学習方法/中学校地理
中学社会科の参考書は復習用のものが多い
編集社会科の詳しめの参考書は、復習用のものが多い。中3が読むのを前提にしている場合が多い。
たとえば地理のヨーロッパ州のドイツの項目を読むと、宗教について「キリスト教のプロテスタントの信者が多い」とか書いてある。
中2の歴史でならうヨーロッパ史の「宗教革命」の知識を前提としている記述が、割と前半の地理分野に書いてあったりする。
しかし中1では、多くの中学で、まだ歴史を習ってない。
さて、どうするか・・・という問題がある。
いくつかの対策を考えてみた。
- 対策A - 社会科は予習せずに英語など他教科の予習をする。
- 対策B - 簡単な参考書(定期テスト対策レベルのヤツ)を使い、地理→歴史→公民の順番で予習をする。
- 対策C - 歴史から読む。
- 対策D - あきらめて地理から、復習用の参考書を読む。
このような問題があるので、最初の1冊目を読む場合は、決して、いきなり暗記しようとしてはいけない。
たとえば、「ドイツのプロテスタントが多い」という知識は、そもそも歴史の宗教革命の提唱者のルターがドイツ人だし、宗教革命の発祥地がドイツなので、当然と言えば当然である。
なので、じつは丸暗記の必要が無い。
こういう話題が各所にあるので、1冊目の1回目では、暗記を避けよう。読書の1回目は暗記せずに通読しなければいけない。
参考書の出版社ごとの差の大きさ
編集中学の地理は、参考書ごとに、あつかう項目の格差が大きい。
たとえば旺文社は、ドイツについて、農業をまったく扱ってない。ドイツは工業国という認識だろう。
いっぽう、受験研究社は、ドイツについて、農業も扱っており、小麦などの生産量が多いという話や(ビールの原料も小麦)、偏西風のため気候が温暖という話もしている。
このように、出版社ごとに、視点が全く違う。
ドイツに関しては受験研究社が詳しいが、しかしデンマークとかスウェーデンなど北欧・東欧などの周辺の他国に関しては、もしかしたら旺文社のほうが詳しいかもしれない。なぜなら参考書のページ数には限りがあるので、どこかの国を詳しく紹介したら、別の国はそのぶん説明が削られる事になる。
歴史や公民の場合は、大体、どの項目に注目するかという共通の相場があるが、しかし地理の場合、そういうのの合意が無いので、出版社ごとに注目点が多種多様である。
この地理についての出版社ごとの差異があるので、学習において、なんらかの対策が必要である。
対策の例
- 文英堂や数研出版が、分野ごとに分かれた参考書を出しているので、その地理分野だけを買って読んで、おぎなうとか。
- あるいは、参考書を2冊買うとか。(ただし、歴史や公民は割と共通部分が多いので、そこは重複になってしまう)
- それとも、高校の地理の参考書を買ってしまうか、とか。
どれを選ぶかは、各人の判断に任せる。
なお、「私立高校受験なので国数英の3教科なので、社会の参考書を買わない」という案は、大学受験を考えるなら、あまり勧めない(すすめない)。
なぜなら、大学入試で文系志望や国立志望なら、最終的に社会を使う事になるからである。公務員志望の場合も、社会が必要である。
地図の地名は入試に出づらい
編集参考書の地図には色々な地名がありますが、基本的には、参考書の本文に無いような地名は、公立高校の入試には出ないのが普通です。(なお、歴史の古い地図なども同様、本文に無いような地名は、たとえ地図中にあっても出ない。)
基本、統計は、都市単位ではなく国単位で出ます。「思考力を育てる」的な文科省の教育方針から、公立高校入試の地理では、統計を当たえて、国名などを選択肢の中から選ばせる形式の出題が増えています。このため、統計の少ない都市名を問う形式の出題は、出づらいのです。
小学校の復習は不要
編集地理に関して、小学校の復習は不要です。
試験対策と暗記について
編集高校入試には、今でも知識問題があり、地理学習上の重要語句や重要データ、重要国の国名・地名など、基本的には学校教育上の試験では、語句単答の問題が今でも存在しています。
具体的な記憶の方法は、それぞれの生徒さんで工夫を凝らしてほしいです。
大学入試当たりぐらいに進むと、例えば「この語句について、40字以内で説明せよ。」というような、記述的、考察的な問題も増えてきますが、しかし中学校ではやはり、語句や記憶を問う、単答の試験問題が多いでしょう。
とはいえ、高校入試でも、「説明せよ」問題がありますので、教科書・参考書に書いてある程度の事は理解しましょう。
地理と歴史・公民
編集「地理」と「歴史」と「公民」の3分野で、中学校の「社会科」です。
常識的にも現実的にも、教科の学習は偏らないで、バランスよく勉強するのが最善でしょう。参考書で、地理・歴史・公民の3科目が一冊にまとまってる本も市販されていますので、そのような一冊にまとめてある参考書を手に入れて読むのも良いでしょう。
中学校の社会科の授業方針として、次の2つがあります。
- 1年で地理、2年で歴史、3年で公民。
- 1・2年で地理分野と歴史分野を並行して学習。3年生で、公民分野と歴史分野を学習する。
再び記憶することについて
編集用語は、基本的に漢字で覚える必要があります。ただし、常識的な漢字として、教育漢字、常用漢字というのも定められており、あまり難しい漢字を無理して使う必要はなく、授業や教科書で扱っている記述にしたがって覚えていけば大丈夫です。
そのほか、記憶、暗記に関しては、教科書や参考書を読むなどの学習を重ねるうちに、ある程度は自然に覚えたり定着することも多いので、暗記は試験前などの最終手段にするのが良いでしょう。
また、世界地理に関しては、教科書の種類によって紹介している国が異なる場合が多いようです。ある教科書会社の教科書では中国以外のアジアの国としてタイを取り上げて紹介していても、他社の教科書では中国以外のアジアの国ではインドを取り上げて紹介している。
入試対策としては、自分の通っている学校で習っていないところも出題されますので、参考書などで高校入試の範囲も学習してください。
丸暗記をさけて、関連づけて覚える
編集例えば地理の学習、課題として、ある農産物の主要な生産国を挙げる、なんてものがあります。2018/19年の米国農務省のデータとして、米の輸出量の1位はインド、2位はタイ、3位はベトナム、という統計がありますが、これを覚えるかどうか自体も課題ですが、事実上は試験問題として聞かれることは多いので、多くの人は暗記しておきたいと思いますよね。その場合は、やはり、ただ暗記するというより、下記のように地理理解をもとに覚えるのがいいでしょう。
たとえば「米は熱帯の作物なので、米の生産の多い国は、南アジアや東南アジアなどの熱帯地方に多い。実際に、米の輸出量の1位はインドで、2位はタイ」と、こういう考察や発想があると、覚えやすいし、地理の理解も深まります。
アジアモンスーンの地域は暑い時期海からの季節風によって湿潤な気候になり、稲作の好適地になります。こういう地理的な知識や考えと記憶、暗記事項を関連させて学習すると、多くの試験問題で問われる記憶、知識問題にも対応しやすいし、社会科、地理学として有意義な学習になっていくと思います。
時事問題は出づらい
編集一般的な受験関係者の分析として、いわゆる時事問題、ニュースや新聞で日々リアルタイムで供給されている情報については、高校入試では、あまり出題されません。仮に出題されても、一般的な参考書や学習教材で触れられているような、普遍的な知識や理解を確認する問題になるでしょう。
高校入試で、入試問題で時事問題が扱われるのは、ごく一部の私立の難関校などでしょう。一般的な高校入試としては、時事はあまり出題されません。
地図帳は実は入試対策では使わない
編集参考書があれば、じつは地図帳は、あまり入試対策では使いません。少なくとも高校入試ではそうです。
なので、ヒマな時間は、地図帳をながめるよりも、まずは社会科の参考書を読みましょう。高校入試に出そうなことは、参考書に書いてあります。
なお、地図帳の巻末に統計がありますが、入試対策としては、まったく使いません。
解説のない統計をいくつも覚えるのは、大人ですら無理です。学校教材の地図帳では、客観性のため、なんの解説や背景の説明もなく統計が提示されていますが、しかしああいうのを丸暗記するのは、地理の勉強法とは違います。
参考書に、統計の解説などもありますので、参考書を読みましょう。
ほか、各国に首都名とかは、地図帳には全部の国の首都名がありますが、しかし高校入試では、よほどの主要国でない限り、首都名は出題されないです。たとえば参考書を見ても、ウズベキスタンの首都名とか、まったく書いてありません。
とはいえ、まあ、資料として地図帳は質は高いので、地図帳は取っておきましょう。授業でも地図帳を使いますし。地図帳をつくるのは大変なのです。教科書会社の、かなりの予算が、地図帳の作成に投入されています。
複合問題は出ない・簡単なので気にしなくていい
編集公立高校入試では、あまり地理と歴史の複合問題は、ありません。もしかしたら複合問題の事例もあるのかもしれませんが、この文のwiki編集者・Sは、まったく聞きません。
仮に複合問題が出ても、それほど難しい問題は出ないと思います。
参考書では、もしかしたら歴史と関連づけて地理を説明しているかもしれませんが、しかし直接的には、地理の問題では、歴史を問う事は少ないと思います。
せいぜい、参考書の地理分野に書いてある程度の、20世紀~21世紀の歴史を、地理では押さえておけばよい。地理の現代の問題に影響を与えているのは20世紀や21世紀の歴史なので。
近代などの18世紀・19世紀のような古い歴史の話をしてしまうと、遠く離れた地域などと比較できなくなってしまいます。たとえば、フランスとブラジルの比較をする際、フランス革命の歴史ばかりを長々と話すという出題も変だし。
もしかしたら、「太郎くん」と「花子さん」の対談形式の出題で、太郎くんが無理やり、地理の話の最中に、中学でも習う、その国の近代の歴史の話をして、歴史の問題を出すという出題例も都道府県によってはあるのかもしれませんが、その程度の難易度でしょう。
よって、普通に、歴史の知識があれば、解ける問題でしょう。
公民については、そもそも法律が日本と違うので、複合するのが難しい。