波動方程式は偏微分方程式であるので、これを解くために境界条件を定めねばならない。1次元の波動方程式
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を考えると、 とするとき、
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を用いると、
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より、
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となる。この解は、
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で与えられる(f , g は任意の関数)。この解のうち、x + v t に依存する関数は速度v で -x 方向に移動する波に対応し、x - v t に依存する関数は速度v でx 方向に移動する波に対応する。
この関数を完全に決めるには例えば、波をつたえる物体のt = 0 での位置と速度が全ての点x で知られていればよい。例えば、
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かつ、速度はt = 0 かつ全てのx で0とおいたとき、
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に代入すると、
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が得られ、時刻t での関数u の値は、
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となる。
時間依存性が位置によらずに決まる波を、定在波と呼ぶ。(?)このとき、
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のように、解のx , t に対する依存性を分離できる。これを波動方程式に代入すると、
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と変形できる。ここで、最後の式の左辺はt だけの関数であり、右辺の式はx だけの関数であるので、どちらの値も定数に等しいはずである。この定数を、-ω2 /v2 とおくと、
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となり、解
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を得る(A , B は任意定数)。一方、X についても同様に
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を得ることができ、解
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を得る(A , B は任意定数)。
特に、x = 0, x = l でu (t , x ) = 0 となる場合を考える。これは、物体の端が固定されている場合に対応するので固定端と呼ばれる。このとき、x = 0 でu = 0 からB = 0 が得られる。また、
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より、
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(n は整数)となり、
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が得られる。n = 0 は全く波が起きていない状況に対応し、n = 1 は節が1つだけの波が起きている状況に対応する。n > 1 は、節がn 個の波に対応する。
全ての点の時間依存性が同一なのでT (t ) を決めるにはある一点での振動のある時刻での位置と速度を与えればよい(実際にはある時刻で両方を与える必要はなく、違う時刻で1つずつ与えてもよい)。例えば、t = 0, x = l /2 で、u = 0,
(a は定数)が与えられたとすると、
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について、B = 0, ωA = aまたはA = a /ωが得られる。よって、この方程式の解は
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となる。
2次元平面中で、ある方向をx 方向と取り、それと垂直な方向をy 軸と取る。x 軸とy 軸をつけかえても方程式が変わらないことに注目すると、波動方程式は
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となる。
2次元平面中での固定端の定在波は、2つの整数を使って表わされること(変数分離)。2つの整数をm,nとしたときのm = 1,n=1の時などの図。
3次元平面中で、ある方向にx 軸を、それと垂直な方向にy 軸を取り、それらが順に右手の親指、人差し指、中指に対応するようにz 軸を取る。それぞれの軸をつけかえても方程式が変わらないことに注目すると、波動方程式は
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となる。
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(f はr , t だけの関数。Δ はラプラシアン。)(?)このとき、与えられた波動方程式は、
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となるが、ここで r f (r , t ) についてはこの式は通常の1次元の波動方程式に対応する。よってこの方程式の解として
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(u , v は任意の関数)を得る。これらは球対称な波を表わすことから、球面波と呼ばれる。
光の場合で考えると分かりやすい。光の速度cは、角速度や周波数とは無関係である。
なお、この、波における速度Aωを、位相速度という。位相速度は、情報を伝える速度ではない。
実際に情報を伝えられる速度のことを群速度という。
なお、また、ある波動が、複数個の正弦波を、足し合わせたり引き算したりしないと、数式で表現でないと場合、そのような波動を「分散のある」波動という。
つまり、分散のある波動の、情報を伝えられる速度のことを、群速度という。