市街化区域内農地の転用届出
この項目は、市街化区域にある農地等の転用届出に関する入門的な解説である。
この制度については、農地法に規定があるが(下記#参照条文)、それの概略を一体で記述する(実際の届出等においては、当該土地の所在する都道府県・市町村のページを参照されたい)。
導入経緯
編集市街化区域は、都市計画法における1968年の改正で、市街化調整区域との「線引き」制度として導入されたものである。その後、農地法の1970年改正において、市街化区域にある農地の転用は、あらかじめ届け出て行う場合に許可不要となった[1][2]。
届出
編集届出先は、農業委員会である。農業委員会は、届出書の提出があった場合において、当該届出を受理したときはその旨を、当該届出を受理しなかったときはその旨及びその理由を、遅滞なく、当該届出をした者に書面で通知しなければならない(施行令第9条 - 法令データベース)。
第4条の場合
編集いわゆる4条転用である。
届出に必要な書類
編集届出書の他に次の書類を添付しなければならないものとされている(施行規則第29条 - 法令データベース)。
届出書への記載事項
編集次の事項が掲げられている(施行規則第30条 - 法令データベース)。
- 届出者の氏名、住所及び職業(法人にあっては、名称、主たる事務所の所在地、業務の内容及び代表者の氏名)
- 土地の所在、地番、地目及び面積
- 土地の所有者及び耕作者の氏名又は名称及び住所
- 転用の目的及び時期並びに転用の目的に係る事業又は施設の概要
- 転用することによって生ずる付近の農地、作物等の被害の防除施設の概要
第5条の場合
編集いわゆる5条転用である。
届出に必要な書類
編集届出書の他に次の書類を添付しなければならないものとされている(施行規則第50条 - 法令データベース)
- 土地の位置を示す地図及び土地の登記事項証明書
- 届出に係る農地又は採草放牧地が賃貸借の目的となっている場合には、その賃貸借につき法第18条第1項の規定による解約等の許可があったことを証する書面
- 届出に係る農地又は採草放牧地を農地及び採草放牧地以外のものにする行為が都市計画法第29条第1項の許可を受けることを必要とするものである場合には、その行為につきその許可を受けたことを証する書面
- 前項ただし書の規定により連署しないで届出書を提出する場合には、施行規則第10条第1項各号のいずれかに 該当することを証する書面
届出書への記載事項
編集届出書を提出する場合には、当事者が連署するものとされる。ただし、施行規則第10条第1項各号に掲げる場合は、この限りでない(施行規則第50条)。 (市街化区域内の農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の届出書の記載事項) 次の事項が掲げられている(施行規則第51条 - 法令データベース)
- 権利の設定又は移転の当事者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)
- 権利を設定し、又は移転しようとする契約の内容
- 土地の所在、地番、地目及び面積
- 土地の所有者及び耕作者の氏名又は名称及び住所
- 転用の目的及び時期並びに転用の目的に係る事業又は施設の概要
- 転用することによって生ずる付近の農地又は採草放牧地、作物等の被害の防除施設の概要
地目が田、畑となっている土地に関する登記
編集農地(田、畑)を農地以外の地目に変更する場合には、届出受理通知書が必要となる[3]。農地転用届出をしただけでは、登記簿の地目は変わらない。
現況が既に農地でない場合は、農業委員会発行の現況証明書(非農地証明書)を添付するという方法もあるが[4]、上記のように、転用届出をした届出受理通知書を添付することもある。
参照条文
編集注釈
編集- ^ 市街化区域内農地の転用届出については、農地法第4条第1項第8号及び第5条第1項第7号に規定されているが、原則的に許可制を維持した上で、あらかじめ届出があった場合に許可不要とする規定であり、届出制に全面的に移行したわけではない(2の農林水産省資料は都市農業担当課作成のものであり正確ではない。)。現実的ではないが、当事者が届出ではなく許可を希望(申請)すれば、その手続きが行われる。また、転用の事実行為を先行し、農地法の手続を事後に行う場合は「あらかじめ」の要件を満たさないため許可が必要である。
- ^ 農林水産省『都市農業を巡る経緯と施策の現状』2012年1月14日閲覧
- ^ 登記における届出受理通知書の必要性については、市町村側で案内している事例が散見される(例 : 牛久市[1]2012年1月14日閲覧)。
- ^ 法務局『土地の地目に変更があった場合の申請書の様式・記載例』2012年1月14日閲覧