公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題2
問題
編集討議資料「財務会計の概念フレームワーク」に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,情報の理解可能性の存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,意思決定との関連性がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。
- 1. アイ
- 2. アウ
- 3. アエ
- 4. イウ
- 5. イエ
- 6. ウエ
正解
編集6
解説
編集ア.会計基準の設定局面において,新たな基準に基づく会計情報の情報価値は不確かな場合も多い。そのケースでは,情報の理解可能性情報ニーズの存在が,情報価値を期待させる。そのような期待に基づいて,情報価値の存否について事前に確たることが言えない場合であっても,投資家からの要求に応えるために会計基準の設定・改廃が行われることもある。概念フレームワーク2章4項
イ.会計基準は少数の基礎概念に支えられた一つの体系をなしており,意思決定との関連性意思決定有用性がその体系の目標仮説となっている。一般に,ある個別の会計基準が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないとき,その個別基準は内的整合性を有していると言う。概念フレームワーク2章9項
ウ.比較可能性が確保されるためには,財務諸表の報告様式の統一はもちろん,企業において同一の会計方法が継続的に(首尾一貫して)適用されなければならない。しかし,事実の差異が会計情報の利用者の比較にとって必要であり,それを知ることが利用者の意思決定に役立つのであれば,その差異に応じて,異なる処理(方法)が必要とされる。概念フレームワーク2章11項12項
エ.会計情報の作成者である経営者の利害は,投資家の利害と必ずしも一致していない。そのため,経営者の自己申告による情報を投資家が全面的に信頼するのは難しい。利害の不一致に起因する弊害を小さく抑えるためには,一部の関係者の利害だけを偏重することのない財務報告が求められる。概念フレームワーク2章7項