日本語/非母語話者むけ/レッスン/授受表現

授受表現は、話者が与える側か受け取る側のどちらの立場に立つかによって、また目上か目下かによって変わります。

与える 編集

 
授受表現で使われる様々な動詞を図式化したもの。上段が「与える」意味の動詞、下段が「受け取る」意味の動詞で、また左側の人物が話し手、右側の人物が聞き手です。
注:上向きの矢印は、目下の人物が目上の人物に与えるということ、下向きの矢印は、目上の人物が目下の人物に与えるということを表しています。

誰かが、誰か(話者以外)に「与える」ときには:

わたし
○○さん

○○さん に モノ を ()()げる。

あげる。
やる。[1]

他の誰かが話者に与えるときは:

○○さん
わたし に モノ を (くだ)さる
くれる
  • (わたし)先生(せんせい)(ほん)()()げます。
  • (わたし)(いもうと)にお菓子(かし)をあげる。
  • 私達(わたしたち)(ねこ)にボールをあげた。(過去形)
  • 彼女(かのじょ)先生(せんせい)林檎(りんご)をあげます。(丁寧形)
  • 友達(ともだち)はお(かあ)さんにカードをあげました。(丁寧過去形)

丁寧形は「くださる」であり、「くれる」は上下関係がなく最も広く使われます。これらは、現在その場にいない人物から受け取ったときによく使われます。

  • 先生(せんせい)(わたし)(ほん)(くだ)さいました。
  • あなたは(わたし)にビデオをくれる。
  • 岸子(きしこ)(わたし)にマンガをくれた。

受け取る 編集

誰かが誰かから「受け取る」ときは:

受け取る人
○○さん
から
モノ を (いただ)
(もら)う.

「に」のほうがごくわずかに砕けていますが、モノを受け取るときは「に」と「から」の両方が使えます。動作の場合は「に」しか使えません。「から」は与える人を強調するときに使います。

  • クリスマスが()たら、お(ばあ)ちゃんに新車(しんしゃ)をもらうと(おも)う。
  • 誕生日(たんじょうび)に、(あずさ)はお(とう)さんから250,000円をもらったそうです!(丁寧形)[2]
  • 彼女(かのじょ)王子(おうじ)結婚(けっこん)したら、女王(じょおう)(おお)くの宝石(ほうせき)をもらいます。(丁寧形)
  • (はは)(あたら)しいパソコンをもらいました!(丁寧形)

「いただく」は謙譲語で、目上の人から受け取ったときや、敬意を表すときに使います。

(わたし)先生(せんせい)にペンをいただきました。

動作 編集

動作の授受のときにも授受動詞を使います。

(与える人) は 動詞のテ形 授受動詞
(受け取る人) に

動作のときには「から」は使えません。

「あげる」や「くれる」などの場合、「私は彼女のために車を洗ってあげた」や「私は彼のために洗濯してあげた」というニュアンスがあります。

  • (わたし)はアパートの掃除(そうじ)をしてあげました。(丁寧形)
  • (わたし)(ばん)(はん)(つく)ってあげた。

「もらう」などの場合、「歯医者さんが私のために診てくれた」や「母が私のために掃除してくれた」というニュアンスがあります。

  • 医者(いしゃ)()てもらいました。(丁寧形)
  • 彼氏(かれし)(あたら)しい(くるま)()ってもらった!

上の例では、「私は、"彼/彼女のために"~てあげた」というニュアンスがあります。

脚注 編集

  1. ^ 「やる」は失礼な表現です。and would only be used by boys joking with each other.
  2. ^ この文では「に」が連続しないように、「に」ではなく「から」を使って、「誕生日"に"、梓はお父さん"から"」とするのがいいでしょう。

関連項目 編集