商法第576条
条文
編集(損害賠償の額)
- 第576条
- 運送品の滅失又は損傷の場合における損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格(取引所の相場がある物品については、その相場)によって定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める。
- 運送品の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は、前項の損害賠償の額から控除する。
- 前二項の規定は、運送人の故意又は重大な過失によって運送品の滅失又は損傷が生じたときは、適用しない。
解説
編集商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律(平成30年法律第29号)により、下記の規定から改正。
【運送品滅失と運送賃】
- 第576条
- 運送品ノ全部又ハ一部カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ其運送賃ヲ請求スルコトヲ得ス若シ運送人カ既ニ其運送賃ノ全部又ハ一部ヲ受ケ取リタルトキハ之ヲ返還スルコトヲ要ス
- 運送品の全部又は一部が不可抗力によって滅失したときは、運送人はその運送賃を請求することができない。もし運送人が既にその運送賃の全部又は一部を受け取ったときは、これを返還しなければならない。
- 運送品ノ全部又ハ一部カ其性質若クハ瑕疵又ハ荷送人ノ過失ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ運送賃ノ全額ヲ請求スルコトヲ得
- 運送品の全部又は一部がその性質もしくは瑕疵又は荷送人の過失によって滅失したときは、運送人は運送賃の全額を請求することができる。
民法第536条(債務者の危険負担等)の債務者主義を定めた。運送物の滅失によって運送債務が消滅し、牽連関係にある運送賃請求権も消滅する。民法の「債務者」を運送人、「債権者」を荷送人として読むと「・・・当事者双方の責めに帰することができない事由によって運送債務を履行することができなくなったときは、運送人は、運送賃請求権を有しない。」となる。
「不可抗力」とは、民法第536条の注意的規定だから、商法第594条よりも広く「当事者双方の責めに帰することができない事由」と解釈されている。
なお、特約で排除することは可能である。
- (運賃請求権)第三十五条
- 1. 当店は、貨物の全部又は一部が天災その他やむを得ない事由又は当店が責任を負う事由により滅失したときは、その運賃、料金等を請求しません。この場合において、当店は既に運賃、料金等の全部又は一部を収受しているときは、これを払い戻します。
- 2. 当店は、貨物の全部又は一部がその性質若しくは欠陥又は荷送人の責任による事由によって滅失したときは、運賃、料金等の全額を収受します。
参照条文
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