各学校別の入試傾向や、センター試験の仕組みなどの解説については、 日本の大学受験ガイド を参照してください。

大学に進学するということ

編集

大学とは

編集

「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」(学校教育法第八十三条)

この法律によれば、日本の現行法令に基づいて現存する大学とは、「広く知識を」身につけるとともに、「深く専門の学芸を」学ぶための場所である、ということです。ですから、これらを目的とする学生は進学することが大いに役に立ちますし、そうでない学生は行くだけ無駄、というのが日本の大学です。しかし、このような抽象的な文言ではわかりにくいですね。もう少し具体的に、大学に進学することのメリット・デメリットを見てみましょう。

大学に進学することで得られるメリット・デメリット

編集

大学に進学することで得られるメリットはいくつかありますが、ここでは次の2点について述べます。

  • 大学卒業という資格

まず、大学を卒業すれば、大学卒業という資格が得られます。昨今は多くの学生が大学に進学しますので、この資格を就職の要件とする就職先も少なくありません。つまり、少なくとも何らかの受験勉強をして大学に入り、大学で何らかの学びをした、という経験がある人が求められているということです。

  • 国家資格等の取得に関する学士号のメリット

ほか、「学士号」が大学の学部卒業により得られます。いくつかの国家資格では、その分野の学士号を要件としている場合があります。なお、短大卒では「準学士」が得られる資格となります。つまり、短大卒業をしただけでは学士号は得られません。

大学卒業という資格は、他の資格にもつながります。大学で特定の課程を修了したり、特定の学科を卒業していないと取得できない資格が数多くあります。そのような資格を取得するには、資格を取得できる大学に進学することが必須です。

ただし、よく勘違いされがちなことですが、国家資格を持っていても、簡単に就職できるとはかぎりません。大学で専門的に学ぶことが求められる公的資格の中にも、需要と供給が見合わなくなっている資格が散見されますので注意が必要です。

逆に、デメリットはあるでしょうか。あえて言うならば、時間とお金がかかることでしょう。

  • 進学にはお金がかかります。

例えば、私立大学に進学するとすると、学費が少なくとも年間100万円以上(実際にはそこまで安い私大はほとんどありませんが)なので、卒業までの4年間で、最低でも400万円以上はかかります。これとは別に、下宿をするなら家賃などの諸経費がかかります。都内のアパートの相場が月額7万円だとして、1年で約84万円の家賃がかかるとしましょう。切り良く食費や光熱費も含めて100万円の家賃だとして、4年間で400万円がかかるわけです。すると、4年間で800万円はかかります。これは留年などをせずにストレートに卒業した場合ですので、そいうったことも含めて、私立大学の卒業までに1000万円は教育費がかかると思ったほうがよいでしょう。

国公立の大学でも、学費が年間60万円程度はかかります。少なくとも卒業までの4年間で240万円はかかるわけです。諸経費を含めて、2倍程度で、卒業までに600万円程度の教育費はかかると思ったほうが良いでしょう。

家が金持ちならよいですが、そうでなければ奨学金などの借金をして進学することになります。1000万円ちかい借金というのは、結構、負担が重いです。新卒の給料が年間300万円が相場と言われますが、生活費などを差し引くわけですから、借金の返済に当てられるのは、多くても年間100万円程度まででしょうか。すると、卒業してから10年近くは生活を切り詰めなければいけません。もちろん、たとえ大学を卒業しても、かならずしも賃金の高い企業に就職できる保証はありません。

「難関」大学に進学することで得られるメリット

編集

上記の事項に加え、入学の難易度が高く、世間からの評判が高い、いわゆる「難関」大学に進学すれば、さらにメリットが得られます。

  • 高い水準の教育を受け、研究に触れることができる。

いわゆる難関大学は、授業で扱う内容の水準が高いといえます。どんなに優秀な先生でも、高校で習う内容を理解していない学生に対しては、高校で習うような内容の授業からせざるを得ません。その点、高校で習う内容は理解している生徒ばかりが集まる大学ならば、さらに程度の高い内容を授業することができます。この違いは、理系の場合は特に顕著に表れます。

このことは、いずれ4年生や大学院生となり、研究に触れる場面においても響いてきます。その時点でどの程度の研究ができるかは、その時点までにどの程度までを学ぶことができたかに左右されます。また、研究に関する評判の高い大学には国からも民間からも研究に関する経済的支援が得られやすく、他ではできないような予算のかかる大規模な研究をすることができることもあります。

  • 周囲の学生から刺激を得ることができる。

いわゆる難関大学は、周囲の学生の程度が高いことが多く、それまで得られなかったような知的な刺激を得られることがあります。普段接する学生の質が高いということは、それだけで大きなメリットなのです。これは、大学生の間の学びが充実するということはもちろんのこと、将来の人脈作りといった面でもメリットがあります。

  • 就職の役に立つ

いわゆる難関大学は、大企業や官庁への就職実績が高い傾向にあります。これは、それら大学に属する学生の質が高いということも当然ですが、それだけでなく、採用の際に大学の名前を見る就職先が少なくないということにもよります。

なぜ企業は大学の名前を見るのでしょうか。それは、なるべく優れた人材を取りたいという要求を満たすために、コストパフォーマンスが高い方法だから、だと思われます。いわゆる難関大学を卒業した人は、その大学の入試を突破するだけの学力や、その学力を身につける受験勉強の経験をしています。大学入学後は、上に述べたような経験をしています。それゆえ、就職してからも役に立つ能力を持っている可能性が高いといえます。むろんこれは確率の問題で、実際にその人の能力が高いかどうかはわかりません。大学受験は失敗したけれど能力は高いという人もたくさんいます。しかし、限られたコストで最大の利益を求める企業にとっては、そのような人を発掘するのは手間がかかりすぎます。そこで、手っ取り早い方法として、大学の名前を見ることになるのです。

また、特に理系の技術職の場合、企業と大学の研究室の間で、共同研究などによって関係がある場合があります。このような場合、その研究室の大学院生(学部生では話になりません)を採用すれば、ある程度の知的水準や実験スキルを持っている可能性が高いと判断できますので、そのような採用がかなり多いです。もちろんこれもスキルを持っている可能性が高いというだけですが、コストとの兼ね合いを考えると企業にとってはちょうどいい選択なのだと思われます。

このような構造が良いか悪いかという議論はさておき、現実に企業がそのようなことをしている以上、学生の側もそれに対応するのが現実的な選択と言えるのではないかと思います。

浪人について

編集

希望の大学に合格しなかった場合、浪人は一つの選択肢です。しかし、無益な浪人をしてしまえば、貴重な時間とお金を浪費するのみです。浪人をする際には、1年後の結末として次のいずれもがありうるということを念頭に置いて検討しましょう。

  • 現役のときよりも明らかに良い大学に合格する
  • 現役のときより少しは良い大学だが、1年をかけるほどではない大学に合格する
  • 結局現役のときと同じ大学に進学することになる、あるいは、それすらかなわない

状況次第では3番目の結果も十分にありうることですから、むやみやたらに浪人することが良いとは言えません。また、2番目の結果になったときにそれは「成功」と言えるかどうかは疑問符です。浪人すれば、その後の人生のあらゆる場面が1年遅れるわけですから、それに見合うだけのジャンプアップでないと無意味です。

もちろん、1番目の結果になることを目指して浪人するのは意味があることです。しかし、であるからにはきちんと戦略を立て、実現させなければならないということです。

なお、一般に二浪以上は浪人によるデメリットの方が上回ることが多いです。2年無駄にしてまで行く価値のある大学はほんのわずかです。そんな時間があったらそこそこの大学に入学して、受験勉強のようなままごとではない本物の学問に早く触れた方がベターです。

大学進学を意識した学習

編集

大学受験においては、いわゆる5教科の学習をすることになります。国公立大学ではセンター試験で5教科すべてを受験する必要があることが大多数ですので、文系だろうと理系だろうとまんべんなく学習する必要があります。私立大学の場合は科目を絞って受験することも可能ですが、多くの大学で科目を絞らない方が有利です。詳細は各大学の対策記事に譲りますが、一般論として言えば、所詮は競争なのだから、自分と同世代の他の多くの人たちが選びたがりそうな楽に見える道には同じことを考える輩がたくさんいて大変、その道を避けて一見辛そうな道を進む方が競争相手が少なくて楽、ということです。

志望先に関する専門知識めいたものは不要です。高校生にとっては新書や啓蒙書に乗っている程度の内容が専門知識に見えるかもしれませんが、学問全体を学ぶことから比べればたいしたことのない内容です。たいしたことないことを、素人が浅く学んだところで役に立ちません。そもそも、専門知識を学ぶために進学するのですから、進学しなくても学べるのであれば進学する意味がありません。

ほとんどの学部学科において、その分野に対する興味関心はなくても進学できますが、さすがにまったく興味関心がない分野に進学すると入学後に辛いのでやめましょう。例外は医療系の学部学科で、小論文や面接を科す場合が多いですので、医療に対する興味関心がまったくない人は不合格になります。


学部・学科の名称

編集

まぎらわしい学部

編集

大学には色々な学部があります。 名前が似た学部もあります。

混同してはならない事として、

「経(けいえい)学部」と「経(けいざい)学部」は違います。

経営学部は、商学部とほぼ同じなのが普通です。経営学部や商学部は、簿記を基本として、そのほかビジネスマンに必要な英語などを学んだりして、ビジネスマンになるところです。そのほか、マイケル・ポーターなどの経営学者の理論を学ぶこともあります。

いっぽう、経済学部は、『ミクロ経済学』や『マクロ経済学』などの経済理論を基礎に、さらに発展した理論を学ぶところです。


「教育(きょういく)学部」と「教養(きょうよう)学部」も、違います。特にこの2つの学部は、まったく授業の内容が違うので、絶対に混同しないでください。

教育学部では小学校などの教員免許が取れます。

教養学部は、教育内容をあまり細かく限定しない学部であり、小学校の教員免許は取れないのが基本です。大学ごとに「教養学部」は教育内容が大きく異なっているので、詳しくは各大学のホームページなどを参照してください。国語・数学・理科・社会をまんべんなく学ぶことを特色としている「教養学部」もあれば、それとは別に、語学人材や国際人材を育てることを特色としている「教養学部」もあり(「国際教養学部」または「グローバル教養学部」と言う場合が多くあります)、はたまた介護福祉や観光などの講座を分野を限定せずに学べることを特色とした「教養学部」もあり、大学ごとに「教養」の意味が千差万別です。このため、大学卒業時に取得可能な国家資格についても千差万別ですので、それらの学部の進学を考える人は、入学前の志望校決めのさいに調べておくのが良いでしょう。

大学によっては、教養学部の呼び名ではなく、「リベラルアーツ学部」のように名乗っている場合もあります。

なお、大学院進学の際、「教養」学の院と言うのは基本的には無く、そのため大学人進学したい場合は、既存の学問の院に進学する必要があります。この際、理科系の学問の院には、直接の院への進学が難しい場合がありますので(たとえば学部への編入学になる可能性があります)、もし将来的に理系の学問をしたい人は事前に調べてください。


ほかの「文学部」とか「理工学部」とかについては、字面を見れば意味が分かるので、いちいち説明しません。


工学部や理工学部の、電工学科と電工学科は、内容が違います。

電気工学は、発電所や送電設備、またはモーターなどの技術者の学科です。


電子工学は、半導体などの学科です。

内容を勘違いしやすい学部

編集
社会学部

社会学部などの「社会学」は、小中学校の社会科とは、大きく異なります。

小中で習う社会科は、英語にするとソーシャル・スタディーズ(social studies)と言います。

いっぽう、社会学は英語ではソシオロジー(sociology)と言います。

これらは、かなり異なる学問ですので、文系志望の人は調べて理解しておいてください。これはwikiだけが注意しているのではなく、大学評論家の山内太地もYouTube動画で注意喚起している事です。

2024年の現状、ソーシャルスタディーズ専門の学科は、存在しません。

社会科に近いのは、たとえば法経学部や、または教育学部の社会科教師の課程、または、教養学部やリベラルアーツ学部のうち社会科に近い科目の履修した場合のコース、などでしょうか。

なお、教育学部は、あくまで本来は学校の先生になるための学部ですので、教育学や教職科目が合計して40単位以上とかあるかもしれません。

また、法経学部・法学部では、法学は習いますが、政治学はそれほどではないので、卒業後にでも自分で勉強して補う事になります。ほか、地理学なども、専門科目は用意されていません。


大学の教養科目で、どこの文系の学部にも、法学、政治学、経済学、社会学、政治学などが少なくとも各4単位(1年間ぶんの週1の授業)あるので、その程度で良いなら、どこの文系の大学でも、一応は社会科のような勉強をできます。ただし、卒業までに64単位ほど専門科目として社会科を勉強しようとすると、それは難しくなります。

なお、地理学の教養科目は、もしかしたら用意されていない大学が多いかもしれません。

大学生むけの地理の教科書そのものが、種類が少ないのです。

法学部や政治学などで地域行政学の科目のある大学を探したり、あるいは、経済学部などで地域経済学などの科目のある大学を探す事にでもなるでしょうか。このように地理は、、法学部・経済学部・社会学部などの科目群のなかで、地理との学際的な内容の科目も、視野に入れる必要があるかもしれません。


なお、名前は「経済学部」でも、その中で専門的に法学も追加で勉強できる大学もあります。公務員試験対策などを兼ねて、法学の講座を多めに用意している文科系の大学もあります(大学評論家の山内が言っている事です)。あくまで大学によるので、事前に大学の公式サイトなどで調べてください。

私大の色々な入試形態について

編集

私大の指定校推薦は、必ずしも絶対合格ではない

編集

指定校推薦は、たとえ指定校に通う生徒が高校からの推薦を取れても、必ずしも合格するとは限りません。

難関大学や難関学部の場合、当日の試験や面接などの成績が悪いと、不合格になる場合があります[1][2]

なお、指定校推薦を得るには、入学した高校が指定校でないといけません。基本的には、高校の偏差値が高いほど、多くの難関の私立大学から指定校の推薦枠をもらっています。推薦枠の人数には定員があります。

指定校に通ってない生徒は、指定校推薦の制度をつかうことが出来ないです。

基本的には、現役生の高校3年生が使うための制度です。卒業生は、指定校推薦を使えないと思います。

私大の総合型選抜とオープンキャンパス

編集

私大の総合型選抜では、いくつかある入試方式の要件として、オープンキャンパスの参加を要件としている場合があります。オープンキャンパスに参加していない場合、その方式には出願できませんので、別の方式があればそちらで出願することになります。

入学定員以上の一般入試での合格

編集

私大の場合、入学定員より5~10名ほど多くの受験生が合格できる場合もあり、事前に公表された定員よりも 各学科で5名ほど多く、やや多い新入生が入学できる場合があります。

事前の募集要項などで公表している定員は、実際の定員ではなく、少なめの目安です。

受験生の正確な予測は難しいので、こういう風にして調節をしています。調整弁として、本当の定員よりも少なめの「定員」を公表している場合もあります。

ただし、理系の設備を使う学科の場合、設備の限界があるので、定員は厳格かもしれません。私大の定員オーバーの合格はこの程度の小さいものですので、参考程度に。


ほか、不人気の学部で定員割れがある場合、人気の学部の定員が、公表されている定員よりも実際は多く合格して入学できる場合もあります。つまり、学部間・学科間で、若干の定員を融通できるような仕組みになっています。

偏差値や受験難度のよくある勘違い

編集

偏差値ランキングが発表組織によって大きく違う

編集

大学の偏差値などの受験難易度のランキングについて、発表する予備校・企業ごとに、順位が大きく違っています。

たとえば、私大文系の学部に限定ですが、受験産業のベネッセのランキング ベネッセ『2024年度入試対応 私立大学・学部の偏差値一覧』 と、予備校の河合塾の作成のランキング 『2024年度入試難易予想ランキング表(私立大)』 とが、まったく一致していません。

具体的にどの大学がどう不一致かまでは中立性・公平性の観点から言及できないですが、ともかく信頼できるランキングを見ましょう。

もし、たとえば、たった一つの模試の偏差値ランキングだけ見て、偏差値の低い大学をすべり止めに受験して、ほかの模試では偏差値が高い人気大学だったので受験結果はまったくすべり止まらなくて浪人しても、ベネッセも河合塾も駿台も、なんの責任も取ってくれませんし、責任を取る義理もありません。悪いのは、たった一つの模試だけを参考にして情報収集を怠った、あなたが悪いのだし、自己責任です。

さて、統計的には、河合塾とベネッセのどちらか片方の標本が、片寄っている可能性があります。このように、標本(受験生のうちの、どういう層を中心にアンケートしたのか)によって、ランキング類の結果は大きく変わります。

ボーダーフリーの勘違い

編集

「ボーダーフリー」大学(略して「BF」大学と言われる)は、必ずしも定員割れの大学とは限りません。

偏差値が一定値(たとえば偏差値35)よりも低い大学のことです[3]

たとえ定員割れの大学でも、受験生の学力が一定以下なら不合格の場合もありますが[4]、それとは別件で、そもそも「ボーダーフリー大学は必ずしも定員割れとは限らない」事にも注意する必要があります。」

模試などで紹介される大学の偏差値は、その模試の受験者の得点と彼らの志望大学をもとに算出されます。このため、たとえばある模試で受験生がいない大学の場合、偏差値が算出できません。たとえば、もし定員を充足している傾向の続いている大学でも、その大学の受験生が模試を受けない層である場合、ボーダーフリー大学になる可能性があります。

また、そもそも定員割れをしていなくて、模試の受験生で志望校にする人が大学側の定員よりも多くても、算出される偏差値が一定値(たとえば偏差値35)よりも低ければ、普通に、実際に受験したときは受験競争があります。

ボーダーフリーは、「偏差値が算出できない」ではなく、「偏差値が一定値よりも低い」が定義です。

なので、自分の学力が単に偏差値35よりも低い場合、普通に受験競争でほかの受験生にやぶれて不合格になる可能性も、原理的にはありえます。


このため、ある塾・予備校などの発表する大学偏差値でボーダーフリーだからといって、まず、必ずしも定員割れとは限りません。なので、もしアナタがそのボーダーフリー大学を受験・志望する場合は、きちんと定員充足率などを事前に確認しましょう(公表されていれば)。

「Fランク」には共通の定義は無い

「B.F.」(ボーダーフリー)と語の似ている俗語(ぞくご)で「Fランク」というのがあります。しかし、「Fランク」に共通した定義はありません。

論者によってFランクの定義がバラバラなので、あまり信用しないほうが安全でしょう。論者が、発言内容に責任を取りたくない場合や、調べるのが面倒な場合などに、「Fランク」という定義のあいまいな語をつかう評論家がいる可能性もあります。

模試を開催している予備校などは、Fランクではなく「b-ダーフリー」という言葉を使っています。


過去の定員との比較は、現代の合格しやすさに関係ない

2020年代の近年、少子化や募集難などによって定員を減らす傾向の大学もあります。そのため、受験生が減少傾向の大学でも、定員充足率が高い事もあります。

たとえば、全盛期は1学年の定員が100名の学科が、現代では50名になっているかもしれません。

全盛期と比べれば、経営が苦しくなっているでしょう。その大学の人気も、ひょっとしたら下がっているかもしれません。

ですが、その事と、これから受験する志望大学が合格しやすいかどうかは別問題です。

定員50名になった学科の受験本番で、もし受験生が60名だったら、普通に最低でも10名は不合格になる可能性があります。

たとえ、ベビーブーム時などの全盛期の定員と比べて現代は定員が半分に減っていようが、入試の合格・不合格につよく影響するのは、あくまで現代の定員充足率です。

大学の偏差値以外は入試の難度に関係ない

編集

大学ごとの合格の難しさは、文系どうし・理系どうしなら、ほとんど大学の偏差値だけで決まります。それ以外の、さまざまな指標は、合格の難しさには関係ない話題です。たとえ、その指標が、その大学の教育や研究が良質であることを証明していても、しかしそれは、その大学への受験合格の難しさ・易しさの指標ではないのです。

志望校の偏差値の高さによる合格の難しさの現実から、目をそらさないでください。

私大の推薦比率は一般入試などの難度には関係ない

編集

私大の一般入試の難易度の順序は、文系どうし。理系どうしなら、おおよそ偏差値だけで決まります。(ただし、模試によって、大学ごとの偏差値の数値が違ったり、大学同士の順位が違うので、複数の模試を参照する必要がある)

ネットの受験評論家の中にはデタラメを言っている人もいて(書籍を出していてもデタラメを言っている人がいます)、まるで「私大は総合型選抜が多いから簡単」みたいな事を言っている人もいますが、それは単に「推薦で入ることが昔よりも簡単になった」だけに過ぎません。あるいは「そこそこ偏差値の高い高校の現役高校生にとっては、一般入試で入るよりも指定校推薦で入るほうがラク」というような意味です。指定校推薦だけは、日本全国の競争ではなく指定校内での競争なので、指定校の高校の生徒にとってだけは競争相手が減るのでラクです。しかし、指定校以外の総合型選抜や公募推薦や一般入試は日本全国での競争です。なので、指定校推薦を取れなかったら、結局は全国の競争である一般入試、または総合型選抜でまたは公募推薦で受験するしかないのです。なので、結局は偏差値の高い大学は、その合格者の指定校推薦比率の高さとは関係なく、偏差値だけで一般入試・総合型選抜・公募推薦の難度はおおよそ決まります。

総合型選抜の基準によっては、たとえばスポーツの実績などが評価されたりして、5教科の学力が低めでも合格する人もいるかもしれませんが、しかしそれは単に、要求される競争力の種類のちがいにすぎず、5教科からスポーツの能力に要求の対象が変更されたにすぎず、今度はそのスポーツ型選抜試験の受験生はスポーツでの競争をすることになります。けっして、簡単に合格できるわけではありません。(たとえばスポーツの全国大会に出場するのが決して簡単なわけではないのと同じです。)

たとえば、駅伝によく出る私立大学だからって「簡単に合格できそう」と勘違いしている人がいますが、しかし現実は、そんな事はないのです。あなたが駅伝で実績を出せるような人でないかぎり、その私立大学へは一般入試などで受験するしかありません。

入試問題の難度は、合格の難度に関係ない

編集

たとえば、英語の入試科目に英検2級の英単語を要求する偏差値65の私立文系の大学と、英検準1級の単語を要求する偏差値62の私立文系の大学があったら、合格が難しいのは、ほかの入試科目が同じなら、偏差値の高い大学のほうが合格は難しいです。

入試問題の高度さは、合格の難しさには、関係ありません。


また、関連する話題として、入試科目の多い・少ないは、合格の難度には関係ないです。入試科目の多さは、その合格者の学力の幅広さの証明にはなるかもしれませんが、しかしその事と、その大学の入試難度は別物です。

たとえば、スポーツの全国大会なんてスポーツさえ出来れば良いわけですが、しかしだからといって、けっして誰でも簡単にスポーツで賞をとれるわけではないのと同じです。

入学後の授業の難度は入試難度に関係ない

編集

また関連して、大学入学後の授業の難度の高低と、大学入試の難度はなんの関係ありません。たとえば、もしある難関私大が、スポーツ推薦合格組でも分かるように易しめの授業をしていても、あるいは、学業以外のサークル活動なども考慮して授業を易しめにしていても、決して入試が易しいことにはなりません。

入学後の授業がどうであれ、もしある大学の偏差値が高い以上は、その私立大学への一般受験や公募推薦などは難関の競争になるのです。

その他大学受験に関する事項

編集

受験生を食い物にする輩

編集

大学受験では、試験会場へ行く道などに、合否や成績開示を送る云々という宅配業者を装った詐欺師が出没することがあります。その詐欺師が大学の職員などの名前を騙る場合もあります。あるいは詐欺師が、路上で「受験生は、この名簿に、名前を書いてください。大学からの緊急の指示です。」などと主張する場合もあります。多くは受験生たちの個人情報を入手しようしているようです。

そもそも成績の開示は願書において希望するしないを記入するのが一般的でしょう。それ以外の場面で大学が個人情報を入手しようとすることはありえません。詐欺師に騙されないように、受験生は注意してください。合格発表日にも詐欺師が出没する場合がありますので注意しましょう。

参考文献

編集
  1. ^ 『指定校推薦で落ちた例はある??|落ちる理由や対策を解説!』, ホワイトアカデミー , 公開日 2024年4月9日
  2. ^ 『「指定校推薦」は合格率100%?試験前に知りたい情報まとめ』, 個別学習塾スタンダード , 2020.10.06
  3. ^ 小林尚 インタビュー『危険水域のボーダーフリー大学めぐり塾長が警鐘「数字のトリックが使えてしまう」』ダイヤモンド・オンライン、2023.6.24 11:00
  4. ^ 『【大学受験】定員割れてても落ちることあるの?絶対合格する?マナビバが解説!』個別指導塾 マナビバ、2024/02/14