科である。
現地の人の衣類は、アルパカの毛で作ったポンチョ(英:poncho ポンチョウ)とよばれる服や、つばのついた帽子を着ている。 帽子は、高地の強い日射しを防ぐためにかぶっている。
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ポンチョをまとったガウチョ(1940年代)
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中南米で着用されているポンチョ
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ポンチョを着用する、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ
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ポンチョを着用する、ネストル・キルチネル
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ポンチョを着用する各国首脳(当時)
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ポンチョを着用する子供
もっとも高いところは標高6000m近くあるが、これらの標高の地域は氷雪地帯になっている。
- 現代
携帯電話やインターネットが普及している。急斜面が多いため、電話線を引くのがむずかしく、有線の電話が好まれていない。なので、かわりに携帯電話が普及している。携帯電話なら、通信用のアンテナがあれば、たとえ通信回線を引かなくても、利用できるからである。
世界遺産で、古代のインカ文明(英:Inca Civilization)の遺跡である、マチュピチュ(英:Machu Picchu)があり、観光資源になっている。
道路も整備され、トラックなど による輸送も増えてきた。
- 周辺の低地
アンデス高地の周辺の低地では、赤道に近いこともあり、熱帯雨林などが広がる。 果樹の栽培をしたり、ゴムの栽培をしたりしている。 低地で栽培された作物が、高地の市場(いちば)で取引されることも多い。 古くから使われてきた言語を話す人が少なくなりスペイン語を話す人が増えている
高山の特徴
編集- 標高が上がるにつれて、気温は下がる。
- 気圧(きあつ)が低い。
- たとえば日本国内の旅行で山に旅行した時に、未開封のポテトチップスの袋などスナック菓子の袋がふくらむのは周辺の気圧が下がるためである。自然法則は世界共通なので、どこの国でも似たような現象は起きる。
- 標高が上がると、酸素濃度がうすくなる。そのため、旅行者などが高山病にかかることもある。
- スポーツ選手などが、たびたび高山地域でトレーニングを行うのは、空気のうすい所でトレーニングすることで、心肺機能をきたえるためである。
チベット高原
編集アジア州の ヒマラヤ山脈(英:Himalayan Range) の北側にある、チベット高原(チベットこうげん、英:Tibetan Plateau チベトン・プラトー)は、標高が高く(標高4000m前後)、あまり普通の農産物の栽培には向いていない。
ここでは、寒さに強い大麦や小麦が作物として、標高4000m以下の地域あたりで、栽培されている。 チベットの主食は、大麦、小麦などであり、米では無い。
米は熱帯で多雨の土地に適した作物であり、チベットのような寒冷地では米は栽培に適さない。日本の北海道や東北で米が栽培されるのは、品種改良によるものであり、また日本が降水量が多いことによる。
なお、チベットは現在、中華人民共和国に併合されて自治区の一つの チベット自治区 となっており、チベットは漢字で「西蔵」と書く。 チベットでは、中国による開発が進んでいる。