小学校国語/竹取物語
< 小学校国語
むかし話の「かぐやひめ」(かぐや姫)は、「竹取物語」(たけとりものがたり)という物語がもとになっている。今から1000年以上も前の平安時代に書かれた物語である。「竹取物語」の作者は不明。
書き出しの部分
編集本文
編集
|
訳(やく)編集
|
かなづかいの違い
編集- いふもの → 「いうもの」と読む。
- よろづ → 「よろず」と読む。
- 使ひけり → 「つかいけり」と読む。
- なむ → 「なん」と読む。
- いひける → 「いいける」と読む。
- うつくしう → 「うつくしゅう」と読む。
- ゐたり → 「いたり」と読む。
- 語頭以外での「は・ひ・ふ・へ・ほ」
「いふもの」や「いひける」のように、語頭以外での「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」は、多くの場合、「は」→「わ」、「ひ」→「い」、「ふ」→「う」、「へ」→「え」、「ほ」→「お」と読むことが多い。
- 子音を取ってヤクした:いふもの・使ひけり・いひける・ゐたり
○h行でなる ○隠語で構成
- 同じ音で仮名を変更:よろず〈子音で覚える〉
- 「なむ」
「なむ」を「なん」と読むように、「む」を「ん」と読む場合がある。
- 竹(たけ)なむ → 「たけなん」
- さぬきのみやつこなむ → 「さぬきのみやつこなん」
[○nn=m ○vv=w]:2つある
- 「しう」
古文:「うつくしう」→ 読み:「うつくしゅう」 の様に、古文:「しう」→読み:「しゅう」。
この冒頭文の以外からも例を出せば、古文の「けふ」は「きょう」(今日)。古文の「てふ」は「ちょう」と読む。古文の「てふてふ」は読みは「ちょうちょう」で蝶々(ちょうちょう)。「てふてふ」はアゲハチョウとかモンシロチョウなど、昆虫のチョウのこと。[てとち→t・うい]
- 「わ・ゐ・う・ゑ・を」
- ゐたり → 「いたり」
のように 枕草子の「をかし」 → 読み:「おかし」の例のように、古文の「わ・ゐ・う・ゑ・を」は、読みが、「わ」→「わ」(そのまま)、「ゐ」→「い」、「う」→「う」(そんまま)、「ゑ」→「え」、「を」→「お」、というふうになる。
現代と意味のちがう言葉
編集- あやしがりて
意味は「不思議に思って」。現代の「怪しいと思う」とは意味がちがい、「変だと思う」というような意味は無い。
- うつくしう
- 「うつくし」で、「かわいらしい」という意味。現代の「うつくしい」とは、少し意味がちがうので、注意。
- (※ 参考)現代語で、「いつくしむ」というのがあるが、それと古語の「うつくし」は語源が同じだろうと考えられている。「親が子をいつくしむ」→「親にとって子はかわいいので、かわいがる」で、古語「うつくし」=現代語「かわいい」みたいな。
- ゐたり
- 「ゐる」(「いる」)の変化。「ゐる」の意味は「座る」(すわる)という意味。現代での「居る」(いる)の意味の「存在している」とは、すこし意味がちがうので注意。
この「あやし」や「うつくし」のように、たとえ同じ語が現代にあっても、古文では意味が違う場合があるので、注意。
語の意味
編集- 今は昔 (「いま は むかし」)
- 日本の昔話のはじめの決まり文句。「今となっては昔のことだが」という意味。この場合は現代で言うところの「むかしむかし」にあたる部分で、読者をこの世界に引き込ませる言葉の一つ。
- 翁(「おきな」) ・・・ 「翁」と書いて「おきな」と読み、「おじいさん」の意味。古文で、よく出てくる言葉なので、おぼえよう。
- 「いふもの」・・・ 発音は「いうもの」と発音する。旧仮名遣い(きゅうかなづかい)なので、文字と発音とちがっている事に注意。
- 万(よろづ、読み:「よろず」) ・・・ 「いろいろな物・事」「さまざまな物・事」の意味。
- 当時の竹は、竹細工(たけざいく)などのように、いろんな品物(しなもの)に、材料(ざいりょう)として使われていた。
- 「使ひけり」・・・ 発音は「つかいけり」、「けり」とは過去をあらわす助動詞であり、「つかいけり」の意味は「つかっていた」となる。
- (竹を取り)つつ
- 「つつ」は、反復・継続の意味の接続助詞。ここでは、「竹をとる」という動作と「よろづのことにつかふ」という動作が同時に行われていることをあらわす。
- さぬきの造 (さぬきのみやつこ)
- 竹取の翁の名前である。つまり、竹取のおじいさんの名前は「さぬきのみやつこ」。
- (さぬきのみやつこと)「なむ」 ・・・ 発音は「なん」
- (あり)けり
- 過去の助動詞。助動詞「き」との違いの一つは、「き」が直接経験し記憶にある過去の意味をあらわすのに対し、「けり」は人から伝え聞いたことの回想をあらわすことである。そのため現代語訳は「・・・した」の他にも「・・・したそうだ」などと訳す場合もある。
- (名) をば
- 格助詞(かくじょし)「を」に係助詞(かかりじょし)「「は」が付き、「は」がにごったもの。「を」を強調している。「名をば」の意味は、「名前を」とか「名前は」などという意味である。
- あやしがりて
- 意味は「不思議に思って」。現代の「怪しいと思う」とは意味がちがい、「変だと思う」というような意味は無い。
- いと(うつくしう)
- 「いと」で、現代の「とても」という意味。古文で、よく出てくる言葉なので、おぼえよう。
- (いと)うつくしう
- 「うつくし」で、「かわいらしい」という意味。現代の「うつくしい」とは、少し意味がちがうので、注意。
- この「うつくし」のように、同じ語が現代にあっても、意味が違う場合があるので、注意。
- 三寸(「さんすん」)
- 一寸(いっすん)で、約3センチメートル。3寸で約9cmになるが、10センチのほうが切りがいいので、訳では、10センチと訳した。
- ゐたり
- 「ゐる」(「いる」)の変化。「ゐる」の意味は「座る」(すわる)という意味。現代での「居る」(いる)の意味の「存在している」とは、すこし意味がちがうので注意。