公認会計士試験/平成30年第II回短答式/財務会計論/問題23~28
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問題
編集P社の連結財務諸表作成に関する次の〔資料I〕〜〔資料III〕に基づき,以下の問題23~問題28に答えなさい。
〔資料I〕 留意事項
- 1.P社およびS社の会計期間は,いずれも12 月31 日を決算日とする1 年であり,当期は,X3 年度(X3 年1 月1 日からX3 年12 月31 日まで)である。
- 2.P社およびS社の間には,〔資料II〕に示されたもの以外の取引はない。
- 3.のれんは,発生した年度の翌年度から5 年間にわたり定額法により償却する。
- 4.P社およびS社の法定実効税率を40 %とし,税効果会計を適用する。ただし,連結財務諸表上の修正に当たっては,①S社の資産の時価評価による評価差額,②P社とS社間の取引から生じたものとして消去した未実現損益および③P社とS社間の債権と債務の相殺消去に伴い減額修正した貸倒引当金についてのみ一時差異を認識する。なお,繰延税金資産と繰延税金負債はすべて固定区分に属するものとし,双方を相殺して表示する。
〔資料II〕 連結財務諸表作成に関する事項
- 1.P社は,X1 年度末にS社の発行済株式の15 %を2,100 百万円で取得し,S社を原価法適用会社とした。さらに,P社は,X2 年度末にS社の発行済株式の55 %を8,800 百万円で取得し,S社に対する支配を獲得した。
- 2.P社およびS社の純資産額の推移は次のとおりである。
資本金 | 利益剰余金 | 合計 | |
X1年12月31日 | 24,000 | 6,500 | 30,500 |
X2年12月31日 | 24,000 | 8,600 | 32,600 |
資本金 | 利益剰余金 | 合計 | |
X1年12月31日 | 8,000 | 4,000 | 12,000 |
X2年12月31日 | 8,000 | 5,200 | 13,200 |
- 3.S社の土地の簿価および時価の推移は次のとおりである。なお,土地以外の資産および負債には,簿価と時価との間に重要な差異はなかった。
簿価 | 時価 | |
X1年12月31日 | 8,200 | 9,200 |
X2年12月31日 | 8,200 | 9,700 |
- 4.S社は,当期末に上記の土地(簿価8,200 百万円)のうち,30 %(簿価2,460 百万円)を連結企業集団外部に3,150 百万円で売却し,土地売却益690 百万円を計上した。
- 5.S社は,当期よりP社へ商品の一部を掛けで販売している。当期におけるS社からP社への売上高は18,000 百万円であった。なお,この売上高のうち,500 百万円分の商品が決算日現在P社へ未達であった。
- 6.P社の当期末の商品棚卸高に含まれているS社からの仕入分は,2,500 百万円(未達商品分は除く。)であった。なお,S社からP社への商品販売における売上総利益率は20 %である。
- 7.S社の当期末の売掛金残高のうちP社に対するものは,5,000 百万円(未達商品分を含む。)であった。
- 8.S社は,売掛金の期末残高に対して2 %の貸倒引当金を計上している。なお,個別財務諸表上,貸倒引当金に対して繰延税金資産(固定)が計上されている。
- 9.S社は,当期中に剰余金の配当600 百万円を行っており,そのうちP社に対する配当は420 百万円であった。なお,P社は,当期中に剰余金の配当850 百万円を行っている。
〔資料III〕 P社およびS社の個別財務諸表
資産の部 | P社 | S社 | 負債・純資産の部 | P社 | S社 |
---|---|---|---|---|---|
現金及び預金 | 6,820 | 3,480 | 買掛金 | 17,300 | 13,400 |
売掛金 | 22,000 | 17,500 | 短期借入金 | 4,800 | 3,560 |
貸倒引当金 | △440 | △350 | 未払法人税等 | 2,960 | 1,890 |
商品 | 8,800 | 6,380 | その他の流動負債 | 3,770 | 2,820 |
その他の流動負債 | 3,100 | 1,290 | その他の固定負債 | 3,640 | 2,620 |
建物 | 7,870 | 5,440 | 負債合計 | 40,870 | 24,290 |
減価償却累計額 | △3,800 | △2,900 | 資本金 | 24,000 | 8,000 |
土地 | 16,400 | 5,740 | 利益剰余金 | 11,200 | 7,430 |
S社株式 | 10,900 | - | 純資産合計 | 35,200 | 15,430 |
繰延税金資産(固定) | 1,060 | 660 | |||
その他の固定資産 | 3,360 | 2,480 | |||
資産合計 | 76,070 | 39,720 | 負債・純資産合計 | 76,070 | 39,720 |
P社 | S社 | |
売上高 | 88,200 | 41,400 |
売上原価 | △69,300 | △29,700 |
売上総利益 | 18,900 | 11,700 |
販売費及び一般管理費 | △11,050 | △5,730 |
営業利益 | 7,850 | 5,970 |
受取利息及び配当金 | 860 | 310 |
支払利息 | △410 | △80 |
土地売却益 | - | 690 |
税引前当期純利益 | 8,300 | 6,890 |
法人税等 | △5,130 | △4,270 |
法人税等調整額 | 280 | 210 |
当期純利益 | 3,450 | 2,830 |
問題23 当期の連結貸借対照表におけるのれんの金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
- 1. 488百万円
- 2. 618百万円
- 3. 728百万円
- 4. 798百万円
- 5. 824百万円
- 6. 1,064百万円
問題24 当期の連結貸借対照表における繰延税金資産(固定)の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
- 1. 1,320百万円
- 2. 1,460百万円
- 3. 1,500百万円
- 4. 1,580百万円
- 5. 1,740百万円
- 6. 1,920百万円
問題25 当期の連結貸借対照表における利益剰余金の金額として最も適切なものの番号を一つ選 びなさい。(4点)
- 1. 11,796百万円
- 2. 11,835百万円
- 3. 12,096百万円
- 4. 12,130百万円
- 5. 12,396百万円
- 6. 12,615百万円
問題26 当期の連結貸借対照表における非支配株主持分の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
- 1. 4,701百万円
- 2. 4,728百万円
- 3. 4,746百万円
- 4. 4,809百万円
- 5. 4,899百万円
- 6. 4,908百万円
問題27 当期の連結損益計算書における売上原価の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
- 1. 80,400百万円
- 2. 81,000百万円
- 3. 81,100百万円
- 4. 81,500百万円
- 5. 81,600百万円
- 6. 82,100百万円
問題28 当期の連結包括利益計算書におけるその他の包括利益の金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(4点)
- 1. 4,265百万円
- 2. 4,346百万円
- 3. 4,388百万円
- 4. 4,395百万円
- 5. 4,535百万円
- 6. 4,646百万円
正解
編集- 問題23
- 6
- 問題24
- 3
- 問題25
- 5
- 問題26
- 2
- 問題27
- 5
- 問題28
- 2
解説
編集S社個別財務諸表修正
編集評価差額計上 | |||||
(借) | 土地 | 1,500 | (貸) | 繰延税金負債(S社) | 600 |
(貸) | 評価差額 | 900 | |||
評価差額実現 | |||||
(借) | 土地売却益 | 450 | (貸) | 土地 | 450 |
(借) | 繰延税金負債(S社) | 180 | (貸) | 法人税等調整額 | 180 |
タイムテーブル
編集X1.12.31 | X2.12.31 | X3.12.31 | |||
70% | 70% | ||||
資本金 | 8,000 | 8,000 | |||
利益剰余金 | 5,200 | 1,981△420 -----------→ 849△180 |
7,430 | ||
評価差額 | 900 | △189 -----------→ △81 |
630 | ||
合計 | 14,100 | 16,060 | |||
取得持分 | 9,870 | ||||
S社株式 | 10,900 | }支配獲得時時価11,200 | |||
段階取得に係る差益 | 300 | ||||
のれん | 1,330 | △266 | 1,064 |
連結修正仕訳
編集資本連結
編集段階取得に係る差益 | |||||
(借) | S社株式 | 300 | (貸) | 利益剰余金(当期首残高) | 300 |
支配獲得時の投資と資本の相殺消去 | |||||
(借) | 資本金(当期首残高) | 8,000 | (貸) | S社株式 | 11,200 |
利益剰余金 | 5,200 | 非支配株主持分 | 4,230 | ||
評価差額 | 900 | ||||
のれん | 1,330 | ||||
当期純利益の按分(評価差額の実現を反映済み) | |||||
(借) | 非支配株主帰属純損益 | 768 | (貸) | 非支配株主持分 | 768 |
剰余金の配当 | |||||
(借) | 受取配当金 | 420 | (貸) | 利益剰余金(剰余金の配当) | 600 |
非支配株主持分 | 180 | ||||
のれん償却 | |||||
(借) | 販売費及び一般管理費(のれん償却額) | 266 | (貸) | のれん | 266 |
成果連結
編集未達商品 | |||||
(借) | 商品 | 500 | (貸) | 買掛金 | 500 |
売上高・仕入高の相殺消去 | |||||
(借) | 売上高 | 18,000 | (貸) | 売上原価 | 18,000 |
棚卸資産の未実現利益 | |||||
(借) | 売上原価 | 600 | (貸) | 商品 | 600 |
繰延税金資産(S社) | 240 | 法人税等調整額 | 240 | ||
非支配株主持分 | 108 | 非支配株主帰属純損益 | 108 | ||
売上債権・仕入債務の相殺消去 | |||||
(借) | 買掛金 | 5,000 | (貸) | 売掛金 | 5,000 |
貸倒引当金の調整 | |||||
(借) | 貸倒引当金 | 100 | (貸) | 販売費及び一般管理費(貸倒引当金繰入額) | 100 |
法人税等調整額 | 40 | 繰延税金資産(S社) | 40 | ||
非支配株主帰属純損益 | 18 | 非支配株主持分 | 18 |
解答数値の算定
編集- 問題23
- 1,064百万円(タイムテーブルより)
- 問題24
- P社:1,060(個別B/S)
- S社
- 繰延税金資産:個別660+未実現利益240-貸倒引当金40=860
- 繰延税金負債:土地評価差額600-評価差額実現180=420
- 相殺後:860-420=440
- 連結B/S:1,060+440=1,500
- 問題25
- P社個別:11,200
- 段階取得に係る差益:300(タイムテーブルより)
- 当期純利益の按分:1,981(タイムテーブルより)
- 受取配当金相殺:△420(タイムテーブルより)
- 評価差額の実現:△189(タイムテーブルより)
- のれん償却:△266(タイムテーブルより)
- 期末商品未実現利益:△600
- 未実現利益に係る税効果:240
- 非支配株主への按分:108
- 貸倒引当金調整100
- 貸倒引当金に係る税効果:△40
- 非支配株主への按分:△18
- 合計:12,396
- 問題26
- タイムテーブル:16,060×30%
- 成果連結:-108+18
- 合計:4,728
- 問題27
- 個別P/L(69,300+29,700)+相殺消去△18,000+未実現利益600=81,600
- 問題28
- P社個別:3,450
- 当期純利益の按分:1,981(タイムテーブルより)
- 受取配当金相殺:△420(タイムテーブルより)
- 評価差額の実現:△189(タイムテーブルより)
- のれん償却:△266(タイムテーブルより)
- 期末商品未実現利益:△600
- 未実現利益に係る税効果:240
- 非支配株主への按分:108
- 貸倒引当金調整100
- 貸倒引当金に係る税効果:△40
- 非支配株主への按分:△18
- 合計:4,346
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