公認会計士試験/平成30年第II回短答式/監査論/問題12
問題
編集監査調書に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)
ア.監査調書は,監査人の責任において監査人自身が実施した作業に基づいて作成されるものであるため,内部監査人の特定の作業を利用する場合であっても内部監査人の作業に関して記載する必要はない。
イ.監査人は,監査手続により入手した重要な監査証拠について監査調書に記載するのであって,監査証拠の全てを記載するわけではない。
ウ.監査人は,監査における作業の判断の質を自らあるいは組織的に管理するために監査調書を作成することが不可欠であるが,必ずしも紙媒体により保存する必要はない。
エ.監査人は,重要な事項に関する結論を形成する過程で矛盾した情報を識別した場合には,矛盾した情報に対する監査人の対応については文書化しなければならないが,矛盾の原因となった不正確な文書や修正前の文書を必ずしも残す必要はない。
- アイ
- アウ
- アエ
- イウ
- イエ
- ウエ
正解
編集6
解説
編集ア.監査調書は,監査人の責任において監査人自身が実施した作業に基づいて作成されるものであるため,内部監査人の特定の作業を利用する場合であっても内部監査人の作業に関して記載する必要はない。内部監査人の作業の適切性の評価に関する結論及び実施した監査手続を監査調書に記載しなければならない。監査基準委員会報告書610第12項
イ.監査人は,監査手続により入手した重要な監査証拠について監査調書に記載するのであって,監査証拠の全てを記載するわけではない。監査調書は,経験豊富な監査人が以前に当該監査に関与していなくとも監査手続やその結果などについて理解できるように,作成しなければならないから,重要な監査証拠に限って監査調書に記載するわけではない。監査基準委員会報告書230第5項(1),7項,監査基準委員会報告書500第4項(2)
ウ.監査人は,監査における作業の判断の質を自らあるいは組織的に管理するために監査調書を作成することが不可欠であるが,必ずしも紙媒体により保存する必要はない。監査基準委員会報告書230第5項(2),A3項,監査基準平成14年改訂前文三2(5)
エ.監査人は,重要な事項に関する結論を形成する過程で矛盾した情報を識別した場合には,矛盾した情報に対する監査人の対応については文書化しなければならないが,矛盾の原因となった不正確な文書や修正前の文書を必ずしも残す必要はない。監査基準委員会報告書230第10項A15項
- ウィキブキアンのコメント
- 監査調書と監査報告書を混同しないこと
- 選択肢イは監査基準委員会報告書230A2項(4)から正解と解釈可能ではないか[1]?