公認会計士試験/平成30年第I回短答式/財務会計論/問題23~28

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問題

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 次の〔資料I〕〜〔資料V〕に基づき,以下の 問題23問題28 に答えなさい。

資料I〕 留意事項

1.P社およびS社の会計期間は1年,決算日は毎年3月31日であり,当期はX3年4月1日からX4年3月31日までである。
2.のれんは,発生した期の翌期から5年間で定額法により償却する。
3.税効果会計については考慮しないものとする。
4.計算結果に端数が生じる場合には,千円未満を四捨五入すること。

資料II〕 P社が保有する株式

(単位:千円)
銘柄 取得日 取得原価 備考
S社株式 X1年3月31日 7,000,000 S社の発行済株式総数の70%を取得し,支配を獲得した。

資料III〕 支配獲得日(X1 年3 月31 日)におけるS社の純資産の金額

(単位:千円)
資本金 資本剰余金 利益剰余金 その他有価証券評価差額金 合計
3,500,000 1,000,000 650,000 4,000 5,154,000

資料IV〕 財務諸表

(1) 要約貸借対照表(X4 年3 月31 日現在)
(単位:千円)
資産 P社 S社 負債・純資産 P社 S社
諸資産 42,457,800 10,216,600 諸負債 18,282,500 3,136,500
資本金 10,000,000 3,500,000
資本剰余金 1,080,000 1,000,000
利益剰余金 13,015,240 2,556,100
その他有価証券評価差額金 80,000 24,000
合計 42,457,800 10,216,600 合計 42,457,800 10,216,600

(注) P社の諸資産の金額には,〔資料II〕のS社株式の金額7,000,000 千円が含まれ ている。

(2) 要約損益計算書(自X3 年4 月1 日 至X4 年3 月31 日)
(単位:千円)
収益・費用 P社 S社
売上高 80,140,800 15,960,000
売上原価 49,760,000 10,760,000
販売費及び一般管理費 26,089,500 4,198,900
営業外費用 216,000 5,000
特別利益 20,000
当期純利益 4,075,240 1,016,100
(3) P社およびS社はいずれも,当期中に剰余金の配当を行っていない。

資料V〕 その他

(1) 土地に関する事項
 〔資料IV〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる土地については,次の表に示されるように貸借対照表価額と時価との間に重要な差異がある。なお,P社およびS社のいずれにおいても,X1 年3 月31 日からX4 年3 月31 日までの間,土地の貸借対照表価額に変化はない。
(単位:千円)
P社 S社
貸借対照評価額 4,400,000 2,000,000
時価 X1年3月31日 6,400,000 2,100,000
X2年3月31日 6,600,000 2,130,000
X3年3月31日 6,900,000 2,180,000
X4年3月31日 7,000,000 2,260,000
(2) 投資有価証券に関する事項
資料IV〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる投資有価証券はその他有価証券であり,その取得価額と時価は次のとおりである。
(単位:千円)
P社 S社
A社株式 A社以外
取得価額 3,800,000 288,000 470,000
時価 X1年3月31日 3,820,000 474,000
X2年3月31日 3,850,000 290,000 478,000
X3年3月31日 3,863,000 291,000 485,000
X4年3月31日 3,880,000 494,000
 S社の投資有価証券のうちA社株式は,X1 年4 月1 日に取得したものであり,A社株式以外の投資有価証券は支配獲得日以前から保有しているものである。S社は,当期中にA社株式を308,000 千円で連結集団外部に売却している。〔資料IV〕(2)の要約損益計算書の特別利益は,当該投資有価証券に係る売却益20,000 千円である。
(3) 商品に関する事項
① 〔資料IV〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる商品の金額は次のとおりである。
P社:6,000,000 千円  S社:1,360,000 千円
② S社は,商品の一部をP社から仕入れている。〔資料IV〕(2)の要約損益計算書に示されているP社の売上高のうち8,640,000 千円はS社に対するものであった。
③ P社からS社への商品販売において原価に対して20 %の利益を加算している(前期および当期において同じ。)。
④ S社の商品棚卸高に含まれているP社からの仕入分は次のとおりである。
前期末棚卸高:1,080,000 千円  当期末棚卸高:1,200,000 千円
(4) 建物に関する事項
① 〔資料IV〕(1)の要約貸借対照表の諸資産に含まれる建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)は次のとおりである。
P社:7,718,500 千円  S社:3,500,000 千円
② S社は,X2 年4 月1 日にP社に建物(S社の帳簿価額124,000 千円,減価償却累計額控除後)を131,200 千円で売却した。P社は,同日から当該建物を事業の用に供し,定額法(取得原価131,200 千円,耐用年数30 年,残存価額ゼロ)により減価償却を行っている。

問題23 当期の連結損益計算書における売上原価の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 51,860,000千円
2. 51,900,000千円
3. 52,080,000千円
4. 60,539,400千円
5. 60,540,600千円
6. 60,720,000千円

問題24 当期の連結貸借対照表における建物の金額(減価償却累計額控除後の金額)として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 11,210,820千円
2. 11,211,300千円
3. 11,211,540千円
4. 11,211,780千円
5. 11,213,628千円
6. 11,213,796千円

問題25 当期の連結株主資本等変動計算書における利益剰余金当期首残高の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 8,049,248千円
2. 8,052,560千円
3. 8,054,480千円
4. 8,504,248千円
5. 8,507,560千円
6. 8,059,480千円

問題26 当期の連結貸借対照表における非支配株主持分の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 2,151,726千円
2. 2,151,870千円
3. 2,152,014千円
4. 2,152,914千円
5. 2,154,030千円
6. 2,156,214千円

問題27 当期の連結損益計算書における親会社株主に帰属する当期純利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 4,096,310千円
2. 4,101,438千円
3. 4,101,758千円
4. 4,102,238千円
5. 4,108,310千円
6. 4,142,238千円

問題28 当期の連結包括利益計算書におけるその他の包括利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)

1. 14,000千円
2. 21,200千円
3. 23,000千円
4. 26,000千円
5. 96,800千円
6. 104,000千円

正解

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問題23
2
問題24
4
問題25
1
問題26
3
問題27
4
問題28
3

解説

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タイムテーブル
X1.3.31 X3.3.31 X4.3.31
持分比率 +70% 70% 70%
資本金 3,500,000 3,500,000 3,500,000
資本剰余金 1,000,000 1,000,000 1,000,000
利益剰余金   650,000 623,000
------------------>
267,000
1,540,000[TT 1] 711,270
-------->
304,830
2,556,100
その他有価証券評価差額金     4,000 9,800
------------------>
4,200
   18,000[TT 2] 4,200
-------->
1,800
   24,000
評価差額   100,000[TT 3]   100,000   100,000
合計 5,254,000 6,158,000 7,180,100
取得持分 3,677,800[TT 4]
取得価額 7,000,000
のれん 3,322,200[TT 5] △664,440[TT 6]×2年 1,993,320 △664,440 1,328,880
  1. ^ X4.3.31利益剰余金2,556,100-X3年度当期純利益1,016,000
  2. ^ A社(X3.3時価291,000-原価288,000)+A社以外(X3.3時価485,000-原価470,000)
  3. ^ X1.3土地時価2,100,000-土地簿価2,000,000
  4. ^ 5,254,000×70%
  5. ^ 取得価額7,000,000-取得持分3,677,800
  6. ^ 支配獲得時のれん3,322,200÷5年
評価差額
諸資産 (土地) 100,000 評価差額 100,000
連結修正仕訳
(X1.3.31投資と資本の相殺消去)
資本金 (当期首残高) 3,500,000 S社株式 7,000,000
資本剰余金 (当期首残高) 3,500,000 非支配株主持分 (当期首残高) 1,576,200
利益剰余金 (当期首残高) 650,000
その他有価証券評価差額金 (当期首残高) 4,000
評価差額 100,000
のれん 3,322,200
(X1.3~X3.3の利益剰余金・その他有価証券評価差額金・のれん償却)
利益剰余金 (当期首残高) 267,000 非支配株主持分 (当期首残高) 267,000
その他有価証券評価差額金 (当期首残高) 4,200 非支配株主持分 (当期首残高) 4,200
利益剰余金 (当期首残高) 1,328,880 のれん 1,328,880
(当期純利益の按分)
非支配株主帰属当期純損益 304,830 非支配株主持分 (当期変動額) 304,830
(その他有価証券評価差額金の按分)
その他有価証券評価差額金 (当期変動額) 1,800 非支配株主持分 (当期変動額) 1,800
(のれんの償却)
販売費及び一般管理費 (のれん償却額) 664,440 のれん 664,440
(商品売買 ※ダウン・ストリーム)
※※売上高・仕入高の相殺消去※※
売上高 8,640,000 売上原価 8,640,000
※※商品の未実現利益※※
※※※前期末※※※
利益剰余金 (当期首残高) 180,000 売上原価 180,000
※※※当期末※※※
売上原価 200,000 諸資産 (商品) 200,000
(建物 ※アップ・ストリーム)
※※開始仕訳※※
利益剰余金 (当期首残高) 6,960 諸資産 (建物) 7,200
減価償却累計額 240
非支配株主持分 (当期首残高) 2,088 利益剰余金 (当期首残高) 2,088
※※当期の実現※※
諸資産 (減価償却累計額) 240 販売費及び一般管理費 (減価償却費) 240
非支配株主に帰属する当期純損益 72 非支配株主持分 (当期首残高) 72
問題23(売上原価)
P社個別49,760,000
S社個別10,760,000
売上との相殺消去△8,640,000
期首商品未実現利益△180,000
期末商品未実現利益200,000
計51,900,000
問題24(建物)
P社個別7,718,500
S社個別3,500,000
未実現利益消去△7,200
減価償却による実現 480(=240×2年)
計11,211,780
問題25(期首利益剰余金)
P社期末13,015,240
P社当期純利益△4,075,240
P社帰属S社過年度利益剰余金623,000
過年度のれん償却△1,328,880
期首商品未実現利益△180,000
建物過年度未実現利益△6,960
過年度未実現利益按分2,088
計8,049,248
問題26(非支配株主持分)
タイムテーブル2,154,030(=7,180,100×30%)
過年度建物△2,088
当期減価償却費72
計2,152,014
問題27(親会社株主に帰属する当期純利益)
P社個別4,075,240
S社当期純利益P社帰属分711,270
のれん償却△664,440
期首商品未実現利益180,000
期末商品未実現利益△200,000
減価償却による実現240
減価償却費に関する按分△72
計4,102,238
問題28(その他の包括利益)
P社17,000(=当期末3,880,000-前期末3,863,000)
S社6,000(=当期末24,000-18,000)
計23,000
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