日本語の形容詞的語句には、主に2種類あります。
- イ形容詞
- 連体形が「い」で終わるという特徴があります。語尾に「い」をつけてイ形容詞とすることができる名詞が多いです(
白 →白い)。「い」で終わるナ形容詞もあるので注意してください(きれい)。 - 例:
赤 い、青 い、高 い、小 さい、重 い、軽 い - ナ形容詞
- 「形容動詞」または「形容詞的名詞」とも言われます。名詞を修飾するときには「~な」となります。専門的にいえば活用語尾の「な」は、古語の繋辞「なり」の連体形「なる」に由来します。
- 例:
綺麗 、静 か、素敵
「良い」だけは例外です。語幹は原則「よ~」(よく、よかったら…)ですが、活用語尾に「~い」が含まれるときは、口語では「よい」よりも「いい」が一般的です。
活用基礎
編集動詞と同様に、一般的な形容詞の活用形を列挙します。また、「いい」は「よい」と同様に活用します。
ナ形容詞―名詞相当語句―は繋辞をつけることで「活用」活用します。例外は、「現在形」(繋辞を省略)と「丁寧過去否定形」(特別な言い方もある)です。
現在形 | 過去形 | 否定形 | 過去否定形 | |
---|---|---|---|---|
普通 | ~ | ~だった | ~ではない | ~ではなかった |
丁寧 | ~です | ~でした | ~ではありません | ~ではありませんでした ~ではなかったです |
イ形容詞はいくらか単純な活用パターンです。丁寧さは繋辞をつけて表します。the (polite present positive, in all tenses)
現在形 | 過去形 | 否定形 | 過去否定形 | |
---|---|---|---|---|
普通 | ~い | ~かった | ~くない ~くはない |
~くなかった ~くはなかった |
丁寧 | ~いです | ~かったです | ~くないです(~くありません) | ~くなかったです(~くありませんでした) |
その他の活用形
編集また、以下の活用形も、他の活用形の基礎となるので、覚えておくと役立つでしょう。
イ形容詞 | ナ形容詞 | |
---|---|---|
語幹 | ~ | ~ |
連体形 | ~い | ~な |
終止形 | ~い | ~だ |
連用形 | ~く(~かっ) | ~で(~だっ、~に) |
未然形 | ~かろ | ~だろ |
仮定形 | ~けれ | ~なら |
命令形 | ~かれ | ~なれ |
これらの活用形から、以下の活用形が作られます:
イ形容詞 | ナ形容詞 | |||
---|---|---|---|---|
て-form | 連用形+て | ~くて | 連用形 | ~で |
バ形 | 仮定形+ば | ~ければ | 仮定形+ば | ~なら(ば) |
タラ形 | inf. 過去形+ら | ~かったら | inf. 過去形+ら | ~だったら |
推量形[1] | 未然形+う | ~かろう | 未然形+う | ~だろう |
連用修飾形 | 連用形 | ~く | 連用形 | ~に |
程度を表す(派生語) | 語幹+さ | ~さ | 語幹+さ | ~さ |
形容詞も特定の場合に音便化します。ナ形容詞の丁寧な否定形については、以下の繋辞の節もご覧ください。
命令形
編集命令形は現代日本語では極めて限られており、
仮定表現
編集仮定形にはバ形とタラ形などがあります。ニュアンスの違いはthe conditionals lessonをご参照ください。
注
編集- ^ ほとんどの形容詞は意志を持たない状況語なので、「~う」は推量を表します。ただし、ごくまれに、意志のニュアンスが含まれます(例えば、報告やお願いに対する「良かろう」が該当します)。