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恒星の一生では恒星が誕生してから恒星が爆発したり白色矮星になったりするまでについてを述べる。

誕生 編集

 
アルマ望遠鏡により撮影されたおうし座HL星の原始惑星系円盤。

恒星は星間雲の中でも特に密度が高い分子雲コアでは重力により収縮されて原始星が誕生する。原始星の光度は主系列星よりも明るいが、このときはまだ周りに星間塵などがあるので可視光では発見できず、赤外線でしか観測できない。このような星は赤外線星という。この一連の状態を発見者にちなみ林フェーズと呼ぶ。

恒星はふつう惑星を持つが初期の過程では恒星の周りにガスがあり、円盤状になっている。この 円盤を原始惑星系円盤という。

太陽の0.08倍以上の質量を持つ恒星は核融合反応を起こしているが、それ以下のものは核融合反応を行えない。このような星を褐色矮星という。

恒星の活動 編集

恒星は林フェーズを終えると活発に核融合反応を起こす。なお、核融合反応の化学式は以下のように表せる。

 

なお、e+は陽電子、νはニュートリノ、MeVは光や熱エネルギーの単位で100万eV(eVは電子ボルト)のこと。詳細は物理化学で扱われるためここでは省く。

恒星の寿命 編集

恒星にも寿命があり、その寿命は質量が大きいものほど短いことが分かっている。これは核融合反応が速く進むためである。例えば太陽の寿命は1010年(100億年)と考えられているがそれよりも大きいB型やO型の主系列星になると107~108年(1000万 - 1億年)になると考えられている。逆にスペクトル分類がK型やM型の恒星の寿命は、太陽の10倍の1000億年から1000倍の10兆年を超えると考えられている。

中心核 編集

恒星の中心核はその恒星の質量によって変わる。太陽の半分以下では中心核がヘリウムとなる。

それより大きいものはヘリウムが以下の核融合反応を起こす。

 

 

これにより炭素と酸素の中心核ができる。更に核融合反応を起こすためには太陽の8倍程度の質量が必要となる。それ以下の場合は白色矮星となり縮退する。それ以外はNe、Mg、Si...と続きFeまで続く。Feから先はない。

恒星の最後 編集

恒星の最後はその質量によって変わる。

太陽の8倍以下の恒星は白色矮星となる。太陽程度の質量の星が小さくちぢんでいるため、密度が大きい。白色矮星はしだいに冷えていくのでその後だんだん暗くなっていき、黒色矮星となる。

 
超新星残骸で有名なかに星雲。ハッブル宇宙望遠鏡撮影。

太陽の8倍以上の恒星は中心部に鉄が作られ、ヘリウムと中性子に分解される。このときエネルギーが吸収されるため恒星を支える圧力は減少し重力崩壊が起きる。この際に爆発を伴うことがあり超新星爆発という。このとき絶対等級は-15等にものぼる。超新星爆発の際に残ったものを超新星残骸といい、私たちが見える可視光線以外にもX線などを発している。

超新星爆発をする際にはFeよりも大きい重元素の核融合反応も起こりうる。例えば私たちが身近で使っている銅や銀などもこの時につくられ、超新星残骸が由来とされる。

超新星爆発が起こると全てが吹き飛んでしまうわけではなく、中心にはまだ星が残っている。

 
パルサーのひとつであるベラ・パルサー。

太陽の30倍以下の場合、中性子星となり超高密度の星となる。中性子星はその名の通り主に中性子から成る。これは高密度なため+をもつ陽子に-をもつ電子が取り込まれることにより中性子になるからである。中性子星の中には電磁波をパルス状に出すパルサーといわれるものがあり、その周期は1秒に満たないものもある。中性子星の中でも特に磁場が大きいものはマグネターと言われる。マグネターはその磁場を利用してX線やγ線などの電磁波を放射している。

ブラックホールの連星系が合体する時のシミュレーション映像。

さらに大きいものにはブラックホールがあり重力が大きすぎて光ですら脱することが出来ず、直接見ることは出来ない。

また、ブラックホールと中性子星の中間としてクォーク星があると考えられている。なお、クォークとは陽子や中性子を構成する素粒子であり、それらが、クォークの状態で存在するのがクォーク星である。w:3C 58などがその候補として上がっている。

その他 編集

白色矮星と赤色巨星などが連星をなしていると巨星のガスと白色矮星の表面が反応して核融合反応を起こすことがある。このときも超新星ほどではないが絶対等級は-5等ほどにもなる。これは新星という。