数値解析( Numerical Analysis )は、数学的な問題を数値的な方法によって解決するための学問分野です。具体的には、微分方程式や積分方程式、非線形方程式、行列方程式などを計算機を用いて数値的に解析することが目的とされます。数値解析によって得られた解は、数値的に近似的なものですが、実用的な精度を持ちます。

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ウィキペディア数値解析の記事があります。

数値解析の手法には、次のようなものがあります。

  • 数値積分:関数の積分を数値的に求めるための手法です。代表的な手法に台形則やシンプソン則があります。
  • 数値微分:関数の微分を数値的に求めるための手法です。代表的な手法に前進差分、後退差分、中心差分があります。
  • 数値積分方程式の解法:積分方程式の解法の一つで、数値的な手法を用いて積分方程式を解くことができます。
  • 線形代数の数値解法:線形代数方程式の解法の一つで、行列演算を用いて線形代数方程式を数値的に解くことができます。代表的な手法にガウス消去法、LU分解法、SOR法があります。
  • 非線形方程式の数値解法:非線形方程式の解法の一つで、反復法やニュートン法などの数値的な手法を用いて非線形方程式を解くことができます。
  • 常微分方程式や偏微分方程式の数値解法:微分方程式の解法の一つで、数値的な手法を用いて微分方程式を解くことができます。代表的な手法にオイラー法、ルンゲ・クッタ法、有限要素法、有限差分法があります。

これらの数値解析の手法は、計算機を用いて実際に数値的な計算を行い、解を求めます。計算結果は、数値的に近似的なものですが、精度を高めるためには、計算機の演算精度や数値計算アルゴリズムの改善が必要となります。

数値解析は、様々な分野で応用されます。例えば、自然科学工学経済学金融工学医学気象学素粒子物理学地球物理学コンピュータビジョン音響工学制御工学通信工学などがあります。数値解析は、これらの分野において、理論や実験の補完として、または解析的な方法では解けない問題を解決するために、不可欠な技術となっています。

用語集 編集

  • 数値解析 (Numerical Analysis): 数学的な問題を数値的に解析する学問分野。
  • 微分方程式 (Differential Equation): 未知の関数とその微分の関係式で表される方程式。
  • 積分方程式 (Integral Equation): 未知関数を含む積分式で表される方程式。
  • 非線形方程式 (Nonlinear Equation): 未知数が非線形関数の形で表される方程式。
  • 行列方程式 (Matrix Equation): 行列を未知数として含む方程式。
  • 数値積分 (Numerical Integration): 関数の積分を数値的に求める方法。
  • 台形則 (Trapezoidal Rule): 数値積分の手法の一つで、台形の面積を近似的に求める方法。
  • シンプソン則 (Simpson's Rule): 数値積分の手法の一つで、関数を2次式で近似し、その面積を求める方法。
  • 数値微分 (Numerical Differentiation): 関数の微分を数値的に求める方法。
  • 前進差分 (Forward Difference): 数値微分の手法の一つで、前方の差分を用いて微分係数を求める方法。
  • 後退差分 (Backward Difference): 数値微分の手法の一つで、後方の差分を用いて微分係数を求める方法。
  • 中心差分 (Central Difference): 数値微分の手法の一つで、前方と後方の差分を用いて微分係数を求める方法。
  • 数値積分方程式の解法 (Numerical Solution of Integral Equations): 数値的な手法を用いて積分方程式を解く方法。
  • 線形代数の数値解法 (Numerical Solution of Linear Algebra): 行列演算を用いて線形代数方程式を数値的に解く方法。
  • ガウス消去法 (Gaussian Elimination): 線形代数の数値解法の一つで、連立方程式を解く手法。
  • LU分解法 (LU Decomposition): 線形代数の数値解法の一つで、行列を下三角行列と上三角行列の積に分解し、線形方程式を解く手法。
  • SOR法 (Successive Over-Relaxation): 線形代数の数値解法の一つで、反復法の一種であり、線形方程式を解く手法。
  • 数値解法 (Numerical Method): 数値解析において、数学的問題を数値計算によって解く手法。
  • 誤差 (Error): 数値解法において、解析的解と数値解の差を表す。
  • 収束 (Convergence): 数値解法において、解析的解に収束するように数値解が漸近的に近づく性質を指す。
  • 収束条件 (Convergence Condition): 数値解法において、収束するための条件。
  • 数値不安定性 (Numerical Instability): 数値解法において、微小な誤差が大きな誤差に拡大する不安定性を指す。
  • 数値安定性 (Numerical Stability): 数値解法において、微小な誤差が大きな誤差に拡大しない安定性を指す。
  • 刻み幅 (Step Size): 数値解法において、微分方程式や積分方程式の計算において用いられる時間や空間の間隔。
  • 初期値問題 (Initial Value Problem): 微分方程式の解析的な解を求めるために、初期条件が与えられた方程式のこと。
  • 境界値問題 (Boundary Value Problem): 微分方程式の解析的な解を求めるために、境界条件が与えられた方程式のこと。
  • 数値常微分方程式解法 (Numerical Ordinary Differential Equation Method): 常微分方程式を数値的に解く手法。
  • 有限差分法 (Finite Difference Method): 微分方程式や積分方程式を差分によって近似する手法。
  • 有限要素法 (Finite Element Method): 微分方程式や積分方程式を要素ごとに分割して近似する手法。
  • モンテカルロ法 (Monte Carlo Method): 確率的な手法で、乱数を用いて数値解を求める手法。
  • スプライン補間 (Spline Interpolation): 関数を多項式で近似する手法。
  • 最小二乗法 (Least Squares Method): 観測値と理論値の差を最小化する手法。