古典文学/古典文法/助動詞/助動詞とは

特徴 編集

助動詞は意味を補ったり、話し手や筆者の気持ちや判断を表す働きを持つ品詞である。日本語では助動詞を連ねることで細かい判断や複雑な表現を行う。助動詞は主に用言とほかの助動詞と接続するが、まれに体言や助詞と接続する。副詞・連体詞・接続詞・感動詞とは接続できない。

助動詞は単独で文節を構成することができないため付属語に分類される。助詞との大きな違いは活用の有無であり、助動詞は活用がある。

話し手や筆者の意思・判断・気持ちを表すため、古文の意味を正確にとらえるには助動詞の意味を正しくとらえる必要がある。しかし、現代語訳の際、区別や相当する言葉が消滅したため、副詞などで補足しながら訳さなければならないもの(例:「つ」「ぬ」は強意の時には「きっと~してしまう」と訳す)・近い意味の言葉で訳すほかないものも多い(例:直接過去の「き」と間接過去の「けり」。区別がなくなったので両方とも「た」と訳すしかない)。

助動詞は使われる時代ごとの差がとても大きいことも知っておくと読解の手助けになるだろう。

音便 編集

助動詞にも音便がある。詳細はそれぞれのページを参照のこと。ここでは概略のみ述べる。

  • イ音便・ウ音便
「べし」「まじ」の連体形「べき」「まじき」は「べい」「まじい」となることがある。また、「べき」「まじ」「まほし」「たし」の連用形は「べう」「まじう」「まほしう」「たう」となる場合がある。
  • 促音便
「たり(断定)」「ず」が「き」の連体形・已然形に続くとき、「たつ(し+か)」「ざつ(し+か)」となることがある。
  • 撥音便
「たり(完了)」「なり(断定)」「ず」「べし」「まじ」の連体形に「めり」「なり(伝聞・推定)」が接続すると「たん」「なん」「ざん」「べかん」「まじかん」となることがある。この「ん」は表記しないことが多い。

成立 編集

日本語のまとまった文献は奈良時代の『古事記』『日本書紀』『風土記』『万葉集』が最も古く、それ以前の文献は断片的にしか伝わっていないため、わかっていないことや論争となっているものも多いが、いくつかの助動詞の成立過程は判明している。詳細はそれぞれの助動詞のページを参照。

  • 使役「す」:「明かす」などの動詞の語尾「す」と同源と考えられている。
  • 完了「つ」:「棄(う)つ」より
  • 完了「ぬ」:「去ぬ」より
  • 完了「たり」:完了の助動詞「つ」の連用形「て」+ラ変動詞「あり」
  • 完了「り」:四段またはサ変動詞連用形+ラ変動詞「あり」
  • 断定「なり」:助詞「に」+ラ変動詞「あり」
  • 断定「たり」:助詞「と」+ラ変動詞「あり」
  • 打消「ず」の補助活用:「ず」+ラ変動詞「あり」
  • 推定「めり」:「見あり」または「見えあり」
  • 推定「なり」:「音(ね)あり」または「鳴る」+ラ変動詞「あり」
  • 願望「まほし」:「まく欲し」より(「まく」はク語法)
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