中等教育前期の数学/代数編/上巻/一次不等式と連立不等式

中高一貫校の学習 >中等教育前期の数学・代数編(上)> 一次不等式と連立不等式


1次不等式

編集

同じ大きさの量を「=」で結んだ式を方程式と呼ぶことを既に学習した。ここでは、異なった量の大きさの違いを表す記号と、その性質についてまとめる。

ある数A,Bがあるとき、AがBより大きいことを と表し、AがBより小さいこと(AがB未満)を と表す。ここで、「 」と「 」のことを不等号と呼び、このような式を不等式と呼ぶ。また、「 」という不等号もあり、「 」は、それぞれ「AがB以下」「AがB以上」という意味で、「 」に、A=B、つまり、AとBが等しい値である場合をふくんだものである。なお、国際的には「 」を使うことがある。


 という不等式があるとき、xは7より大きい数である。また、 の時には、xは7以上の数である。

不等式では等式と同じように、両辺に演算をしても不等号の関係が変わらないことがある。例えば、両辺に同じ数を足しても、両辺の大小関係は変化しない。ただし、両辺に負の数をかけたときには、不等号の向きが変化することに注意が必要である。これは、負の数をかけると両辺の値は、0を中心に数直線を折り返した地点に移されることによる。

不等式の性質
1.  ならば、  
2.   ならば、  
3.   ならば、  

 が成り立つときには、  も成り立つ。また、 が成り立つ。

不等式の性質を使って

 

の両辺から3を引くと

 

よって

 

となる。
このように、不等式でも移項することができる

  • 問題

次の不等式を解きなさい。

  1.  
  2.  
  3.  
  • 解答
  1.  
  2.  
  3.  

不等式と数直線

編集

 は、数直線上では図1,2,3,4のようにあらわすことがある。


連立不等式

編集

いくつかの不等式を組み合わせたものを連立不等式といい、これらの不等式を同時に満たす の値の範囲を求めることを、連立不等式を解くという。

  • 問題例
    • 問題

次の連立不等式を解きなさい。

(i)

 

(ii)

 
    • 解答

(i)
 から  

 ……(1)

 から  

 ……(2)

(1),(2)を同時に満たす の値の範囲は

 

右の図のように、2つの範囲が重なるところを探すと

 

(ii)
 から  

 ……(1)

 から  

 ……(2)

(1),(2)を同時に満たす の値の範囲は

 

 の形の連立不等式

編集

 の形の連立不等式は、

 
の形に直して解く。
 や、 
とはしない。