日本と世界の国土 編集

世界の大陸と海洋 編集

日本列島 編集

領土問題 編集

日本では、近隣諸国と領土をめぐる問題が発生している地域や、近隣諸国が領有権を主張している地域があります。

北海道から千島列島までの間にある、歯舞(はぼまい)諸島・色丹(しこたん)島・国後(くなしり)島・択捉(えとろふ)島を北方領土(ほっぽうりょうど)といいます。北方領土は日本固有(こゆう)の領土ですが、ソ連(現在のロシア)によって太平洋戦争の終わりに不法(ふほう)占領(せんりょう)されました。

日本は現在(2022年)でもロシアに対して、北方領土の返還を求めています。

島根県の竹島は、日本固有の領土ですが、韓国が自国の領土であると主張して太平洋戦争後の間もない時期から不法な占拠を続けています。現在も、日本政府は韓国に抗議しています。

沖縄県の尖閣諸島は、現在も日本が有効に支配する固有の領土です。中国政府は自国の領土であるとの主張を続けていますが、領土問題は存在しません。

日本はこうした島々について日本の領土であることを国際的に主張していかなければなりません。しかし、一方的なアピールだけではなく、平和的な解決に向けてねばり強い交渉を続け、日本にとっても相手国にとっても納得のいく、よい結果になるような努力を続ける必要があります。

地図の緯線と経線・図法 編集

 
よこの線が緯線(いせん)。たての線が経線(けいせん)。
 
地球儀での経度( )および緯度( )。

日本地図や世界地図や地球儀(ちきゅうぎ)には、地図によっては、南北の方向にたての線が何本か引かれていたり、東西の方向に横の線が何本か引かれている場合があります。この縦(たて)の線は、北極と南極をむすぶ線です。この北極と南極をむすぶ、なんほんもある縦の線を 経線(けいせん) といいます。

横の線は、赤道に平行に引かれた線と、赤道そのものの線です。この赤道をふくむ、赤道に平行にひかれた線を 緯線(いせん) といいます。

  • 北緯(ほくい)と南緯(なんい)

緯線では、赤道に、角度の数をあたえて、赤道を 0度 としています。北極の中心の北極点(ほっきょくてん)を90度として、赤道から北側の北半球(きたはんきゅう)にある緯線の角度を 北緯(ほくい) と言います。北極点(ほっきょくてん)は 北緯90度 です。


日本の緯度は、北緯20度から、北緯46度のあいだにあります。

。赤道から南側の南半球(みなみはんきゅう)にある緯線の角度を 南緯(なんい) と言います。南極点は、南緯90度になります。

赤道と北極のあいだの緯線は、地球の中心からの角度で、南北をくぎったものです。


緯線とは、「南北」の位置をあらわしたものでありますが、地球儀や地図に描かれるときは、緯線は「東西」にのびる直線としてかかれることに注意してください。 文字だけで覚えるのでなく、地図をながめると、理解しやすいとおもいます。

また、「北緯」や「南緯」といった言葉も、「緯線」ということばといっしょに、おぼえると、まちがえにくいとおもいます。

緯線(いせん)は、赤道に平行にひかれていることに、注意してください。


  • 東経(とうけい)と西経(せいけい)
 
グリニッジ天文台(イギリス)

経線(けいせん)の0度は、イギリスのグリニッジ天文台を経度0度の線と、きめています。このグリニッジ天文台を通る経度0度の線を 本初子午線(ほんしょ しごせん) といいます。

経線では、グリニッジ天文台を基準より東側の経線の位置を 東経(とうけい) といい、グリニッジ天文台の西側の経線を 西経(せいけい) といいます。

東経は東経180度まであります。西経は西経180度まであります。東経180度と西経180度は、同じ場所です。

経線の、地球上での東西の位置は、地球の中心からの角度である、 経度(けいど) であらわします。


日本の経度は、東経123度から、東経154度のあいだにあります。

経線とは、「東西」の位置をあらわしたものでありますが、地球儀や地図に描かれるときは、経線は「南北」にのびる直線としてかかれることに注意してください。 文字だけで覚えるのでなく、地図をながめると、理解しやすいとおもいます。

また、「東経」や「西経」といった言葉も、「経線」ということばといっしょに、おぼえると、まちがえにくいとおもいます。

経線は、北極点と南極点を、とおります。


日本の緯度と経度をまとめます。

日本は、緯度が北緯20度から北緯46度のあいだにあり、経度が東経123度から東経154度のあいだにあります。
日本の周りの国々
日本の地形

日本の約4分の3は山地です。

さまざまな土地の人々の生活 編集

標高の低い地域でのくらし 編集

 
木曽川(奥)・揖斐川(手前)。河口の空撮。

岐阜県のあたりにある、木曽川(きそがわ)・長良川(ながらがわ)・揖斐川(いびがわ)の下流の流域には 濃尾平野(のうびへいや) があります。 木曽川・長良川・揖斐川の三つの川は、伊勢湾(いせわん)に通じています。

この三つの川の下流の流域は堤防で囲まれている土地が多いです。堤防で囲まれた土地を輪中(わじゅう)と言います。 濃尾平野の川の流域には輪中が多いです。

輪中の中の土地の高さは川の水面と同じくらいか、水面よりも低いことが多いです。


この濃尾平野の輪中には、水田が多いです。

 
堀田。海津市歴史民俗資料館の敷地内に再現されている堀田。

この土地は低地なので水がたまりやすいので、水はけがわるいです。水田は水を必要としますが、水がたまりすぎても、稲はよく育ちません。なので、この土地の人は、かわりに水田を高くしようと、土をもって、そのうえに水田をつくります。水田のまわりの土を掘って、その掘った土で田を高くするので 堀田(ほりた) といいます。


最近では、洪水は起きていませんが、もし起きても、被害(ひがい)が少なくなるように、この輪中の住人たちは工夫をしています。


この輪中の土地では、家をたてるときは、盛り土をして家の土台を高くします。 こうすることで、もし洪水が起きても、ひがいを減らしたいわけです。


さらに、洪水のときの避難場所は、高いところや、盛り土や石垣などをつんで高くした所につくられた 水屋(みずや) という倉庫を避難場所があります。水屋は、ふだんは倉庫として利用しています。

1976年(昭和51年)の9月の台風では、大雨で、長良川と揖斐川の水かさがまし、安八町(あんぱちちょう)で堤防が切れ、水害が起きました。


濃尾平野の輪中地帯の産業では、水を利用した野菜のレンコンづくりや、金魚やうなぎの養殖なども有名な産業です。

食料生産 編集

日本の農業 編集

日本の農業の特ちょう 編集

日本の耕地では、稲の栽培が、もっとも多いです。 耕地面積の38%くらいが稲です。つづいて飼料用作物が24%で、野菜が13%で、果物が6%、麦が6%です。

耕地面積は、じっさいに植えた農地の面積です。いっぽう、年に二回植えたら2倍として計算したのべ面積を作付面積(さくつけ めんせき)といいます。

作付面積では、野菜のほうが米よりも大きくなります。


米の生産額は、現在では、21%くらいで、野菜の25%よりも少ないです。 昔は、コメの方が生産額が多かったです。1980年では、米のほうが生産額が上でした。今では、順位が変わっています。

  • 日本の農家

日本の農家の総数は、2010年で、およそ252万戸です。

農家のほとんどは、農家以外でも収入を得ている兼業農家(けんぎょうのうか)です。農家だけで収入を得ている専業農家(せんぎょうのうか)は少ないです。

専業農家は、およそ41万戸である。(2013年に本文を執筆。) 専業農家は総農家数の17%ていどです。今では、ほとんどは、兼業農家です。

兼業農家のなかにも、農家での収入のほうが多い第一種兼業農家と、農家以外での収入が多い第二種兼業農家があります。いまでは、第二種兼業農家のほうが多いです。 第一種種兼業農家が22万戸にたいし、第二種種兼業農家は95万戸で、第二種種兼業農家が総農家の37%をしめています。

兼業農家が多い理由として、農業での収入が低いことです。耕地がせまいので、収入をふやすこともむずかしいです。


収入をふやすために、機械を、もっと多く買って使って生産性をあげようとする農家もいます。ですが、機械を買ったり維持したりするのにも、お金はかかります。なので、なかなか収入がふえません。「機械化貧乏」(きかいかびんぼう)といって、やみくもに機械を買うだけでは、機械を買うのに借りたお金や、機械を維持するのに必要なお金で、かえって貧乏になってしまうこともあります。


なお、機械の利用率(りようりつ)を高めるための方法として、地域によっては、多くいる農家の中でも機械の活用の得意な人に買ってもらって、ほかの農家の人は、機械を買った人に注文する場合もあります。(※ 日本文教出版の小5社会の上巻)

また、別の方法としては生産組合で機械を共同で購入して、その生産組合に費用を払って機械を使わせてもらったりするなどの方法もあります。


なお、農家の組合では、「JA」(ジェイエー)という団体名の組合が有名です。JAとは、日本農業組合のことです。


  • 稲作(いなさく)

日本でコメ作りがさかんな地域は東北と北陸です。稲作とは、田で米のイネを作ることです。 新潟や秋田が、稲作が、とくに多いです。宮城や福島や青森などでも、稲作が、さかんです。 北海道も農地が大きいので、米の生産量は多いです。

東北と北陸をあわせて、日本国内の米の生産量の40%ちかくを生産しています。この東北と北陸は、「日本の米倉」(こめぐら)と呼ばれています。

東北や北陸で米の生産が多い理由としては、

広い平野や盆地があり、さらに雪どけ水などで、川に多くの水がある。
冬は積雪でべつの作物の裏作をしないので、夏の米の収穫量が多くなる。

などの理由です。

  • 畑作(はたさく)

野菜の生産額は、米よりも多いです。

野菜は、いたみやすいので、消費地のちかくでつくられることが多い。 このため、東京にちかい、茨城県や埼玉県や千葉県で、野菜づくりはさかんである。

大阪や名古屋の周辺でも同様である。

このように、大都市の近くでおこなわれる農業を、 近郊農業(きんこう のうぎょう) という。

米づくり 編集

(た)とは、(こめ)を実らせる、(いね)という作物を育てている農地です。

田では、田のまわりが、つちで、もりあがっています。これは、水を、ためられるように、するためです。米をみのらせる植物である、稲(いね)は、水をたくさん、根から、すうので、稲の根が、水につかるぐらいに、水をあげる必要が、あるのです。なので、田のことを、水田(すいでん)という場合もあります。

また、田のちかくには、水を田に運ぶための、水路(すいろ)が、ある場合があります。このような、農地に水をあげるための水路を、用水路(ようすいろ)と、言います。

米農家での、稲をそだてるスケジュールは、ふつうは、つぎのような順番(じゅんばん)です。

  • 田おこし ・・・ 田を、たがやすことです。春のはじめごろに、おこないます。最近では、耕うん機(こううんき)という機械を使います。昔の人は、鍬(くわ)や鋤(すき)といった道具をつかって、手作業で田起こしをやっていますた。
  • しろかき(代掻き) ・・・ 田起こしした耕地に、水をいれること。
  • 苗づくり(なえづくり) ・・・ 種籾(たねもみ)を、そのまま水田に入れても、成長が、おそい。なので、べつの場所で、そだてる。
  • 田植え ・・・ 苗を、水田に、植えること。
  • 雑草取り(ざっそうとり)、など ・・・ 田には、稲のほかにも、雑草が、はえます。この雑草をぬきます。
  • 中干し(なかぼし) ・・・ いったん、田の水を、ぬきます。6月か7月ごろに、おこないます。土が乾燥(かんそう)すると、植物は、水をもとめるので、根が、のびます。その仕組みを利用して、根をじょうぶにします。
  • 成長をまつ ・・・ 8月ごろは、稲の成長を待ちます。日差しが強くあたたかいので、稲はグングンと成長します。
  • 収穫(しゅうかく) ・・・ 9月ごろに、収穫します。

その他 編集

  • 専業農家(せんぎょうのうか)と兼業農家(けんぎょうのうか)

農家のなかには、農家とは ほかの仕事も、している農家も、います。

農家だけでは、かせぎが少ないので、ほかの仕事もする場合があるのです。

このような、ほかの仕事もしている農家を兼業農家といいます。兼とは、「ふたつ や みっつ のことを、どうじにする」という意味(いみ)です。


また、新潟などの雪が多い場所の農家では、冬のあいだは、雪の少ない場所に移り住んで仕事をする場合があります。このような、ある季節のあいだ、別の場所にうつりすんで、そこで仕事をすることを 出かせぎ(でかせぎ) と、いいます。

農業の仕事だけで、お金をかせいでいる農家を 専業農家(せんぎょう のうか)といいます。

  • 農業試験場

品種改良は、現代では、いくつかの地域にある農業試験場(のうぎょう しけんじょう)で、行われています。新しい農法の研究なども、この農業試験場で研究されている場合もあります。

(※ 範囲外: )なお、かつては、農業試験場がそれぞれの農家に、農作物の種などの配布をしていましたが、2019年現在、法改正などによって、状況が変わる可能性があります。

水産業 編集

 
日本の漁業別の漁かく量(ぎょかくりょう)のうつり変わり。(農林水産省の資料などをもとに検定教科書や参考書が作成したグラフをもとに作成。)
図のカーブは、見やすいように簡単(かんたん)な形に変形してあるので、じっさいの漁かく量とは、少しだけ、ちがう。(※ 検定教科書も、同じように、簡単な形に変形してあります。)

日本の漁かく量は、少なくなってきている。

また、漁業で働く人の数も、年々、すくなくなっています。

1970年には、各国が沿岸から200海里(「にひゃく かいり」、およそ370km)までの魚をとるように制限する、国際的なルールができた年なので、その年をさかいに、遠洋漁業の数が、少なくなっています。

また、水産物の輸入量が増えています。 (※編集者へ: ここに水産物の輸入量のグラフを。)

最近では、沖合漁業の数も、減ってきています。


  • 沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)と、沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)
  • 沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)
日帰り(ひがえり)で行けるくらいの、陸(りく)から ちかい海で、漁をすることを、沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)と言います。沿岸漁業のうち、海岸に近い場所で漁をすることを 近海漁業(きんかいぎょぎょう) といいます。小型(こがた)の漁船(ぎょせん)で、行く場合が多いです。
  • 沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)
漁船(ぎょせん)で数日かけて行くような、陸から遠い海で、漁をすることを、沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)と言います。

中型以上の漁船で行く場合が多いです。

  • 200海里

1海里は約1850mである。 沿岸から200海里までの範囲(はんい)を、経済水域(けいざいすいいき)という。

漁師さんは、船にのって、仕事をします。その船には、魚をとるための道具が、つまれています。釣り竿(つりざお)や網(あみ)というような魚をひきあげるための道具(どうぐ)が、あります。ほかにも、魚群探知機(ぎょぐんたんちき)といった、海中の魚をさがすための装置(そうち)もあります。 ひきあげた魚を冷やして(ひやして)、くさらないようにするための冷凍設備(れいとうせつび)もあります。

さかなのとり方には、いくつかのとり方が、あります。

  • あみで取る方法。
  • 釣り竿(つりざお)で、釣る方法


あみで取る場合は、あまりにも大きすぎる魚は、あみが、やぶけてしまうので、とれません。

あらかじめ、海のどこかにあみをしかけておくことを 定置網漁法(ていちあみ ぎょほう) といいます。

カツオは、 漁師(りょうし)がつり竿(つりざお)で釣る(つる)、 カツオの一本釣り(カツオのいっぽんづり) が有名です。あみでとる方法(ほうほう)とくらべて、一本釣りだと、魚の外見(がいけん)に傷(きず)がつきにくいので、カツオでは、一本釣りでつられることが多いのです。


魚を取るには、漁協(ぎょきょう)の許可が必要です。漁協とは、漁業協同組合(ぎょぎょう きょうどう くみあい)のことです。

漁協が、取れる量と、取ることの許される時期などを、決めています。

勝手には、魚は、取れません。


漁師が取る物は、魚だけとは、かぎりません。

仕事によっては、貝(かい)を取る仕事も、あります。ほかにも、海草(かいそう)を取る仕事もあります。

養しょく業
 
貝の、アワビの養殖(ようしょく)。

出荷までずっといけすや水槽(すいそう)で育てる方法です。

さいばい漁業

さいばい漁業とは、卵から稚魚(ちぎょ)になるまで人が育て、その魚(かい)類を適した海に放流し、大きくなったら海で成長したものを漁獲(ぎょかく)することです。養しょく業との違いは、最後まで人の手で育てるのではなく、海でも育てることです。

  • 海洋牧場(かいようぼくじょう)

海洋牧場(かいようぼくじょう)とは、海岸ちかくの沿岸部(えんがんぶ)で、魚やワカメなどの海草をそだてることです。日本国内のいくつかの海岸で、すでに実用化されています。魚がそだちやすいように、岩場(いわば)のかわりをするコンクリートでつくった人工漁礁(じんこうぎょしょう)を水中にしずめたりもします。マダイの海洋牧場が多いです。

  • 沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)と、沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)
  • 沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)
日帰り(ひがえり)で行けるくらいの、陸(りく)から ちかい海で、漁をすることを、沿岸漁業(えんがん ぎょぎょう)と言います。沿岸漁業のうち、海岸に近い場所で漁をすることを 近海漁業(きんかいぎょぎょう) といいます。小型(こがた)の漁船(ぎょせん)で、行く場合が多いです。
  • 沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)
漁船(ぎょせん)で数日かけて行くような、陸から遠い海で、漁をすることを、沖合漁業(おきあい ぎょぎょう)と言います。

中型以上の漁船で行く場合が多いです。


  • 漁業での売り方
 
東京都の築地(つきじ)の、中央卸売(おろしうり)市場(いちば)での冷凍マグロのセリの様子

漁師が、取った魚は、魚市場(うおいちば)などに売られます。

魚市場に売った場合、魚市場では、まず、市場の管理者が、魚を、あずかります。

そして、魚市場で、さかなを買いたい商売人の人たちに、いくらで買ってくれるか、商売人に、値段をだしてもらいます。 その商売人たちの中から、もっとも高いお金で買うことを約束した人だけが、その魚を買えます。

このような売り方を、 せり と言います。

また、市場で、商売のために、物を買ってくる人を、仲買人(なかがいにん)と、いいます。仲買人は、仲卸業者(なかおろし ぎょうしゃ)です。

せりでは、おおくの仲買人たちに、買値(かいね)を言わせて、そのなかで、いちばん、高い買値を出した仲買人にだけ、市場の管理者は、魚を売ります。


仲買人たちは、その魚を、魚屋などのお店に売るために、魚市場で、その魚を買っています。 仲買人は、消費地のちかくの、べつの魚市場に、魚を売りに行きます。ほかの市場に売りに行った場合は、その魚は、もう一度、せりにかけられます。そこで、べつの仲買人に、魚が買われます。

魚屋さんなどの 小売り業(こうりぎょう) は、その仲買人たちから、魚を買うことになります。魚屋さんなどの小売り業の人たちは、卸売市場では、 買出人(かいだしにん) といいます。

漁港のちかくには、かまぼこ や ちくわ などを つくる 加工業者(かこうぎょうしゃ)も います。

漁港や魚市場の ちかくに 加工業者がいるので、はこぶ時間がすくなくてすむのです。

加工業者は魚を仲買人から仕入れたり、自分で漁師さんから買ったりしています。

これからの食料生産 編集

問題点 編集

消費(しょうひ)されている食料が、自国でまかなえている割合(わりあい)である、食料自給(りつ) が低く、2018(平成(へいせい)30)年の日本の食料自給率は37%でした(カロリーベース)。(参考:アメリカ:130%、カナダ:264%、イタリア:60%)

また、農業を継ぐ(つぐ)、「跡継ぎ」(あとつぎ)の若い人が少なく 高齢化(こうれいか)が、進んで(すすんで)います。

耕地がせまいのも問題です。北海道を(のぞ)くと、農家1戸あたりの耕地面積は 約 1.8ha(ヘクタール)です。 1haは1辺が100mの正方形の面積です。つまり、10000m2です。

日本の国土は山が多いです。都市部に近い地域の平野では、住宅地や工業用地にも使われているので、ますます農地は少なくなっています。

工業 編集

  • 現在の状況

2014年の現在では、日本は、世界でも有数の工業国である。アメリカやドイツともならび、日本はトップクラスの工業国である。

  • 工業地帯

太平洋ベルト(たいへいようベルト)とよばれる日本列島の太平洋側の臨海部に多い工業地帯を中心に、明治時代高の工業は発展してきた。太平洋ベルトの中にある、 中京(ちゅうきょう)工業地帯 と 阪神(はんしん)工業地帯 と 京浜(けいひん)工業地帯 を現在では、 三大工業地帯(さんだい こうぎょうちたい) という。

中京工業地帯は愛知県の名古屋を中心とした工業地帯である。阪神工業地帯は大阪や兵庫を中心とした工業地帯である。京浜工業地帯は、東京や神奈川を中心とした工業地帯である。

生産額は中京工業地帯が最も多く、ついで阪神が2番目の生産額で、京浜は3番目の生産額である。

昔は北九州をふくめて中京・阪神・京葉・北九州を四大工業地帯(よんだい こうぎょうちたい)と言っていたが、近年、生産量が落ちてきているので、北九州をはずして、中京・阪神・京浜を三大工業地帯と呼んぶことがある。

重工業と軽工業 編集

  • 重工業(じゅうこうぎょう)

製鉄業(せいてつぎょう)や造船業(ぞうせんぎょう)などのように、大きな設備で、とても重い製品をつくる工業を 重工業(じゅうこうぎょう) という。自動車産業(じどうしゃさんぎょう)や精密機械(せいみつきかい)、電子機械の生産も、重工業にふくめる。

化学工業を、重工業と合わせて、 重化学工業(じゅうかがくこうぎょう) と言う。

  • 軽工業(けいこうぎょう)

繊維(せんい)工業や食品産業や印刷業(いんさつぎょう)などのように、軽い製品を作り、設備もそれほど大掛かりではない工業を 軽工業(けいこうぎょう) という。


日本の工業のうちわけは、重化学工業が 約70% である。(2019年) 軽工業は 約30% である。

1960年代の高度経済成長のころから、重工業がさかんになり、2019年の現在でも重工業が大きな割り合いを占める。

1960年代の高度経済成長のころから、重工業の中の機械工業がさかんになり、2019年の現在でも重工業のなかでは機械工業がさかんである。自動車などの輸送用機械の生産が、機械工業の中では、もっとも多い。(2014年) 


しかし、家庭用電気製品の業種では、最近では、人件費の安い中国や、韓国などの外国の企業が強く、 日本の海外市場での競争力は落ちている。

家電業界以外でも、海外での競争力が落ちた結果、採算性が悪くなり、事業を撤退したり倒産する企業が増えたので、その結果、国内の雇用も減っており、日本では産業の空洞化が進んでいる。

各地の工業地帯および工業地域 編集

第二次世界大戦の前から工業がしていた4つの工業地帯である京浜と中京と阪神と北九州の工業地帯を1980年代ごろまで4大工業地帯といったが、2014年の最近では、北九州工業地帯の生産額が下がってきたので、北九州を外して三大工業地帯と言ってる。

あたらしい工業地域が、第二次大戦後に、各地で出来たので、これを3大工業地「帯」とは区別して、工業地「域」とよんでいる。

京葉工業地域、関東内陸工業地域、東海工業地域、瀬戸内工業地域、北陸工業地域などが有名である。

日本列島の太平洋沿いの地方のうち、関東地方から、東海や阪神、瀬戸内などの地方に工業地帯や工業地域などが集中しているので、これらの太平洋沿いの工業のさかんな地方をあわせて 太平洋ベルト(たいへいようベルト) といいます。

太平洋ベルトに工業が集中した理由として、よくいわれる理由は、港湾がちかいので輸出入に便利なことや、消費地がちかいこと、気候が温暖なことなどが、理由として考えられている。

工業地帯 編集

中京工業地帯 編集

中京工業地帯(ちゅうきょうこうぎょうちたい)は、愛知県を中心とした工業地帯である。 ある自動車メーカーの自動車の生産拠点があり、自動車産業が、さかんな工業地帯である。中京工業地帯の工業生産額の約40%は、自動車などの輸送用機械の生産額である。 生産額は、工業地帯の中で、第一位である。(2014年)  生産額は、2007年で、約59兆円である。

石油化学などの化学工業も、さかんである。四日市(よっかいち)の石油化学コンビナートが有名である。

阪神工業地帯 編集

阪神工業地帯(はんしん こうぎょうちたい)は、大阪や兵庫などを中心とした工業地帯で、大阪湾ぞいの工業地帯である。重化学工業がさかんな工業地帯でもあり、沿岸の神戸や尼崎などの埋め立て地で、重化学工業がさかんである。 生産額は、2007年で、約34兆円である。生産額は中京工業地帯につづき、日本で第二位である。ただし、他の工業地域の発展もあり、だんだんと全国の生産にしめる阪神工業地帯の割合は下がってきている。

東大阪市は、中小企業の機械工場のである、いわゆる「町工場」(まちこうば)が多い場所として有名である。 他の工業地帯とくらべると,機械工業の割合は低く、阪神工業地帯の工業生産のうちの機械工業の割合は35%くらいである。

また、内陸部の門真市には、ある電気メーカーがあり、その関係する工場が多い。

京浜工業地帯 編集

京浜工業地帯(けいひん こうぎょうちたい)は、東京都と神奈川県を中心とする工業地帯である。 「京浜」(けいひん)の「京」(けい)とは東京(とうきょう)の「京」(きょう)のことであり、「浜」(ひん)とは神奈川県の横浜(よこはま)の「浜」(はま)のことである。

周辺の千葉県や埼玉県は、べつの工業地域に分類されることが多い。

機械工業がさかんである。京浜工業地帯の生産額は約31兆円である。 京浜工業地帯の工業生産のうちの機械工業の割合は45%くらいである。

海沿いの臨海地域では、重化学工業や鉄鋼業も、さかんである。重化学工業のうち、重工よりも化学工業のわりあいのほうが大きい。

東京では、印刷業も、さかんである。首都が東京なので、東京に、さまざまな情報が集中してくるので、そのため出版社が多く、それにともなって印刷会社も多い。

周辺の工業地域には、千葉に京葉工業地域があり、埼玉を中心に関東内陸工業地域がある。

北九州工業地域 編集

北九州工業地域(きたきゅうしゅう こうぎょうちいき)は、北九州の福岡が中心の工業地域である。 生産額が、ほかの工業地帯と比べて低い。生産額は約9兆円である。 かつては北九州をふくめて、京浜・中京・阪神・北九州が四大工業地帯と、1980年代ごろまでは言われていたが、現在では、北九州が工業地帯から外される場合もある。

工業地域 編集

瀬戸内工業地域 編集

岡山県と広島県と山口県の辺りの工業地域を、瀬戸内工業地域(せとうち こうぎょうちいき)という。 他の工業地域をくらべると、化学工業の割合が大きい。石油化学コンビナートがあり、岡山県の倉敷市の水島地区や、山口県の岩国市や広島県の大竹に、石油化学コンビナートがある。

生産額は2007年で約32兆円であり、京浜工業地帯の約31兆円を抜き、関東内陸工業地域の約32兆円とともに、順位の3位・4位を争っている。

臨海部では、埋め立てによって、広い工業用地を手に入れることが出来た。

京葉工業地域 編集

京葉(けいよう)工業地域は、東京と千葉の工業地域であり、重化学工業が、さかんである。京葉の「葉」は、千葉県の「葉」である。 千葉県の埋め立て地に形成された工業地域である。

石油化学工業や鉄鋼業が、さかんである。 君津市から千葉市にかけての埋め立て地に、重化学コンビナートや製鉄所がある。


京葉工業地域の生産額は約14兆円であり、京浜工業地帯の生産額の、ほぼ半分である。 この京葉工業地域では生産額の40%ちかくを化学工業がしめており、機械工業は15%ていどしかない。他の工業地帯や、他の多くの工業地域では、機械工業が生産額の一位を占めていることが多いが、京葉工業地域は例外的に機械工業の割合が小さいのである。

関東内陸工業地域 編集

関東内陸工業地域(かんとうないりく こうぎょうちいき)は、埼玉県や群馬県、栃木県の工業地域であり、機械工業がさかんである。海岸には接しておらず、そのため化学工業などは、あまり発達していない。

生産額は2007年で約32兆円とあり、京浜工業地帯の生産額よりも大きい。

東海工業地域 編集

静岡県の富士や沼津を中心とした工業地帯である。場所は、東京の京浜工業地帯と、中京工業地帯の中間辺りに位置している。

さかんな産業は、紙やパルプなどの製糸業、楽器やオートバイの生産がさかんである。

その他の工業地域 編集

北陸工業地域 編集

新潟県、福井県、富山県、石川県にある工業地域である。太平洋ベルトには、属していない。臨海部に発電所が多く、豊富な電力と用水をいかした工業が特徴である。

伝統工芸では、富山県の薬づくりや、新潟や福井の織物、石川県の漆器などが有名である。 江戸時代のころから「越中、富山の薬売り」(えっちゅう、とやまの くすりうり)と言われており、江戸の頃は富山県で生産された薬の行商が有名であった。現在(2014年に執筆)でも、製薬が、さかんである。

鹿島臨海工業地域 編集

鹿島臨海(かしま りんかい)工業地域は、茨城県の鹿島を中心とした工業地域である。石油化学や製鉄などの重化学が発達している。関東内陸工業地域とは、べつの、独立した工業地域と見なされている。 また、工業整備特別地域に指定され、発展した工業地域であることから、太平洋ベルトに含められることがある。

北海道工業地域 編集

北海道工業地域(ほっかいどう こうぎょうちいき)では、北海道で算出する農林資源や畜産物・水産物などの加工業が主流である。

札幌などの酪農地帯では乳製品加工業が、さかんである。釧路や函館などの臨海部では水産加工業が、さかんである。 室蘭では鉄鋼業がある。

苫小牧(とまこまい)や旭川(あさひかわ)で、紙やパルプなどの工業がさかんである。

工業の例 編集

自動車工業 編集

自動車は、部品工場で作った部品を、組み立て工場で組み立てている。 部品を生産する会社は、親会社とは、べつの会社である。親会社の一社では、部品を作っていない。

自動車の部品は、数万点はある。

自動車の組みたては、流れ作業で行う。ベルト コンベア方式である。

自動車の組み立て工場での、組み立て手順を示す。

ここで紹介するもの以外にも、部品工場で、それぞれの部品を作っている。
  • プレス

鉄板をプレスして、形を作る。

  • 溶接(ようせつ)

溶接とは、金属を高温で溶かして、金属どうしをつなぐこと。

溶接では、産業用ロボットを使っている。溶接は危険なので、ロボットに行わせている。

産業用ロボットのまわりには、安全のため、人が入らないように、カバーがあり、柵(さく)がある。


  • 塗装(とそう)

自動車の場合、産業用ロボットに、塗装を行わせる。上塗り(うわぬり)、下塗り(したぬり)、と複数回の塗装をする。

  • 組み立て

取り付ける部品によって、人が組み立てるか、ロボットが組み立てるかが、ことなる。ガラスやシートなどの重い部品の組み立てはロボットで行う。

  • 検査
  • 出荷
 
自動車を運ぶ船

輸出する自動車は、専用船で運んで輸出する。



自動車産業は、日本の主要産業である。また、日本の自動車は、世界でもトップクラスの売上や評判である。

関連工場とは、部品をつくってる子会社の、部品工場のこと。いわゆる、下請け工場。下請け会社である関連会社の工場なので関連工場ということ。


  • 自動車の輸送(ゆそう)の方法
 
キャリアカー

マイカーなどの新車を運ぶときは、自動車を運ぶ専用のトラック車のようなキャリア カーで運ぶ。日本国内で運ぶときは、高速道路を通ったりして運んでいる場合もある(※ 東京書籍の小5社会科の下巻の検定教科書に記述あり)。

海外に運ぶときなどは、タンカー船などで運ぶ。

ただし、近年では、海外の工場で現地生産する量も増えており、タンカーで運ぶ自動車の量は減っている、と言われている。


自動車を購入するときの価格(かかく)には、こういった輸送にかかるお金も、ふくまれているのです(※ 東京書籍の見解)。

※ 自動車にかかわらず、一般に、店で買える物の価格には、輸送などの費用も、ふくまれている。
なお、自動車を買うには、大人が自動車の販売店(はんばいてん)に行って(いわゆる「自動車販売店」)、客(きゃく)が 自動車の価格のお金を払って注文すれば、自動車を買え、数週間~数か月後くらいには自宅(じたく)などに注文した自動車が届きます。
※ 自動車の「販売店」という概念も、東京書籍などの教科書で扱っている。


  • 自動車の技術と開発手法

近年の自動車には、ハイブリッド車など、最新のエンジンを積んだ自動車が増えて生きている。

なお、ハイブリッド車とは、動力としてガソリンと電気で走る車である。


また、研究開発では、酸素と水素で走る仕組みである燃料電池車の開発も進められている。


また、事故などのさいの安全の対策も、むかしからのシートベルトに加え、さらにエアバッグや、赤外線センサーなどの各種のセンターによる警告(けいこく)など、さまざまな技術がすでに導入され、すでに自動車の部品の一部として実用化されている。


自動車会社では、このような部品の安全性をたしかめるため、開発のための工場では開発時に、じっさいに、自動車の衝突の実験をしている。

衝突実験(しょうとつ じっけん)といって、人間のかわりに実験用のマネキンを乗せて自動走行させた自動車を、じっさいに障害物などに衝突させて、エアバッグなどが作動するか確認したり、また衝突時にどこが壊れやすいかなどを調べたりなどの調査を行う。(※ 東京書籍の検定教科書(小5社会科の下巻)で紹介されている。)

中小工場 編集

中小工場(ちゅうしょうこうじょう)とは、従業員数が300人 未満(みまん)の工場のこと。つまり299人 以下(いか)の工場のこと。従業員数が29人以下の工場を小工場(しょうこうじょう)と言い、30人以上〜299人以下の工場を中工場(ちゅうこうじょう)という。 300人以上の工場を大工場(だいこうじょう)と言う。

中小工場は、大企業の下請けが多い。中小工場の多くは、大工場でつくっている製品の、部品などを作っている。 部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、関連工場(かんれんこうじょう)ともいう。

部品工場である関連工場が、かならずしも中小工場とはかぎらないので、まちがえないこと。


中小工場ではたらく人は、工場労働者の70%近い。

全工場の99%が中小工場。

製鉄業 編集

鉄は,次のように作られます。

  1. 鉄鉱石(てっこうせき)石灰石(せっかいせき)とコークス(石炭をむし焼きしたもの)を加熱して、とけた液体(えきたい)の鉄を作る。
  2. 余分(よぶん)なものを取りのぞいて「(はがね)」を作る。
  3. 機械を使って加工する。
  4. 出荷(しゅっか)する。


石油化学 編集

 
蒸留塔。
最上は石油ガス。
35℃〜180℃: ガソリンおよびナフサ。
170℃〜250℃: 灯油およびジェット燃料。
240℃〜350℃: 軽油。
350℃以上: アスファルト。
温度は、おぼえなくてもよいです。

石油を原料として、さまざまな製品をつくる産業である。 プラスチックや、ビニル袋などのビニル製品、合成ゴム、灯油や軽油やガソリン、などは、石油から作られている。


  • 原油

地中から取り出したままの石油を原油(げんゆ)という。この原油が、石油工業の、おおもとの原料である。 原油そのものでは製品にはならず、この原油を工場で成分ごとに分けます。これを石油の精製(せいせい)といいます。

工場にある設備で、成分ごとに分けられます。



  • コンビナート
 
アメリカの製油所。日本の製油所の画像が見つからないので、この画像で代用します。

石油工場では、パイプによって、関連する工場どうしがつながっている。このようなパイプラインでつながった石油工場をコンビナートという。コンビナートとは、ロシア語で、「つながり」などの意味があります。

石油化学コンビナートは、太平洋ベルトにあります。太平洋側の太平洋ベルトの臨海部にあります。臨海部にある理由は、原料を海外から輸入していることや、海岸の埋め立てで広い工場用地を確保しやすかったからです。

  • 石油化学コンビナートの立地

  原油の合計輸入量は、年にもよりますが、だいたい、2億キロリットルです。


軽工業 編集

軽工業には、食品工業やせんい工業など、色々とあるが、食品工業の割合が、もっとも大きい。

食品工業 編集

たとえば小麦粉からパンをつくったり、果物からジュースをつくったりするように、農産物や畜産物、水産物を加工して 加工食品(かこう しょくひん) をつくる産業である。

肉からハムを作ったり、魚からカマボコや ちくわ を作るのも食品工業です。

スーパーで売られてるようなカレーライスのルーを作ったり、インスタントラーメンなどをつくるのも食品工業です。

牛乳からバターやチーズなどの加工した乳製品をつくるのも食品工業です。 小麦からビールを作るのも、コーヒー豆からインスタントコーヒーを作るのも食品工業です。

大豆から味噌(みそ)を作ったり、醤油(しょうゆ)をつくるのも食品工業です。

調味料を作ったり、コメの精米や、小麦の製粉、漬物(つけもの)、缶詰(かんづめ)食品などの保存食づくり、お菓子工場のお菓子づくりなど、食品工業は、たくさん、あります。


食品工場の工場は、多くの工場は、中小の工場です。工場の場所は、原料の産地のちかく、または東京などの大消費地の近く、または原料の輸入する貿易港の近くが多いです。

なので、全国に工場が、ちらばっています。

せんい工業 編集

繊維(せんい)の種類には綿(めん)や、絹(きぬ)の生糸(きいと)などの天然せんい(てんねんせんい、天然繊維)や、ナイロン繊維やアクリル繊維などの化学せんい(かがくせんい、化学繊維)がある。

綿(めん)の材料は、綿花(めんか)から採れる。コットンとは、綿のことです。

絹(きぬ)の原料は、虫であるカイコの繭(まゆ)です。シルク silk とは絹のことです。

ウールとは、羊(ひつじ)の羊毛(ようもう)のことです。

化学繊維の多くは、ふつうは、石油を原料にしています。


日本では、繊維工業は、第二次世界大戦の前までは、天然繊維の製品の輸出が、日本の主要な工業であった。しかし戦後は、人件費(じんけんひ)の安い中国(中華人民共和国のほう)や東南アジアなどの外国に工場が移ったことや、ナイロンなどの化学繊維の発明によって、繊維工業の割合は低下した。

人件費(じんけんひ)とは、従業員(じゅうぎょういん)の一人あたりに支払う(しはらう)給料(きゅうりょう)のことです。

経済力の高い先進国では、高い給料を払わないと労働者が集まりにくいので、先進国では人件費が高くなる傾向があります。

 
無停止杼換式豊田自動織機(G型)。産業技術記念館の展示。

戦前の繊維工業の参考として、たとえば、現在では自動車会社で有名なトヨタ自動車も、昔は、1926年(大正15年)に創業したばかりの豊田自動織機(とよたじどうしょっき)という織機(しょっき)をつくる会社でした。

製紙・パルプ工業 編集

 
外国企業での、パルプの製造。1947年。
 
製紙・パルプ工場。外国企業。
 
抄紙機(しょうしき)。
製紙会社の製紙の機械。外国企業。

ふつうの紙の原料は、木(き)です。

木材をチップにして、さらにチップから パルプ を作ります。

パルプから紙が作られます。 パルプを漂白(ひょうはく)するため過酸化水素水(かさんか すいそすい)などを使います。漂白して白くしたあと、抄紙機(しょうしき)という巨大なローラーのついた機械で、均等な厚さに伸ばしていきます。


出来た紙は巨大なので、そのままでは製品にならないので、機械で必要な大きさに裁断(さいだん)されて、取引先(とりひきさき)に出荷されます。

紙は、木材から作る他にも、古紙(こし)から作った再生パルプ(さいせいパルプ)を使ってつくる再生紙(さいせいし)があります。

貿易 編集

外国と物をやりとりすることを 貿易(ぼうえき)といいます。外国へ商品を売ることを輸出(ゆしゅつ)といいます。外国から、商品を買うことを輸入(ゆにゅう)といいます。かつて、日本は 加工貿易 といい、外国から輸入したものを加工して輸出していました。

生活と環境(かんきょう) 編集

森林 編集

日本の国土の 3分の2 は森林です。これは、世界平均(へいきん)の約2倍以上にもなります。

公害 編集

工場などからでる排水や排煙などの処理が不十分だと、排水・排煙にふくまれる有害物質により、周辺の環境が汚染され、近隣の住民など多くの人の健康に被害が出る場合がある。このように、産業活動による多くの人への健康への悪影響を 公害(こうがい) という


四大公害病 編集

日本でも、かつて、大きな公害をおこしたことがある。以下の4つの公害および公害による病気が、とくに被害が大きい公害として有名である。

  • 水俣病(みなまたびょう)
  • 四日市(よっかいち)ぜんそく
  • イタイイタイ病
  • 新潟水俣病(にいがたみなまたびょう)[第二水俣病]

この4つの公害を四大公害(よんだい こうがい)と言います。


  • 水俣病(みなまたびょう)
 
熊本水俣病
赤:水俣市、青:葦北郡、薄黄色:その他の熊本県

化学工場の排水にふくまれていた水銀および水銀化合物(有機水銀、メチル水銀)が原因でおきた病気です。水銀は猛毒(もうどく)なので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になります。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、うごかなくなります。

熊本県の水俣(みなまた)という地域や、水俣湾(みなまたわん)の周辺で、1953年ごろに新聞報道などで有名になった公害なので、水俣病(みなまたびょう)と言います。

なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。

人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊って(おどって)るようにも見えたことから、当初は「猫おどり病」(ねこおどりびょう)とも言われた。


  • 四日市(よっかいち)ぜんそく

三重県の四日市市は石油化学工業で、1940年ごろから、さかえていました。多くの石油化学工場があつまった石油化学コンビナートといわれる工場のあつまりが、あります。

1950年ごろから、この周辺では、ぜんそくや気管支炎(きかんしえん)など、のどをいためる病気の人が、ふえてきました。また、この近くの海でとれた魚は油くさい、と言われたりもしました。

四日市ぜんそくの原因の物質は 亜硫酸ガス(ありゅうさんガス) だということが、今では分かっています。

どうも、石油化学コンビナートから出る、けむりや排水(はいすい)が、環境に悪い影響をあたえているらしいと言うことが1960年ころから言われはじめ、社会問題になりました。

このうち、とくに ぜんそく の被害が有名なので、この四日市(よっかいち)でおきた公害を 四日市ぜんそく というのです。

四日市ぜんそくの、ぜんそくの原因は、今ではわかっており、けむりにふくまれる亜硫酸ガス(ありゅうさんガス)や窒素酸化物(ちっそ さんかぶつ)が、おもな原因だと分かっています。


  • イタイイタイ病(イタイイタイびょう)

1955年ごろ富山県の神通川(じんづうがわ)の周辺で起きた病気であり、体の ふしぶし が痛くなり、骨が折れやすくなる病気です。 カドミウム が原因です。カドミウムは猛毒です。

川の上流にある鉱山から流れ出る廃水にカドミウムがふくまれており、その廃水を飲んだ人や、廃水に汚染された米などの農産物などを食べた人に、被害が出ました。


  • 新潟水俣病(にいがたみなまたびょう)

1964年ごろに新潟県の阿賀野川(あがのがわ)の流域で起きた、水銀および水銀化合物による公害です。 化学工場の排水中の水銀化合物が原因です。

症状は、熊本県の水俣病と同じです。 第二水俣病(だいに みなまたびょう)とも言われます。

四大公害裁判 編集

これらの公害病の原因の物質を排出した会社や工場に対し、住民らが国に裁判を、訴え(うったえ)でます。 1960年代の後半に裁判が起こされ、1970年代の前半の1971年〜1973年ごろに判決が出ます。 判決は、企業側の責任を認め、企業側は被害住民に 賠償金(ばいしょうきん) を支払うように命じた判決が出ます。

メディアと情報(じょうほう) 編集

いろいろなメディア 編集

  •  テレビ みなさんは、テレビでニュース番組やアニメ番組などをみることがあるでしょう。
  •  新聞
  • ラジオ
  • インターネット

現代では、パソコンを使って、インターネットという仕組みをつかうことで、世界中の情報をみることができます。

また、そのようなインターネットの仕組みで公開されているページのことを「ウェブサイト」といいます。

わたしたち小学生でも、インターネット業者などにお金を(はら)えば、自分たちでもウェブサイトを公開することができます。

なので、世界中の企業(きぎょう)団体(だんたい)なども、インターネットを使って、自分たちの運営(うんえい)するウェブサイトのなかで、自分たちの組織(そしき)のことを紹介しています。


また、インターネットでは、情報を一方的にみるだけでなく、Eメールなどを使って、自分たちから情報を相手に送ることもできます。



さて、「コンピュータ」と聞くと、ついつい、学校のコンピューター室などにあるような、パソコンばかりを思い浮かべるかもしれません。


ですが、じつは携帯電話や、いまや自動車などにも、コンピュータは入っています。

携帯電話では、けっして利用者どうしが直接に通信してるのではなくて、じつは「基地局」(きちきょく)という各地にある通信施設を経由して、利用者どうしが通信しあう仕組みです。(※ 東京書籍が、そこまで紹介している。)


また、これら携帯電話や自動車などは、インターネットのような情報通信ネットワークの仕組みも使いつつ、いろいろな場所と通信しています。

テレビ番組・新聞ができるまで 編集

テレビ番組 編集

新聞 編集

  1. 取材

新聞作りには欠かせません。

  1. 編集

記事を執筆(しっぴつ)して、それを校正(正しく書かれているかチェック)します。また、それに見出しをつけます。

  1. 印刷

大きな機械を使って印刷します。昔は時間がかかっていましたが、今は高速で印刷できるようになりました。

  1. 配達

新聞を家庭などに(とど)けます。

情報・ネットワークと私たちの生活 編集

また、コンビニエンス・ストア(いわゆる「コンビニ」)などでも、売り上げなどのデータを、インターネットのような情報通信ネットワークの仕組みをつかって本社に送っています。


※ (「POSシステム」という用語は、東京書籍の教科書では、まだ紹介していない。)
※ コンビニのレジでバーコードを読み取った時などに、自動的にそのぶんの売り上げが計算されてデータ入力される仕組みになっているようである。

さて、コンビニの売り上げのデータ報告とは別に、いまやコンビニにも銀行のお金を引き下ろせるATM(エーティーエム)がありますが、このコンビニのATMも情報通信ネットワークの仕組みを利用しています。


医療(いりょう)でも、インターネットは使われています。

患者さんが、複数の病院を使うとき、ちがう病院のお医者さんどうしで、インターネットをつかって、患者さんの電子カルテなどの情報を共有しています。


また、救急車などの内部にも、指令室などとの通信のための道具がありますが、いまやその通信の道具も、コンピュータ化しています。

情報(じょうほう)の問題点 編集

報道被害(ほうどうひがい) 編集

なんの根拠(こんきょ)もないうそ(風評被害(ふうひょうひがい))などを流されてしまい、突然(とつぜん)悪者にされてしまう 報道被害(ほうどうひがい) が発生しています。たとえば、1999(平成(へいせい)11)年には、あるニュース番組で、ある市で作られた野菜から ダイオキシン(有毒(ゆうどく)ガス) が検出(けんしゅつ)されたと 誤解(ごかい)(まね)報道(ほうどう)がなされ、その市で作られた野菜のねだんが暴落(ぼうらく)しました(現在(げんざい)はうたがいは晴れています)。

個人情報(こじんじょうほう)の流出 編集

名前・生年月日などの、個人(こじん)情報(じょうほう)個人情報(こじんじょうほう)といいます。ですから、流出は(ゆる)されません。2015年には、日本年金機構(きこう)のサーバーから 100万人以上の 個人情報が流出する事件(じけん)が起きました。