学習方法/高校地理
- 以下の記述は高校地理の独学を想定しています。
- 高校地理に限りませんが、現役の高校生(特に1年生・2年生)は、宿題に取り組む、検定教科書3冊や副教材をしっかり読む、不明点は学校の先生に質問するなどをきちんとこなしましょう。もちろん授業外での自習も必要です。くれぐれも、以下の記述を鵜呑みにせず、自身の理解状況を正しく認識して各自学習に取り組むようにしてください。ただし、本ページを参考程度として活用するのは一向に構いません。
高校地理は中学で習わない新内容も
編集高校の地理では、中学校の地理では習わない数多くの学習事項や用語もあります。中学校での社会科地理分野では地誌分野を主に学習してきたと思います[1]。しかし、高校地理では系統地理分野の比重がかなり増加します[2]。この他、地誌分野の学習事項も増えます[3]。このため高校用の教材が必要です。中学で使用した教科書や参考書では不十分です。高校での検定教科書や参考書などで、高校地理の基礎知識を頭に入れる必要があります。
情報の入手
編集暗記科目全般にいえますが、地理でも出来れば自身が学校で配布された教科書以外の2社も自分で教科書販売株式会社が認めた書店で購入して比較勉強をするか、各社の教科書の内容をまとめた地理用語集を利用しましょう。例えば二宮書店は人文地理に詳しく、東京書籍は帝国書院や二宮書店にない内容が詳しく、帝国書院だと自然地理の内容に詳しいです。本地理探究wikibooksもこれに基づいて記述しています。
高校の地理総合・地理探究の教科書では、各テーマの基本が具体例でまとめられています。具体例の説明と理論的な説明の違いを見分け、両方を記憶する力が必要です。また、教科書では具体例を抽象的な例として使い、似たような他のテーマにも応用しています。
最も詳しい地図帳は帝国書院の『新詳高等地図』だと思われます。地図だけでなく、様々なデータが示されているので、場所を探すだけでなく、環境の状態を確認するのにも利用出来ます。帝国書院の『地理統計』や二見書房の『地理統計要覧』などは、数字がたくさん出てくる本です。日本史や世界史の教科書の中には、産業や地域の歴史を調べられます。
より細かい具体的情報を得るには、各地の農業組合のホームページや、行政地域内の各種産業について載せる都道府県庁・市区町村役所のホームページが利用出来ます。新聞の各ページにも地理に関わる多く記事があります。
地理の共テ過去問集は、サイズ大きめの書籍で
編集地理の大学入学共通テスト過去問集は、サイズ(判型)の大きめの書籍で。地理の入試問題では、地図などを読み取る問題もありますが、過去問集のサイズ(判型)が小さいと、縮小コピーされてしまい、記号などが潰れてしまっていたりして、あまり役立ちません。
このため、ややサイズ(判型)の大きめの問題集を購入する必要があります。
教学社の赤本は、地理の地図読み取り問題の練習では、縮小コピーされてしまっており、役立ちません。出題傾向を調べるだけに留めるか、問題練習したいなら他社の過去問集にしましょう。
大学での教科書や学術書は不要
編集日本では、地理学科を持つ大学はごくわずかです。かつて私(←誰?)が大学で在籍した学科もそうですが、他の学科の中に地理が混じっている大学もあります。そのため、変更があまり行われず、統計などの情報が古くなっているかもしれません。そのため、大学の教科書はほとんど必要ありません。
- ※ 「私」のような編集者個人しか分からない表現を避けてください。「編集者Yamada」とか「編集者Tanaka」みたいに第三者が読んでも誰だか分かる表現をお願いします。
時事問題に関しては、大学レベルの学術書よりも高校の教科書の方がより最新の情報が載っていると思います。
ですから、高校生の時に持っていた地理の教科書を読んでみてください。
必要な教科書に載っている以上の知識を学びたいなら、大学や就職するまで参考書を読んでおくと安心です。
また、大学の入試問題は学習指導要領(および学習指導要領に準拠した教科書)とあまり変わらないので、大学レベルの教科書を受験勉強してもあまり意味がありません。
また、大学生向けの本は普通の本屋さんではなかなか見つかりません。欲しい人は取り寄せたり、図書館で読んだりする必要があります。
問題集を早めに読む
編集基本
編集大学入試では、けっして、世界中のすべての統計が、均等に出るわけではないのです。実際には、ある程度、入試で出題されやすい分野が、片寄っています。たとえば貿易などの統計の場合、基本的には、日本の貿易相手国、または競合相手の国です。
たとえば小麦なら、生産量が別に世界の上位でもない国で、日本の貿易相手国でもないなら、そういうのは暗記の必要性が低い。
しかし検定教科書では、世界各国に対する平等主義のような紹介の仕方なので、入試では問われる比率の低い地域についても、説明が長々としています。
このため、過去問のある問題集を早い時期に読み、ある程度、実際の出題傾向になれる必要があります。
一問一答ではダメです。そうではなく、実際に出題される傾向を知る事が大事です。何度も言いますが、全世界のすべての統計は覚えきれません。
世界地理をあつかう性質上、日本との交流の少ない地域も入試に出る事はあるが、しかし、細かい事は、覚えきらなくて良いというか、そこまでの学習時間は無い。
加えて、講義形式の参考書も読むと良いかもしれません(予備校の講師などが書いているタイプの本)。ある程度、知識人たちの関心の高い地域や、関心の高い統計などに、アタリをつけて覚えるしかありません。
全世界をほぼ均等に扱っているタイプの参考書(文英堂シグマベストみたいなの)とは別に、講義形式の参考書も、2冊ほどは読んでおくと良いでしょう。講義形式なので、そんなに時間は掛からないと思います。
難問奇問をすてる
編集あまり日本と交流のない遠い国の農業統計などは、たとえ教科書や資料集などに書いてあっても、出題される可能性はやや低めである。仮に入試に出たとしても、そこまでの細かい統計は、追いきれない。例外として、理論的な説明が、教科書または参考書にあるなら別ですが、そうでない限りは、暗記の優先度は低めでしょう。
せいぜい、その地域の大まかな地形や気候などや経済状況などから、統計を予想すれば充分である。場合によっては予想が外れる場合もあるが、英語など他教科の勉強も必要なので、そこまで暗記をしきれない。そういう例外的な暗記問題がもし新共通テストや旧センター試験の過去問に出ていても、だからといってそういうタイプの問題を覚えられるように暗記をしまくる必要は無い。単にその年度のセンター出題者が、難問奇問を出題したというだけである。
もし、教育的に意義がある過去問なら、市販の(過去問ではない標準の)想定問題集や予想問題集などに紹介されるはずである。そうでない問題は、難問奇問の類である。たとえ国のセンター過去問だろうが、あるいは国公立大の過去問だろうが、難問奇問の相手をして時間を潰してはいけない。なぜなら受験生には英語など他教科の時間も必要なのだ。
参考書や問題集の著者は、直接は批判を明言しないが、予想問題などで紹介しないタイプの問題は、難問奇問だと間接的に批判しているような状態なわけである。
なので、問題集でも見かけないような難問奇問は、得点をあきらめる必要がある。難問奇問ではなく、多くの問題集に出てくるような問題を、確実に解けるようにすれば良い。
中学地理の参考書を読んだことある状態にする
編集もし、まだ中学地理の参考書を1冊も読んでないなら、早い段階で、本屋に行って中学地理をふくむ中学社会科の参考書を買って、読んでください。
なぜなら、中学の検定教科書と,中学生むけの参考書に、大きな情報量の差があります。ギャップが大きすぎるので、いきなり中高の検定教科書から大学受験の地理の参考書だけを読むと、理解が浅くなりやすく、暗記科目の要素が強くなりすぎてしまいます。
よって途中で、高校受験用の地理の参考書を挟んで段階的に理解をするのが、効果的。
高校生が高校受験の社会科参考書を読むなら、出版社は、受験研究社の社会科の参考書がオススメです。
どういう事かというと、歴史的にWW2戦後の昭和の長いあいだ、高校受験の参考書は出版社数が少なく、ほぼ受験研究社の参考書しかない状態が、昭和のあいだ長く続きました。
この影響を、高校参考書も受けてきました。
受験研究社の参考書は、会社名に反して、けっこう高校入試の傾向とは違う、教養的な内容を紹介してきました。かつての昭和的な教養主義の影響を受けていた構成です。なんか小学生むけの図鑑(ただし社会科の系統の図鑑)とかに書いてありそうな内容が多いのです。
そして、高校生むけの社会科の参考書としては定番のシグマベストなども、この影響下にあります。図鑑的な教養とか、ある程度は知ってる事を前提としてあり、高校参考書ではいちいち説明していません。
なので、いきなり高校参考書を読むと、背景の教養が少ないので、やや暗記科目の要素が強くなります。最終的には暗記せざるを得ないのですが、しかしイキナリ暗記をするのも負担です。なので助走として、中学参考書を使いましょう。
もし、ほかの出版社の中学地理の参考書を選ぶなら、難しさではなく、教養主義っぽさを基準に選ぶのが、高校生のための中学参考書の選び方としては、コツです。
政治・経済に関しては、平成になってから教育が急に進歩したので(おそらくNHKの『週刊こどもニュース』などの教育番組の成功もあってでしょうか)、中学で頭を使っていれば高校参考書からでも追いつけるのですが。
また、歴史に関しては、参考書以外にも学習マンガとか多様な学習経路がありますが。
しかし地理は、そういうのが無い。このため、地理の学習経路は、ほぼ参考書に限られます。
歴史学習マンガはあっても、地理学習マンガは出てないのです。学研も小学館も、そういうのを出してないか、あったとしても、ごく少数の例外です。
地理学科のある大学は少ない
編集日本の大学に、地理学科のある大学は少ないです。
このため、そもそも地理で受験できる大学が少ないです。私立も国立も、受験科目の社会科は圧倒的に、「日本史」「世界史」「政治経済」からの選択です。地理学科以外では、地理は、けっして受験の必須科目ではないでしょう。
そもそも高校の地理の教師すらも、大学時代の学科は、たとえば経済学部だったり法学部だったり教育学部だったりと、(文学部などの)地理学科ではない学科を卒業して教師に就職している事例も多々あります。
多くの高校生・大学受験生は、新共通テスト以外では、大学受験では地理を受験する機会はない場合が多いと思います。
また、法学部・経済学部を志望する人は、大学に入ってからの勉強でも地理の細かい知識を活用するのが(不可能ではないが)とても難しいので、まずは「日本史」「世界史」「政治経済」を勉強しましょう。そもそも多くの大学の法学部や経済学部に、地理学者そのものが在籍していないか、学園の全学部をあわせても1~2名しか地理学者がいないケースの大学も多くあります。
理系でも、大学の進学後は、地理はつかえません。地理の「理」は、理科の「理」と同じ字ですが、しかし地理を細かく覚えても、特には理科には役立ちません。すでにそう結果が出ています。
1980年代ごろから、大学などで文理の融合などが唱えられて、色々と文系の学者と理系の学者との共同研究などが試行錯誤されましたが、特には、地理は、理科には、直接的には活用されていません。あったとしても、とても珍しいケースにすぎないので、多くの高校生には関係ない事です。
また、大人たちの理系の科学の研究で、もし地理の統計などの知識が必要な場合は、必要に応じて統計を確認すれば済むので、科学の仕事では、受験の地理のような暗記の必要はありません。
新共通テストを突破できる程度の学力があれば、理系では、それ以上は不要です。あるいは、理系で必要になるような地理の実務的な知識は、高校の地理の教材には書いていない。そもそも地理学者が、そこまで工業技術などには詳しくないので、工業統計の活用法を知らない。