このあたりで趣向を変え、定積分の計算へLaplace 変換を応用してみよう.
少し面倒な定積分も,比較的簡単に処理できることがある.
例56
次の公式は有名である.
これを少し一般化した次の公式を示す.
この積分を求めるには,次のようにする.まず
(2.35)
とおいて Laplace 変換 する.:
ここで と とは交換できるものとした.これは Laplace 変換の定義を書き下してみれば分かる通り,
2 重積分の積分順序の交換が許されると仮定することを意味する[1].
厳密には証明を要するところであるが,おおらかに進むことにしよう.そうすれば,上式は
[2]
と簡単な積分に変換される.
[3]
すなわち,
となる.ここで,原像を求めれば,
を得る.式 (2.35) に戻ってみれば分かるように, は奇関数である[4]から,
となり, とおけば,求める結果を得る.
- ^
両辺のラプラス変換をとる.
と の積分順序を交換する.
を先に計算する.すなわち をラプラス変換することになる.
- ^
とする. とおいて積分変数を から に変更すると,
積分範囲は のとき, だから を仮定すれば,
.
よって,
- ^
を
- …①
とおいて求めた結果が,
であり,①を逆三角関数で表現すれば,
- .
すなわち
- .
- ^
- .
例57
を示せ.
解答例
とおく.両辺をラプラス変換すると,
ここで 例56 の結果より
であることがすでに分かっているから,
したがって
を得る. のとき
よって
例58
を示せ.
解答例
にて と置いて積分変数を から に変更する.
積分範囲は のとき .
したがって,
例57 より
にて を代入.
例59
を示せ.
解答例
とおく.両辺をラプラス変換すると,
例56 より
を適用し,
よって,
例60
を示せ.
解答例
とおく.両辺をラプラス変換して,
例56 より
を適用し,
よって,