まず、幾何学を考えるにあたって必要な、基本的な用語を定義しよう。

点とは、位置の概念のみを持つ対象である。部分や大きさ、面積などは持たない。

点に名前を付ける時は、アルファベットの大文字を使って、点A、点B、点C…と表す。pointの頭文字Pから始めて、点P、点Q、点R…と名前を付けることも多い。

点を紙や画面に書く時、普通小さな黒丸をかくが、これは本来大きさがない点を見やすくするために用いるにすぎない。黒丸の大きさや形などは幾何学的な「点」の概念には無関係なので注意すること。

線とは、点の集まりである。ただし、どんな点の集まりも線と呼ぶわけではなく、次の条件を満たしている必要がある。

  • 途中で途切れない
  • 長さを持つが、幅は持たない

直観的には、一方向だけに伸びる点の集まりのことを指す。

直線

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直線とは端のないまっすぐな線である。ただし、何をもってまっすぐな線と言うのかは特に定義はしないが、そういうものだと思ってもらいたい。異なる2点A,Bを定めた時、それらを通る直線はただ1本しか存在しない。また、直線は端を持たないので、直線の長さを考えることは出来ない。

直線に名前を付ける時は、アルファベットの小文字を使って、直線aなどと表す。

半直線

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直線上に点を1個とると、その点は直線を2個の部分に分ける。この「部分」を半直線という。半直線はその端点を含む。

半直線AB と書くと、点A を端点として、点B を通る半直線を意味する。したがって、半直線AB と半直線BA は異なった図形を指す。一般に、半直線AB は、直線AB に含まれる。

線分

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直線上に点を2個とると、それらの点に挟まれた部分を定義できる。この「部分」を線分という。線分はその両端の点を含む。

点A と点B を両端とする線分を線分AB と書く。したがって、線分AB と、線分BA は同じ図形を指す。一般に、線分AB は、直線AB、半直線AB、半直線BA のいずれにも含まれる。

2点間の距離とは、その2点を結ぶ線分の長さのことである。ただし、2点が重なる場合、距離は0と約束する。

ABと書いて、線分ABの長さを表す。特に、AA=0。

 

円とは、ある定点との距離が等しい全ての点の集合である。この定点を円の中心といい、等しい距離を半径という。

中心は点O、半径はr とおくことが多い。円が複数ある時は添字を使う。

円は閉じた曲線であり、平面を2つに分ける。そのうち、中心を含むほうを円の内部、含まないほうを円の外部という。円とその内部をあわせて、円盤ということがある。

円の面積とは、円盤の面積のことである。

円は中心に付いている名前を用いて、例えば中心が点Oなら円は、円Oと表す。また、ギリシャ文字の大文字(Γなど)で表すこともある。

多角形

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三角形

線分の端点を、どの2つの線分をとっても端点以外では交わらず、かつ一直線にならないとき、これを 多角形 という。つなぎ合わせた線分の数に応じて、n 角形 という。

 
三角形の3つの角

角は初等幾何学において特徴的な概念である。

端点を1つだけ共有する2つの線分、もしくは半直線があったとき、これを角という。線分 OA, OB が角であるとき、これを ∠AOB または ∠BOA と表記する。

角には大小関係や相等関係があり、角度という数字で表す。∠AOB が一直線上にあるとき、∠AOB = 180° とし、90° を 直角 という。

角は他にもギリシャ文字の小文字(α など)を用いて表記することがある。また、どの角なのかが明確なときには省略として頂点のみを ∠A とすることもある。